錬鉄の英雄 プリズマ☆シロウ   作:gurenn

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タイトルは、『せいまいせんそうかっこかり』と読みます(笑)。
イリヤ達の戦いをご覧ください。


聖妹戦争(仮)

【士郎視点】

 

「う~ん……」

 

「え、衛宮君。どうかしたの?」

 

「いや、何か妙な殺気というか、そんなものを感じるんだ。変な事ばかり起きてるし」

 

日曜日。以前からの約束通り、森山奈菜巳の買い物に付き合っている最中だった。まずは、洋服を買いたいという事で、駅前の服屋に向かっているところなのだが、どうもおかしな迫力を感じる。

 

それだけじゃない。さっきからどうも変な事が連続している。爆発音のようなものが聞こえたり、自転車にぶつかりそうになったり、カラスに襲われたり、地面に急に割れ目ができて躓いたり。

 

飲食店の前の看板が倒れてきたりもした。どれも些細な事ばかりで、俺も森山も怪我をする事はないが、楽しい気分は阻害されている。偶然と片付けるには、頻繁に起こりすぎてる事も問題だ。

 

駅前の服屋までは、歩いて5分足らず。にも拘わらず、それらの出来事が起きている。これは、もしかして魔術が関わっているんだろうか。だとしたら、魔術協会って組織の魔術師の攻撃か?

 

俺がアーチャーのカードを使っている事がバレて、問題が起きているのでは? いや、でもそれにしては、攻撃がどれもショボすぎる。現に俺達は怪我一つしてないし。俺の思い過ごしなのかな。

 

「あ、衛宮君。洋服屋さんに着いたよ」

 

「本当だ。じゃあ入るか」

 

「うん」

 

気にしても仕方ないか。俺の気のせいかもしれないしな。もしかしたら、今日はたまたま運が悪いだけとも考えられる。この圧迫感も、最近の出来事でナーバスになっている影響かもしれない。

 

「じゃあ衛宮君。私に似合いそうなお洋服を選んでくれる?」

 

「分かった。そういうセンスはないけど、頑張ってみるよ」

 

俺は頭の中で、身近な女性を思い浮かべながらサンプルを得る。まず、リズ。リズはラフな格好が多くて、森山には似合いそうにない。なら、今度はセラ。セラはなんというか、所帯じみている。

 

こう言ってはなんだけど、主婦が着ている服みたいな物が多くて、やはり森山のような女子高生には似合わない。ならイリヤはどうだろうか? イリヤがいつも着ているような服を思い浮かべる。

 

可愛いとは思うが、少し子供っぽいかな。森山のサイズに合う服で重ねてみる。う~ん……どうもイメージが合わないな。似合う気もするんだが、どこかが違う。そこでふと、森山を見てみた。

 

「えと……何かな、衛宮君。似合いそうな服のイメージができた?」

 

「いや、まだなんだけど……あ!」

 

「どうしたの?」

 

「いや、その……気にしないでくれ。ははは」

 

「?」

 

森山を見ている内に、違和感の正体が分かった。分かったのだが、それを口にする事は俺にはできなかった。何故なら、その違和感の正体は胸だったからだ。森山は、言いにくいが、胸が大きい。

 

それに対して、イリヤはぺたんこだ。いや、年齢を考えれば当然の事であり、胸が成長する望みがまったくない訳でもないんだが。あくまで現時点で、イリヤの胸は小さいんだ。あれ、寒気が……

 

と、とにかく! イリヤのイメージにも合わない。ならば、他には? 体型的にはルヴィアが近いけど、ルヴィアが着てるような洋風のドレスでは森山のイメージには合わない。これも違うな。

 

遠坂はどうだろうか? そう思って思い浮かべてみるけど、やはり違和感が半端じゃない。性格が違いすぎるのもあるし、体型も違う。う~ん、中々イメージサンプルに合う知り合いがいないな。

 

「いや、待てよ……」

 

いた。森山に体型が近くて、性格や好み、イメージが合いそうな子が。弓道部の後輩であり、友達の間桐慎二の妹である間桐桜だ。桜なら森山に合うサンプルになりそうだ。えっと、桜の私服は。

 

「これとかどうだ?」

 

「わあ、可愛い♪ さっそく試着してみるね」

 

どうやら気に入ってくれたらしい。桜が着ていた私服に近い服を薦めると、森山は柔らかい笑みを浮かべて試着室へと入っていった。試着室の前で、手持無沙汰に待つ事数分。森山が出てきた。

