鎧なんて飾りです。   作:C-WEED

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お待たせしました。待ってたかは知らんけど。まだ一月経ってないからセーフ、かな?
ゲームのイベントって真面目に回そうとすると時間がかかりますよね。ああやだやだ。

何にせよ、楽しんで頂ければ幸いです。


第十七話

「━━十一番隊については、ほぼ壊滅状態、とのことです……。」

 

 今のところは派手な問題は起こっていない。もし今後何かある可能性があるとすれば、慈楼坊が再起不能になってないことと……石田の眼鏡が無くなったことか。慈楼坊はともかく石田の眼鏡は不味かったかもしれんなぁ……大丈夫かな……さすがに裸眼で涅隊長には勝てんだろう……それとも滅却師最終形態ならどうとでもできるのかな? 霊子の隷属とか言ってたような気がするし、真っ先に眼鏡を再構成したりしてね。

 

 

「あの十一番隊が……」

 

「旅禍ってのはそんなに……」

 

 あの何故か四席を見たことがない十一番隊が、あの五席より下はチンピラと変わらなそうな十一番隊が壊滅。

 喧嘩っ早いからこうなるんだよな、うん。

 

 この頃はまだチャドが光ってた。2分で終わらせてたもんね。でもいつからか2分掛からずやられるようになっちゃって……。

 

「そうじゃ本田、うちの四席助けてくれたらしいのぉ。うちのもんが世話ぁかけたな。恩に着る!」

 

「そんな、頭上げてくださいよ射場さん。間に合ったのは偶然みたいなもんですから」

 

 間に合わなかったら別に助けてなかったことをこんなに感謝されても困ると言うものだ。それにもしかしたら死神を辞める方が慈楼坊にとって幸せだったかもしれない。まぁ知らんけど。

 

「ほいでも助けてもろたのは事実じゃ。必ずこの恩は返すけぇのぉ」

 

「……ハハハ、楽しみにしてます」

 

 

 

 その後幾つかの報告がされ、会議が終わった。俺は海燕さんと話していた。小声で。

 

「浮竹隊長の御加減は如何ですか?」

 

「まだ臥せってらっしゃるよ。できればこんな時こそ元気でいてもらいたいもんだが」

 

「……そっちでは何か動いてますか?」

 

「……浮竹隊長が何か考えてるらしいが、臥せってらっしゃるし、動きようが無いって所だな。機を見るんだと」

 

「成る程。そっちはそっちでお願いしますね」

 

「おう」

 

 俺はこれから忙しくなるだろうし。主に自殺ドッキリのせいで。

 

 

 話が一段落したところで吉良が声を掛けてきた。なんとなく焦っているようにも見える。

 

「どうしたんだ?」

 

「阿散井君の姿が見えないんだ……どうも嫌な予感がしてね。本田君は心当たりはないかな?」

 

「いや……」

 

 ……あ。いや、でも……そっか、このタイミングか……。

 恐らく、恋次は黒崎君と戦いに行ったんだろう。もう戦ってるのかもしれない。

 手伝いには……行かない方が良いんだろうな。大事な場面だし。

 

「……もしかしたら旅禍と交戦しているかもしれないな」

 

「そんな……」

 

「俺も似たようなことはしてたわけだが」

 

「まぁそうだけど……心配だな……思い詰めた様子だったし……」

 

「恋次は強い。……そう簡単には負けないさ」

 

 ……サングラス、壊れるんだろうな。恋次は大怪我するし。済まない、友の力を信じてやれなくて本当に済まない。でもたぶん恋次は勝てない。勝ったら話が拗れてしまう。今更とか言うな。

 

「……でも、油断はよくないな。探しに行くか」

 

「ああ、そうしよう」

 

 せめて原作よりは軽傷であってくれと思うけど、きっと動けなくなるまで恋次は戦うんだろうな。

 

 

 霊圧のぶつかり合いを感じる。片方が恋次の霊圧、ということはもう片方は黒崎君だろう。そちらに向かって急ぐが、やがてぶつかり合いは収まった。

 霊圧のぶつかり合いを感じた場所につくと、やはりと言うべきか、傷だらけの恋次が倒れていた。懺罪宮に近い広場だ。順調に黒崎君達は進んできているらしい。

 

