とある学生の難儀(?)な日常   作:九牙タイト

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サブタイトルが最終回のように見えるけど実は最終回じゃない、勘違いさせてみました。
そんなショックを受けてるあなたの隣で嘲笑ってます、隣の提督です。
先程も述べたように最終回じゃないです。本当です。日常回です。


19時間目 難儀な日常

バイト上がり少し前。床をモップで綺麗にしながら俺は1番最初に聞くべきことを今更聞いた。

「そういや鈴、家どうすんの?」

「え?謳歌さんから聞いてないの?」

は?お袋から?

「チノ、通知確認いいか?」

「どうぞ。カフェはもう閉まってますし」

「ありがとう」

メールを確認すると鈴の言った通りお袋から通知が。

『お袋:今日から懐かしい懐かしい鈴ちゃんがくるよ〜。その後はよろしくねー(^ω^)』

・・・最後の顔文字がイラつくわ。

家に泊めることの解説はしたらしい。が、俺の家の現状までは説明してないと。

・・・あー、クソだりぃ。

「どうしたのよ」

「いや、別に。あ、今のうちに言いたいことが二つある」

「何?」

「まず俺の家の現状に驚かないこと。突っ込むのもなし。二つ目に家賃、食費はきっちり払うこと。最後に宇宙人に気をつけろ。このことを守れ」

「なんか二つどころか四つ五つぐらい言われた気がするんだけど」

「それだけ重要なんだ」

さもなければ俺は家に着いた途端殺される。確実にだ。

「そっちはいつも通り仲が良さそうでなによりだ。では私は帰る」

「あ、こっちが上がるまで待てよ。さすがにこの時間で1人って・・・」

「お前より強いから大丈夫だ」

そう言われるとぐぅの音もでない。その肩に担いでる竹刀で不審者など一方的に嬲ってしまうだろう。

「また明日」

「おう、また明日」

「じゃあねー、箒」

「ああ、また今度な鈴」

・・・なんだよ。お前らもだいぶ戻ってきたじゃねぇか。少し涙ぐみそうになりながらドアの向こうへと消える箒の背中を見る。

「・・・掃除も終わったし着替えるか」

「そうですね」

「ちょっと待ってろ」

「あーい」

その返事を背に受けながら2階に上がり、それぞれの更衣室に入る。

陣代高校の制服に着替えて男子更衣室から出る。

隣の部屋をノックし

「チノー、俺上がるから」

「はい、明後日もよろしくお願いします」

「おう、じゃあな」

そう言って2階に降りて待っている鈴話しかけた。

「んじゃ帰るか」

 

こうして自宅の目の前に着いた。

ちなみに晩飯の献立の変更についてはすでにみやびに連絡済み。つまり歓迎会の鍋だ。俺のバイト終わりに合わせて作るので連絡入れた時は作り始めるかのギリギリのところだった。実に危ない。