 

「ど、どう? 衛宮君」

 

「……」

 

「あれ、衛宮君? えっと……似合わない、かな?」

 

「いっ、いや、そんな事はないぞ! うん、似合ってる……痛っ!」

 

出てきた森山に思わず見惚れてしまい、少しの間何も喋る事ができなかった。森山が着てるのは、白色のキャミソールと薄紅色のカーディガン、そして薄黄色のロングスカートといった物だ。

 

前に桜が着ていた私服に近くて、清楚で柔らかい雰囲気が森山によく似合っていた。我に返ってそれを言った瞬間、後頭部に何かがぶつかった。頭を摩りながら振り向いてみるが、誰もいない。

 

何がぶつかったのかと周囲を見回してみるが、それらしき物もない。どういう事だ? 確かに何かが当たった筈なんだが……森山に確認してみるが、森山も何も見えなかったと言った。何なんだ?

 

「不思議な事があるんだね」

 

「う~ん……それで片付けていいものなのかな」

 

やっぱり、何か妙な迫力というか、殺気のようなものを感じる気がする。気のせいと思いたいが、何かがぶつかった痛みがまだ頭にあるからな。首を傾げながらも、もう何点か洋服を選んだ。

 

「さて、他に何かあるか?」

 

「えっと……うん」

 

洋服の会計を済ませ、他に買う物があるかを尋ねると、森山は何故か顔を赤くして俯いてしまう。その反応の意味が分からず、俺は首を傾げる。まあ、とにかくそれを聞かないと話にならない。

 

「次は何だ?」

 

「……ぎ」

 

「ん?」

 

「……し……ぎ」

 

「えっと、ごめん森山。聞こえない」

 

それについて聞いてみると、森山はさらに顔を赤くして下を見る。そして、ぼそぼそと聞こえない声量でそれを口にした。これではどうしようもないと思った俺は、少しだけ強めに聞いてみた。

 

「だから、その……下着! 今のじゃサイズが合わなくなって……その……」

 

「っ!? あ、ああ……成る程な……」

 

すると、ついに森山ははっきりとした声量でそれを口にした。しかし、それは俺の予想を超えた物だった。だから恥ずかしそうにしてたのか。納得した。でも、サイズが合わなくなったって……

 

「その……どの部分が?」

 

「っ……ど、どっちも……つまり、上も下も入り難くなって……」

 

「あ、ああ~……そうなんだ……」

 

何だこの生々しい会話は! 男が聞いても、未知の領域過ぎて訳が分からない。女の家族が多い俺ではあるが、さすがにその話題は理解できない。相談された事もないし。って、当たり前だろ!

 

「あ~っと……なら、俺は店の外で荷物持って待ってるから……」

 

「ま、待って衛宮君!」

 

周囲の視線も気になり始めたので、早めに退散しようと今買った洋服を手に店の外に出ようとしたのだが、何故か森山に呼び止められてしまった。右手の袖を摘みながら、森山は顔を赤くする。

 

「その……できれば、下着選びにも付き合って貰いたいんだけど……」

 

「はあっ!?」

 

変な声が出てしまった。いや、だってそれはまずいだろ色々と! 森山の言葉に大混乱する。森山は恥ずかしさで限界寸前という顔をしながらも、俺の顔を見つめてきた。うわ、何だよこれ!?

 

「せ、折角だから、男の子の意見も聞いてみたいのっ……!」

 

「い、意見って……」

 

どうすればいいんだ。混乱する俺は、動けずにいる内に森山に引っ張られて歩き出した。向かう先は勿論、下着売り場方面だ。あの、まだ行くとは一言も言ってないんだが……とは言えなかった。

 

何故なら、俺を引っ張る森山が、沸騰寸前という顔をしているからだ。もう何も聞かないでと無言で言われたようで、これ以上何かを言う事ができなかったんだ。結局、俺は抵抗できなかった。

 

そうして引っ張られていく最中、さっきから感じていた殺気が膨れ上がったような気がした。

 

…………………………………………………

【イリヤ視点】

 

「あ、あの女っ……」

 

「下着を選ばせるですって? はっ、彼女気取りですかあ?」

 

「……」

 

上から順番に、私、クロ、美遊の反応である。私達の背後には炎が立ち上っていた(イメージ)。さっきからの二人のやり取りで、私達は爆発寸前だ。私も美遊も、服はそのままに転身していた。

 

