モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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“記憶”

 

“マリージョア襲撃事件から二年後”

 

 

 

 

 

 

「ギルノス...。記憶の消去を頼めるか?」

 

かつてギルノスはその“能力”でモリアが“マリージョア襲撃事件”の黒幕だと突き止めた。“メモメモの実”は人の記憶をメモという形に具現化したり、自由自在に操作できる力を持つ。ギルノスの前に隠し事などは通用しない。彼は元奴隷の一人を見つけ、何も話さない奴隷から無理矢理記憶を盗み見たのだ。また他にも記憶の保存や削除、改竄、渡す事も可能である。

 

そしてギルノスはモリアに命じられ、スリラーバーグの地下で比較的自由に管理されている影を奪われた強者達の記憶を削除し、犯罪や横暴な振る舞いをしない人間だという記憶改竄を行っていた。

 

さらにここで管理されているのは“スラム街で貧困に喘いでいたところをモリアが救ってくれたが、他の住民達が怖がるから止むを得ず地下へ住まわせてもらっている。”と思い込ませ、そして彼らは“モリアに勝てばここから無条件に解放する”とモリアが言い。誰一人勝てなかったので諦めて地下での暮らしを謳歌していた。むろん彼らはモリアから影を取られている事を知っているため、無闇に脱獄しようとは考えていない。

 

 

「ほぅ...どの辺りの記憶ですかな?」

 

「このゴールド・ロジャーの処刑より前の記憶...。」

 

モリアに憑依したのはゴールド・ロジャーの処刑時である。モリアが消したいのは生前の憑依したという記憶のみであるため、これが正しい。

 

「ほぅ...。興味深いですが聞きませんよ。」

 

 

(時の流れを知っているとこの世の出来事が作業になってつまらない。確かに良いことは沢山あるが、もう疲れたし十分だ。)

 

 

モリアは損得勘定抜きで二つの事をしたいと考えていた。既に成功したマリージョア襲撃。そして“いちファン”としてエースの救出だったが、七武海という立場のため斬り捨てる事にした。だが万が一手を貸してしまったら七武海という傘が無くなり、スリラーバーグの住民達に危険が及ぶかもしれないのだ。

 

「本当によろしいので?」

 

「あぁ...頼む。」

 

「わかりました。」

 

ギルノスはモリアの頭へ指を近づけ、モリアの頭から小さくて見えない程文字が書かれたメモを取り出そうとした。

 

「...ッ!」

 

だがメモを取り出す寸前にモリアがギルノスの手首を掴んだ。幸いにもメモは取り出す前だったのでまだ憑依前の記憶はある。

 

「ただし記憶を消した後に『“黒ひげ”と名乗る男が現れたら確実に戦争で始末しろ』と伝えてくれ。」

 

最後に突然思い出した様に“黒ひげ”という名前を出した。死んだ“白ひげ”からグラグラの実を奪ったのだ。“黒ひげ(ヤツ)”は世界の脅威になり得ると突然思い立ったのだ。

 

「意味はわかりませんが...。伝えておきます。では...“削除(デリート)”」

 

ギルノスは少し戸惑いながらもメモを抜き取り“削除(デリート)”とつぶやくとメモの文字がスゥと消えて透明なメモになった。

 

 

 

 

これでモリアは完全に憑依したゲッコー・モリアでなく、ONE PIECE(改)の住人となった

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

“現在”

 

 

 

 

〜スリラーバーグ〜

 

 

 

 

「暇だぁぁ〜。モリア様かペローナ様からナデナデして欲しい!ペローナ様を起こして遊びたいけど嫌われたくない!」

 

「そうね...愛夫のアブサロム様は死体を盗みに行ったし、モリア様は“マリージョア”へ...。はぁ...。」

 

二人の副官達がモリアの城の中で嘆いていた。アルフレッドにとって至高なのはモリアとペローナに撫でられることである。そしてアブサロムは変態なので自分の大好きな上司が不快な思いをしないように牽制をしているのだ。それとは反対にリディアナはアブサロム大好きである。モリアはあくまでも恩人だが、自らを助けてくれたアブサロムに惚れている。彼女はアブサロムが絡むとおかしく(ヤンデレ)になるが、アブサロムが居なければ普通の優しいお姉さんなのだ。敵対関係になりそうな二人だが、お互いの心情を理解してるからか互いを尊重する感じで意外と仲がいいのだ。

 

「修行をしたいにも敵からの襲撃に備えて万全の体制でなければならないしね。ギルノスも強いけど大臣だから頼る訳にはいかないし...。何より年老いたことで自分の力が信じられなくなって覇気が使えなくなったのよね...。能力はチートだけど...」

 

ギルノスは元はCPとして働いてどんどん出世したが、覇気が使えなくなり前線を退いてからは上官として任務を遂行していたのだ。

 

「...ッ!」「...ッ!」

 

二人が同時に気配を感じて窓を見ると蝙蝠が 部屋の中に入り、二人の眼の前でまるで毛糸から糸が解けるかのように影の糸が文字を作り出した。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

〜至急“黒ひげ”について調べてくれ〜

 

 

 

 

***

 

 

 

 

二人はモリアからの指示を数秒間ジッと見ると二人は同時に顔を見合わせた。

 

「これってモリア様からの指令じゃないかしら⁉︎」

 

「ヒャッハー!頼られたぜ!」

 

アルフレッドはこの指示を完璧に全うすればモリアから褒められると思い、急にテンションが上がった。だがそのテンションもすぐに終わりを告げることとなる。

 

「でも情報って確実にアブサロム様かギルノスの役目よね...。」

 

「...。」

 

リディアナがごもっともな事を言うとアルフレッドは何も言い返せなかった。そして二人はゆっくりと天を仰ぎながら声をあげた。

 

「あぅ...。目の前の人参をアブサロム(覗き野郎)に踏みつけられた感覚...。」

 

「はぁ...。アブサロム様の風呂場で隠し撮りして蒸気で全く見えなかった感覚...。」

 

二人の空気は重かったがモリアのため素直にギルノスの元へ伝えに行った。

 

 

 

 

***

 

 

 

一月後

 

 

 

「“黒ひげ”とは何者だ?懸賞金は分かったか?」

 

モリアは“黒ひげ”の情報の報告を求めた。

 

「...“マーシャル・D・ティーチ”。元“白ひげ海賊団”です。しかも“2番隊”に所属していました。」

 

ギルノスが宴中の集合写真のようなモノをモリアへ提示した。この写真はアブサロムが透明になり、“白ひげ海賊団”のところから盗んできたのだ。アブサロムの“スケスケの実”と同時に見聞色の覇気を使用し、何もしなければ彼の存在を察知するのはほぼ不可能であるのだ。

 

「“2番隊”だと?...見覚えのない男だ。懸賞金は幾らだ?」

 

「0です。能力、戦闘力は共に未知数と見るべきですな。」

 

「実力をひた隠しにするタイプ。計算高く野心家だな。幹部たちに連絡を...。警戒レベルは最高だと伝えろ。」

 

モリアは自身の謎の伝言と“黒ひげ”という男の分析をした結果、危険な男であると判断したため、“麦わらのルフィ”と同じように警戒対象に加えた。

 

「了解...。“複製(コピー)”...“送信(プレゼント)”。」

 

 

(俺の伝言の“戦争”とは何のことだ?“黒ひげ”と戦争をするのか?読めないな。まぁいい。ギルノスに記憶を復元させるのも手だが、何らかの意図があって消したのだ。思い出すこともあるまい...。)

 

 

 

 

 

 


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