「思ったより変わってないのね」

「逆に何が変わるのか聞きてぇよ」

謎の感銘を受けてる鈴をよそに玄関の鍵を開ける。

中に入ると案の定美咲先輩が。

「絶対仁王立ちしてると思いましたよ」

「さすがこーはいくん。私の旦那さんだね!」

「あーはいそんな褒め言葉全然嬉しくないです」

「なんと!私との関係は遊びだったの!?」

「あんたとそんな関係になった覚えはない。というか変なこと言うから腐れ縁が変な目で見てくる」

「変なのはどっちよ」

「美咲先輩の方が変だろ」

「って腐れ縁ってあたしのこと!?」

「逆にお前以外誰がいんだよ」

「およ〜?その子誰?連れ子?」

「そんな訳ないでしょう」

「まさか!」

「・・・なんです」

「お持ち帰り!?大変だよみやみや〜!」

「待てやゴラァ!話聞いてからにせんかい!」

「私というものがありながら!」

「違ぇ!アンタの想像とは違う関係だ!」

「まさか・・・セフ」

「言わせねぇよ!そしてそれも違う!」

「どうしたんですか美咲さん」

げっ、みやび来ちゃったよ。

「こーはいくんが浮気してるよ!」

「ふぇ!?う、うううぅう浮気!?」

「ちょっっっっっっと黙れ美咲先輩!そしてみやびは1回落ち着けさっき話した新住人だ浮気じゃねぇ!」

「純、今変なこと口走ってることに気付いた方がいいわよ」

「知るか今はこの誤解を解くことが先だ!」

と、後ろのドアが開いた音が聞こえた。開け主はある程度予想できる。

「お?純が女の子連れてらぁ。大人になったなぁ」

「違うお持ち帰りじゃない!アンタと一緒にすんな!」

「ひっでぇ言い様だなおい」

「うるさいわね・・・。ビールが不味く・・・」

言葉を止め、じーっと見てくる千尋先生。

「・・・なんすか」

「静かにやりなさいよー」

「止めろ聖職者!つーか何の話だ!」

「今自分で止めろって言ってたじゃない」

「・・・これどう収集つけるのよ」

知るかっ!俺が聞きたいわ!

 

結局わちゃわちゃあって俺達が食卓に着いたのは30分後だった。明日は平日で普通に学校があるのにこんな時間に鍋なんて食っていいのだろうか。

「そういえば今この家に姫矢はアンタしかいないの?」

「ん?ああ。千冬姉(ちふゆねえ)は学校の教師兼寮監やってるからなかなか帰ってこないし・・・。兄貴は千義姉(せんねえ)さんと仕事で家出てたまーに帰ってくるけど今は仕事が忙しいらしい。姉貴は仕事しながら世界回ってるよ」

