今回は初めから終わりまでラビットハウスでのお話。
小学校4年の時に日本に来た訳だが、これがもう箒と相性悪いわでほぼ毎日睨み合いだの言い合いだのしてた。つーかこのふたりが一緒にいると、この光景しか見た事ない。
ちなみに2人がなんで毎日のように喧嘩してたのかの理由は一切合切知らない。
けど歳を重ねるごとにそんなことも少なくなっていき気付いたら中学生・・・。鈴は中学2年生の時に祖国、中国に帰国した。なんでも親父さんの方の家族が大変なことになったらしく、鈴だけを日本に残すのは忙しなかったのか一緒に中国に帰って行った。
その時と言えばなかなか泣かない箒すら涙目になってたぐらいで、なんだかんだ親友になっていたのかもしれない。んで鈴の方はと言うと号泣だった。一生分の涙出してんじゃねぇのかと勘違いするほどに。
日本を発つ数分前、鈴はこういった。
「じぇったい・・・!すぐに帰ってくるから・・・!」
最初あまりの涙に噛んでんぞとか色々言いたかったが無粋なので「ああ、待ってるよ」とか言った気がする。
それから1年半。成長した俺らは再び巡り会った訳だが・・・。
「何故帰ってくることを連絡しなかった」
そう。成長したからこそ感動的な再会だと思ったのだ。けど現実はどうだ。
2人はテーブルの上で稲妻をぶつけ合っているではないか。おかげで店の雰囲気が最っ悪だ。
「あの、純さん」
「何」
「なんで泣きそうになってるんですか・・・?」
「聞くな。聞かないでくれ」
もうとんでもなく悲しい。1年半。確かに短い、あっという間の時間だったと思う。でも成長しなかったというのは嘘になる。絶対になにかしら成長したはずなのだ。
なのに目の前で行われてるのは確実に小学校4年生頃に見せた2人そのものじゃないか。
ああもう。現実逃避したい。つーかさせろ。
話題転換しよう。そうしよう。目の前のものを見ないようにすればいい。
「ところでリゼはどうしたんだ?遅刻か?」
「いえ、今日は体調が優れなかったらしいのでお休みです」
「へー、リゼが。まぁ、バカじゃないから風邪もひくか」
俺みたいにサボるようなやつでもないし。事実なんだろう。
「純さんの中の風邪のひく条件ってなんなんですか」
「バカかバカじゃないか。バカじゃないやつは風邪をひく。バカなやつは風邪をひかん」
「純さんはどっちなんですか」
「ふつーに風邪ひくからバカじゃない」
ちなみにこの理論例外あり。輝とかな。アイツ、
バカなのに風邪をひく。お見舞いに行ったことは一度たりともない。
「お見舞いとかするタイプなんですか?」
「人による。リゼのお見舞いは絶対に行かない」
バイト始めた後、親父から聞いた話によると父親は元軍人。家も豪邸と言えるものらしくうちとは偉い違いだ、とのこと。そんな家にお見舞いに行きたくない。1人なら尚更。絶対に行かない。
「なら・・・。私はどうですか?」
「チノの?うーん、たぶん来るんじゃないかなぁ」
バイトのついでに。それにタカヒロさんとも話してるからチノのお見舞いはだいぶ楽だろう。
「そうですか」
「ちょっと機嫌いい?」
「知りません」
はぁ、可愛いやつ。俺の周りにいないタイプだし疲れないからマジ天使。
「よくわからんけどご褒美をくれてやろう」
「頭撫でないでください・・・!」
「ちょっと、いい加減にしなさいよ!」
・・・なんでこんな至福の時を現実に戻すんですかね。
「・・・なんだよ」
「なんでアンタが機嫌悪くなった訳!?怒ってるのこっちなんだけど!」
「いや知らないし。勝手に怒ってるだけじゃねぇか」
