錬鉄の英雄 プリズマ☆シロウ   作:gurenn

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またお待たせいたしました。

パウンドケーキ対決は、訳あって飛ばしました。
理由は士郎の弁当対決を書けなかったからです。
どういう理由でどんな対決だったのか……
思い付きませんでした。すみません。

という訳で、ケーキ対決は原作をご覧ください。
今回はダメットさん登場回です。
それではどうぞ。


協会から来たる者

【士郎視点】

 

「ふあぁ……眠い……」

 

クロが衛宮家に加わってから一週間が過ぎた朝。俺は部活の朝練の為に、朝早く目覚めた。ベッドから起き上がり、鳴っている目覚ましを止める。どうやら今日は、クロは潜り込んでないらしい。

 

「……よし!」

 

寝起きの頭を目覚めさせるように両頬を叩いて、気合いを入れる。今日は土曜日。学校は休みだが部活はある。制服に着替えて部屋を出た。階下から、セラが朝食の準備をしている音が聞こえる。

 

俺は顔を洗う為に、洗面所を目指す。その途中、イリヤの部屋の前で一旦立ち止まり、そっと扉を開けた。寝ているだろうイリヤを起こさないように静かにベッドに歩み寄って、寝顔を見つめる。

 

「……ふっ」

 

とても幸せそうに眠るイリヤの姿に、自然と笑みが浮かんだ。昨日、イリヤとクロは家庭科の授業の調理実習で作ったパウンドケーキで対決した。その時、俺は最初の料理をした時を思い出した。

 

俺が最初に料理を作った時。上手く作れずに失敗してしまった肉じゃがを、イリヤは涙目になりながらも食べてくれた。不味いって言ってたのに、イリヤはそれを残さずに食べて笑ってくれた。

 

そんなイリヤのお陰で、俺はまた料理を作ろうと思う事ができた。もっとも、セラにはいい顔をされなかった訳だけど。そんな昨日の事を思い出しながら、眠っているイリヤの髪をそっと撫でる。

 

『本当に、士郎さんはシスコンですよね』

 

「っ!?」

 

その瞬間に、いきなり横からそんな言葉が聞こえてきて、俺はビクッと体を震わせた。かろうじてイリヤを起こさないように悲鳴を抑える事に成功しながら、俺はその声の主を恨めしげに見る。

 

「驚かせるなよ、ルビー。危うくイリヤを起こす声を上げそうになったぞ。あと、変な事言うな」

 

『だったら、こういう事を言わせるような行動をしないで下さいよ。自業自得じゃないですか』

 

その元凶、マジカルステッキのルビーと、小声でやり取りをする。こんなやり取りにも、いつからかすっかり慣れてしまった。二ヶ月前までは魔術の事なんてまったく知らなかったってのにな。

 

そう言えば、ルビーを見てふと思い出した。魔術なんて俺達には関係なかったと思っていたけど、実はこの衛宮家は魔術と深く関わりがあった事をつい一週間前に知った。なら、アイリさんは……

 

「……なあ、ルビー」

 

『何ですか?』

 

「確か魔術師ってのは、魔術協会っていう魔術組織に所属しているものなんだよな?」

 

『普通はそうですね。しかし、そうではない人達も結構いますよ。どこの組織にも所属していない魔術師もいますし、他の魔術組織に所属している魔術師もいます。とは言え、一番有名所ですが』

 

「そうなのか」

 

『どうしたんですか? いきなり魔術協会の事を聞いてきたりして。脈絡がないじゃないですか』

 

「いや、ちょっと気になってさ。一週間前までは知らなかったけど、(うち)は魔術と深い関わりがある家みたいだし。親父達が魔術師だったりしてな。なら、二人も魔術協会に所属してたのかなって」

 

『聞いてないんですか?』

 

「ああ。何だか聞きづらくて……」

 

考えてみれば、俺は魔術や魔術師について何も知らない。今まではそれで良かったが、これからはそういう訳にもいかないんだ。何故なら、クロの問題を解決する方法を調べないといけないから。

 

「遠坂達が調べてくれてるけど、二人にばかり頼る訳にもいかないだろ。俺の妹の事なんだから」

 

『はあ、真性のシスコンですね~』

 

「おいっ」

 

呆れたようなルビーの言葉に、俺は心外だという風に声を上げた。家族を大事にして何がいけないんだよ。シスコンという言葉は何というか、少し変な意味を連想させるだろ。言及は避けるが。

 

『それで、魔術の事を知りたいんですか?』

 