「そんな……阿散井君が……」

 

「……一先ず恋次を安全なところへ運ぼう」

 

 

 恋次は今出せる全力を出しきって負けた。だからこそ、ルキアを助けてくれと黒崎君に頼んだんだろう。……あれ? 何で俺には言ってくれないんだ? 戦ってないからか? それともそもそもルキアを助けようとしてるってわかってたからか? ……わからん。

 派手に斬られているが四番隊で治療を受ければ直ぐに意識を取り戻すだろう。その時に聞いてみるか。

 

「旅禍はこれ程の力を……」

 

「……四番隊に「その必要はない」……!」

 

 四番隊に連絡しようと言おうとした所を遮る声。振り返ってみると、案の定朽木隊長だった。

 

「牢にでも入れておけ」

 

「ですが……!」

 

「無断で出撃した以上、敗北は許されぬ。それが解らぬ貴様ではあるまい」

 

「……」

 

 大丈夫だ。うん、俺は大丈夫。ヨン様に任された結果だ。無断じゃない。負けた訳でもない。不可抗力だ。見逃してやっただけだ。……駄目か。

 

「本田君、落ち着くんだ」

 

「わかってるよ吉良……わかりました朽木隊長。恋次は牢に入れておきます」

 

「……」

 

 朽木隊長は無言で立ち去った。

 

 

「吉良、俺は四番隊に連絡してくる」

 

「朽木隊長は厳しいなぁ」

 

 俺の耳に飛び込んでくる明らかに吉良じゃない声。

 

「市丸隊長!?」

 

 吉良が驚いた声をあげる。

 相変わらず薄笑いを浮かべた市丸隊長が立っていた。不気味である。何しに来たんだあんた。

 

「安心しぃ。四番隊にはボクが連絡しといたで」

 

「……ありがとうございます」

 

「ええよ、ボクと本田君の仲やん」

 

「は?」

 

 ホモか貴様。いや違う。上司だからな。貴方様はホモでいらっしゃいますか? だ。いや聞かないけど。

 

「本田君も気ぃつけなあかんよ。物騒やからな」

 

「はぁ、ありがとうございます」

 

「……ほな行くで、イヅル。本田君、またな。故に侘助」

 

「隊長!?」

 

 困惑した様子の吉良と楽しげな市丸隊長を見送る。二人は仲良し♂。何言ってんだ俺は……疲れてるのかな?

 

 この後は……恋次を預けてから雛森と合流かな。……四番隊の人を待っとく方がいいのか? それとも恋次を運ぶべきなのか? 連絡しといたってどんな風に連絡したんだよ……。

 

「やっぱりあの人苦「おーおー、阿散井は派手にやられたなぁ」……!?」

 

「あぁ、日番谷冬シロちゃん隊長じゃないですか」

 

 小さいから気付かなかったなんて言ったらキレられるな。言いませんとも。

 

「日番谷隊長だ。要らねぇものを足すな」

 

「ハハ、失礼しました。いつからそこに?」

 

「ついさっきな」

 

「……つかぬことをお伺いしますけど、何しにここに?」

 

「……特に用はねぇよ」

 

 何なのこの子。俺はどう反応したら「だが」うん?

 

「三番隊には気を付けろ。ま、わかってるとは思うが」

 

「俺に言ってないで雛森に言ってあげればいいじゃないすか」

 

 本当にもう、何で俺に言ってんだか。そんなんだから日番谷君なんて言われるんだよ……っ!!

 脛を蹴られた。

 

「……何するんですか」

 

「お前に何かあったら雛森も危ねぇだろうが。あいつだけに言っても意味ねぇんだよ」

 

「そんなに心配なら十番隊に引き抜けばいいじゃないですか」

 

「うるせぇ。別にそんなんじゃねぇよ」

 

 思春期かよ。この小僧め。案外言ってみれば応じるかもしれないのに。

 

「ツンデレ乙」

 

「何言ってんだお前。……阿散井は俺が見てるから、お前は早く雛森の所に行ってやれ」

 

 

 

 さて、お言葉に甘えて出てきたは良いが……雛森達は何処だ。鎌鼬雨竜と戦った辺りかな?