「まずその手やめなさいよ!」
「・・・・・・」
「なんで渋々離したのよ!」
「ああもううるせぇ!ここ店だから!少し静かにして貰えますかね!」
「だからなんでアンタがキレてるのよ!」
「お前が黙ればいいんだよ!」
つーかなんだコイツ。さっきからキレてばっかりで。
「コホン。注文してもいいだろうか」
「え?ああ、構わないが」
箒達の席に行き、注文のメモをとる。
「私はカフェオレを」
箒、意外なもん注文すんな・・・。てっきりブラック辺りだと思っていたが・・・。腐っても女子なのか。
ギロ。
いえ、なんでもありません。
「あ、あたしラテアート。1度飲んでみたかったのよね」
こっちの方は厄介なものを頼んでくれる。よりにもよってラテアート担当のリゼがいない日に来るとか。やっぱこいつバカだわ。
ギロ。
別に何も考えてないです。
「えー、注文を繰り返します。カフェオレとラテアートでよろしいですね?何か希望の絵はございますか?」
「なんでもいい」
「かしこまりました」
「っていうかその変な喋り方やめなさいよ」
「バイト中ですので」
そう言ってカウンターに戻る。
「聞こえたとおりカフェオレとラテアート。絵はなんでもいいんだと」
「ラテアートお願いできますか?」
「あいよ」
まぁ、俺もバイトの一人。簡単なラテアートぐらいはできる。あいつがおかしいだけだ。
数分後。
「お待たせしました。カフェオレとラテアートになります」
「・・・これ純が描いたのよね」
「そうですが」
「これなんの花?」
「ポピーです。花言葉は謝罪」
「あたしに謝罪しろと?」
「よくわかりましたねお客様」
「ぶっとばすわよ!?」
「その場合は営業妨害で訴えるだけですが」
「くっ・・・」
あーもう本当にこいつは頭に血が上りやすい人間だな。そのせいでさっきもやべー目にあってるってのに反省しないやつ。
「そんなくだらない話はどうでもいい。鈴、何故連絡も無しに帰ってきたのだ?」
「家に余裕ができたから」
「えらく端的ですこと。つまりごちゃごちゃしたあれやこれやをある程度完結させてきたと?」
「店員は黙ってなさいよ」
「・・・申し訳ございませんでした」
「まぁ、純が言った通りある程度の問題は解決したわ。それで余裕もできて、友人が多い日本で過ごした方がいいんじゃないかって話になってあたしだけ日本に帰ってきたの」
「いや一応中国の方がお前の祖国だから」
「あたしにとっての祖国は日本よ。店員さんは一々話に入ってこないで」
「・・・・・・」
確かに自分でバイトだからと言ったがここまでの仕打ちはないんじゃないだろうか。いや本当に。
とりあえず
「今変なルビつけなかった?」
滅相にもございません。気のせいです。
「学校はどこになったんだ?」
「そういう箒はどこなのよ」
「私は・・・」
「俺の学校の隣のお嬢様学校に通ってる」
「へ・・・?箒が・・・?」
そりゃ困惑するわ。この剣術バカこと箒がお嬢様学校とか意味わからねぇし。
「純、明日剣術の稽古をつけてやろう。なに、安心しろ。他の門下生の3倍はキツくしてやる」
「待ってください箒さん、僕何も考えてないんですが」
「お前の考えぐらい見なくてもわかる」
えぇー・・・。つまりは俺の感情基本的に読んでるってことじゃないっすか・・・。こっわこの剣術バカおばけ。
「5倍にするか」
「マジですみませんでした」
何故こうも尻に敷かれてしまうのか。いや師範代(代理)と弟子じゃそうか・・・。
「それで?鈴はどこの学校なのだ?」
「北箕面崎高等学校よ」
「へー」
ん?北箕面崎高等学校?
