鎧なんて飾りです。   作:C-WEED

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連投ってやつです。私にしては珍しく。猫の方もちゃんと書いてるのでご心配なく。

取り敢えずお楽しみ頂ければ何よりです。

7/22 誤字を直しました。
8/1 黒祇式夜様、誤字報告ありがとうございます。


第二話

 真央霊術院に入学しました。

 思っていたより試験は簡単だった。お陰様で恋次と同じ組です。吉良や雛森とは何だかんだあって友達になりました。

 

 俺は案外優秀みたいね。よく先生に誉められてます。

 ただなぁ、やっぱ戦うの怖いね。斬拳走鬼の斬と拳は地獄ですわ。組手やらちょっとした試合なんかもやるからね。流魂街時代は逃げれば済んだから良かったんだけど、ここじゃそうもいかない。びびって震えてるのとか抑えるために頑張ってるけど、やっぱ無理。武者震いだと思ってくれてればいいんだけど。

 

 その点、走と鬼、歩法と鬼道は良い。楽でいい。勿論気持ちの話だ。歩法は流魂街での逃げ足が活かせるし、鬼道は習って学んで楽しい。知ってる詠唱とかあるとやっぱ優先的に使いたくなる。まぁ一番好きなのは黒棺だから今は無理だけど。いつかは完全詠唱で使ってみたい。でも詠唱破棄もオサレでいいよね。黒棺を使うような状況下で俺が無事かどうかは微妙なところだが。

 

 まぁそんな感じで結構経ちました。これは不味いね。何が不味いって割と近くにピンチが迫ってることだよね。ふぁっきん実地訓練。

 

 そう言えば、原作の通りルキアとは違う組。まだ機嫌は直っていないらしい。廊下で会っても顔を逸らされます。結構経つのになぁ。ツンデレって可愛らしいよね。これがツンデレに該当するのかは怪しい所だけど。

 

 

 

「本田君、どうかしたの?」

 

 隣に座った侘助……じゃない、吉良が話し掛けてきた。どうかしたの? って何だよ。何が聞きたいんだお前は。

 

「どうかしたって、どういうことだ?」

 

「何か悩んでいそうな雰囲気だったから」

 

 成る程、心配してくれたのか。根暗だけどいいやつだよね。斬魄刀の能力も強いし。でも何て言うか報われない奴だよな。アリ、アミ……? そうだ、アビラマと戦ってた時が一番輝いてたくらいだし。故に侘助。

 

「どーせまたルキアのことでも考えてたんだろ」

 

 いつから居たのか、後ろに立っていた恋次が言う。どーせってなんだよ。

 

「話し掛けても無視されるんだぞ。気にするのも仕方ないじゃないか。それにルキアのことばっか考えてたわけじゃないぞ」

 

「ルキアって……確か違うクラスの人だよね? 二人とも知り合いなんだ」

 

「おうよ、幼なじみってやつだ」

 

「成る程、それ「何かしちゃったんだね?」」

 

 吉良が何か言ってたんだが、やるね雛森。吃驚だよ。眼鏡の自殺ドッキリとか某隊長が卍解した直後に負けた時程じゃないけど。この子もあれだね。かわいそうだ。憧れは理解から最も遠い感情だとか。辛いねぇ。世知辛いねぇ。これも全部藍染って奴の所為なんだ。

 

「こいつ、いきなり養ってくれなんて言ったんだぜ」

 

「おい恋次、それを言ってしまうのか。言っていいか聞くべきだろう」

 

「もう言っちまったよ」

 

 吉良と雛森の視線を感じる。ドン引きされているらしい。止めろ、そんな目で見るな。引きこもるぞ。

 

「……謝ったんだよね?」

 

「当然」

 

 怒らせといて謝らないとか屑じゃないか。そこまでの屑じゃないぞ俺は。

 

「まぁほら、俺のことはいいからさ。もうすぐ現世で実習だろ。準備は進んでるか?」

 

「勿論。もうすぐっていうか明日だしね」

 

 えっ……あした? あしたって……明日? ふはっ、来週だと思ってた。やべぇ、てかなんか準備するものあったっけ。……いいか。どうせ、どうにもならねぇや。

 

「もしかして日付を間違えて覚えてたんじゃ「ははっ、そんなことあるわけないだろ」……そうかよ」

 

