また、この作品、今回から割と作風が変わりますのでご注意ください。
あらすじ
会議、ピザ、ふわふわ
会議、ピザ、ふわふわ
空井「・・・」
どうも空井です。SCP財団に勤務してる空井です。SCP財団というのは、異常な現象を引き起こすSCiPというのを確保、収容、保護しそういう異常な存在から一般人を守るという秘密組織です。
S「それでですね空井さん、彼女は私に言ったわけですよ、『あいつらの性癖も理解できんがお前のことはもっと理解できん、ってね」
空井「・・・」
S「でもいくら私と言えども彼らと一緒にされるのは流石に心外だから言ったのです『僕はただ人間が好きなだけですよ』って」
空井「・・・」
S「そしたら彼女は『やっぱり理解できん』って言って出て行っちゃったんですよねえ・・・全く、何故理解してくれないのでしょうか、僕はただ人間が好きなだけなのに」
空井「・・・」
・・・収容って、なんだっけ。
僕がいつもどおり自分の作業をしていたら、何か猫耳生やした子に呼び出されて、ほいほいついていってしまったら何故かSCP課の部隊長であるSCP-1████-JP・・・通称Sさんにこんな話をされている。(ちなみに僕を呼び出した女の子はにゃんこちゃんと呼ばれてるらしい)ていうかそもそもSCP課って何ですか、本当に。
いやね、僕もここに来るまでは興奮してましたよ? にゃんこちゃんに引かれるほど質問しまくったし、だけどね? 流石の僕もSさんが月島さんの話ばっかして本題に入らないとなるときついです、かれこれこの人もう三時間ぐらい話してるよ?
空井「・・・え、えっとSさん」
S「はい、何でしょうか?」
空井「そろそろ本題に入って頂ければ嬉しいんですが・・・」
S「? 本題、とは?」
空井「いえ、ですから僕のことを何故呼び出したりしたんですか? 何か仕事があったり、用件があるんですよね?」
S「いえ別に?」
空井「は?」
いっけね、つい素が出ちゃった。
S「あ、もしかしてSCP課とか呼ばれる怪しい集団に呼び出されて何か期待しちゃいました? だとしたら残念、特に何もないですよ。ただ僕は、あなたと少しお話がしたかっただけです。というのも私は先程話したとおり人間というものが大好きで毎回新入職員が入るたびにこうして呼び出してお話をさせていただいてるわけなんですよ」
空井「えぇ・・・」
S「ふふ、納得いただけませんか? 私とてSCPと呼ばれるような存在ですが、普通に食べて、寝て、仕事して、そういった普通のことをしているだけなのです。まあオカルト好きのあなたからしたら少々物足りないかもしれませんがね」
空井「あ、いえ別にそういうわけでは」
S「別にいいですよ。まあでも・・・そうですねあなたをこうして呼び出してただただお話するだけ、っていうのも何ですし、少々SCPに関わるお話をしましょうか」
空井「本当ですか!?」
S「おお、噂に聞いたとおり食いつきがいいですね」
空井「あ、すみません」
S「いいんですよ・・・では、そうですね」
そう言ってSさんは少し悩むような素振りをした後、不意に立ち上がった。
空井「?」
S「・・・空井さんは、暗いところってどう思いますか?」
空井「どう、とは?」
S「好きか嫌いか、苦手か別になんとも思わないか、別になんだっていいですよ」
空井「・・・そう、ですね。僕自身よく心霊スポットとか行くんで、暗いところ自体は別に苦手ではないですね、まあ好きってほどでもないですけど」
S「そうですか・・・空井さんは知っていますか? 過去にこの日本支部でとんでもないSCPが暴れまわった事件のことを」
空井「とんでもないSCP・・・?」
S「そうです、昔・・・19██に初めて観測されたのですが、とある財団職員のオフィスで大量の血痕が発見されました、それも致死量レベルのね、勿論その血痕の持ち主・・・その財団職員は、今も見つかっていません。そして、それからその大量の血痕を残し財団職員がいなくなる、という事件が1ヶ月から3ヶ月の周期で起こりました」
空井「かなりやばいですね・・・一般人にも被害が及んだら手のつけようがないですし・・・」
S「そうですね、ですが。それは起こりませんでした」
空井「え?」
S「この事件・・・異常現象は一般人には何の被害も及ぼしませんでした、いえ、もしかすると我々が知らないだけだったかもしれませんが、少なくとも財団が調べた限りでは発見することが出来ませんでした。この異常現象は、我々財団職員にだけ起こったのですよ」
空井「それって・・・つまり、その異常現象、SCPが財団職員を標的にして攻撃を続けていたっていうことですか? だとしたらそれ要注意団体とか関係あるんじゃ」
S「さあ、ですが。おそらく標的なんてものではなかったのでしょう。そして、この異常現象の被害者の共通点は二つ、まず一つはこの異常現象は対象が視界不良な暗所でのみ起こる、視界不良な暗所っていうのはまあ・・・夜の路地、寝室、映画館などです」
空井「寝室とか映画館って・・・そんなの、下手したら電気がついてない部屋に入っただけでも」
S「ええ、おそらくアウトでしょうね」
空井「そんな・・・」
S「そして、もう一つの共通点は、監視カメラや付近にいた目撃者の証言によると対象は見えないなにかから攻撃を受けているような言動、振る舞いをしていたそうなのです。まあと言ってもその攻撃者自体は認知されなかったのですけどね、そしてこの異常現象・・・SCP-835-JPが引き起こす連続殺人事件は、財団職員の士気が下がるといけないからこのようなSCP-835-JPが関与していると思われる現象についてはなるべく別の事故で死んだとして処理されていたそうです、そこまでこのSCP-835-JPは凶悪でした」