「え、純君何人兄弟なの?」

「千冬姉、兄貴、姉貴、俺、純歌の5人兄弟」

「多っ!こーはいくんの家がでかい訳はそれか!」

「さっきも言った通り帰ってこない人いるんですけどね。おかげで心配というか・・・」

「?なんで?」

これはあんまり広めることじゃないんだよなぁ。

鈴に目配せするとわかった、と頷いた。

なんというか千冬姉は・・・生活能力が著しく低いのだ。

洗濯は基本的に人任せだし、衣替えとか疎いし、家でもだいぶ緩い服装だったり。

外での堅物感を家でも出して欲しい。

なんて思ってたらスマホが震えた。

「にょにゅ!?」

タイミング図られたようにスマホが震えたから変な声が出てしまった・・・。つか誰だよ・・・。

画面を確認すると噂をすればなんとやら。千冬姉から。

・・・千里眼持ちとかじゃないだろうな。

「ちょっと電話出てきます」

リビングから出て廊下で電話に出る。

「はい。もしもし」

『純か?』

「どうしたんだよ千冬姉。千冬姉から電話なんて珍しいじゃないか」

『今度の五連休にそっちに戻る』

「・・・随分と唐突で」

『なにかまずいことでも?』

「まずいというかなんというか・・・。今の家の状況わかってる?」

『知らん』

デスヨネー。

「今親父達、アメリカにいんだよ。んで今家はシェアハウス状態。なにか質問は?」

『特にない。私の部屋は空いてるのか?』

「千冬姉の部屋?空いてるけど」

さすがに千冬姉の私物に触れるのはまずいというのが家内での共通認識で誰も触ってない。俺も入らないように立て札を立てて、侵入不可にしてる。

『なら問題は無いだろう』

まーそうですね。

「そーいやなんで?寮監やってんだから戻ってこないじゃん」

『その寮がしばらく改装でな。使えなくなる』

「そういうのって普通夏休みにするもんじゃない?」

『学園長が忘れてて慌てて、な』

「何してんだその学園長・・・」

生徒の命預かってんだから忘れんなよ・・・。

「わかった。現住人にも伝えとくよ。あとこっちに戻ってくるなら衣替えの用意もしとかないと」

『別に今ので十分だ』

「いやいや。長袖のやつの素材で夏迎えるとか死ぬから。千冬姉が思ってるより熱こもりやすい素材なんだぜ?」

『わかった。冬服はどうすればいい?』

「帰ってきた時クリーニングに回すから大丈夫。帰ってきて初日に食べたいものある?」

『なんでもいい』

「わかった」

『・・・少し長電話し過ぎたな』

「たった数分だろ?そんなに忙しいの?」

『まあな。じゃあ、ゴールデンウィークに』

「ん。じゃあ」

そして通話が切られる。

ゴールデンウィークに千冬姉か・・・。まぁ、大丈夫だろ。

リビングに戻るとなんか視線を感じる。

「・・・なんですか」

「誰と電話してたのさ」

「さっき話に出てきた千冬姉からです」

「だから純嬉しそうな声してたのか」

「してませんよ」

「してたしてた!まさかこーはいくん・・・シスコン?」

「ちーがいまーすー」

否定しながら鍋の豚肉を取る。

「ああ!それ私の豚肉だぞー!」

「早めに取らなかった美咲先輩が悪いんですよ。・・・つーか椎名」

「なに」

「俺が電話してる間にさりげなくエビフライ取ってんじゃねぇ。それもまた衣だけ剥がしやがって」

「口がチクチクするから嫌」

「なら食わなきゃいいだろ!」

「エビが食べたかったの」

「知らんわ!」

「ねーねー、こーはいくん」

「なんですか」

「こーはいくんのクラスに声優志望の子いたよね?えーと確か・・・」

「ああ、青山のことですか?」

青山 七海(あおやま ななみ)。うちのクラスに在籍する女子でバイト帰りに養成所から出てきたところを見たことで彼女が声優を目指してることを知った。

周りには秘密にしてるらしい。そんな恥ずかしい夢だろうか?

ちなみにそこには美咲先輩もいて(一緒に夕飯の買い出しに行ってた)アニメを作ってる美咲先輩と同調したというかなんというか。

人は見かけによらず。俺は一切知らなかったのだが青山曰く美咲先輩のアニメは凄いらしい。なんか受賞もしてるとか。俺達がいる美術部そんなすげー部活なのか・・・。

「まさか新作ができたから青山にアフレコを頼みたいと?」

「そーういうこと」

なんでそんな自慢気なんですかね。

「分かりました。明日青山に聞いてみます」

「頼むぜこーはいくん!」

「はいはい」

鈴が怪訝な目をして俺を見ていた。

「そんな多忙で大丈夫なの?」

んなの俺が知りたいわ。

 

風呂で今日かいた汗を洗い流して部屋に戻るとドアがノックされた。

ドアを開けると椎名が。

「どうした」

「来てほしい」

「お前の部屋に?」

「そう」

・・・一体何をさせるつもりなのだろうか。時刻は23時過ぎてるし明日学校なのに。

椎名の部屋に入ると一応清潔感は保たれていた。・・・掃除してんの俺だけどな。

「んで?なにすればいいの?」

「脱いで」

・・・は?

俺の聞き間違いか?今脱いでって言ったのか?

いや気のせいだろう。

「・・・すまん。よく聞き取れなかってんだな。もう一度頼む」

「脱いで」

「・・・」

「・・・」

「・・・理由を聞いていいか」

「作画資料」

「・・・それだけ?」

「それだけ」

・・・男の裸の作画資料とか一体どこで使うというのか。

机を見ると絵が何枚か。いや、ただの絵じゃなくコマ割りされている。つまり・・・

「なにお前。マンガ書いてんの?」

首肯。

「綾乃にアドバイスされて」

「誰だ」

「担当」

「既に担当持ちなのか・・・。まだデビューしてないんだよな?」

首を縦に動かす。

デビュー前から担当持ちとか相当期待されてるんだな。

いやそれ以前の問題か。

「お前絵描けたんだな」

「これ」

と、スケッチブックを渡される。これは・・・

「こんごうとはるな、それにかがさん・・・」

なんつう絵だよ。まるで本物みたいで、生きてるようで。

俺はその絵に惹かれてしまった。

そして俺は一つ、どす黒い感情が出てきたことを認識する。

俺はできる限りその感情から目を逸らしながら目の前のスケッチブックに集中する。

この調子ならマンガ家ですぐにデビューできそうな気がする訳だが・・・。

「椎名。今描いてるマンガ見せてもらっていいか?」

無言で渡される。

ペラペラと流し読みするのだが・・・。

・・・・・・。

「つまらない?」

「・・・言っていいのこれ?」

「いい」

「単調だなぁ、と」

「綾乃にも言われたわ」

いや、絵はすごくいいんだ。動きというか人間味があるというか。

問題はストーリーと登場人物達。

会話も登場人物の動きも機械的。

なんのマンガなのかもわからん。

「というわけよ。脱いで」

「何一つというわけになってねぇ!」

「なら私も脱ぐわ」

「あーちょっと待てわかった!わかったから!脱ぐ!脱ぎます!でもパンツは脱がねぇ!それが条件だ!」

「パンツは私が脱ぐわ」

「頭おかしいだろ!?」

 

どうしてこうなった。

結局俺は椎名の熱意(そして自分も脱げばおあいこみたいのを防ぐため)に負けパンツ一丁となり椎名のベッドの上で正座している。

そして当の本人はというと。今は何故か耳を胸に当てていた。

「純の心臓動いてる・・・」

「生きてるからな・・・」

少し上ずってしまった。いや、上ずらない方がおかしいような・・・。

「早くなった」

「誰のせいだ誰の・・・」

俺好きな人いるんだよな・・・?これ見られたらヤバくない?