髪を結ぶ飾りが、魔法少女の姿の時と同じだ。この力で色々とデートの妨害をしていた。クロも、ルーン魔術を使っている。前に私にやったような事をやって、二人の雰囲気を壊していたんだ。

 

私達は、あの女を見ながら額に青筋を浮かべている。むしろ、ここまで良く我慢したと褒めて貰いたい。だって、あの女は見た目に似合わず積極的で、お兄ちゃんと腕を組もうとしたりしていた。

 

あの時私が魔力砲で店先の看板を倒さなければ、その試みは実行に移されていただろう。このままこのデートを放っておいたら、あの女はどこまでやるか分かったものじゃない。そう確信した。

 

そもそも、これからやる事は自分の下着をお兄ちゃんに選ばせるというとんでもない内容だ。クロが言う通り、あなたは彼女気分ですか? そんな事は、絶対に認める訳にはいかない。絶対にだ!

 

「後を追いかけるよ」

 

「当たり前でしょ。これ以上、何かさせるもんですか!」

 

「……うん」

 

『いや~、実に面白い……もとい、大変な事になってきましたね』

 

『大変なのは私達の状況だと思いますが……』

 

お兄ちゃん達の後を追って、私達はランジェリーショップに向かった。この建物は、ビルになっていて、その中に幾つかのお店が入っている。そしてランジェリーショップは、この上の階だ。

 

お兄ちゃん達に見つからない距離を保ちながら、慎重に後を追いかける。お兄ちゃん達が、目的のランジェリーショップに入っていく。私達も、店の中が見える場所で座り込んだ。そして……

 

《も、森山……さすがに、この店には居辛いんだが……》

 

《だ、大丈夫だよ。私の傍を離れないで。そうしてれば、不審に思われないから》

 

つまり、恋人に見えるって事でしょ? くっ、確かに、そう見える! 見たくもない光景だった。そう思ったのは私だけじゃないみたいで、クロがカードになにかを描いてお兄ちゃんに投げた。

 

すると、二人の横にある棚が倒れて二人を物理的に引き離した。ナイスだよクロ! 親指を立ててみせると、クロは得意げに笑った。またルーン魔術を使ったのだろう。物を動かす程度のやつを。

 

「現在風に言えば、念動力かしらね。移動のルーンよ」

 

本気で使えば、岩を動かして敵にぶつけたりもできるらしい。厄介だね、それは。敵として使われたら、色々と応用ができそうで怖い。二人は近くにいるけど、さっきみたいに密着はしていない。

 

《そ、それじゃ、選んで衛宮君》

 

《そんな事言われてもさ……えっと……》

 

《じゃ、じゃあ、色は? 衛宮君は、何色が好き?》

 

《い、色か? えっと……特に考えた事ないからな……》

 

《単純に浮かんだ色とか……》

 

《浮かんだ色……銀……いや、でも下着に銀色はないよな。ははは、何言ってんだ俺……》

 

《その色、何を思い浮かべたの?》

 

《へっ? その……い、妹の髪……》

 

「いっ!?」

 

「むう……どっちの妹よ、お兄ちゃん」

 

「士郎さん……」

 

何の話をしてるの!? 妹の髪って、私の髪の事!? お兄ちゃん、下着選びで私の事を思い出したって事? それって、なんていうか恥ずかしすぎるんだけど! 聞こえてきた会話に混乱する。

 

《そういえば、衛宮君って妹さんがいたんだよね。私にもいるんだよ》

 

《へえ。森山の妹か。もしかしたら、俺の妹と友達かもしれないぞ?》

 

《まさか。幾らなんでも、そんな偶然はないと思うよ?》

 

《分からないじゃないか。妹さんって、何歳?》

 

《10歳……かな?》

 

《俺の妹も10歳だよ》

 

《そうなんだ。うふふ、凄い偶然ね》

 

《そうだな》

 

ちょっと待って! 下着の色の話題から和気藹々と妹の話に移行しないでよ! 恥ずかしすぎるんだけど。話のダシにされる私の気持ちを考えてよ。なにこの展開? さらなる会話に目を回す。

 

結局、それからは早めに下着を選び終わって(お兄ちゃんが早く終わらせたがったので)、二人はお昼ご飯を食べるという話になった。買った物を駅のコインロッカーにしまって、公園に向かう。

 

《お弁当を作ってきたからさ》

 

《衛宮君が作ってきてくれたの?》

 

《ああ。迷惑だったか? 食べたい店があったとか》

 

《う、ううん! そんな事ない。凄く嬉しいよ。ただ、私は何も持ってこなかったから……》

 

《そんな事気にするなよ。俺が勝手に作ってきたんだからさ》

 

《衛宮君……》

 

くっ、この二人、またいい雰囲気になってる。お兄ちゃんの天然たらしぶりも凄いけど、相手の女も凄い。なんていうか、狙ってやってるんじゃないのって思ってしまう。なんて言うんだっけ?

