錬鉄の英雄 プリズマ☆シロウ   作:gurenn

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VSクロ。その初戦です。

ランサークロの戦いをご覧ください。といっても、今回は小手調べですが。


二人のイリヤ

【士郎視点】

 

「一体何だったんだろうな、昨日のアレは」

 

「そんな事、私に分かる訳ないでしょうが。イリヤが英霊化したのも驚きだったのに、あんな不測の事態を把握し切れる訳ないでしょ。何度考えても、何が起こったのか全然分かんないわ」

 

「ですわね。詳しく調べようにも、あの黒いイリヤスフィールは逃げてしまいましたし」

 

「だよな。物凄い速さで逃げてったな……あの逃げ癖、凄くイリヤらしいんだけど……」

 

「あの逃げ足の速さは、人間業じゃないわね。多分、【ランサー】の力だと思うけど」

 

昨日の一件。つまり、二人になったイリヤについての事を俺達は話し合っていた。あれから一日。今は朝のホームルームが始まる前の時間帯だ。場所は屋上。魔術による人払いもしている。

 

「ランサーの力?」

 

「ええ。あれから、ランサーのカードがないのよ。イリヤが使って、それから消えたの」

 

「つまり、あの黒いイリヤスフィールはランサーのカードと何かしらの関係があると?」

 

「そう考えるのが自然でしょうね。イリヤがランサーのカードを使って変身して、それから何かの原因があってあの黒いイリヤが現れた。そういう事だと私は思う。それが何かは知らないけど」

 

「……」

 

以前、イリヤがランサーのカードで変身した時は、こんな事は起こらなかった。つまり、あの時はその何らかの原因とやらはなかったという事か。となると、その原因はあの場所にあるのかもな。

 

黒いイリヤ。露出度が高く、お腹の辺りが丸見えで、ヘソ出しの黒いボディスーツ。そのお腹には赤い模様が描かれていて、肌は浅黒い。そして、ピンクがかった銀髪に、瞳の色は綺麗な琥珀色。

 

「あのイリヤ、話ができるのかな」

 

「さあ、どうかしらね? 一言も喋る暇なく逃げてったからね」

 

「英霊の力を持っているとしたら、かなり厄介ですわよ。また黒化英霊みたいになるかも」

 

「……また、あんな風に戦わないといけないのか……」

 

それは嫌だな。どんな存在かは分からないが、外見は完全にイリヤだ。となると、俺はあの子と戦えるのだろうか。できれば、何とか話し合いで解決したい。それでも、戦う可能性があるなら……

 

「なあ遠坂。そうなる可能性は考えたくないけど、もしそうなるなら……」

 

「言いたい事は何となく分かるわ。あいつが英霊の力を持ってるとしたら、対抗できるのは……」

 

「同じ英霊か、もしくはカレイドの魔法少女だけ、という事になりますわね」

 

「……分かったわよ。はい、【アーチャー】のカード」

 

「ありがとう。まあ、できれば、使わずに済めばそれが一番いいんだけどな」

 

俺の言いたい事を理解した遠坂は、ポケットからアーチャーのカードを出して俺に渡してくれた。このカードは【限定展開(インクルード)】では役に立たない。英霊化できる俺が使うのが一番効率がいいと。

 

「とにかく、まずはあの黒いイリヤが何なのかを突き止めないとね」

 

「ですわね。現状では何一つ分かりませんし。どう対処するかも、情報を集めなくては」

 

そういう事になった。まず、あの黒いイリヤを探す。そして、色々と調べる。どんな存在なのか。話し合いは可能なのか。戦いになるのか。それらを知る為にも、まずはあの子を見つけないと。

 

作戦会議は終わり、朝のホームルームへ向かう俺達。その途中で、俺はあのイリヤの事を考える。どう対処するかではなく、自分があの子をどうしたいのかを。その答えは、あの時に出ていた。

 

昨日のあの時。あの子は、最後に俺を見てきた。逃げる瞬間、反転する直前に。その目が、何かを必死に訴えているようだったんだ。まるで、俺に何かをして欲しいというような目で見てきた。

 

縋るようなその視線に、俺はイリヤの姿を見た。イリヤも、俺に助けを求める時にあんな目をするんだ。その目を見た瞬間から、俺はあの子を他人だとは思えなくなっていた。助けたいと思った。