「まあそうだな。それで、手っ取り早く知るなら魔術協会について知らないといけないと思って。だから、ふと思ったんだよ。もしかしたらアイリさんも魔術協会の関係者だったのかなってさ」

 

『成程~』

 

「まあ、魔術協会について気になったのは他にも理由があるんだけどな。クロの事を知られたら、魔術協会の魔術師達はどうするんだろうとかさ。遠坂達はクロを消さないって言ってくれたけど」

 

何れにしても、魔術協会の事を知りたいと思ったのはクロの為だった。今のように無知なままでは予期せぬ事態に対処できない可能性がある。知らないという事は、それだけ危険な状態なんだ。

 

『そうですね。魔術協会に知られたら、クロさんも士郎さんも少しまずい事態になりそうです』

 

「あ……そっか。俺も危ないのか」

 

『士郎さん……ある意味凄いですね』

 

そう言われてもさ。ルビーの言葉で、俺もまた特殊な立ち位置にいる事を思い出した。アーチャーのカードを使って英霊の力を使える俺も、色々と面倒な存在だと遠坂達に言われてたんだった。

 

「それで? 魔術協会ってどんな組織なんだ?」

 

『教えるのは構いませんが、良いんですか?』

 

「何がだ?」

 

『結構長くなりますよ。士郎さん、確か今日は、部活の朝練があると言っていませんでしたか?』

 

「あ、そうか……じゃあ帰ってきてからだな」

 

この時もっと真剣に危機感を抱いていたら。後に俺は、そう後悔する事になる。時というものは、待ってくれない。いつ致命的な事態に陥るか分からないという事を、この時の俺は知らなかった。

 

…………………………………………………

 

「行ってきます」

 

「はい、行ってらっしゃい」

 

いつものようにセラの作ってくれた朝食を食べた俺は、朝練に向かう。玄関まで見送りに来てくれたセラに挨拶をして家を出た。何気なく空を見上げてみると、今日もいい天気になりそうだった。

 

梅雨も終わり、本格的な夏の陽気がここのところ毎日続いている。今は朝だからまだそんなに暑くないが、もう少ししたら夏の蒸し暑さを肌で感じる事になるだろう。そう考えて、ふと思い出す。

 

「もうすぐ夏休みだな。そう言えば、美遊を海に連れていく約束もしてたな。確か、イリヤ達の誕生日に行く事に決まったって言ってたっけか? なら、三人にプレゼントを買ってやらないとな」

 

以前美遊と約束した話は、いつの間にかイリヤの友達も一緒に行く事になっており、そちらで色々と予定とかを決められていた。日程は、夏休みが始まってすぐのイリヤの誕生日になったそうだ。

 

そして、イリヤの誕生日なら自分の誕生日でもあるだろうとクロが言い出し、なんと美遊もその日が誕生日だと判明したらしい。だから必然的に、海で三人の誕生日会を開くという話になった。

 

だから、イリヤとクロと美遊の三人に渡すプレゼントを買う必要がある。だけど俺一人じゃあ、女の子が喜びそうなプレゼントを探す自信がない。誰か知り合いの女の子に一緒に選んでもらおう。

 

誰がいいかな。そうだな、まずは朝練の時、桜に予定を聞いてみよう。桜が都合が悪いようなら、森山か遠坂にでも付き合ってもらおう。ルヴィアは、俺達一般庶民とは価値観が違いそうだしな。

 

「あと、イリヤの友達全員を連れていくとなると引率は俺一人じゃ足りないかな。一成に頼むか」

 

慎二はこういうの面倒くさがりそうだし。一成ならきっと付き合ってくれるだろう。遠坂とルヴィアでも良いんだけど、二人はクロの事を調べるのに忙しいだろうし。一応話だけは通しておくか。

 

「ん?」

 

そんな事を考えながら学校へ向かっていた途中、前方に少し奇妙な人がいた。かなり美人な女性の筈なんだが、何故か男物のスーツをきっちりと着こなしている。この季節に暑くないのだろうか。

 

そしてその肩には、細長い筒みたいな形の銀色のケース(?)を掛けている。その人は、手元の地図を親の仇のように睨みながら首を傾げていた。今時、紙の地図を使ってるのも奇妙な様子だ。

 

かなりイライラしているのが見るだけで分かる。その人の発する異様な怒気を感じ取った通行人達が、触らぬ神に祟りなしと言わんばかりに慌てて避けていた。確かに関わるのは面倒そうだ。

 

「あの、道に迷ったんですか?」

 

「む?」

 