「・・・知り合いいるからお前の事言っとこうか?」
「・・・どうしてそうなったのか聞こうじゃない」
「だったお前基本的にその態度で友達が作りづらいことで有mッ!」
殴られた。
「おまっ、出禁にすんぞ!」
「純さんにその権限はありませんが・・・」
何故かチノにダメ出しされた。ここは店を守る者として俺の味方ではないのか。
「お客様は神様でしょうが」
「お前なぁ・・・。それ店員が言うセリフだぞ?客が言っちゃダメなやつ」
「えっ、そうなの?」
知らずに言ってたんかこの
「ねぇ、やっぱ変なルビ付けてない?」
「気のせいだろ。んで?いるの?いらないの?」
「・・・仕方ないわね。受け取ってあげるわよ」
「その言い方なら渡す気起きないなぁ。これはもうボッチ決定だなぁ」
「勝手にボッチって決めるな!」
「んじゃあお前の転入当初の話をしようか。箒!」
「いいだろう。どこから話す?」
「転入した後の5分休みから」
「そうだな・・・。その時の鈴は━━━」
「わかったわかりましたあたしは純と箒がいなければボッチでしたー!」
「「わかればよろしい」」
「酷いところを見た気がします・・・」
「え?どこが?」
「自覚ないんですか・・・?」
「事実しか言ってないし」
「純はよく隠れ無自覚ドSとよく言われている」
「え?そうなん?」
「あー、確かに中学の時言われてたわね」
マジか・・・。全っ然知らなかった。15歳にしての初事実。
「つまり純に弱みを握られたら━━━」
「終わりってわけ」
「気をつけます・・・」
「待てーい!」
「なんだ」
「なによ?」
「姫矢さんがドS?どこにその要素あったよ?」
「人が恥ずかしい、悔しいって思う点を抑えてるところよね」
「うむ。人の弱点をいい角度からザクザク入ってくるからな」
えー、絶対そんなことないってー。
・・・・・・。
「・・・いやあったわ」
「でしょー?」
「だろうな」
まじかー。姫矢さんそんな
「けどとりあえずチノは引くのやめようか。俺、チノの弱みとか一切持ってないし」
持っていたとしても弄る気は一切無いしな。俺はいいお兄ちゃんでありたい。
「純さんはお兄ちゃんではありません」
「お前には既に妹がいるだろう」
「純歌に言っちゃおー」
「なんで俺の考えてることわかってるんですかねあと鈴は余計なことすんじゃねぇ」
あの妹、自分以外の妹は許さないとか意味わかんねぇこと言ってたし。けど妹は欲しいらしい。母に似て本当に意味がわからん妹だ。
「いやそんなことはどうでもいいんだ。今の問題は鈴だ」
「あっ、忘れてた」
おい当事者。
「欲しいのか?んー?だったらそれなりの態度ってもんがあるはずだけどー?」
「くっ・・・」
悔しがる鈴を見て少しウキウキしてしまう。さらに苦しむがいい!( ´•౪•`)フハハハハハー!
「あの顔無性に腹が立つな・・・」
「絶対に純さんに秘密を握られないようにします」
外野がなんか言ってるがどーでもいい。
「ほら、ほらほらほら?」
「・・・・・・」
おっと。空気が変わったな。やな予感がビンビン来るぜ。
「覚悟はできてるんでしょうねぇ・・・」
思い...出した!
よく調子に乗って俺は鈴を煽りに煽りまくっていた。
そしてその後辿り着く結果はただ一つ。
「ぶん殴るっ!」
そう、殴られるんだ━━━。
よく昔の偉い人は『右の頬を殴られたら左の頬を差し出しなさい。歯を食いしばれば、大丈V』っと言ったそうだが、俺はそうは思わない。
右の頬を撃ち抜かれた俺はその反動を使われ左頬もぶち抜かれた。
一応歯を食いしばったはずだ。
けどめっちゃ痛い。虫歯より確実に痛い。いや、虫歯になったことないけど。
まぁ、こうして俺は両頬を腫らしながら接客稼業を続けている。
たまにお客さんが俺の顔を見て訝しがってたが。
そんなそろそろカフェ、ラビットハウスが閉まる前、一人のお客さんが来た。
「いらっしゃいませ。・・・って高崎さん。どうしたんですか?」
「うん。急にコーヒーが飲みたくなって。あと、ちょっと相談事が・・・」
「わかりました。とりあえず席に案内します」
