某所でアイデアをもらい書いてみました。
SS処女作です。喪失しました。
小説のルールをいくつか無視してますので、気になる方はご注意を。
思い出した頃に更新するかもしれません。
ナザリックTV、時刻は午前2時。多くのシモベが仕事に励むこの時間に、ひっそりと始まる番組があった。
「あ、もうカメラ回してるの?」
回してるっすよー。ほらご挨拶ご挨拶!
「それでは、ソリュシャンと」
「エントマのぉ」
「「ナザリック・グルメ・レポートー!」」
『この番組は偉大なるアインズ・ウール・ゴウン様と、至高の御方々のお陰で提供させていただきます』
「今回が記念すべき第一回目ということで、簡単に説明をします。エントマと、わたくしソリュシャンが、ナザリック地下大墳墓内のおいしい料理をご紹介いたします」
ちなみに私ことルプスレギナはカメラマン&ナレーター&プロデューサーとして参加してるっす!気軽にルプスレギナPと読んでほしいっす!
「この企画もルプーPの持込企画ですわぁ」
そうっすよ!今回紹介するお店も私のお気に入りっす。知る人ぞ知る名店、第9階層の6丁目、モンストル・シャルマンっす!
「外観がレンガでオシャレね。レトロな雰囲気と言うのかしら」
「モンストル・シャルマン……どんな意味なのぉ?」
フランス語で魅力的な怪物って意味らしいっす。案内に書いてたっすよ。
「さっそく入ってみましょう」
「中は意外と狭いのね」
「明かりも薄暗くて、なんだか落ち着きますわぁ。あら?あの壁の写真はもしかしてぇ……」
このお店を設計されたタブラ・スマラグディナ様のお写真っす。秘密の隠れ家的なイメージで作られたそうっすよ。
「まぁ!タブラ様の!」
「でも至高の御方のお店なのにぃ、お客さんがわたし達だけだなんてぇ。もしかして貸しきりぃ?」
そこはほら、秘密の隠れ家的イメージだから、お客さんも厳選してるという訳っす。このお店のこと、一部のマニア以外は知ってる人の方が少ないはずっすよ。
「そんなお店を紹介してもいいわけ?」
常連からの紹介以外だと、秘密の通路とか合言葉とか自分で見つけるしかないっすから、そうしないとここはただのレンガの壁にしか見えないはずっす。
「隠れ家的っていうかぁ……」
「この番組で紹介して何がしたいのよ。というか貴方、自慢したいだけなんじゃない?」
てへっ!
「このカメラマン、前に出すぎなんじゃなぁい?」
まあまあ、そんなことよりお店の紹介っすよ!モンストル・シャルマンはフランス料理のお店っす。食材も契約牧場から新鮮なものを取り寄せていて、その中でも私イチオシなのがやっぱりデザートっすねー!ここのプリンは最高っすよ!
「甘いの大好きぃ」
「貴方がフランス料理ってイメージに合わないわね。もっとこう、中華とかが好きそうだと思ってたわ」
私だってオシャレなものは好きっすよ!まぁそれよりも、このお店のショーが気に入ってるのもまた事実な訳で。
「ショーって、誰か踊るのかしら?台もポールも無いようだけれど」
あそこの小窓から厨房が覗けるんすけど、きっと気に入るっすよ?
「まぁっ、これは……」
「わぁ、契約牧場ってぇ……」
そう、ここはデミウルゴス様の牧場直送の両脚羊の解体ショーが見られるお店っす!
「ルプスレギナ」
はい?
「紹介してくれてありがとう」
気に入ってくれたみたいでなによりっす。じゃあ料理が来るまで眺めながら楽しむっす!
「解体ショー、堪能しましたわぁ」
「できれば生きたまま頂きたかったのだけれど、料理屋で料理せず出せというのも失礼かしら」
「ソリュシャンは丸呑みが好きだもんねぇ」
「それが一番楽しい食べ方よ。」
「分かるぅ」
「拘束を千切りそうなくらい飛び跳ねてたわね。ああ、丸呑みしたかったわ」
デミウルゴス様もたまに視察にいらっしゃるんすけど、やっぱり分かってる方が生産者だと違うっすねー。ここに送ってくる両脚羊、出荷するまで希望を捨てさせないようにしてるらしいっす。あ、料理も来たっすね。両脚羊のブーダン・ノワールと果実のコンポートっす。
「果物のジャム漬けと……真っ黒のソーセージ?」
「いただきまぁす」
「ちょっとエントマ。食べるのが早すぎるわよ。食レポなんだから見た目にも感想を……」
「わぁ!このソーセージ血の味がするぅ!おいしーぃ」
「え?……本当だわ。レバーのような味ね。クセになりそう」
ブーダン・ノワールは血を固めたソーセージっすよ。本来は豚の血を使うらしいっすけど、まあ二本足か四本足かの違いっすよねー。
「こっちの果物もおいしーぃ」
「ソーセージと一緒に食べると甘さが際立つわね」
解説聞いてるっすか?もう。次はトマトのファルシっすよ。
「急に普通の料理になったわね。トマトの肉詰めという感じかしら」
「いただきまぁす」
「エントマ……」
「これもおいしぃ。ソリュシャンも好きそうなカンジよぉ?」
「そう?……うん、おいしいわね。このひき肉は両脚羊のものなのね。トマトの酸味と肉の旨みが良く合うわ。このコリコリしてるのは軟骨かしら。歯ごたえが心地いいわね」
最後はこちら、灰色プディングっすー!これは見ただけで分かるっすよね?
「わぁ。脳みそですわぁ」
「上にカラメルソースをかけてあるわね。周りも生クリームでデコレーションしてあって、豪華な見た目ね」
「いただきまぁす」
「エントマ」
「……えっとぉ、カラメルがシワにしみ込んで、おいしそうです、わぁ」
子羊の脳を丁寧に蒸した料理らしいっす。
「意外に淡白な味付けなのね。さっぱりしてておいしいわ。最後の料理にうってつけね」
「わたしはもっと歯ごたえがある方が好きかしらぁ。ニューロニストとかは好きそうかもぉ」
ニューロニストは常連さんっすよ。
「やっぱりぃ」
歯ごたえがある料理なら四肢の丸揚げとかもあるっすね。評判いいらしいっす。
「そういえばさっきからわたし達だけで食べてるわね。ルプスレギナもどう?」
あ、私は見る専なんで大丈夫っす。基本今の料理は裏メニューで、私が食べるのは普通のメニューの方っすから。
「そう、もったいないわね」
「こんなにおいしぃのにぃ。ルプーは人生損してるわぁ」
いやいや見るだけで十分楽しみましたから。私はカメラマンに徹するから大丈夫っす。いや私は大丈夫っす。私は大丈夫っす!私はだいじょ―――。
『残念ですがここでお時間となってしまいました。今回ご協力していただきましたモンストル・シャルマン様の地図はこちらです。グルメの方も、加虐趣味の方も、もちろんタブラ様の聖地巡りの方も、是非とも一度足をお運びください。次回はいったいどんなお店をご紹介できるのか、ボク……失礼、私も今から楽しみです。それでは皆様ごきげんよう』
出演 ソリュシャン・イプシロン エントマ・ヴァシリッセ・ゼータ
カメラマン兼ナレーター ルプスレギナ・ベータ
ナレーター2 ユリ・アルファ
『この番組は偉大なるアインズ・ウール・ゴウン様と、至高の御方々のお陰で提供させていただきました』
今回の教訓、食べたことのない料理を食レポしようなんて考えてはいけない。
灰色プディング以外は本当にある料理です。
ただし両脚羊は入っていません。