 

こんな事を思っているのは、きっと俺だけなんだろうな。もし皆に言えば、くだらないと言われてしまうかもしれない。イリヤと同じ外見に惑わされて、妄言を言っているだけと思われるだろう。

 

それでも、あの目を無視するという事だけはどうしてもできなかった。何故なら、俺はお兄ちゃんだから。イリヤのお兄ちゃんだから。イリヤと同じ外見と目をされてしまったら無視できない。

 

自分でも馬鹿だと思うけど、これはもうどうしようもない事なんだ。だから……密かに俺は誓う。あの子と、ギリギリまで話し合ってみようと。例え戦う事になったとしても、最後まで諦めずに。

 

その為にも、また俺に力を貸してくれよ、アーチャー……アーチャーのカードを握りしめて、俺はそう呼びかけた。その声がきっと、あの英雄の背中に届いていると、そう確信しながら―――

 

…………………………………………………

 

「えっ、イリヤが保健室に運ばれた?」

 

「そうらしい。行ってやれ、衛宮」

 

「ありがとう一成。行ってくるよ」

 

昼休み。俺の親友である一成が、イリヤが保健室に運ばれて、寝ていると教えてくれた。どうも、藤村先生(イリヤのクラスの担任であり、俺が所属する弓道部の顧問)経由で聞いたらしい。

 

保健室というと、例の保険医、折手死亜(おるてしあ)華憐(かれん)先生がいる場所だ。色んな意味で心配だ。何か怪我をしたのかとか、具合が悪くなったのかとか、そして、あの先生に何かされていないかとかな!

 

人を外見で判断するなとは良く言うが、あの人の場合は行動と言動が信用できない。外見は普通に真面目そうなのがまた質が悪い。あの名前もふざけてるけど、一番ふざけてるのは行動と言動だ。

 

いつだったか、あの人がこう言っているのを聞いた事がある。

 

『私が保険医をしているのは、怪我した子供を間近で見るのが楽しいからよ。だから、健康な子供に用はないの。元気になったのなら、迅速に保健室から出ていきなさい。仕事の邪魔だから』

 

……ってな。信じられるか? 部活で少し怪我をした後輩を保健室に連れて行ったら、治療の後にこう言われた。俺も後輩も、暫く呆然と立ち尽くしてしまった。この人、早く何とかしないと。

 

それだけじゃない。クラスカードの騒動の時の一件。怪我が大した事ないのにベッドに居座る俺が気に入らなかったあの人は、怪しい薬を投与して無理矢理自分好みの病人に変えようとしていた。

 

そんな人に大事な妹を預ける事に、俺が不安になるのも分かるだろう。そんな不安に胸を締め付けられながら、俺は保健室へと急いだ。さすがに廊下を走る事は自重したが、それでも急いだ。

 

「イリヤ、大丈夫か? 特に、華憐先生に何かされなかったか?(ぼそっ)」

 

「あ、お兄ちゃん。え、えっと……後半の小声の部分は、先生がいないから大丈夫だよ」

 

「怪我の方も、大した事はありません」

 

「そうか。どっちも良かった。先生がいたら、二重の意味で心配になるところだったよ」

 

怪我が大した事がなければ、あの人はぞんざいに扱い、その怪我を酷くする為に何かしかねない。ここまで思う俺も酷いけど、それはあの人の普段の行いが悪い。原因を作ったのはあの人だ。

 

「それで、どうかしたのか?」

 

「えっとね。実は今朝から、変な事が起こってて……」

 

「変な事?」

 

今朝は部活の朝練があったし、遠坂達と黒いイリヤの事を話し合いたかったから、イリヤ達よりも早く登校していた。イリヤ達の話によると、その登校途中に変な事が起こり続けていたらしい。

 

「上から植木鉢が落ちてきたり、トラックに轢かれそうになったり……」

 

『面白いのになると、黒猫とカラスに同時に襲われたりもしましたよ』

 

「面白くないよ! すっごく痛かったんだから!」

 

「そ、そうか……」

 

だから、イリヤの髪が乱れているんだな。今挙げたものはほんの一例らしく、他にも色々と大変な事が起きたらしい。確かに、妙な話だ。一歩間違えば、イリヤの命が危なかったかもしれない。