あっ、そうだ。
「そういえば高崎さんに紹介したい人が」
俺はそう言って鈴を指差す。
「コイツが高崎さんと同じ学校に通うことになってるんです。凰鈴音って言うんですが」
「ちょっ、頬に指をめり込ませるんじゃないわよ!喋りづらい!」
「高崎美咲です。凰さん、よろしくね」
「鈴でいいわ」
「じゃあ私も美咲でいいよ」
「よろしくね、美咲」
「鈴ちゃんもよろしくね」
「「・・・・・・」」
「そこの2人はなんで黙ってるのよ」
「いや鈴が社交的なのにこう、違和感が・・・」
箒が頷いている。俺達的にはこの扱いが基本だ。
「えぇ・・・」
何故自覚がないのか凰鈴音。
「こんなバカは放っておいて席に案内しますね。カウンターで?」
「この席でもいいかな?」
「いいですけど・・・。
「コーヒーを待つ間に鈴ちゃんとお話しをしようかなって」
「あぁ、そういうことですか。んじゃあ、そのバカをお願いします。ご注文はこの前と同じで?」
「うん」
「誰がバカよ!」
「それでは少々お待ちください」
「無視するんじゃないわよ!」
「はい、鈴ちゃん。店内でさわがないでね」
高崎さんの話し方がほぼ年下への話し方だ。いやあの低身長、性格じゃ年下みたいなもんだが。
「誰が低身長よ!」
お前以外にいるかバカ。つーかうるせぇ。
他の席に比べてうるさいのを無視し黙々とコーヒーを淹れていく。
「お待たせしました」
「ありがとう。・・・あれ?なんで2つ?」
「高崎さんが相談事があるって言ったんじゃないですか」
「そうだった」
忘れてたんかい。
「それで?どんな悩みなんですか?」
「それが・・・。ライバルというかなんというか・・・」
「ライバル?」
「昨日のことなんだけどね・・・」
昨日は私と根島君で日直だったんだ。
放課後に日誌を出しに行かないといけなくて。根島君は少し眠そうだったから私が持っていったんだ。
それで教室に戻ったら寝ている根島君にキスしているところを目撃しちゃったの。
その子の名前は仁坂悠介君。根島君の親友の・・・
「・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・は?」
高崎さんの話はそこで終わりらしい。
思わずフリーズしてしまった。話を聞いていた箒と鈴すらフリーズしている。
「えっと・・・つまり・・・」
「たぶん、そういうことだと・・・」
つまりこういうことか・・・。
┏(┏^o^)┓
いや、別に悪いことではない。ゲイだろうがレズだろうが趣向は人それぞれだ。
問題はそこではない。
問題は、そう━━━。
「つまりどうやって諦めさせればいいか、ということですか?」
「うん・・・」
なんということだ。昨日まで見ていた男の友情は片方とはいえ愛だった、なんて。そんなの、そんなの・・・
「受け止めれるかぁぁぁぁ!」
「「ハッ!」」
今の俺の叫びでやっと箒と鈴が帰ってきた。そういう趣味に疎い2人にはキツかったのだろう。ちなみにチノは働きながらも顔を赤くしている。この2人と違い、ある程度の認識はあるようだ。
「男と男・・・」
「薔薇が・・・はぅ!」
えぇ・・・。こいつら耐性無さすぎだろ・・・。もう高校生だろうが・・・。
「落ち着けお前ら。キスされた相手、根島君には目の前にいる高崎美咲という彼女がいる。なびくことは無い」
「「ハッ!」」
いやまだトリップしてたんかい。
「つまり、根島君とやらは普通の男の子なんだな!?」
「そうよね?そうって言いなさい!」
「落ち着け!今言った通り、根島君は高崎さんと付き合ってる!告白もキスシーンも見た俺が保証する!」
「「よかったぁ・・・。・・・ん?」」
いきなり2人の動きが止まった。
「「告白もキスシーンも見た・・・?」」
「姫矢君・・・」
高崎さんは顔を赤くして俯いてしまった。箒と鈴は少しづつ女がしちゃいけない顔をし始めている。
「えっと・・・」
「どういうことかしらぁ・・・?」
「聞かせてもらうぞ純・・・」
やっべ、確実に地雷踏んだ。俺死んだ。
今回はシーン転換多いね!