それに胸ドキドキし過ぎだ。俺が好きなのはみやび俺が好きなのはみやび・・・。

「抱いて」

「・・・はい?」

「抱いて?」

「どうしてそうなった!?」

そして何故疑問形に!?

「抱いて」

・・・・・・。

断れず椎名をものすごくゆるーく抱きしめる。

パンツ一丁の男に馬乗りになる女子。さらに抱きしめられてる。

・・・完全にアウトだな。

「もっと強く」

「は、はい・・・」

少しだけ強くする。それだけでもう男とは違う柔らかさを認識してしまう。いい匂いもするし・・・。

椎名が二の腕とかぺたぺた触れてくる。感触とかマンガに必要なんですかね・・・。

「すごく、硬いわ」

「そりゃあ、まぁ、鍛えてますから」

最近ちょっとまた走り始めたし。みやびも朝一でランニングを始めてたな。

「部活はしてたの?」

「いや。3年帰宅部。そういう椎名は?」

「リタのところでずっと絵を描いてた」

でしょうね。でなければもう少しまともな生活を送れるはずだ。

「ねぇ、セックスはしたことある?」

「・・・・・・」

「セック」

「やめないか!急に何言ってんだお前!ビックリして声も出なかったわ!」

「したこと」

「ない!産まれて此方15年童貞です!」

俺は女子に向かって何を言ってるんだろう・・・。

と、椎名は立ち上がって机に向かった。メモとか見たものを資料化してるんだろう。俺の童貞情報は書かないで欲しい。

俺の仕事は終わったな。

畳んだ服に手を伸ばすと

「まだ服を着ないで」

「え?まだやるんすか椎名さん?」

「今夜は寝かさないわ」

「そういうセリフはもうちょい色っぽく言え!」

「今夜は寝かさないわ」

「変わってねーよ!」

 

世界が白く感じる。

結局椎名が寝たのは5時半頃。倒れるように眠った。

たぶん絵を描き続け、限界が来たら寝る。

多分今までもそんな生活をしていたのだろう。そりゃあ初日に机の下で寝てる訳だよ。

絵以外に関心がない。それが椎名ましろ。

今日、始めて、俺はそれを認識したのだった。

 

椎名をベッドに寝かせ部屋から出ると廊下にはキャベツが並んでいた。

そうか、キャベツか・・・。

・・・キャベツ?

「・・・なんだこれ」

そう、廊下にキャベツが並んでる。寝不足だから幻でも見ているのだろうか。それとも宇宙人なりの挨拶か?

キャベツの並びを見ていると一つの場所にたどり着く。美咲先輩の部屋だ。

「この奇行、絶対そうだ」

俺は確信してドアノブを握ると

「待て、純」

「仁さん・・・。何故止めるんです?」

「それは・・・嫌な予感がするからだ」

「残念ながら既にそれは感じてます」

「なら開けるな」

「いや事実を確認しないとダメでしょこれ」

「確認したら俺が大変なことになる」

「なんで仁さんが」

「だってこのキャベツ・・・俺宛の誕生日プレゼントだろうから」

「へー、仁さん今日が誕生日なんですか。おめでとうございます」

「ありがとう。だからな。開けない方がいいと俺は思う」

「オープーン」

「純お前!?」

仁さんを裏切り美咲先輩の部屋のドアを開ける。部屋の中心には大きな箱が佇んでいた。

その箱を開けるとリボンを巻いただけの姿で美咲先輩が寝ていた。

・・・何やってんだこの人。

「開けちゃったのかお前・・・」

「これあれですか。誕生日プレゼントは私、みたいな」

「それ以外になにかあるか?」

「だいぶ古い感性してんなー」

「昭和の感性だな」

「はいどうぞ仁さん。貰ってあげてください」

「いや遠慮するよ。このキャベツも何とかしないといけないしな」

「そのキャベツ込ですよ。随分と安い買い物でいいじゃないですか」

「そういう問題じゃなくてだな・・・」

「ふみゃ?」

開いている箱から声がした。毎日起こしている俺にはわかる。美咲先輩が起きた。

「仁!誕生日おめでとー!はいプレゼントのわ・た・し!」

やっべぇキッツ!これだったら前に美咲先輩にやられた「お風呂にする?ご飯にする?それとも、ま・わ・し?あ、こっちの方かいいか!た・わ・し?」の方がまだマシだ!