だけど、俺は放っておけなかった。俺が声を掛けると、彼女は気難しそうにしかめていた顔を地図から上げて俺の顔を見てきた。やっぱり、かなり美人だ。少しセラに似ているかもしれないな。

 

日本人ではなさそうだ。鳶色の髪と瞳に、白い肌が特徴的だ。えっと、日本語は通じてるかな? そんな不安な気持ちが湧いてくるけど、今さら、話し掛けたのを無かった事にはできない。

 

「日本語、分かりますか?」

 

「はい、問題ありません。貴方は?」

 

「俺は、この近くに住んでいる者です。えっと、それで道に迷ったという感じで良いですか?」

 

どうやら日本語は通じるらしい。というか、流暢な日本語を喋ってきた。俺はその事に内心で驚きながらも軽い自己紹介を済ませ、改めて同じ質問をした。すると彼女は、生真面目な表情で頷く。

 

「はい。この町には初めて訪れたもので」

 

「それは大変ですね。仕事ですか?」

 

「はい」

 

まあそうだよな。日本に移住した家族を訪ねてきたという可能性もなくはないが、何となく雰囲気で仕事と判断したのは正しかったらしい。スーツ着てるし。いかにも仕事ができる女って感じだ。

 

「目的地はどこですか? ちょっとその地図見せてくださいよ。教えられるかもしれないですし」

 

「しかし、貴方も忙しいのでは?」

 

「まだ少し時間がありますから。大丈夫ですよ」

 

「……では、御言葉に甘えて」

 

彼女は少し悩んだけど、素直に聞いた方が良いと判断したらしく、持っていた地図を渡してきた。冬木の町がそこに描かれていて、一ヶ所に印が付けられていた。赤い丸が描かれてる場所は……

 

「あれ、俺の家のすぐ近くだ」

 

「そうなのですか?」

 

「はい。ここから、10分くらいの距離ですよ。方角としては、あっちの方ですね。用事が無かったら、俺が直接案内できたんですが、あいにくとこれから行かなければならない所があるので」

 

「十分です。方角だけでも分かりましたし。どうもありがとうございました。もう大丈夫です」

 

「そうですか。それじゃあ、俺はこれで」

 

頭を下げる女性にそう返して、俺は再び学校に向けて歩き出した。自分のこの行動がどんな結果を生むのか、この時の俺は知る由もなかった。朝の一件と同じく、俺はもっと考えるべきだった。

 

…………………………………………………

【イリヤ視点】

 

「暑い……」

 

「そうねえ」

 

「なんで当たり前のように私の部屋にいるの?」

 

「イリヤの部屋なら、私の部屋でもあるでしょ」

 

もう少しで夏休みになろうとしてる休日。自分の部屋で宿題をしている私の横で、我が物顔で私のベッドに寝そべってくつろいでいるクロがそんな事を言ってきた。なんでもかんでもその理屈で!

 

「って言うか、クロは宿題やらなくていいの?」

 

「イリヤのを写す予定だからいいのよ」

 

「ちょっ、勝手に写す予定にしないでよ! 見せないからね? 絶対に見せないからね!?」

 

「ケチ」

 

「ケチじゃないでしょ! もう。クロは、自分でやる癖を付けないといけないよ。昨日のパウンドケーキだって、ミミに作らせた結果があれだったでしょ? お兄ちゃんにもバレちゃってさ」

 

「それを言われると痛いけど。でも、宿題は面倒くさいし、お兄ちゃんに見せる訳でもないし~」

 

お兄ちゃんに見せないから手抜きしてもいいって事でもないでしょ! くっ、クロのこの性格はどうにかできないのかな。このままじゃ、これから先も私がクロの代わりに色々やる事になりそう。

 

「……お兄ちゃんにバラすよ?」

 

「なっ。イリヤ、あなた……!」

 

「クロが宿題やらずに、私の宿題を写すつもりだってお兄ちゃんが知ったら、どうなるかな?」

 

「この、余計な知恵を付け始めたわね!」

 

「クロのおかげでね!」

 

「「ぐぬぬぬ……」」

 

『いやはや、楽しそうですねお二人共』

 

「「楽しくない!」」

 

あの日から一週間。クロがいる日常が当たり前になって、私とクロのこんなやり取りも当たり前になりつつある。楽しくないってルビーには言ったけど、まったく楽しくないって訳でもない。

 

そう思いながらクロの方を見ると、クロも私の顔を見ていた。視線がぶつかって、クロが少し顔を赤くして、フンッ、と顔を逸らした。クロも私と同じ事を思ってたのかな、となんとなく思う。

 

