魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

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※注意※
「独自解釈」「捏造設定」等が含まれます。ご注意ください。


『ブック・オブ・ジ・エンド』の性能考察&九校戦編導入回です。
今回は話自体はほとんど進みません。



BLEACHが掲載されていないジャンプが少し寂しかった……けど頑張れるのは、月島さんのおかげ。


九校戦編-1:『ブック・オブ・ジ・エンド』は便利

『ブック・オブ・ジ・エンド』

 

知っての通り、自分を挟み込むという条件付きではあるものの、強力な「過去改変能力」であることは知って貰えているだろう。

 

 

無論、無敵ではなく、最強でも無い。欠点もある。

特に戦闘においてはそれは顕著だ。

 

『ブック・オブ・ジ・エンド』は刀の形をとっているため、挟み込むには自身の実力が必要になること。

他にも、『ブック・オブ・ジ・エンド』自体は絡め手であるため決め手に欠けること。…むしろ、場合によっては挟み込むのではなく、普通に斬ったほうがダメージが大きかったりする。

 

 

その欠点は、実は『ブック・オブ・ジ・エンド』そのものの能力で補うことはできたりする。

 

その一つとしては、僕が実際にやっているような『ブック・オブ・ジ・エンド』を使用した方法での学習法があげられる。根本から自身を強化してしまおう…ということだ。

 

 

他の方法はといえば、さきの方法とは違って主に戦闘中での方法になるが、挟み込んだ過去を現在に物理的に反映させる方法だ。

 

『BLEACH』での原作の月島さんの戦闘を思い出してみよう。

そう、以前にここに来て罠を作っていたという過去を挟んで、実際にその罠を出現させたアレだ。アレを上手く使うことで、戦闘の状況そのものを自分が優位になるようにしてしまえばいい。

 

 

実際のところ、挟み込んだ過去を物理的に反映させるのは反則スレスレだ。()()が無かったとすれば、本当に大変なものだっただろう。

 

制約、それは「意思のあるモノに対しては反映できない」。これは『ブランシュ事件』の際に縛り上げたテロリスト達を実験台にして確信したものだ。

原作を知っている人ならば考えたことがあるだろう。「相手の心臓とか首とかを斬った過去を挟み込めば即死じゃないか?」ということを。

 

結果だけをいうならば、出来なかったの一言だ。

 

 

よくよく考えてみれば、原作でもそうだった。

朽木白哉に挟み込んだ時だけならば、BLEACH特有のOSRな舐めプでしなかっただけかもしれない可能性はあった。

 

だが、思い出してほしい。銀城さんが一護に斬り倒され死んだ時、原作の月島さんが何をしたか。

……銀城さんではなく一護に切りかかっていた。もしも万物に挟み込んだ過去を現状に影響させられるならば、銀城さんに「斬り殺されなかった過去」を挟み込んで「いつから銀城さんが死んだと錯覚していた(震え声」とできたはずだ。

「しなかった」のではなく「できなかった」のならば全て納得がいった。

 

 

ただ勘違いしないでほしいのは、物理的な反映ができないだけで挟み込むこと自体はできるということ。そう、最終章の最後のほうで折れた斬月が「折れなかった過去」を挟み込んだ時、織姫に現状の拒絶をしてもらい、辻褄を合わせたように、だ。

 

えっ?反映できないのに挟み込んで意味があるのか?

……実験の際に、テロリストに「胸に拳大の風穴を開けられた過去」を挟み込み、現状に物理的に反映しようとして出来なかった時のことなんだけど、テロリストは現状と記憶のギャップに発狂した後、糸が切れたように壊れちゃったんだよね…。

 

反映できなくても、現実と記憶のギャップで倒すことはできたわけだ。

ついでに言うなら、治す方は僕には『盾舜六花』があるので何の問題も無かったりする。

 

 

―――――――――

 

 

……前置きが長くなってしまったけど、今の僕の状況を話すとしよう。

 

 

僕が今いるのは、僕以外誰もいない風紀委員会室。

僕の目の前の机には、白紙の束と各風紀委員からの報告書。

 

僕は白紙の束と報告書を重ね、取り出した栞から『ブック・オブ・ジ・エンド』を発現させ……白紙と報告書の束にサクリッと刃を通す。

 

 

「…なんということでしょう」

 

 

そこには完成した『風紀委員会・活動記録』の書類が…!

 

……こんな事に『ブック・オブ・ジ・エンド』を使っていられるほど余裕があるんだから、きっと今は平和なんだと思う。

 

 

 

 

 

「この活動記録は……もう放課後だから、委員長に渡すのは明日でいいか」

 

今どこにいるか連絡を取ってみて確認することは可能ではある……が、気が進まなかった。

一学期の期末試験が終わったということは、もうそろそろ委員長は()()()()()()()()()()時期だ。なら、会えると確信できる機会があるならば、そちらで渡すべきだろう。

 

「ふぅ…。早く部活再開しないものかな…」

 

いっそのこと道場を開けてもらって、自主練でもしてみようか?