 

「ほんと、もう今日は早退しようかな……」

 

「大分疲れてるな、イリヤ」

 

『そりゃあもう。芸人も真っ青でしたからね』

 

「私も、ずっと傍で見ていましたが大変そうでした」

 

イリヤは、もう勘弁して欲しいという感じだった。登校の時だけじゃなく、授業を受けている最中も奇妙な事は続いたそうだから、その気持ちも分かる。俺はイリヤの頭を優しく撫でてやった。

 

「もーっ! なんなのよーっ! ぶっ!」

 

ついに我慢できなくなったらしいイリヤが、両手を上げて叫んだ時だった。開いている保健室の窓から何かが飛び込んできて、イリヤの顔面に命中した。何かと思って見てみれば、ボールだった。

 

サッカーボールが、物凄い勢いでイリヤの顔面に命中していた。しかも、その勢いは未だに衰えておらず、イリヤの顔に当たったまま回転を続けている。うわぁ……これは、相当痛そうだった。

 

「イ、イリヤ……大丈夫か?」

 

「痛そう……」

 

『ぷくくく、最高ですよイリヤさん。やはり、貴女は素晴らしい』

 

「……」

 

ルビーだけは、相変わらず酷かった。イリヤは、無言で体を震わせている。どうやら、怒りが爆発しそうになっているらしい。と、イリヤの顔に当たったまま回転していたボールが破裂した。

 

ぱあん、と物凄い音が響き渡り、破裂したボールの破片がイリヤの周囲に散らばる。その光景は、色々と悲惨だった。イリヤの顔は陥没し、真っ赤になっている。かける言葉が見つからない。

 

「うがーっ!」

 

『あははは!』

 

ついに、イリヤは爆発した。それを見て、大爆笑するルビー。イリヤは、そんなルビーを床に叩き付けて、保健室から飛び出していく。ちょ、おい! 無防備でどこに行くつもりだイリヤ!

 

嫌な予感がした俺は、美遊と共にイリヤを追いかける。ちなみにルビーは、俺が回収して持っている。ルビーがいないと、いざという時に魔法少女に転身できないからな。イリヤはもういない。

 

相変わらず足が速いな。前方の遥か先を走るイリヤの背中を追いかけて、俺達は走る。廊下を走るのはルール違反だけど、今回だけは見逃して貰おう。イリヤは、校舎を出て外へと走っていく。

 

「もしかして、早退してるつもりなのかイリヤは?」

 

「かもしれませんね。色々と限界で、早く逃げたかったのかも」

 

鞄とかは、まあ美遊か俺にでも任せるつもりなのかもしれないが。こうして二人とも後を追いかけてるので、それもできそうにないけどな。そんな事を話していると、イリヤの上から何かが……

 

「イ、イリヤ、上だ!」

 

「えっ、みぎゃあっ!?」

 

俺の叫びが聞こえたのか、イリヤは足を止めて上を見た。そして、『それ』を確認した瞬間に横に跳んで回避していた。イリヤの頭上から降ってきたのは、棒みたいのを持った黒い人影だった。

 

「あ、あれは……」

 

「昨日の!?」

 

俺と美遊が、やっと追いついた。そして、目撃する。そこにいたのは、昨日の黒いイリヤだった。持っていた棒みたいな物は、ランサーの朱い槍だったのだ。彼女は、不満そうに膨れている。

 

「むう……これでも駄目か」

 

『喋った!? 喋りましたよこの子。黒化英霊ではありません!』

 

ルビーの言う通りだった。黒いイリヤは、はっきりと言葉を喋った。その事に驚きながらも、俺は内心で喜んでいた。つまり、話が通じない相手ではないという事だ。イリヤを殺そうとしたけど。

 

『イリヤさん、意思の疎通を図ってみましょう!』

 

「えっ、えっとお……ワ、ワタシナカマ。テキジャナイ」

 

何だ、このコントは。ルビーの意見には賛成なんだが、明らかに面白そうという意思が見え隠れしているし、イリヤはイリヤでペロペロキャンディーを差し出しながら何故か片言で話しかける。

 

というか、どこに持ってたんだよ、そのペロペロキャンディー。それを差し出された黒イリヤは、額に青筋を浮かべている。当然の反応である。馬鹿にされているようにしか見えないもんな。