多分、姉妹がいたらこんな感じなんじゃないかなって最近は思う。色々複雑な関係の私達だけど、そんな感じで落ち着いた。どっちが姉なのかは、また決めないといけないとは思うんだけどね。

 

「……ん?」

 

「どうしたのよイリヤ」

 

「いや、今なにか聞こえなかった?」

 

その時、私の耳になにか聞こえてきたような気がした。どんな音かと言われると、はっきり聞き取れなかったんだけど。そんな私に、クロとルビーが首を傾げる。二人には聞こえなかったのかな。

 

「気のせいじゃないの?」

 

『私にも聞こえませんでしたよ』

 

「う~ん、そっか」

 

確かに聞こえたと思ったんだけどな。少し耳をすましてみるけど、確かになにも聞こえない。クロの言う通り、私の気のせいだったのかな。まあ、それなら別にそれでいいや。それよりも……

 

「なにか聞こえたのは私の気のせいだったって事でいいから、クロは自分で宿題やりなさい。クロが怒られる時って、何故か私までセットで怒られるんだからね? 私は全然悪くないのに!」

 

「はいはい、分かったわよ」

 

お兄ちゃんにサボりをバラすという言葉が効いたのか、クロは私のベッドから起き上がって宿題をやり始めた。しかも結構スラスラと解いていく。あれ? ひょっとして、私より頭良いんじゃ?

 

「考えるな、考えるな私……」

 

「何をブツブツと言ってるのよ。あ、そう言えばもうすぐ夏休みよね。という事は、海の誕生会がもうすぐあるし、海って言ったら水着でしょ? イリヤはやっぱり、新しいのを買うの?」

 

すると、そんな私の様子に首を傾げながら、クロが宿題をスラスラと解きながらそんな事を聞いてきた。か、片手間で宿題をやりながら雑談!? なんだか負けたような気分になってしまった。

 

「う~ん、そりゃあ、おニューの水着は欲しいんだけどさ……でも、それをセラにお願いすると、『じゃあ、それが誕生日プレゼントという事で良いですね?』とか言ってきそうだし……」

 

「あはは、言うね~。あの子ケチだから」

 

だよね~、やっぱり。長い付き合いだから、セラが言いそうな事は分かる。ママにお願いしても、お金の管理はセラがやってるから無駄だし。っていうか、クロはどうしてそんなに他人事なの?

 

「クロも同じでしょ?」

 

「ふっ、ところがそうでもないのよ。私は、自分で水着を買うお金くらいはあるのよね~♪」

 

「なっ、どうして!?」

 

「少し前まで、お金持ちの家の子でしたから?」

 

「る、ルヴィアさん!?」

 

なにそれ、どういう事!? クロが勝ち誇ったような顔で胸を張り、どや顔を決める。その顔はかなりイラつくから、今すぐやめて欲しい。そんな私の様子を満足げに眺めながら、クロは言った。

 

「ルヴィアの屋敷にいた時に、お小遣いとして十万円くらいポンってくれたのよ。いいでしょ?」

 

「じゅうまんっ!?」

 

『相変わらずですね~、あの人は』

 

あの人の金銭感覚、どうなってるの? 小学生のお小遣いとして、十万円って! クロから語られた衝撃の事実に、私は理不尽に打ちひしがれた。どうして世の中ってこんなに不公平なんだろう。

 

「美遊なんてもっと凄いわよ。メイドのお給料があるから。もう数百万は貯めてるんじゃない?」

 

「数百万!?」

 

もう驚くのも馬鹿馬鹿しい。っていうか、小学生を働かせてお給料って良いの? タダ働きも問題あると思うけど。いやいや、私の思考も変な感じで空回りしてる。一旦落ち着こう。うん……

 

「……私、美遊と友達で良かった!」

 

「あなた、今そのセリフ言うの最悪じゃない?」

 

『あはは~、大分混乱してますねイリヤさん』

 

「や、やだなあ、勿論冗談だよ?」

 

うん、今度こそ正気に戻った。クロの冷たい視線が痛いけど、私は無視した。うん、冗談冗談。冗談に決まってるよ。ちょっと本気で考えちゃった事は内緒だけど、冗談という事にしておこう。

 

「ま、まあ、水着はセラの機嫌が良い時におねだりする事にして……楽しみだね、海の誕生会」

 

「そうね」

 

「!? ……やっぱり聞こえた!」

 

話が一段落したと思った瞬間、私は再び奇妙な音を聞いた。今度こそ間違いない。なにかがぶつかるみたいな音が、外から聞こえた。そんな私の様子に、再びクロとルビーが怪訝そうな顔をした。

