主人公以外のとこはおよそダイジェストです。許してください。
取り敢えず楽しんで頂ければ幸いです。
一護達は志波空鶴の家にやって来た。
夜一の話を聞き、協力を承諾した空鶴。だが念のため見張りをつけると言う。
早速対面させようと襖を開ける空鶴。開いた先に居たのは……
「「ああああああああああ!?」」
先日流魂街で一護と殴りあった、ガンジュであった。彼は志波空鶴の弟、志波岩鷲だったのである。
「なんだお前ら、知り合いか?」
答えることもせず殴り合いを始める一護と岩鷲。
空鶴から拳骨を落とされるのは必然だった。
その後、霊珠核に霊力を込める訓練でまた一悶着あったりしたが、何とか全員、クリアすることができた。
「さて、これからお前らを瀞霊廷にぶち込む訳だが……岩鷺、わかってんだろうな?」
「おう! 継の口上だろ? 任しとけ!」
「ちげーよ」
「えっ!?」
「瀞霊廷に入ってからの話だ」
「おう! しっかり暴れて来るぜ!」
無言で岩鷺に歩み寄る空鶴。拳骨が岩鷺の脳天をとらえる。
「なっ! 何すんだよねーちゃん!?」
「……くれぐれも、バレねぇようにしろってこった」
「……あ、そっか、兄ちゃん……」
「兄ちゃん?」
一護が疑問の声を上げる。
「オレらの兄貴は、護廷十三隊の副隊長だ」
「!?」
「もう一回言うが、くれぐれも、バレるなよ。兄貴のことだ、別に怒りゃしねぇだろうが、兄貴以外にバレるのが問題だ」
「わ、わかってる。大丈夫だ……そんなヘマしねぇよ」
「ならいい……お前らも気を付けろよ。兄貴はかなり強いからな。……何ボケッとしてんだ! とっとと準備しろ!」
「は、はい!」
全員が砲弾の中に入るのを確認し、空鶴は発射のための詠唱を始める。
「彼方 赤銅色の強欲が36度の支配を欲している 72対の幻 13対の角笛 猿の右手が星を掴む 25輪の太陽に抱かれて砂の揺籃は血を流す 花鶴射法二番 鉤咲!!」
轟音と共に砲弾が射出される。
「気をつけて行ってこいよ……岩鷲」
空に消えていく砲弾を見つめ、空鶴は一人呟いた。
砲弾内部では霊圧の調整や継の口上の失敗で大騒ぎになっているが、彼女には知る由もない。
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隊首会の最中、唐突に鳴らされた警鐘。警戒に当たっていた一般隊士達にも動揺が広がっていた。
血眼になって旅禍を探すが一向に見つからない。
それは隊長が合流したとしても同じことだった。
「皆ご苦労、何か掴めたかい?」
「藍染隊長!? いえ、それが……この辺りでは全く……」
「そうか……引き続き捜索を続けてくれ」
「はっ!」
隊士を下がらせた後、藍染は自らの後ろを歩いていた正勝に声をかけた。
「本田君」
「はい」
「君はこの事態、どう見る?」
「……どう、とは?」
「この一連の……朽木ルキアの処刑に際しての非常事態に対して君は何を思う?」
「なんと言うか……引っ掻き回されてる感じはありますね」
「ほう……なら君は、この事態に」
「隊長!! あれを!!」
「……!?」
隊士が指差した方を見ると、謎の飛行物体が瀞霊廷に向けて飛んできている所だった。
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「隊長!! あれを!!」
「……!?」
隊士の……誰だっけ、まぁ何とかさん、グッジョブ。いや、これはどっちかっていうと黒崎君達の方がグッジョブなのかな?
何にせよ助かった。何かいきなりヨン様話し掛けてくるし。しかもなんかキナ臭い系の。黒幕お前じゃんって思いながら話すのは辛かった。
「何だ……あれは……?」
「鳥だ!」
「素早いモモンガだ!」
「いや、デッキブラシに乗った魔女です!」
「……本田君、皆を下がらせるんだ」
眉をひそめながらヨン様が言う。
あんたがやっても罰は当たるまい。そりゃ……関わりたくないって気持ちはわかるけど。こいつらの目は節穴かってね。どうみても球体だろうに。……百歩譲って、鳥に見え……いや、駄目だ。無いわ。
「ほら、君達、下がりな。危ないからね」
五番隊にも変わったやつっているんだなぁ。……俺は常識人枠だよな? 大丈夫だよな?