 

「って、うきゃあっ!?」

 

「また躱した……ランサーのスピードで攻撃してるのに。やっぱり、無駄に幸運と直感のランクが高いのね。なるべく自然にやっちゃおうと思ったんだけど、朝のも全部ギリギリで回避されるし」

 

「あ、朝って……じゃあ、あのトラックとか植木鉢とかは全部……」

 

「って、呑気にコントを見学してる場合じゃなかった! イリヤ!」

 

ペロペロキャンディーを差し出すイリヤに、呪いの槍を突き出す黒イリヤ。イリヤはその鋭い一撃を、体を捻って何とか躱した。その光景に我に返った俺は、イリヤにルビーを投げ渡した。

 

「あ、ありがとうお兄ちゃん!」

 

ルビーを受け取ったイリヤは、即座に転身する。美遊も転身したので、俺も仕方なくアーチャーのカードを使って変身した。言葉は話せるみたいだけど、いきなりイリヤを攻撃してきたからな。

 

「……お兄ちゃん」

 

「と、とにかく、人気がない場所に行くぞ!」

 

「う、うん!」

 

「分かりました!」

 

イリヤは空を飛び、美遊は魔力の足場を踏みつけて空を駆ける。俺は英霊化した身体能力で、家の屋根を跳ねて移動を開始する。すると、黒イリヤも俺と同じようにして、後を追いかけてきた。

 

「ピョンピョンしながら追いかけてくる!?」

 

『やっぱり、あいつ英霊の……というかランサーの能力を持っているようですね』

 

「は、速い。さすがはランサーの英霊の力ですね」

 

美遊の言葉通り、黒イリヤはかなり速かった。アーチャーよりも速さは圧倒的に上らしい。速さで振り切る事は、どうもできそうになかった。そうして逃げていると、前方に丁度いい林があった。

 

「よし、あそこなら周囲に迷惑は掛からないだろう」

 

「あそこで迎え撃つんですね?」

 

「……まあ、そんなところだ」

 

迎え撃つ、か。美遊の言葉に、俺は歯切れの悪い返事を返す。彼女と戦う事を前提とする事に抵抗感があるからだった。とはいえ、このまま黙って見ているという訳にもいかない。ジレンマだな。

 

「行くよ、【砲射(フォイア)】!」

 

そんな事を考えていると、イリヤが攻撃を開始してしまった。空にいる黒イリヤに向かって魔力砲を撃った。それは真っ直ぐに黒イリヤに向かう。空中にいてはあれを躱す事はできない。だが……

 

「ふん」

 

「……あれ?」

 

『これは……』

 

黒イリヤは、向かってきた魔力砲を、片手でべしっ、と弾き返してしまった。おいおい。これは、一体どういう事だ? イリヤの魔力砲は、以前に比べると随分と小さく、威力も少なかった。

 

『ちょっ、イリヤさん。幾らなんでも手加減しすぎですよ! もっと魔力を込めてください!』

 

「こっ、この! 【全力砲射(フォイア)】!」

 

「へーい」

 

ルビーの言葉に、ムキになったイリヤが再び魔力砲を発射する。だけど、今度の魔力砲も以前とは比較にならないほど小さかった。そして、黒イリヤはその魔力砲を、槍でイリヤに打ち返した。

 

「な、何でえええええっ!?」

 

『な、なんかイリヤさんの出力が激減してます! めっちゃ弱くなってますよ!』

 

「これは……」

 

幾らなんでも、これはおかしい。そして、黒イリヤはそれを見て意味深に笑っている。

 

「そっか。弱くなってるんだイリヤ。まあ、当然よね。だって私はここにいるんだから」

 

「な、何を言って……」

 

どういう意味なのか。この口ぶりからして、イリヤの弱体化と黒イリヤの出現には何らかの因果関係がありそうだ。だけど、今はそれを考えている暇はない。イリヤの危機が迫っているんだ。

 

「好都合だね。このまま一気に殺させてもらうわ!」

 

「ひいいいいい!」

 

イリヤに迫る黒イリヤ。弱くなっているイリヤになす術はない。ここで我慢の限界を迎えた俺は、黒イリヤの進路上に【赤原猟犬(フルンディング)】を撃ち込んだ。体には命中させないように、狙いを定めて。