空井「そんな、そんな危険なSCP、収容なんかできるんですか?・・・いや、できてないから財団職員に被害が出てるんですよね・・・だけど、早く収容しないと・・・」
S「――ですが、そんなSCP-835-JPは、とある事案の後にあるプロトコルが制定され、一気にKeterからsafeにまで格下げされました」
空井「え?」
S「その事案というのが、とある研究助手のデスクにてあるものが発見されたのですよ」
空井「・・・あるもの、っていうのは?」
S「SCP-835-JPの想像図、です」
空井「想像図・・・あくまでのその助手さんが見たっていうわけで想像で・・・?」
S「そうです、しかもその想像図、漫画調・・・まあ言っちゃえば萌え絵ってやつですね、そんな感じで書かれた少女・・・年齢的にはまあ多少上下はしますがうちのにゃんこちゃんと同じような感じでいいと思いますよ、しかもご丁寧に名前や性格、出自、能力などといった設定付けまでされてね。とにかく、そういうふうにSCP-835-JP・・・消照闇子という陳腐なキャラとして描かれたものが発見されたのです」
空井「・・・それって、かなりまずいですよね?」
S「ええ、まずいですね」
空井「うちの黒崎さんもよくじん? とやらのR18絵描いて謹慎処分食らってましたし・・・」
S「それはいろんな意味でまずいですね。まあ、そんなわけでそんな彼、もしくは彼女も黒崎さんと同じような処分を受けたのですが・・・当然、この話題は財団職員内で話題になりましたよ、何せあのSCP-835-JPに対してよくもまあそんな扱いできるものだ、ってね」
空井「ははは・・・その人は可哀想ですね。みんなに知られるなんて」
S「そう、みんなに知られたのです、このSCP-835-JPの想像図が、名前が、性格が、財団職員内で浸透し、そして、これはそのままSCP-835-JP異常性の封じ込めにまで至ったのです。そんな事案があってから五ヶ月・・・SCP-835-JPによる事案は発生しませんでした、これまで遅くとも三ヶ月周期で起きていたのに、だから我々財団は、こういう仮説を立てたのです。『このSCPは我々の認識によってその影響が変わるのではないか?』ってね。だから財団はこの消照闇子を、プロトコル・アイドル-835として全財団職員に広めたのです、その設定を、その姿を、全力で広めたのです、漫画で、創作小説で、アニメを作って、ね」
空井「・・・」
S「そうして・・・もう今や、SCP-835-JPは、消照闇子は誰も殺さない、ただのキャラクターに成り下がったのですよ。とある博士はこう考えました『SCP-835-JPとはおそらく、暗闇に己を脅かす何かが潜んでいるのではないかという本能的な恐怖の具現なのだろう。だが我々がかつて恐れた想像上の怪物は、プロトコル・アイドル-835によって今や陳腐な一キャラクターへ成り下がった。』・・・かつて人間は暗闇の中の化物に恐怖を抱きました、尊敬していました。しかし我々人類は、今やその化物を、ただの勘違いとして、ただの化学現象として、段々恐怖と尊敬を忘れていきました」
空井「・・・そうです」
S「――しかし!」
空井「え?」
S「しかし、本当にこれは正しいのでしょうか? 我々人類は本当に恐怖を忘れていったのでしょうか? もしかすると、不意な何かによって、それこそ誰かがこの消照闇子を、SCP-835-JPに戻すような何かをしてしまった場合は? そうしたら、このSCP-835-JPは、何をしでかすのでしょうか? また財団職員を殺すのでしょうか?」
空井「そ、それは・・・」
S「そう、分からないのです、分からない故の恐怖なのですよ! 何故そんな方法で収容されると思ったのでしょう? もしかするとSCP-835-JPは今も暗闇の中で自らの牙を研いで我々を狙っているのかもしれないというのに!」
空井「・・・」
そんなSさんの話を聞いたあと、僕は、この話を聞いて消照闇子は陳腐な、一キャラクターなはずなのに、こわいと感じてしまった、”恐怖”を抱いてしまった、もしかすると、今も消照闇子は、”SCP-835-JP”は今も僕たちを狙っているのかもしれない、そんなことを考えた瞬間、僕の後ろで何かが動いたのを感じた、そして、僕に対して何かを振りかぶって――
S「ま、こんなのただのお話なんですかどね」
空井「・・・え?」
Sさんが手をパン、と一叩きして僕を現実に戻した。僕は今、何を考えていた?
S「少々いたずらが過ぎましたね、申し訳ございません」
空井「・・・あ、いえ大丈夫ですよ! それよりも、面白い話をありがとうございます」
S「そういっただければ幸いです、さて、もうそろそろいい時間ですし、帰りますか?」
空井「・・・ええと、その」
S「大丈夫ですよ、こちらは呼び出している身なのですから、送り迎えにうちの職員を送りますから」
空井「はは・・・ありがとうございます、では、僕はこれで」
S「はい――また、会いましょう空井さん、僕はいつでもここにますから」
空井「・・・はい」
そう言って、僕は扉に近付いて、開けて外に出た・・・正直、SCP-835-JPはかなり怖かったけど、だけど・・・僕にとっては、あの人の方が、もっと怖かった。
ちなみに僕を帰りに送ってくれたのは球状のなにかでした、しかもめっちゃ喋ってくるんですけどなにこれ。
どうも粒餡です、とりあえず前書きでも言いましたが本当にすみませんでした・・・だけど、こんな作品でもまだ見てくださる方がいて、あまつさえリクエストしてくれる方もいてくれたのでちょっと張り切りました。
使用SCP
SCP-835-JP 消照闇子 http://ja.scp-wiki.net/scp-835-jp
SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