 

 

 さて、そんなこんなで現世にやって来ました。

 吉良は緊張からか浅打をガチャンガチャンやってる。あ、恋次に蹴られた。

 なんかこう、懐かしいね。前世を思い出す。コンビニのホットスナック食べたいな。寄ったらダメかな? ダメだよな。てか俺あれだ。店員さんから見えないじゃん。店に行っても買えねぇよ。

 

「おいお前! 聞いてたのか?」

 

 いけねぇ、聞いてなかったのがバレちゃったか? ん? 確かこの人……えぇっと……あの……なんだっけ……青……青さんでいいか。この人は蟹さんが貫かれて、よくも蟹沢を!って言って突っ込んでって返り討ちにされてたよな。あ、思い出した青鹿さんだ。

 

「勿論です、先輩のお言葉を聞き逃すなんてあり得ませんよ」

 

「本当だな? なら「まあ良いだろ青鹿」……しかし」

 

 おお、檜佐木さんが止めてくれた。さすが、命を刈り取る形をしているだけある。目の付け所がシャープだぜ。

 

「お前、名前は?」

 

「本田正勝です」

 

「なら本田、お前に一番にやってもらおう。聞いてたならできるよな?」

 

 前言撤回。この人俺を刈りに来てた。困った。いや、魂葬のやり方ぐらい知ってる。確かこう、ポンとやるだけだ。いけるいける。

 

 問題は藍染がいつ虚をけしかけてくるか。タイミング悪かったら俺が蟹沢さんポジションになってたりして。笑えない。未来を知ってる上でカニるとかあり得ない。カニるってのは今思い付いた。意味はお察しいただきたい。

 

「わかりました! 喜んでやらせていただき「きゃああああああ!!!」……!?」

 

 雛森の悲鳴が響く。

 まさか雛森が……ではないか。友人が無事でほっとしたが、そうそうゆっくりしていられない。

 見ると蟹沢さんがカニっていた。見事なカニりっぷりだ。元祖はレベルが違うぜ。なんて軽口を言ってられるほど余裕はない。真っ赤である。真っ赤っかである。体液ぶっしゃー。おえっ……やべぇふらふらしてきた。

 

「おのれ、よくも蟹沢をぉぉぉ!!」

 

「待て!! 青鹿!!」

 

 檜佐木さんが止めようとしたが、既に青鹿さんは動いていた。青鹿さんは雄叫びを上げながら突撃した。ミス、巨大虚にダメージを与えられない。巨大虚の反撃、鋭い爪が青鹿さんに向け振るわれる。体液ぶっしゃー。

 青鹿さんは倒れた。

 

 ってんなこと言ってる場合かよ! 逃げないと…………あー……駄目だ、足下がおぼつかねぇ。

 

「おいお前ら、俺の後ろに……っ!!」

 

 どうせ動けないけどそう言ってもらえるのは嬉しいです喜んで!

 

 はい残念、檜佐木さんもやられました。お疲れ様です。イカす傷っすね。案外大丈夫そうで安心しました。

 

 これは、俺がトマト祭りになるのも時間の問題……恋次達は大丈夫だろ。あ、そうか……あいつらと一緒に戦えば死なないんじゃね?

 

 ……駄目だ足が動かねえ。

 

――――――

 

 突然出現し、攻撃してきた巨大虚。既に先輩は三人とも戦闘不能に陥っていた。

 

 自分達よりも経験を積んでいる者達が瞬時に戦闘不能にされる様を見て、恋次達は動くことが出来ずにいた。

 先輩方がなすすべもなくやられたような化け物を相手にして自分達に何が出来る?

 そんな思いが胸中に渦巻いていた。

 

「どうした恋次、随分静かじゃないか」

 

 目の前の状況をまるで見ていないかのような普段通りの声で正勝が言う。此方に背を向けて巨大虚を見詰めている為、その表情は見えない。

 

「こんな時に何言ってやがる……! 先輩達がやられちまったんだぞ! 俺らに何ができるってんだ!?」

 

「逆に聞くが、何ができないんだ?」

 

 そんなことを言っている場合じゃない。恋次は言い返そうとするが、正勝が振り向きながら手で制した。

 

「確かに先輩達がやられた。それも秒……いや、瞬殺だな。だが、それがどうした? どうせ、逃げ切れやしないんだぜ?」

 

 確かにそうだ。

 やられる前に先輩が救難信号を出していたが、助けがいつ来るかもわからない。ここから逃げた所で体力に限界はある。すぐに全滅だろう。……なら、どうする?