 

「っと」

 

「そこっ! 【砲射(シュート)】!」

 

俺の矢で足を止めた黒イリヤに、美遊が魔力砲を撃ち込んだ。完璧なタイミングだった。だが……

 

「あははっ、当たらないよ♪」

 

「そんな!?」

 

黒イリヤは、体を捻りながら上空に跳んで、美遊の魔力砲を回避した。今のを躱すなんて、どんな身体能力だ? 美遊は、悔しそうにしながらも次の攻撃の為に魔力を込めた。連続攻撃する気か。

 

「これならどう? 【速射(シュート)】!」

 

「わ、私も! 砲射が駄目なら……【斬撃(シュナイデン)】!」

 

「無駄だってば。私が視認してる限りね」

 

美遊がマシンガンのような魔力砲を放つ。そして、それと同時にイリヤも、魔力を薄い刃状にして威力を底上げした攻撃を放つ。しかし、黒イリヤは、それをあざ笑うかのように悉く躱していく。

 

素早いだけでは、とても説明がつかない。イリヤと美遊の同時攻撃すら、この黒イリヤには通用しないというのか。幾らなんでも、これは普通じゃない。まるで、攻撃を読み切っているようだ。

 

それに、今の言葉。『私が視認してる限り』だって? まるで、見えている攻撃ならどんなに連続で撃たれても躱せると言ってるようだ。だったら……俺は戦場から離れて、見えない場所に行く。

 

「……かなり手加減して……【赤原猟犬(フルンディング)】!」

 

「なっ!?」

 

木の枝の上に立ち、木の葉で身を隠して、俺は手加減した赤原猟犬(フルンディング)を撃ち込んだ。すると、イリヤと美遊の同時攻撃すら軽々と躱していた黒イリヤは、俺の攻撃を回避する事ができなかった。

 

「いった~……さすがお兄ちゃん。嫌なとこ突いてくるなあ。もう私の弱点見切っちゃったんだ。ああ、そんな所もかっこいいなあ……それに、私に怪我させないように手加減してくれるなんて」

 

「なっ!? は、ははははは裸っ!?」

 

「士郎さん……」

 

「い、いや違う! 別に脱がせるつもりじゃ!」

 

「うふふ、お兄ちゃんのエッチ♪ 妹の裸に興味があるの?」

 

「なっ、違うぞイリヤ! って、いや君はイリヤじゃ……」

 

どうしてこうなった!? こんな事をするつもりは、全然なかったのに! それに、イリヤの顔でお兄ちゃんって呼ばれるとさらに混乱する。まるで、本当にイリヤを脱がせてしまったようだ。

 

場を満たしていたシリアスな雰囲気が、一気に霧散していく。美遊の視線が痛い! イリヤ、そんな目で見ないでくれ! 俺は、お前を脱がせるつもりはなかったんだ! ああ、何だこれ!?

 

「お兄ちゃんに免じて、今日はこれくらいにしておいてあげる。でも、次は殺すからね。だから、覚悟しておいてお姉ちゃん♪ それじゃあねーっ! お兄ちゃんも、またね♪ 次は二人で……」

 

「お兄ちゃんから離れて! そして、服を着てっ! これ以上私の悪評を広めないでーっ!」

 

混乱する俺の横に黒イリヤが着地して、甘えた声を出した。そして、イリヤの最後の攻撃を華麗に躱して、風のように去って行った。イリヤの叫び声だけが、空しく周囲に響き渡ったのだった……




こんな感じでどうですか。イリヤと美遊の攻撃を躱していたのは、当然矢避けの加護です。

そして、クロの外見の理由。何故兄貴のカードなのに肌が浅黒いのか。
これは、FGOをやってない人には分からないでしょうが、クー・フーリン・オルタの要素です。
分からない人は、クー・フーリン・オルタで調べてみてください。

服装も、オルタニキ(フーリン・オルタの通称)みたいな感じです。
腹の模様も、オルタニキにあるやつです。身体能力増強のルーン(多分)です。
なので、普通のランサー夢幻召喚より強いです。
クロの魔術知識と小聖杯の力を使って、ルーンで強化しています。

他にも、この作品ならではのクロの戦い方を出していきますので、お楽しみに。

それでは、感想待ってます。

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