 

「あざとい、かしらね」

 

「そっか、それだ」

 

「……見てるとムカムカするね……」

 

『あれが天然だとしたら、凄いですよね』

 

『恐らくそうでしょうね。わざとらしくも見えますけど』

 

あの女の様子を見ていると、イライラしてしかたない。お兄ちゃんへの熱視線も凄いし、やっぱりあの女は私達の敵だ。凛さんとルヴィアさんも、きっとなにかしらの気持ちを抱いてるんだろう。

 

二人は公園のベンチに腰かけて、お兄ちゃんの持ってきたお弁当を広げる。相手の女はそれを見て驚きながらも、嬉しそうに顔を綻ばせている。くっ、お兄ちゃんにとっては、最高の反応だ。

 

《凄いね、これ全部衛宮君が作ったの?》

 

《ああ。遠慮なく食べてくれ》

 

二人で仲良く同じお弁当をつつく。その様子は、なんというか物凄く似合っていた。思わず、衝動的に魔力砲を撃ち込んでしまいたくなったけど、それは我慢だ。お兄ちゃんのお弁当に罪はない。

 

「ちっ、邪魔できないわね……」

 

「うん。さすがに、お兄ちゃんのお弁当を台無しにする訳にはいかないし……」

 

「一体どうすれば……」

 

大きな怪我をさせる訳にはいかないし、なにもできない。そう思っていると、視界の隅に野良犬を見つけた。クロに視線を送ると、クロは複雑そうな顔をしていた。え、なにその反応? 犬嫌い?

 

「別にそんなんじゃないけど……まあ、私自身が犬に対して思う事は特にないわね」

 

「あの犬を利用できないかな?」

 

「……どうやって?」

 

「分からないけど……」

 

クロの反応は分からないけど、あの犬でなんとかして邪魔ができないかと考えてみる。するとまたクロがカードになにかを描き始めた。今度はなにをするつもりだろう。クロがカードを投げる。

 

「伝達のルーン。私の意思を、あの犬に伝えたのよ」

 

「ルーンって、幾つあるの?」

 

「18個よ。それらを組み合わせて使う事で、さらに応用の幅が広がるの」

 

へえ。戦闘に使わないルーンも幾つかあって、それらの応用で色々とできるらしい。クロになにかを命令された野良犬は、お兄ちゃん達の所に走って行った。そして、二人の足元にすり寄った。

 

《ん? もしかして、弁当を分けて欲しいのか?》

 

《可愛いね》

 

二人の注意が、お互いから犬に逸れた。よし、上手くいった。お兄ちゃんは犬好きだし、あの女もそうらしい。楽しそうな雰囲気はそのままだけど、甘い雰囲気はなくなった。いい感じだった。

 

やがてお弁当を食べ終わった二人は、次はどうするかを話し合っていた。私達的には、もう今日はここまでにして欲しいと思うんだけど、やっぱりあの女はそうじゃないらしい。くっ、この……

 

《もう少し付き合って貰っちゃ駄目かな?》

 

《俺としては別にいいけど。そうだ。この近くに、水族館があるよな。あそこに行くか?》

 

《うん、行きたいな》

 

「なっ、水族館!?」

 

「くっ、そんな雰囲気がある所に。お兄ちゃんにしては気が利きすぎじゃない?」

 

「誰かに相談とかしたのかも……」

 

そうかもしれない。誰か知り合いの女の子に、今日の事を相談した? きっとその子は自分が誘われると思っていたのかもしれない。お兄ちゃんらしい肩透かしだ。その様子が簡単に想像できる。

 

「……こうなったら、多少過激にでも妨害した方がいいかもね」

 

「……水族館に行かせる訳にはいかないしね」

 

「……うん。怪我させないギリギリで……」

 

『わお、この子達ってば、ついに限界に達しましたかね?』

 

『姉さん、そう思うなら止めてください! 美遊様、落ち着いてください』

 

「大丈夫だよサファイア。私は落ち着いてる。だから、怪我はさせないよ」

 

