モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み) 作:ニルドアーニ四世
ちょっと苦手な方は申し訳ありません
〜13年後〜
“スリラーバーク”...それは“王下七武海”ゲッコー・モリアの所有する島を改造した世界最大の船である。ここは世界政府も知らぬが船でなく、一つの国のようであった。民家や商店街もあれば、人も住み、法律もあれば大臣もいる。ただここの住民は他の国と違う事が幾つかある。それは様々な種族が分け隔てなく生きている事だ。そしてここへ最初に住み着いた人々が元天竜人の奴隷であるということである。
13年前、モリアはタイガーと共にマリージョアを襲撃し、追っ手により死に絶えた以外の奴隷を救出した。モリアはほとぼりが冷めるまでスリラーバーグで匿い、それぞれの故郷へ帰すつもりだったが、大半の奴隷達は七武海の傘下にあるスリラーバーグでの安全な生活を望んだ。街々は日が当たらないモノの活気に溢れており、かつての奴隷としての闇は完全に取り払われたようだった。
そしてこの島は三つのエリアに区切られている。中心にあるのが“Aエリア”。そしてその周りに高い塀があり、大量の銃を持った警備員が配置しており巨大な扉には他のエリアからの厳しい関所がある。ここはおよそ二百名程が住んでおり治安は異常な程いいのだ。
そして“Aエリア”の周りにあるのが“Bエリア”である。ここは元奴隷の賞金首や大工や鍛冶職人などの戦闘系以外のゾンビが住んでいる。Bエリアからはモリアの許可証さえあれば自由に行き来できるが、一度でも犯罪、迷惑行為をすると投獄生活の後に“Bエリア”かその下の“Cエリア”へと追放になる。
そして“Cエリア”にはアブサロムとモリアが死体を掻き集め、そして世界最高の外科医師“ドクトル・ホグバック”の手により肉体改造のされたゾンビや一部の新米の傘下の海賊達が住むエリアである。ここは外からの襲撃に備えるために配置してある。
さらに地下にモリアに影を取られた手練れの海賊達が比較的自由に管理されている。食事や酒、雇った女などが生活していた。またモリアの強さに絶望し、命乞いをしたため反乱などの意思は全くなかった。
***
“Aエリア”
〜城内〜
「さて...今回政府からの招集を受けた。世界の海は極々平和だが、おそらく俺と同じ七武海の“サー・クロコダイル”が大佐程度の海兵に捕らえられた件だろう。俺は裏があると判断し、調べたところこいつの所業である事がわかった。」
モリアが手配書を机に置くと集まった皆が覗き込んだ。そこには麦わら帽子を被った無邪気な笑顔の青年だった。
***
モンキー・D・ルフィ
懸賞金一億ベリー
***
「“モンキー・D”...海軍の“英雄”ガープの血縁者か?」
ペローナがそう呟いた。かつて“海賊王”ゴールド・ロジャーを追い詰めた伝説の海兵と同じ姓なのだ。
「モンキー・D・ルフィ...。私の“記憶”によれば東の海のルーキーですね。初頭金は三千万にして“ノコギリ”のアーロン率いる魚人海賊団の撃破により付けられた。“モンキー・D・ルフィ”はガープの孫です。」
長い白髪に立派なヒゲを生やした老人がスラスラとモンキー・D・ルフィの情報を語った。彼は元々政府の上層部の人間だったが、マリージョア襲撃事件の黒幕がモリアであることを見抜き、感動したためモリアの配下へと願い出たのだ。
「ガルルル...英雄の孫ってとこだな...。」
ホグバックの手によってありとあらゆる動物の筋肉を移植されたアブサロムはもはやそこらのゾオン系能力者より身体能力は高くなり、モリアの部下として最強の強さを誇る
「うるせぇ歩く未確認歩行物体。てめぇの能力で猥褻物加減が警官にバレねぇからって調子のってんじゃねぇぞ。 」
ペローナの側にいたショタ顔の幼い兎のミンク“のアルフレッド”が普段の可愛らしい様子とは正反対のゲスい顔でモコモコの三つに分かれた指の真ん中だけ立てている。このミンクはマリージョア襲撃時にモリアから離れなかった子兎のミンクが成長し、ペローナの副官となったのだ。
「んなッ!てめぇ口悪いんだよ!おいペローナ!部下を止めろ!」
アブサロムは少し慌てながら上官であるペローナに毒舌のアルフレッドを止めるように言った。覗きが趣味の彼に威厳というモノは存在せず、そして彼自身の性格に合わなかったから部下からは完全に舐められているのだ。
「あ゛?ペローナ様に声かけんな万年発情野郎が!」
「ホロホロホロ...可愛いからいいじゃねぇか。」
アルフレッドがアブサロムに毒を撒き散らす様子を見たペローナはご機嫌そうに声をあげた。彼女には可愛い兎のミンクがゲス兎になるのがたまらないようだった。
「ねぇ...そんなに殺して欲しいの?」
突然霧のようなモノが現れて固まると美しい長い黒髪の人魚が現れた。人魚はなぜか宙をふわふわと浮いているが、そんな事よりドス黒く焦点の合っていない瞳に気が散ってしまう。すると腰から斬れ味の良さそうな細長い包丁を二本取り出した
「待っ...待て“リディアナ”!」
アブサロムはリディアナを止めようとした。普段のリディアナはアブサロムの副官であるから言うことを聞くが目が虚ろになったリディアナを止めるのはアブサロムにとっても容易でない。
「だってこの
リディアナのヤンデレっぷりを見たアブサロムは顔を青ざめ頰肉をピクピクさせているとペローナが機嫌良さげに口を開いた。
「ホロホロホロホロ...。アブサロム...結婚してやれよ。おめぇ結婚したがってるじゃねぇか。」
「フォスフォスフォス...。ヤンデレが嫌なら好みの死体を持ってこい。」
「俺はヤンデレもゾンビも嫌なんだよ。生きたまともな花嫁が欲しいだけなんだ!」
「
上司のモリアを前に部下達が散々好き放題にしているが、モリアは全く機嫌が悪くならなかった。なぜならこれが信頼関係の証であると思っていたからである。だがアブサロムを不憫に思ったのも事実である。
「アルフレッド...。一応アブサロムの立場はお前より上だという事をわすれるな。」
「了解!」
モリアがアルフレッドに一言注意をするとモコモコの手をおでこの前に置いて敬礼ポーズをとった。その様子は可愛く殺伐とした皆の雰囲気が少し紛れた。
「それはモンキー・D・ルフィを潰すのですかな?」
「いや...決して侮るなという事だ。ゴール・D・ロジャーやモンキー・D・ガープ、そして最近七武海を蹴ったポートガス・D・エース。マリージョアではDの一族は“神の天敵”だとか...。世界に散らばる幹部達に“記憶”を送ってくれ。」
「えぇ...。」
老人が頭に指を添えると突然メモ用紙が出て、チラッと中身を確認すると呟いた。
「“
“
「やはり便利だな。“メモメモの実”メモ人間にしてこの国の大臣“賢者”ギルノス・メレスシード。」