モッ...モリアさんは最強なんやで(棒読み)   作:ニルドアーニ四世

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相反する二人の王 1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行けぇリトルオーズJr.!!!」

 

巨大な包丁のような刀を手に持った巨人が前線へとやって来た。普通の巨人の倍以上の巨大に海兵側の巨人は初めて人を見上げる経験を味わった。

 

「“国引きオーズ”の子孫か...。ヤツに相応しい影がなく冷凍保存されたままだが、あって損はあるまい...。」

 

モリアの持つ死体の中で最強クラスの逸物だが、覇気を司る影がオーズに相応しいモノがないため冷凍保存してあるのだ。モリアとしては最低でも強靭な肉体を引き立たせるために武装色を極めた者以外影にするつもりはないため、中々ゾンビにできぬのが現状であった。

 

「エースぐんは優じいんだ絶だいに死なせねぇ...。」

 

オーズは舌足らずの口調でエースを助けようと躍起になっていた。そして海軍の軍艦一隻を湾内でひき回し突破口を開こうとした。

 

「湾内の侵入を許すな!!!!」

 

巨人族の海兵達がオーズへ襲いかかるが全く歯が立たないようだった。するとくまが両手の肉球で空気を弾き圧縮し始めた。そしてオーズへ向けて放った。

 

「“熊の衝撃(ウルススショック)”。」

 

ゆっくりと肉球型の空気砲がオーズの腹へ命中すると大気が弾け飛び内臓に爆発的なダメージを与えた。オーズは意識を失いかける程の衝撃を辛うじて耐えたが頭だけでなく身体中から大量の血が流れた。その衝撃で落ちた藁の傘を見た。これはエースが太陽に近いからと心配したエースが編んでくれたのだ。

 

「ハァ...ハァ...せめて七武海の一人だけでも。」

 

「あ?」

 

オーズはドフラミンゴへ狙いを済ませると雄叫びをあげながら拳を振り下ろした。圧倒的なパワーにより七武海の足場は崩れたがその程度の攻撃を食らう七武海ではなく、地面へ降りた。そしてドフラミンゴは高笑いをしながら糸の力で雲へ括り付けて空を飛んだ。

 

「面白ェ!!! フッフッフッフッフッ!!!!」

 

ドフラミンゴが地面へ舞い降りるとオーズの右脚が糸により切り裂かれ宙を舞った。その様子を見てモリアはつぶやいた。

 

「斬ったか...まぁいい...。」

 

モリアはパッと突き出した拳を掴む様に握り、拳を上向けにして人差し指を突き出し、上向きへスッと小さく振ると地面の氷から影が突き抜けてきてオーズの急所辺りを貫いた。これは先ほど海底に沈んだ雨の影を固めて操作した。モリアは海水にこの影を忍ばせ“いざ”という時の“影法師”に使用するつもりだったがこれ以上死体を傷つけぬ様に攻撃に移る事にしたのだ。

 

能力者は直接海や海楼石に触れれば力が抜け能力は使用できなくなる。ただモリアの“カゲカゲの実”を含むパラミシアの強みは一部例外が存在し、パラミシア(ロギアも含まれる)の手から離れた攻撃に実体が含まれないという事だ。これは覇気で攻撃しようとも接近戦と中距離のロギアと違い実体を捉えられない。つまり遠距離からの攻撃に優れているのだ。むろん実体でない以上海水面での攻撃が可能である。もちろん海である以上弱体化はするモノのモリア本体が能力が使えなくなるわけでなく、直接触れない為無効化ではないのだ。

 

「オーズ...。」

 

白ひげが手を伸ばせばエースにギリギリ届かぬ位置で倒れたオーズを見てつぶやいた。

 

「隙を見せたな白ひげ!!!悲しんでる暇はねぇぞ!!!!」

 

斧を持った巨人族のロンズ中将が白ひげへ襲いかかった。斧を振り降ろすと白ひげは軽く振動を起こし砕いた。そして体勢を崩したロンズの頭を掴み直接振動を叩き込んだ。気絶したロンズ中将を力任せに投げ飛ばすと地面に無様に倒れた。

 

「オーズを踏み越えて進め!!!!」

 

突破口を開いたオーズの犠牲を無駄にしないためにも白ひげは部下達を鼓舞した。白ひげ海賊団はうっすら涙を浮かべる者をいる中オーズを倒した七武海へ向けて走り出した。するとモリアは面倒くさそうに雑兵の進撃を見据えると未だにモビーディックの先端に仁王立ちしている白ひげを見てニャッと笑った

 

「そろそろ出るか...。」

 

モリアは跼み氷の大地に手を置くと虚無化した細い影を入れて氷の中を素早く伝せる。そしてモビーディックの真下まで来ると実体化し、真上に立つ白ひげへ向けて縦に貫こうとした。白ひげは攻撃の気配を察知し、後ろへタッと引くと先程まで立っていた所から影の槍が地面を割ってモビーディックの先端を貫かせ、そして影の槍は少し進んだ所でピタッと止まった。

 

「“影法師(ドッペルマン)”...そう暴れてくれるなよ...。」

 

影の槍がモリアに一瞬で変化するとモビーディックの先端で相反する二人の王が静かに向かい合うと両軍は自分達の戦闘を忘れただ二人の戦闘を見守った。

 

「グララララ...。かつて俺の首を取りに単身で乗り込んできた男によく似ている。おめぇの顔を見ると傷が疼いてしかたねぇ...。」

 

かつてのモリアと今のモリアの変わり様を嘲ると白ひげは胸の無数の比較的小さな斬り傷がピクッと微かに疼いた。するとモリアは嘲る様に白ひげを見据えた。

 

当時(11年前)とは実力、思想が共に異なるぞ。かつては貴様を殺し“頂点に立つ事で均衡そのモノを消滅させるべき”と考えていたが、今では“俺が支配するのではなく、支えるべき”だと悟っただけに過ぎん。」

 

 




白ひげの胸の上にある無数の切り傷はアニメの白ひげが中心であるいて次第に仲間が増えていくシーンで傷も次第に増えていき、胸の深い傷より後にできていた様だったのでモリアさんがやったという設定にしました。

次の話から過去編行きます

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