『そうではなくてですね!』

 

怪しまれてもいい。それでも、あの二人のデートを邪魔しないと。私達の意見は一つだった。公園から出て行こうとする二人を追いかけた。そして、全力で妨害を始める(怪我させない程度に)。

 

…………………………………………………

【士郎視点】

 

「うわっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

もう気のせいじゃない。間違いなく、俺達は誰かに襲われていた。地震みたいに揺れたり(何故か俺達の周囲だけ)、急に火の手が上がったり、衝撃波みたいなので吹き飛ばされそうになったり。

 

殺気みたいなのも増している。やはり魔術的な攻撃だ。あんなに局所的な地震があってたまるか。俺と森山は立っていられないほど揺れてたのに、周囲の人間はポカンとした表情を浮かべていた。

 

くっ、やっぱり魔術協会ってやつの仕業なのか!? だとしたら森山を巻き込む訳にはいかない。森山だけでも家に帰すべきだろうか。でも、もし逃がした森山の方を攻撃されたらどうなる?

 

でも、それにしても妙だった。攻撃はあからさまになってきたが、依然として俺も森山も怪我をする事態には陥っていない。手加減しているのか? どうして? 分からない事だらけだった。

 

一般人だからだろうか。遠坂とルヴィアも、一般人を巻き込むような事はしないし。あくまで喧嘩をしない時だけどな。以前、二人の喧嘩に巻き込まれて倒れた森山を思い出しながらそう思う。

 

「くそっ、せめてどこから攻撃されてるのか分かれば……」

 

「え、衛宮君。なんだろうね、これ!?」

 

「分からない。とにかく、俺から離れるなよ」

 

「……う、うん……」

 

あれ。森山は、顔を真っ赤にして俯いてしまった。何だその反応。と思っていた時だった。

 

「お兄ちゃんから離れて!」

 

「あ、こら馬鹿イリヤ!」

 

「ダメッ……!」

 

「は?」

 

電柱の陰から、イリヤが飛び出してきてそう叫んだ。すると、反対側の電柱の陰からクロ、道路脇の木の中から美遊が出てきた。そして、イリヤを二人で押さえ込んだ。同時に、怪現象も収まる。

 

「……イリヤ、クロ、美遊……」

 

「あっ、しまった……」

 

「お、お兄ちゃん、顔が怖いよ?」

 

「……そ、その、これは……」

 

「えっと、何が起きてるの?」

 

幾ら俺でも、さっきまでの現象の元凶は理解できた。何故かは分からないが、イリヤ達が起こしていたんだろう。俺は縮こまる妹達の元に歩み寄った。そして、深呼吸するように息を吸い込む。

 

「イリヤ、クロ、美遊! 後でお説教だ!」

 

「わああん、ごめんなさいお兄ちゃん!」

 

「もうしないってば! だから許して!」

 

「……ごめんなさい……」

 

やれやれ、まったく手の掛かる妹達だ。まあ、原因が分かって安心したけどな。深刻な事態になっていなくて安心した俺は、必死に謝る妹達を見下ろして嘆息した。そして、笑みを浮かべた。

 

急におかしくなってきたからだ。今日一日、妹達のいたずらに怯えていたと思うと……

 

「くくく……ははは」

 

こんな出来事でも、原因が分かってしまえば笑い事だ。馬鹿みたいだよな、俺。何が魔術協会の刺客だよ。自分の間抜けさに笑いが込み上げてきたのだ。突然笑い出した俺に、皆がポカンとする。

 

「お兄ちゃん、なんで笑ってるの?」

 

「別に。ほら、森山に謝るんだ三人とも」

 

「「むう……ごめんなさい」」

 

「すみませんでした」

 

「えっと……どうして謝られてるの、私?」

 

気にするな。最終的には、皆で水族館に行ったのだった。いい休日だったな……




いかがでしたか? 今回の話は、東京レイヴンズの話を参考にしてます。
短編にあるデート回(?)なんですけど、それもヒロインが主人公のデートを妨害するんです。
無駄に凝った陰陽術を使って。面白いですよ。

クロのルーンは、こうやってオリジナルのルーンを出していきます。
他にも、先見のルーンとか考えてあります。戦いで敵の動きを読むルーンです。
アトゴウラも、原作では魔術効果はないそうですが、この作品では結界系の魔術です。

これからもこんな感じにオリジナルのルーンを出していくのでお楽しみに。

それでは、感想待ってます。
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