結論を言うとなんとか生きていた。高崎さんの必死の解説と俺の高耐久値がなければ成し遂げられなかっただろう。
チノの説得も好材料だったのかもしれない。やはり、できる妹だな。
「妹じゃないです」
と、本人には否定されたが。
「つまり純と美咲でそれぞれアドバイスしあってるってこと?」
「そういうこと。俺は女心理解のために、高崎さんは男心理解のために」
「ということは、だ。純。今好きな人がいるのか?」
まぁ、聞かれるわな。隠す必要性はない。さっさと言ってしまおう。
「いるよ」
店内が静まりかえった。うん?何故に?
「・い・・・・だ」
「は?」
「相手は誰だ!」
「うお!?」
何急にどうしたのコイツ!?やめ、肩を掴んで揺らすな三半規管狂ってコーヒー出しちゃうからー!
「そうよ!どうせあんたの事だからまた変な女の子なんでしょう!ねぇ!?」
「どうして俺の好きな人が変なやつ扱いなんだ・・・!」
「赤座はどう見ても変だったろう!」
「箒お前は赤座に謝れ!」
「つーかごらく部って何よ!真っ当な部活にも所属できない人種のくせに!」
「それは全くもってその通りでございます!」
「それで誰だ!私の知っている人か!?」
「箒は知っている人だ・・・!」
というか聞く前に降るのやめろマジで。脳みそ揺れて大変なことになってる・・・!
「お、落ち着いて?ね?」
「いいから誰だ言えー!」
「くっ・・・!」
俺は限界に達しテーブルを叩きながら立ち上がって言った。
「俺は穂高みやびが好きなんだよッ!少し黙ってろッ!」
・・・・・・。
また店内が静まりかえる。
「ねぇ、純。穂高みやびって・・・誰?」
鈴の目からハイライトが消えていた。
「そうか、そうなのかみやびが好きなのか・・・」
隣の箒よくよく見てみるとハイライトが消えてる。
つまりさっきより怒りがやばい。
「お、お前ら・・・?怒ってる?怒ってらっしゃるよね見なくてもわかりましたすみませんでしたァ!」
箒に肩ポンされる。ひ、ヒィィィィ!
「純・・・」
「まず写真を見せなさい」
「・・・え?」
「その穂高みやびの写真を見せなさい」
えぇ・・・。
「いや俺みやびの写真持ってなくて・・・」
「名前!名前呼びよこいつ!」
「確かに・・・。名前呼びしていたのに何故気づかなかったのだろう」
何?何が始まったの?
「姫矢君」
「は、はい」
「君は今恋バナという泥沼に自分からマッハで突っ込んだんだよ」
つまり・・・自爆っすか。
「純!至急みやびの自撮りを貰え!」
「お前が貰えばいいだろうが!」
「純からの方が確実性高い気がしてな」
んなことないと思うが・・・。
はぁ・・・。しゃあないか・・・。
スマホを取り出しみやびにLINEをする。
純『なぁ、お願いがあるんだけど』
少し待つとスマホが震えた。
穂高みやび『どうしたの?』
純『みやびの写真が欲しい』
穂高みやび『へ!?』
純『別に変な意味じゃなくてな!みやびを知りたいって子がいて見せることになって・・・』
穂高みやび『本当に変なことに使わない・・・?』
純『使いません。俺の良心に誓って』
穂高みやび『・・・ちょっと待ってね』
・・・・・・。
「ちょっと待ってねだと」
マジで成功しちまったよ。交渉ほぼなかったけど。
少ししてまたスマホが震えた。
メッセージはなく画像送信のみ。さすがに恥ずかしかったんだろう。
送られてきた写真は自撮りではなく第二者によるものだった。控えめの笑顔で控えめにVサインしてる。
・・・・・・・・・・・・。
「ど、どうしたのよ」
「・・・いい」
「え?」
「本っ当に可愛いなおい!見ろよこれ!」
鈴にスマホを押し付ける。もう、控えめの笑顔で既に可愛いってのにさらに控えめにVサインまでしちゃってさぁ!お茶目か!