 特に派手な霊圧は感じないし、戦ったりしてるってことはないだろうが……。あ、居た。

 

「雛森、状況は?」

 

「あ、本田君……」

 

 あまり表情が優れない。何かあったのか?

 

「何か問題でも……」

 

「ううん、そうじゃなくて。その、折角任せてもらったのに、旅禍を見つけられなくて……」

 

「気にしなくていい。きっと藍染隊長だって皆無事かどうかを心配する筈だ。無理はしてないだろうな?」

 

「うん、二人一組で周辺の捜索をして、定期的に報告をしてもらってるよ」

 

「そうか、なら大丈夫かな」

 

「……あ、でも」

 

「うん?」

 

 不安になるんだが。止めてくれよ? 俺じゃどうしようもないようなことを言ってくれるなよ?

 

「一組連絡が途絶えてて……探しに行って貰ったんだけど、その子達からも連絡が無くて……もしかしたら」

 

「……連絡が途絶えたのは誰と誰だ?」

 

「花田君と山下さんだよ」

 

 ……おう、覚えてる覚えてる。地味な子達だな。いや、護廷十三隊は上位席官とか隊長副隊長が個性的過ぎるから相対的にパッとしないだけだ。

 

「探しに行ったのは?」

 

「……えっと、名前を覚えてなくて」

 

「特徴は?」

 

「神経質そうな眼鏡の男の子と、オレンジの長い髪の女の子」

 

 へぇ……鎌鼬雨竜は眼鏡無い筈だしな……オレンジ?

 

「五番隊にそんな派手な髪の奴いたっけ」

 

「えっ……居なかったっけ……? 流石に隊の全員は覚えてないからはっきり言えないけど……」

 

 ……俺の記憶が正しければそんな奴五番隊には居ない。真面目っぽい奴ばかりだからね。仕方ないね。

 となると、である。オレンジの方は恐らく織姫ちゃんだろう。だが眼鏡の男、こいつは誰だ。神経質そう、という印象から鎌鼬雨竜かとも思われるが、あいつの眼鏡は俺が壊した。何故眼鏡が……っ! まさか、予備か!!

 

「雛森、その二人は旅禍の可能性が高い。俺が交戦した旅禍の特徴と一致している。連絡が途絶えた二人は恐らく不意を撃たれて死覇装を奪われたんだろう」

 

「そんな……」

 

「全員に呼び掛けて早く見つけるぞ」

 

 

 

 程無くして二人は発見された。怪我は無いようなので、そこは良かったと言える。

 結局、その日は旅禍を発見できず、一旦捜索は打ち切られた。

 

 

 いよいよ明日の朝が自殺ドッキリ本番だ。第一発見者は雛森になる、のか? 或いは俺か。俺は甲高い悲鳴なんて上げられないからな。どうしよう。寧ろ無言で倒れそうなんだが。

 

 何とか雛森に発見してもらおうそうしよう。……どうしよう。

 

 

 ……刃禅するか。

 

━━━━━

 

 正勝が刃禅をしようと姿勢を正した所で、部屋の障子が控えめに叩かれた。

 

「あの、本田君……今、大丈夫かな?」

 

 雛森の声だ。刃禅は後でもできる。そう判断し、正勝は雛森に入室を促した。

 失礼します、という声と共に雛森が入って来る。

 

「何だか眠れなくて……少しだけ、お話してもいいかな?」

 

 そう言って申し訳なさそうに笑顔を浮かべる。

 

「ああ、勿論。好きなだけゆっくりしていけよ」

 

 優しく微笑んで正勝は答えた。藍染を思わせる笑みだ。流石、藍染に憧れているだけあるだろう。本人の内心は別として。

 

「今日は、ごめんね。旅禍を見逃しちゃって……あの時私がしっかりしてれば……」

 

 気にすることはない、と正勝は笑う。

 

「俺が外見の特徴を伝えて無かったのが悪いさ。謝るなら寧ろ俺の方だよ」

 

 藍染隊長も別に怒ってなかったし、と付け加えた。

 

「死覇装取られた二人も特に怪我は無かったから大丈夫さ」

 

「でも……やっぱり私じゃ、皆を動かすのは……」

 