 

「……だから、戦おう。この逆境に、立ち向かおう。逃げた所で結局死ぬんだったら、せめて最期まで足掻いてみようぜ。俺達は今四人居るんだ。一人一人が弱くても、協力すればできることはある。先輩達は一人ずつ挑んで負けたんだ。四人ならきっと変わる。いや、変えてやろう。救援が来るだろうけど、別に倒しちまったって構わねぇんだ。俺達ならできる! 絶対やれる! 一気に出世街道に乗ってやろうじゃないか!!」

 

 ハ、ハ……と小さな笑いが恋次の口から漏れる。

 こいつはいつだってこうだ。いつだって先頭に立って俺らを勇気づける。……そうだな、戌吊に居た頃からそうだ。俺達ならやれる。立ち上がらなけりゃ何も変わらねぇ。

 

 左右を見ると、吉良も、雛森も、覚悟を決めた表情をしていた。

 

「正勝、やろうぜ!」

 

「おう!」

 

 恋次の声に満足げな笑顔で応える正勝。しかしその背後では巨大虚がその爪を振り上げていた。

 

「本田君! 危ない!!」

 

 巨大虚の爪が振り下ろされる。

 

――――――

 

 恋次達がだいぶ意気消沈してたようなので、応援してみた。効果は上々。だから取り敢えず俺を助けに来てくれ。足がすくんで動けない。もうマジ無理。

 

「本田君! 危ない!!」

 

 上を見上げる。

 

「ぴょっ」

 

 変な声が出た。

 巨大虚の爪が落ちてきてる。いや、俺に向けて振り下ろされたのか。駄目だ。無理だ。死んだわ。あ、なんか昔のことが一気に脳内を駆け巡ってる。走馬灯ですか。おわた。

 

 目の前が真っ暗になった。

 

――――――

 

「そんな……」

 

 吉良の口から呆然とした声が漏れる。

 視線の先には振り下ろされた巨大虚の爪があった。ひび割れた地面と舞い上がる土煙がその威力の高さを物語る。生身で受ければ一溜まりも無いことは火を見るよりも明らかだった。当然その場にいた正勝の生存も絶望的と言える。

 

 吉良から見た正勝は、目指すべき目標であり、大事な友人である。どんなこともそつなくこなすが、特に歩法と鬼道の実力は目を見張るものがあった。吉良自身は特に苦手ということは無かったが、阿散井と共に、雛森と正勝に鬼道を習う、ということはよくあった。

 そんな彼が、たった今、目の前でやられた。もともと絶望的な状況ではあったが、もはや立ち上がれる気がしない。

 それほど付き合いの長くない自分ですらこれである。幼なじみである阿散井なら尚更だろう。そう思い阿散井の方を見た。

 

「何だよ吉良、もしかして俺が崩れ落ちてるかと思ったか?」

 

 彼は立っていた。巨大虚を真っ直ぐ見据え、油断なく身構えていた。

 

「あいつはあんな簡単にやられるタマじゃねぇよ。それに、仮にやられてたとしても、今ここで絶望してちゃあいつに顔向けできねぇ。だから、俺は戦うぜ」

 

 その横顔を見詰めながら、吉良も立ち上がる。

 そうだ、せめて本田君に笑われないようにしなければ。

 

 

 

「オオオォォォッ……」

 

 変化は突然だった。正勝を襲った巨大虚が、悲鳴を上げながら倒れたのだ。その爪は粉々に砕けている。

 

「やっぱあいつはすげぇや。かっこよすぎだろ」

 

 先程まで正勝が居た場所には、赤褐色に輝く鎧を纏った武者が立っている。右手に持った巨大な槍を天高く掲げながら。

 




読んでいただきありがとうございました。

ちょいちょい直すと思いますがおきになさらず。


今回のネタ
カニる→マミる:魔法少女まどかマギカ第三話にて、先輩魔法少女マミが、敵に頭をパックンチョされる様から、首から上が無くなることを指す。
今回の「カニる」は先輩が結構あっさり目にお亡くなりになることを指している。
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