「よ、よかったじゃないですか仁さん。過去最高のプレゼントっすよ!それじゃあ俺学校あるんで失礼します!」

「あっおい!俺らも学校だぞ!?」

「今日は誕生日パーティーだから休んじゃえー!」

そんな声を背中で聴きながら自室に逃げさっさと制服に着替える。

多分今日はほぼ全ての授業で寝てしまうだろうが行かないよりはマシだ。

着替えを終え未だに廊下で騒ぐ2人を置き去りにし椎名の部屋に再び入る。

「すまん椎名、寝てまだ1時間半ぐらいしか経ってないけど学校だ。頼む起きてくれ!」

「学校は消えたわ・・・」

「消えてねぇよ!どうしてお前はそう嫌なものを消したがるんだ!」

「純は消したいものとかないの?」

「ねぇよんなもん!くだらねぇ事言ってねぇで起きろ!」

「眩しい・・・」

「こっちの方が眩しいわ!」

お前と違って一睡もしてねぇんだこっちは!

『えっ、何これ!?』

廊下が騒がしい。

「鈴、それ仁さんの誕生日プレゼントだから放っておいていいぞー」

「これ全部誕生日プレゼント!?なんで!?」

残念ながら宇宙人の感性と人間の感性は違うのだ。美咲先輩が何を思ってそれをプレゼントしようと思ったのかは永遠の謎でいい。

椎名の部屋に戻ると椎名は制服に着替え終えていた。が・・・

「・・・お前それ下着着てんだろうな」

「純が用意してないから着けてないわ」

「頼むから俺が用意しなくても着てくれぇ!」

仕方なくクローゼットからピンクの対の下着を椎名に突き出す。

「早く着てくれ!」

「これが純の趣味」

「違う!俺は下着で興奮するような性癖は持ち合わせてない!」

「不感症なのね」

「それも違う!」

そういやお弁当は!?

「みやび!今日の当番誰だ!?」

「今日は・・・美咲先輩」

「ちくしょう!」

今美咲先輩は仁さんの誕生日パーティー(自称)中だ!つまりあの人弁当作ってないしもう作らない!それに学校も行かない!

「着けたわ」

「着けたか。そうか、じゃあ寝癖直してこい。床は濡らすなよ」

「?」

「なんでお前は『何を言ってるの?』って顔ができるんだよ!」

「純ー!ドライヤーの場所どこー?」

「昔と変わってねぇから!」

「そこになかったんだけどー!」

「嘘だろぉオイ!」

「私が探すから純君はましろちゃんをー!」

「わーってる!つか椎名!靴下は!?」

「用意してな」

「わかった!用意しなかった俺が悪かった!」

再びクローゼットを開けて靴下を発掘し、椎名に投げつける。

「履かせて」

「・・・・・・」

もはや何も言うまい。こいつの言葉に従ってた方が早い。

「純ー。アタシとみやび先に行ってるからー」

「間違ってみやびについて行くなよー!」

「しないわよバーカ!」

さてと。俺らは遅刻確定か。さっき確認したら千尋先生いねぇし。あのアマゾネスマジで覚えとけよ。

「椎名。コンビニに寄るけどなんか食うか?」

「バームクーヘン」

「わかった。だが条件として金を払ってから食え。いいな?」

「?」

「お店の人に1回渡してから食えって言ってんだよ!いい加減日本のレジについて学んでくれ!」

廊下に出ると美咲先輩の部屋から『いや、もうキャベツは・・・やめ、やめてくれぇ・・・』。

・・・ご愁傷様です。

椎名の寝癖を直してやり玄関で靴を履かせる。

「だぁ!そっちじゃねぇって言ってるだろ!まさかわざとやってるんじゃないだろうな!」

「?」

「ですよね素ですよねこっちだ早く行くぞ!」

椎名の手を引いてまずはコンビニに向かう。

今日も多忙で難儀な日が始まった。

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