 やはり雛森の表情は晴れない。自分の采配で誰かに危険が及ぶのだ。優しい雛森にはつらいことだろう。

 

「大丈夫だよ。今日は中々現場に居れ無かったけど……今後は俺も藍染隊長も現場に出るからさ。……それでも不安か?」

 

「……ううん、ありがとう」

 

 漸く、雛森の表情が綻ぶ。と、不意に雛森がくしゃみをした。

 

「あ、すまん、寒いよな。……えーと、布団でもかぶっとく? それかもう戻って休んだ方が……」

 

「あ、その……もう少し居てもいい?」

 

「ああ、俺は……まだやることがあるし、雛森が良いんなら構わないよ」

 

 布団をかぶり、改めて雛森が口を開く。

 

「本田君は……怖くない?」

 

「……何が?」

 

 真剣な、というよりは不安げな雛森の様子に、自らも真面目な表情になる正勝。

 

「戦うこと、いつ戦うことになるかわからない今の状況が、かな……私は、怖くて仕方ないよ。知ってる人が、さっきまで話してた人が、傷付くかもしれない。もしかしたら二度と会えなくなるかもしれない……そんなの、嫌だよ……」

 

「……俺だって、怖いさ。今日だって恋次がボロボロになってたんだ。明日は俺がそうなるかもしれない。下手したら皆そうなるのかもしれない。……まあそうならないよう頑張るけど……俺は、臆病なんだよ。前に出たくない斬られたくない死にたくない。けど、こんな俺でも守れるものはあるんだ。だから、それを守る為には戦おうと思ってる」

 

 気分が乗ったのか、若干決め顔で言葉を締め括る正勝だったが、目の前の雛森は静かに寝息を立てていた。

 

「……フラグ立て損ねたなぁ」

 

 正勝の呟きを聞いている者は誰も居なかった。

 

━━━━━

 

「ん……うぅん……はっ!」

 

 あれ、ここって……私……昨日は本田君の部屋に行って……ま、また本田君の部屋にお泊まり!?

 

「……」

 

 着衣に乱れは無い。寝相で崩れる範疇である。

 つまり昨夜は何もなかった。

 

 ちょっと残念だな……って私ったら! 今は非常事態なんだからしっかりしないと!

 そう言えば本田君は……?

 

 部屋を見渡しても本田君の姿は無い。

 

「本田君ってば……部屋を出るときに起こしてくれても良かったのに……あれ?」

 

 副官章だ。もしかして本田君、着けていくの忘れてた?

 ……これがないと困るってことはないんだろうけど、あった方が良いよね。うん、届けよう。

 

 何だか、こう、忘れ物をした旦那様を追いかけて届けるような気分。

 朝から本田君に会えるということも相まって、とてもいい気分だ。

 

「うーん……近道しちゃえ」

 

 

 

 

 いい気分だったのに。

 

 

 

「きゃぁぁぁああああああああああ!!!!!」

 

 血塗れで壁に張りつけられたような姿の藍染隊長と、その近くの地面に、同じ様に血塗れで抜き身の刀を持って倒れている本田君を見て、そんな気分は吹き飛んだ。

 

「いや、嫌だよ……」

 

 駄目だ。足に力が入らない。

 這いずるようにして、本田君に近付く。……本田君は眠っているだけ、なのかな?

 目を閉じたままの本田君の体を揺する。

 

「ね、ねぇ、本田君……起きて、起きてよ!!」

 

「……ぅん? 雛森? もう朝……あれ?」

 

 目を覚ました本田君は、私を見て、自分の手を見て、周りを見て、そして藍染隊長を見て、もう一度自分の手を見て、静かに呟いた。

 

「……なにこれ」

 

 直後、血を吐いて意識を失った。

 




読んで頂きありがとうございました。楽しんで頂けたなら何よりです。

フラグがどうとか、疑問はあるかも知れませんが、次回辺りで書きますのでお気になさらず。どうせ大したことじゃないので。

今回のネタ
済まない、~で本当に済まない。:Fateの済まないさんことジークフリートの言い回しを参照しました。フレ枠に出て来ても使ってやらなくて本当に済まない。セイバーは足りてるんだ。
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