「滅多にない事態だし困惑するのはわかるんだけど、警戒中なんだから、アホなことは言わないように。後で藍染隊長から注意があると思うけど……」
「違います副隊長!」
「何が」
「俺達、眼鏡を忘れてきたんです!」
なん……だと……?
「遮魂膜にぶつかったぞ!」
おっと、注意してる間に進んでたか。
「あれにぶつかって壊れないとは……それほどの霊子強度を持った物体だと言うのか……?」
そうこうしているうちに、球体は弾け、四つに飛び散った。
「藍染隊長、どうしましょうか?」
「……少し気になることがあるんだ。一度隊舎に戻る。この場は君に任せても構わないかな?」
「……わかりました。お気をつけて」
ヨン様退場。やったぜ。……やったの?
とりあえず、指示を出すべきか。
「さて、飛び散ったな……一番近いとこに行ってみるか……よし、俺に続け!」
「「「「はいっ!」」」」
……そう言えば、チャドと話したことないよなぁ。話題なんて無いけどさ。
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「四つ……五つ……六つ……」
霊珠核の破裂によって離ればなれになった一行。
その内の石田・井上ペアは死神から不意討ちを受けた。が、石田の素早い反応によって回避に成功。
現在その死神は、数を数えている。
「……あ、ありがとう石田君。もう大丈夫だよ」
「……ああ、そうだね」
井上は、尸魂界に行く前に夜一が言っていたことを思い出していた。
石田は滅却師で、石田にとって死神は敵である。明らかに敵意を持った死神を前に、その言葉は現実となる。
先ほどまでとは、明らかに空気が違う。
「十! さぁ、存分に後悔出来ましたか? ここからは、更なる後悔の時間です!!」
そう言って死神は刀を構える。
「……来るよ!」
「……うん!」
最初に動いたのは井上だった。
「椿鬼!」
六花の一人、攻撃を担当する椿鬼を呼び出す。
「『孤天斬盾』 『私は拒絶する』!!」
が、その攻撃は容易く打ち落とされ、椿鬼は負傷してしまう。
つまらなそうな表情で死神は告げる。
「初めて見る術ではありましたが、貴女の攻撃には殺意がまるで無し。……殺意の籠らぬ攻撃で止められるものなど……何一つ無し!!」
死神は井上の背後に一瞬で移動し、攻撃を加えようと、その刀を振り下ろした。
しかしその攻撃が井上に届くことはなかった。
「殺意の籠った攻撃がお望みなら、僕と戦うといい。僕の弓になら、十分に籠っているよ」
石田の矢が死神の手を撃ち抜いたためである。
「ほう、貴方、もしや滅却師ですか……ふふ、まさか、私の敵として現れた二人が、どちらも飛び道具使いとは……なんたる奇遇、なんたる運命の悪戯か!!」
少しはダメージを受けた筈だが、特に気にした様子も無く、顔全体に喜びの色を浮かべ、死神は続ける。
「ならばご覧に入れましょう……私の斬魄刀の真の姿!! 羽搏きなさい!! 『劈烏』!!」
始解の解号と共に、刀が無数の小さな刃に形を変え、死神の周りを飛び回りだす。
「さぁ、後悔なさい! 私は七番隊第四席、一貫坂慈楼坊。またの名を鎌鼬慈楼坊! 鎌鼬は最強の飛び道具使いの証! 劈烏の動き、目で追うことすら出来ないでしょう! 同じ飛び道具使いとして私に出会ったことを……え?」
一瞬にして、死神の周りを飛び回っていた刃が、一つ残らず撃ち落とされた。
「……面白いもんだね。ここじゃあ、最強って言うのはだらだらと話の長い奴のことを言うらしい」
不敵な表情で石田が言う。この程度で最強か。そんな侮蔑の念が込められていた。
「何を……劈烏は、何度でも」
刃を復活させるべく、改めて鞘から刀を抜く慈楼坊だが、石田の弓矢により、再び左手を撃ち抜かれた。
「ぐっ、うぎゃぁぁああ!!」
「……悪いけど、君の最強の称号は今日で返上だ。僕の方が、上らしい。……鎌鼬雨竜なんて、良い名前とは思えないけどね」
「……お、おのれ……!」
「少しは後悔できてるかい? 同じ飛び道具使いとして、僕に出会ってしまった不幸ってやつをさ」
「……後悔するのは、貴方……っ!!」
慈楼坊はまた井上の背後に一瞬で移動し、彼女に手を伸ばす。しかし手が届く前に石田が井上と慈楼坊との間に現れた。既に矢はつがえられている。
慈楼坊の表情が驚愕に染まる。
「……そう言えば、君はいつも井上さんのほうから先に狙っていたね。……お見事だよ。君には後悔させる時間さえ惜しいな。……さよならだ」
矢が慈楼坊に向け、放たれる。
直後、慈楼坊の姿が消えた。
「……何?」
「種も仕掛けもありませんってか?」
「……君は……!」
声のした方を見ると、慈楼坊を抱えた、見覚えのある死神が立っていた。
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さて、続けなんてかっこよく言って飛び出したものの、皆が付いてこれてない。俺ったら足早いね。……待つべき?