「あれ?純にしては普通の子!?」
「失礼な。みやびは変な子じゃないぞ」
ったく。どーみても可愛いだろうが。どこに変な子要素があんだよお前の目は節穴か。
短めと長めの間ぐらいの髪の長さにさりげなく結ばれている2つのおさげ。俺より大きい目には芯のある黄色い瞳。もうこの時点で可愛い要素しかない!何だこの天使は!
「うわぁ、純が久々に気持ち悪くなってる・・・」
「んだよ、お前は好きな人の写真見てニヤけねぇのかよ」
「・・・少し、ニヤけると思う」
でしょうね!
「純、そこまでみやびに惚れてるのか・・・?」
「んだよ悪いかよ」
「いや、悪くはない。・・・告白の予定はあるのか?」
「今のところはない。たぶんだがみやびから見てまだ俺は優しい友人ぐらいだろうからもう少し好感度上げてからで」
「本当に純なの・・・?」
「失敬な俺はお前の腐れ縁姫矢純だぞ。お前の得意なものから苦手なものまで手を取るようにわかる」
「言わなくていいから。でも純の口からそういう話聞くと耳を疑ってうん・・・」
俺そんなふうに思われてたんか。なんか悔しい。
あっ、そうだ。
純『写真ありがとうな。このお返しは必ず』
よし、送信完了。
ところで。俺の恋バナよりなにか重要な話があった気がするんだが。
あぁ、そうだ思い出した。
「そういや俺達仁坂君とやらの話ししてなかったっけ?」
「「「あっ・・・」」」
まぁ、忘れてるわな。話逸れまくってたし。
「まぁ、言うしかないんだろうなぁ。『根島君は私のです』って」
「名前書くのはどう?」
「持ち物かよ」
「・・・見せつけるのはどうだろうか。目の前でキスするとか」
「お前はできるのかよ」
「・・・できない」
「なら言うな」
「じゃあ逆に聞くけどアンタは目の前で付き合ってるって言えるの?」
「え?多分言えるよ?」
「こういう奴だぞ」
「そういう奴だった・・・」
「高崎さん的にはどれを採用する?」
「目の前でキスはできないかな・・・。名前を書くのもNGで」
「となると、あとは堂々と言うしかない、と」
「頑張れ高崎さん」
「なんかタイトルっぽいわね」
そうか?・・・なんかそんな感じしてきた。
「堂々と仁坂君に言う・・・。うん、それしかないかな」
高崎さんも納得したようだ。それで諦めないなら・・・どうするんだ?
「それでも諦めなかったらどうします?」
「簡単だ。離さなければいい」
「ほう?つまり?」
「結婚まで行けば問題は無いだろう」
箒さんったら大胆。遠回しにプロポーズしてしまえと言ってるようなもんだ。
鈴は(゚ー゚)(。_。)ウンウンしてる。ぶっちゃけ俺も賛成だ。
しかし意外と高崎さんは鋭かった。
「プロポーズするの・・・?」
「遠回しですし根島君より鋭いはずの仁坂君なら理解するでしょう」
「遠回しに根島ってのをディスってるわよね?」
そんなことは。事実を口にしてるだけですよ。
「よし、方針は決定したな」
本人の意思は無視っすか
「そろそろお前に変なルビを付けてやろうか?」
何故考えていることがバレるのか。君達エスパーとかニュータイプじゃないだろうな。
そんな俺を無視して箒達は話を進めていく。
「次の議題は純の告白時期で構わないだろうか」
あーはいはい俺の告白時期ね。
「━━━っておい!?何本人抜いて勝手に話進めてんだ!?」
「はい」
俺のツッコミをさらに無視して鈴が手を挙げる。
「言ってみろ」
「学園祭か体育祭に告白した方がいいと思います」
「んー、無難だねー。でもその日は皆テンション上がったりするから姫矢君以外の人も告白するかも」
「確かに。それに体育祭や学園祭の活躍した人に告白される可能性も少なくない」
「あー、それは厄介ね。そういうイベント告白だと断りづらいし」
「そーいうお前はいつ時だろうと断るだろ」