 

 

 

そんなことを考えていると、扉がノックされる音が聞こえた。

 

「はい、どうぞ」

 

「失礼する」

 

そう言って入ってきたのは、部活連会頭である『十師族』十文字家次期頭首・十文字(じゅうもんじ)克人(かつと)先輩だった。身長自体は僕のほうが少し高いが、制服越しにもわかる筋肉を纏ったゴツイ肉体で、とてもガタイの良い先輩だ。

 

…だが、僕は彼とあまり面識があるわけではない。せいぜいブランシュ事件の後の処理の際に数回顔を合わせた程度で、まともに会話をしたことも無い。

 

 

僕は「コチラへどうぞ」と委員会室内のイスを十文字会頭にすすめ、座ってもらう。

 

「ふむ、聞いていた通りの人物のようだな」

 

「と、言いますと?」

 

納得したように満足気な表情で一人頷く十文字会頭を不思議に思い、僕は問いかけてみる。

 

「以前、渡辺から「アイツは勤勉な奴だ。暇があれば委員会室で事務仕事や掃除をしている」と聞いていてな。一人でソコの書類を整理していたのならば、確かにその通りだと思っただけだ」

 

「…ああ、なるほど。そういうことでしたか」

 

つまりは、渡辺委員長づてに色々と僕の事を聞いていたのだろう。その中のひとつで、そういう話があったということだ。

 

 

 

「さて、今日は月島に用があって来たのだが……もう大体察しはついているとは思うが、お前には『九校戦』の新人戦・代表メンバーに入ってもらおうと思っている」

 

『九校戦』…正式名称は『全国魔法科高校親善魔法競技大会』。

全国にある9つの魔法科高校の代表メンバーが、魔法を使用する競技で競い合う全国大会だ。

全国放送されたり、魔法関連のお偉いさんが観に来たりと、魔法科高校にとっては年に一度の一大イベントなのである。

 

入試で総合2位、期末で総合1位になった時にはすでにある程度覚悟はしていたが、やはりメンバーに選考されてしまっていたか…。だからと言って、期末試験で手を抜く気にもなれなかったし、仕方ないと言えば仕方ないだろう。

 

 

「そのためにわざわざ足を運んでいただいたとは……。放送か何かで呼び出していただけたら、すぐに駆け付けたのですが…」

 

「気にするな。少し用があって、近くを通ったついでだ。…後は、聞いておきたかったこともあるからな」

 

「出場する競技についてですか?」

 

「ああ、そうだ」

 

そう言って十文字会頭はポケットから電子端末を取り出して起動し、僕に見せてきた。

…競技は原作通りのようで、男子の競技は以下の5つ。

 

魔法版クレー射撃『スピード・シューティング』

 

魔法版テニス…のようなもの『クラウド・ボール』

 

魔法版水上スキー…のレース的なもの『バトル・ボード』

 

自分フィールドの氷柱を守り、相手フィールドの氷柱を倒す『アイス・ピラーズ・ブレイク』

 

3対3の魔法版サバゲー…のような『モノリス・コード』

 

 

 

 

「月島の事は、成績や噂でしか知らない。魔法についても然りだ。故に、お前自身の目線から考えて、自分と相性がいい競技を教えてほしい。もちろん、希望通りになるとは限らないが、参考までに聞かせてくれ」

 

十文字会頭にそう言われ、僕は頭を悩ませた。

 

 

どれも出来なくはないが、あまり良い結果は望めないだろう…というのが僕個人の見解だ。

 

というのも、僕が普段使っているCADは刃の無い刀型の武装一体型CAD。戦闘スタイルは当然のように接近戦。…それを活かせる競技が無いのだ。

サバゲーのような競技である『モノリス・コード』も物理的直接攻撃は原則禁止のため、ロクに戦えないだろう。

 

堅実な考えとしては、前に考えていた通り、新しく拳銃型の特化型CADを用意して一般的な遠距離戦用の魔法を習得し、練習するべきだろう。

だが、そうするにしても結局は付け焼刃なので、他の人に任せたりした方が良かったりする。……まあ『ブック・オブ・ジ・エンド』学習法を使えばどうにかなりそうだが……。

 

 

 

「どの競技も胸を張って「自信が有る」とはいえませんが、あえて選ぶなら『アイス・ピラーズ・ブレイク』ですね」

 

「理由を聞こう」

 

「僕は吸収・放出、それと加速系統の魔法が苦手ですので、『クラウド・ボール』と『バトル・ボード』は候補から消えます。そして、僕が他の生徒たちの多くよりも優れているのは干渉力。ならば、干渉力を活かした防御が可能である『アイス・ピラーズ・ブレイク』であれば、決め手は弱いものの安定した勝負ができるかと」

 

「確かに、入試の際の成績には干渉力の高さが記されていたな。『スピード・シューティング』や『モノリス・コード』はどうなんだ?」

 

「『スピード・シューティング』も苦手魔法の関係的に少し厳しいと考えました。『モノリス・コード』は、本来の剣を使う戦闘スタイルを変更した上で他のチームメイトとの連携を必要とすることを考えると、足を引っ張ってしまいそうなので、僕ではなく他の元から相性のいい者同士でチームを組んだ方が良いと考えたからです」

 

 

僕が言い終わると、十文字会頭はアゴに手を当てて「ふむぅ…」と考え込むような仕草をした。

そして、それから数秒後。

 

「なるほど、おおよそは理解した。…今の話を参考にして、近いうちにこちらで出場種目を決定させてもらう」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

後は、他の選考メンバーとの兼ね合いで決まっていくのだろう…。

 

 

―――――――――

 

 

それにしても、どうしたものか。

 

『九校戦』自体はそれほど悪いものではない。『十師族』の家の者たちやその他大勢の将来有望な魔法師たちの魔法を生で間近に見ることができるのだから、有意義ではある。

 

だが、自分自身が出場するとなると、色々気を遣わなければいけなかったりする。魔法科高校に所属しているから出場自体は仕方のないものの、人の目や中継のある『九校戦』においては、僕は本当に魔法のみでどうにかしていかなければならないので骨が折れそうだ。

 

 

本番前までに、本格的に魔法を使えるようにしないといけないなぁ…。

『ブック・オブ・ジ・エンド』を使えば、それほど難しくはないだろうから、時間に余裕があれば、前から考えていた事のいくつかを試してみるのもありかもしれない。


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