おや、これは珍しいお客さんだ。
うん?何か面白い御話は無いかだって?
なら、あなたは何がお望みかな?喜劇?悲劇?恋愛?純愛?悲恋?伝記?歴史?戦争?SF?ファンタジー?ホラー?アクション?スポーツ?ミステリー?ファミリー?ドキュメント?まだ色々あるが……さて、何が良いかな?
おや?お客さん、あなたはこの御話が観たいのかな?
これはこれは……随分と面白いものを出したね。
うん?何故、笑っているのかだって?
あなたが出したのは、喜劇であり、悲劇であり、恋愛であり、その物語の主人公が生きた証の御話。
主人公の名前?……彼の名前は『八雲幸夜』
今からお見せする御話は、八雲幸夜が『第八天』になる前の御話……彼の一人称が『僕』から『私』に変わる前の御話、髪が『金髪』から『薄い金髪』に変わる前の御話、彼がこの世の醜さを知る前の御話……
では皆様、御覧なさいませ……
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ここは幻想郷、忘れ去られたものが行きつく最後の楽園……だが、今の幻想郷に楽園の面影はない。
木々や水は枯れ、建物は崩壊し、人や妖怪は存在しない……幻想郷にはもう何も誰も残ってはいなかった……唯一人を除いて。
彼は空を見て、昔の空を思い出す。彼は川を見て、昔の川を思い出す。彼は山を見て、昔の山を思い出す。彼は里を見て、昔の里を思い出す。彼は花畑を見て、昔の花畑を思い出す。彼は竹林を見て、昔の竹林を思い出す。彼は墓を見て、『最愛の人』を思い出す。彼は、幻想郷を見て、在りし日の『美しき世界』を思い出す。
彼は墓の前に立っていた。
「あの頃は、わたしにとって『美しい世界』だった。守りたかった『刹那』だった。親友と皆で馬鹿やって、お爺ちゃんとお婆ちゃん、父さん母さん、美鈴姉さん、刻義兄さんと家族らしい話をしたり……キミと息子と娘と一緒に日常を生きて……あの時の私はとても幸せだった。……ねえ、『僕』は何をしているのかな?僕はどうして生きてるのかな?僕みたいな奴は死ねばいいのに……僕が死んで、皆が生き残ればよかったのに!!」
墓の前で、彼は泣き崩れる。墓の前で、彼は苦しみを叫ぶ。
「ねえ、キミに会いたいよ……霊夢」
彼は呟く、自身が愛した女性の名を……
彼は思い出す、在りし日の刹那の記憶を……
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僕は、幻想郷にある『博麗神社』の境内に来ていた。理由はない、ただ単に気がついたら、此処にいた。
これが噂の幻想入りか?
「あら、あなた外来人?」
背後から聞こえてきた声に、僕は声が聞こえた方を向く。
そこには紅と白色の腋が見えている巫女服を着て、大きなリボンを付けた少女が立っていた。
僕は彼女に一目惚れをした。……べつに彼女が自分の好みのタイプと言う訳じゃないけど、僕は彼女を見た瞬間、彼女に魅かれた。僕は、おかしなことを言っているのかもしれないけど……僕は彼女に恋をした。
まさか、初恋が一目惚れになるとは思わなかった……
「初めまして、私は、
彼女に名前を聞かれて、僕は慌ててしまいそうになるが、落ちついて名前を言う。
「僕は……八雲、
これが、僕と霊夢の初めての出会いだった。