「じゃあ箒はいつがいいと思う?」
三度無視された。俺の存在は何処に行ったのだろうか。
「そうだな・・・。早過ぎず遅過ぎず・・・か」
「夏休み中はどうでしょうか」
何故かチノが介入してきた。確かに今店には俺等しかいないが。だからといって俺の告白時期を勝手に提案するのはどうかと思う訳だが。
「あ、あたし賛成」
「私もその意見に賛成だ」
「私もその意見に賛成かな」
「決まりですね」
「決まってないですね」
「純。お前は夏休み終了までに穂高みやびに告白しろ」
「あのね、だから何故お前等が俺の告白シーズン決めてんの?おかしくない?それって俺が覚悟したときに決めるもんじゃないの?」
「安心しろ。夏休み終了まであと3ヶ月ある」
「3ヶ月で俺の男を認めさせろと!?無茶言うんじゃねぇよ!」
「行けると思うけど」
「高崎さん!?」
「アンタねー。美咲がアンタのくっだらない相談事に乗ってるのに報われなきゃ意味無いじゃない」
「いや、3ヶ月で告白成功とか無理だと思う訳だが。それこそ今までの無駄になる訳だが!」
コイツら物事考えて喋ってるのか疑問に思うんだが。
「お前よりは考えてる」
えー、んなわけないじゃん。
「店員さん、夢は?」
「私、ですか?おじいちゃんのようなバリスタになることです」
「立派だな。鈴は?」
「そこまで深く考えてないけど今は実家の料理屋を継ぎたいと思ってる」
「んじゃ箒。お前はどうなんだよ」
「警察官」
「・・・え?」
意外な単語が出てきた。警察官?
確かコイツ小学生の時は剣道の選手になりたいとか言ってたような・・・。
そんな俺を見越してか理由を告げる。
「剣道が職業に絡むのは少なくてな。オリンピック選手とかならまだいいとして・・・」
「剣道は未だにオリンピック競技になってないからね」
「その通りだ。だから私はこの剣の腕を使うことの出来る警察官になりたいと思っている。その前にまず世界剣道選手権大会優勝を目指している」
日本一じゃ満足してないのかこの姫様は。
実を言うと箒は全国中学剣道大会で優勝している天才剣士なのだ。さらに顔はいいわで天才剣士に美少女が付くことになった。ちなみに俺は美少女の部分は否定気味だ。
はー、しかし流石っすわこの天才美少女剣士様は。どんだけ剣道好きなんだよ。
「実家の道場はどうするんだ?」
「確かにそこは気掛かりではあるが・・・。今はお前だ。お前の目標はなんだ?」
・・・・・・。
ない。まだ見つけていない。
いや、ないことはなくもないけど本当に成功できるのか、高校、大学を無駄にしてしまうのではないかと足踏みをしてしまう。
つまり、見つけていないのと同等である。
「・・・(´Д`)ハァ…」
「あ?なんだそのクソデカため息」
「お前はいつもそうだ。目標らしきものを見つけてもできる、できないを天秤にかけて動けなくなるのが」
・・・気付いてたのかよ。
「だからできるできない関係ない目標を立てたんだ。そろそろ変わりたいんじゃないか?」
・・・ったく、このファースト幼馴染みは。どんだけお人好しなんだよ。
「・・・わかったよ。やる。やってやるよ。今年の夏休み終了までに、みやびに告白する」
今回も読んでくださりありがとうございます。ユニコーンとケッコンして2ヶ月目、隣の提督です。それは司令官だろう、リゼ今回出てないじゃないかなんてツッコミ達は知りません。聞こえませんし見えません。
今回のサブタイトルはウルトラマンX第1話「星空の声」から。とてつもなくわかりづらい。いや、最初は決めるぜ、覚悟!とかにしようと思ったんですけどサブタイじゃねぇ・・・ということで使用せず。覚悟決めたの最後の最後ですしね。
次回は椎名ましろとの絡みをたっぷり(?)用意する予定です。それでは次の時間に会いましょう。
アデュー!