でもなぁ、早く行かないと……早く行かない方が良いのか? 下手に介入しない方が……うーん、よし、歩こう。
……霊圧の衝突が近い。これは、死神じゃないな。ということは、チャドか、飛び道具ペアのどっちか……数的に飛び道具ペアだな。
あ、そうだ。この戦いで鎌鼬慈楼坊がただの一貫坂慈楼坊にされるんだった……いくらせこい戦いしてたからって、流石にそれはねぇ……だって復職できなくなるわけでしょう? ここで介入するのはどうなんだろう……でもなぁ、俺、副隊長なんだよな……見捨てるのはなぁ……うん、介入するか。
戦ってるのが見えた……まずい、もう構えてる。間に合うか……?
瞬歩で……
おお、間一髪。……慈楼坊重いな……。
「種も仕掛けもありませんってか?」
ただの瞬歩だぜ。
矢が当たると思った瞬間に相手が消えて驚いていた鎌鼬雨竜だったが、俺に気付いてまた驚いたらしい。
「……君は……!」
「……そう、俺だ」
睨むなよ。こっち見んな。
「石田君、あの人って……」
「ああ、あの隊長とかいうのと一緒に門にいた奴だ」
「一貫坂四席、動けるかい?」
「は、はい!」
「なら、早く四番隊のとこに行きなさいな」
「ですが……」
「大丈夫大丈夫。任せなさいって」
「……ありがとうございます……!」
笑顔で応じる俺。うん、いい上司だ。そうだよね? ヨン様のやり方真似てるんだから間違ってないよね?
四番隊舎に向け、元鎌鼬は走り出した。
「行かせると思うのかい?」
「……状況が理解出来てないのか?」
「……何?」
眉をひそめる新鎌鼬。どうやらわかっていないらしい。
「さっきの彼の席次は知ってるか?」
「……七番隊第四席、だったかな?」
「うん……護廷十三隊の席次でいくと、彼は七番隊の中で四番目に強いわけだ。よく倒せたじゃないか……おめでとう、と言っておこう。でも、四番目とは言っても、その上、三席とはまた差があるし、三席とそれ以上との間には越えられない壁というものがあるんだよ」
「……それで?」
「簡単なクイズだよ。兕丹坊は、門を開けたとき、俺のことを、何と呼んでいたでしょうか?」
「……」
あ、覚えてないんすか。……ちょっとつらい。いや、まぁいいや。名乗る機会が出来たんだ。今覚えてもらえば良いんだ。
「……改めて名乗ろうか」
腕組みをして、真正面から見据える。うん、決まってる……筈。
「俺は、本田正勝……五番隊、副隊長だ」
ニヤっとしながら言い放つ。余裕を忘れたら負ける。
そして、ここで霊圧を放つのを忘れちゃいけない。強キャラはオーラを纏ってなければならない。名乗った直後にパワーが伝わるのはよくある話だ。
しっかり効果はあったらしい。鎌鼬雨竜の表情が先刻までとはかなり違う。
「大丈夫、安心してくれ」
鎌鼬雨竜も織姫ちゃんもしっかり身構えている。うん、怖がることはないんだよ。僕、悪い死神じゃないよ。
「痛くはしないよ……縛道の六十二 百歩欄干」
だから君らも痛くしないで。そんな思いを込めて、百歩欄干である。大丈夫、縛道だから。ちょっと動けなくなるだけだから。
無数の光の棒が二人に向かって飛んでいく。気分はAUOになって王の財宝でも使ってる感じ。
この局面で二人を捕まえてもあまり意味はない。それどころか鎌鼬雨竜が因縁の相手を知らないままになる。さすがにそれは避けたい。あれは名シーンだ。潰すとかあり得ない。
てっきり劈烏と同じように撃ち落とすかと思ったが、回避することにしたらしい。
視界の端に織姫ちゃんを抱えて移動した鎌鼬雨竜が見える。
「……知ってるぞ。飛連脚って言うんだろ? それ」
「それがどうした」
「死神のは……っ!」
危ない。いきなり矢を放ってきやがった。なんて野郎だ。どうやら鬼畜眼鏡だったらしい。
「知ってるよ。瞬歩って言うんだろう?」
涼しい顔しやがって。……あれ? もしかして俺、今ポイント低い?