 

「もう、またおかしな事言って……っ!?」

 

クロがまた私の言葉を否定しようとした時、今までで一番大きい音が響いた。しかも、今度は揺れまで感じた。さすがにクロも気付いたみたいで、音が聞こえた方向を真剣な顔で睨み付けた。

 

「……この方向って……」

 

「ルヴィアさんのお屋敷だよね?」

 

『またあの人達が下らない喧嘩をしている、という可能性もありますけど……これはまさか?』

 

私達は顔を見合わせて、頷き合った。部屋を出て一階に降りて、そーっと玄関を開ける。セラに気付かれないように外に出て、衛宮邸の前に聳える大きなお屋敷の前で立ち止まって様子を見る。

 

「……なんともないみたいだけど」

 

「外から見ただけじゃ分からないわよ。この屋敷には、認識阻害の結界が張られているから」

 

『はい。だから万が一、中で何かが起こっていたとしても、外の人間が気付く事はないんです』

 

そうなんだ。二人の言葉に、私は納得する。魔術の事は普通の人間には隠しておく必要があるらしいから、その為の対策って事なんだろう。つまりこの中では、まさに今この時、想定外の事が?

 

「……とにかく、開けるわよ」

 

緊張した様子のクロが、エーデルフェルト邸の大きな門を開いていく。そしてその先には、私達の想像を絶する光景が広がっていた。立派で荘厳だったお屋敷は、最早見る影もなくなっていた。

 

「こっ、これは……!?」

 

「どうなってんのよ……」

 

『これは酷いですね……』

 

私達が見た光景は、とんでもなかった。ルヴィアさんのお屋敷が、完全に壊れていた。半壊どころじゃない。全壊だ。一体、なにがあったの? 凛さん達が喧嘩して壊した訳じゃなさそうだ。

 

高まっていく緊張感と警戒心。私の心が、全力で警告している。ここは危険だと。クロも私と同じ気持ちなんだろう。冷や汗を流しながら、全壊したお屋敷を睨み付けた。そんな私達の前に……

 

「侵入者の警告音が鳴りませんね。見たところ子供のようですが、あなた達も関係者のようだ」

 

潰れたお屋敷を背にして、こっちに歩いてくる人影があった。男物のスーツを着込んだ綺麗な女の人だ。でも、その姿と声に私達は震え上がった。何故かと聞かれると、あまりに冷たかったから。

 

見た目は綺麗。でも、その体から発せられる気配はあのバーサーカーを思い出させる。理性よりも先に、本能が危険だと叫んだ。そして、その女の人はその気配を裏切らず、冷たい声で告げた。

 

「しかし……援軍だとしたら、一足遅かった」

 

「っ!?」

 

消えた。私にはそう見えた。でも、クロはそれに反応して私の前に立ち塞がり、朱い槍を構えた。クロが私を守ってくれたんだって気付いたのは、物凄い激突音が辺り一面に響いた時だった。

 

「っ!? 素手!?」

 

「今の攻撃を防ぎますか。どうやら、見た目通りの子供ではないようですね。認識を改めますよ」

 

「イリヤ、ボサっとしない! こいつは敵よ!」

 

「うっ、うん!」

 

こうして、私達は突然現れた謎の敵と戦う事になった。お兄ちゃんも美遊も、凛さん達もいない。こんな状態で正体も分からない敵と戦う事になるなんて。私達の日常は、再び破られるのだった。




皆さん聞いてください。
実は、再びやり直してるFGOなんですが……
なんと、今やってるイベントで貰えるログボの呼苻で引いたらイシュタルさんが!
まさか引けるとは思ってませんでした。
まあ、どうせこんなんじゃイシュタルさんは引けないだろうなー、えい。
みたいな感じで引いたら、引けてしまいました。

ランサーメドゥーサを引きたかったんですが。
まさかのイシュタルさん。めちゃ嬉しいです。
まあ、運を使いきった気がしますけど(笑)

さて本編の事です。この作品では、アイリさんは魔術協会に所属してなかった事を話してません。
クロの秘密が明かされたあの時ですね。
原作だと凛さんがルヴィアに語ってますけど。

あと、士郎に道を教えて貰ったダメットさんですが、それから一時間くらい迷っています。
方角だけ聞いたので通り過ぎてしまい、その後にお腹が空いて牛丼屋で朝食を食べました。
なので、ルヴィアの屋敷に着いたのは士郎と会った二時間後くらいだと思ってください。

最後に。早くギル戦を書きたいな~。
それでは、感想を待ってます。
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