落ち着け、狼狽えちゃいけない。ピンチでも笑ってる方がポイント高い。
「……正解だ。百点をあげようじゃないか」
「光栄だね」
「ぜひ賞品をあげたいんだが……生憎持ち合わせがなくてね……何が欲しい?」
「……け「よし、絶望を贈ろうか」……!!」
瞬歩で眼前に迫り、顔面を狙って拳を放つ。
「……良い反応だ」
パンチは外れた。だが……
「でも残念」
眼鏡は頂いた。
眼鏡キャラの眼鏡を手に入れた時、その眼鏡をどう取り扱うべきだろうか? 自分でかける? 相手に返す? 又は第三者に渡す? どれもナンセンスだ。
敵の眼鏡は割らないと。
「本命はこっちさ」
眼鏡は俺の手の中で音を立てて砕けた。
鎌鼬雨竜の唖然とした表情。まさに、なん……だと……? って感じだな。今どんな気持ち?
「なぁ、目の前で自分の眼鏡が割られるって、どんな気分なんだ?」
ニヤニヤしながら問いかける。勿論演技である。そんな、人に嫌がらせして楽しむなんて悪趣味なことするわけないじゃないですか。どこぞの市丸隊長じゃあるまいし。
「さ、諦めて捕まって……」
カンカンカン、と鐘が鳴らされる。……ん?
『副隊長各位へ通達、これより会議を行います。至急……』
「……」
「……」
「……今回は、見逃してやる。……次は無いよ」
引き際をくれてありがとうと言いたい。本当ありがとう。
なんかね、さっきみたいに追い詰めたかのような台詞言っちゃうともう引っ込みがつかないからね。助かった。
瞬歩でその場を立ち去る。
無いとは思うけど歩いて行ってたら背中が不安だからね。仕方ないね。
「あ、本田君! 置いてくなんて酷いよ!!」
「さっきの聞いてたろ? 俺今から会議だから。この先に旅禍がいる。逃げてるかもしれないがそう遠くには行けない筈だ。あとは任せる」
「えっ!? ちょっ……あれ? その手……」
「しっかりな、雛森三席」
肩を叩き、サッと立ち去る。後ろから雛森の声が聞こえる気がするがきっと気のせいだろう。手が痛いのも気のせいだ。
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「だ、大丈夫? 石田君……」
「ああ、問題ないよ」
「でも……眼鏡が……」
眼鏡を壊されたことを心配する井上だが、石田は特に焦った様子は無い。やがて石田は何処からともなく傷一つない眼鏡を取り出した。
「こんなこともあろうかと……ね」
「……マントだけじゃなかったんだね」
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「おう本田! 聞いたぜ! 旅禍と戦ったんだろ?」
「すみません海燕さん、後にしてください。……あ、虎徹副隊長!」
「……? どうかしたんですか?」
「手を怪我したんでちょっと見てもらいたいんですけど……」
「ここでは大したことはできませんよ? もうすぐ会議始まりますし……」
「いえ、取り敢えずで良いんです。破片を取り除いて貰えれば……」
「破片って……何ですかこれ!?」
「……眼鏡を、握り潰しました」
「はぁ!?」
読んで頂きありがとうございました。楽しんで頂けたなら何よりです。
自殺ドッキリは次回辺りですかねぇ? あんまり感想欄で予想しないでくださいね。当たってたとき何て返して良いか分かんなくなるので。いや勿論楽しんでもらってるのが分かるので嬉しい気持ちもあるんですけども。
今回のネタ
素早いモモンガ:遊戯王OCGより。なお作者はデュエマ派です。
デッキブラシに乗った魔女:魔女は14歳になったら一人立ちするそうです。クライマックスのとこで飛んでいくシーンのやつです。はい、魔女の宅急便です。
絶望を贈ろうか:FFⅦACより。セフィロスが言ってた台詞です。藍染もこの台詞似合いそうですね。