魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
今回はBLEACH並に内容が薄い気がします。
…え?バス移動中の出来事ですか?……特に何もありませんでしたよ?(何もなかったとは言っていない
「読書の秋」があるのも、月島さんのおかげ。
僕と達也の関係は「友人」と呼べる程度ではあると思う。
ただし、それは「表面上は」という言葉がつく。
ならば内面はどうなのかと言えば、例えるならばこんな感じだろう。
番犬(達也)「なんだあのイヌッコロ、時々変な動きしてるぞ。なんかアブナイヤツかも」
野良犬(僕)「あの番犬、すっごいゴツイ牙してる。やば、危な。無視してたら後ろから襲われるか?ならどうにかしないと、ヤバイんじゃない?」
……だいたい合ってると思う。
しかし、よくよく考えてみてほしい。実のところ僕のほうからすれば、達也自身をそこまで恐れる必要は無いのだ。
確かに達也自身は僕の知りうる限りでは最強で驚異的な存在ではある。だが、それらが本当に脅威になるのは、彼に敵対した時だ。
彼の学校生活…正確には
…なら変に警戒しないで、友好的に接したほうが有意義なのではないか?
そこで僕は、僕のことを探ろうとする達也に対してあえてオープンな姿勢で接することにしてみた。
決行したのは、遅れてくる七草会長を待っている間の時間。
結果は、言うほど良いものではなかった。
僕目線から見た達也の様子だが、「何かよくわからんことする危険かもしれない人物」から「何考えているのかよくわからない変人」に変わったぐらいで、そこまで気を許してくれている感じではなかった。
おかしいな?結構な情報をさらけ出したつもりだったんだけど、敵意の無いことを示すには、もっと情報を出さなければいけなかっただろうか?
…それとも、僕の日ごろの行いだろうか?
まあ、それも想定内といえば想定内なのだが。僕も最初から一発でどうにかなるとは思っていなかった。
初めの切り出しは終えたのだから、次の勝負所は達也と約束した「
…最低でも「とりあえずは敵にはなりそうにないな」程度には思われるようになりたいものだ…。
―――――――――
「だが、それもまだ後の話だ…」
僕は独り言を呟きながらグラスを傾け、喉を潤す。
原作通りに1時間半ほど遅れて来た七草会長。そして満を持して出発したバスは途中、これまた原作通りに対向車が突っ込んで来て……お察しの通り、原作通りに対処されて、予定時間よりは遅れたものの無事(?)お昼過ぎには会場ホテルへとたどり着いた。
そして、同日の夕刻。
予定通り、九つの参加校の関係者が集まり、『九校戦』の
今、僕がいるのもその会場なのだけど……
「ヒマだね…」
懇親会とは名ばかりで、各校の生徒たちの間にある空気はピリピリしており「親しみを深める」などということは到底できそうにも無い。
…
となると、僕に残された行動は第一高校一年生の生徒たちとの交流なのだが、そちらも大体終わらせてしまった。皆、緊張はしているものの、体調を崩していたりしている人はおらず、いたって健康そうだったので明後日から始まる競技にも影響は無さそうだ。
「月島さん」
上級生の知り合いに挨拶に行こうか、それとももう一度一年生の集団のほうに行こうか悩んでいた時、視界外から名前を呼ばれ、そちらに向きなおる。
「ああ…ほのか、雫、それに深雪さんも。元気そうで何よりだよ」
「はい!月島さんもお元気そうで何よりです」
そう返してきたほのか。だが、雫は何とも微妙な顔を僕に向けてきた。
「月島さん、話題選び下手」
「そう、ですわね」
雫の言葉に、深雪さんも薄い苦笑いを浮かべながら同意する。
それに対し、僕は軽く肩をすくめながら首を振った。
「あはは、それは自覚があるよ。…こういうパーティ自体初めてでね、慣れなくて落ち着かないし、その上緊張でガチガチになっててさ」
「…その割に、口は良く動くね」
「それは会場の空気に飲まれないための、必死の抵抗だよ」
そんな会話をしながら、僕はある事が気になり…半分予想はつくものの、口にすることにした。
「そういえば達也はどうしたんだい?深雪さんと一緒にいるとばかり思っていたんだけど…」
「ええっと、それは…」
ほのかは困ったように「あはは…」と笑い、雫は「空気読んで、察しなよ」というような目を僕にむけてきて、そして深雪さんは不機嫌そうに少し眉をしかめた。
僕は
「なるほど……良くも悪くも達也らしい気の遣い方だ。…ただ、もうちょっと自分のことを考えても良い気がするんだけどね」
「自分のこと…?」
不思議そうに首をかしげる深雪さんに、「ああ」と言い頷きながら微笑む。
「まあ、なんとなくそう思っただけさ。気にしなくていい」
「そう、ですか?」
少し納得できなさそうにしている深雪さんだったけど、その思考を半ば無理矢理別方向へと向けさせる。
「
第一高校の一年生集団を示しながら、三人に行くよう
特に断る理由も無い三人は「では」と軽く頭を下げてからそちらへと歩み出した。
だが一人、ほのかが振り返り僕に聞いてきた。
「あの、月島さんも一緒に行きませんか?」
その誘いに僕は首を振る。
「いや、遠慮しておくよ。少しばかり
「そうですか…わかりました」
ほのかはもう一度礼をしてから、雫と深雪さんの後ろをついていった。
「さて…と」
三人を見送った僕は、会場の前方にあるステージから遠い方向へと移動する。……もう少しすれば、始まる頃だろうと感じたからだ。
各校の生徒たちを横目に見ながらも移動し、一番後ろにある扉のわき…会場の端にたどり着き、ひと息ついたところで予想通りアナウンスが入る。
それから少ししてから、僕が注意をしていた言葉が聞こえてきた。
「ここで魔法教会理事、九島烈様より激励の言葉を賜りたいと存じます」
『十師族』の一角『九島』の前当主であり、現在は国防軍魔法顧問をしているというご老人。しかし、アニメでの印象を含め、僕の知る限りではただの老人では済まされない存在であるとは十分理解してあるつもりだ。
そして、これから彼が見せるものについても……。
会場の照明が消され、ステージ上だけがライトアップされている…はずだ。
会場の生徒たちはにわかにざわめきたつ。
そして、何秒かのちに老人の声が聞こえてきた。
「まずは、悪ふざけに付き合わせたことを謝罪する」
悪ふざけ…おそらくは、ライトアップされたステージに自身ではなく女性を立たせ、魔法でその女性に意識がいくように仕向けて自身はその後ろに隠れていたことだろう。
…察しが良ければわかると思うが、僕はステージのほうを見ておらず、周囲の生徒たちの反応を観察している。
と言うのも……。
「今のは魔法と言うより手品の
あの人数に含まれたくなかったのだ。
あのご老人、なんだか底知れなさがあって、とても不気味である。
正直、目をつけられたくはない。うっかり看破してしまい手品の種に気づいた者に含まれるくらいなら、「お偉いさんの話を真面目に聞かない不敬者」と思われた方がマシである。
…でも、競技で活躍すれば結局目をつけられるわけなのだが……。どうしたものか……。
その後繰り広げられた九島烈によるありがたいお話は、生徒たちによる多大な拍手によって締めくくられた。
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明日一日空いて明後日8月3日から開催される『九校戦』。
僕が出場する新人戦の『クラウド・ボール』と『アイス・ピラーズ・ブレイク』は8月7日からで、
だが、個人的な話をすると、競技以外にも「しなければならないこと」「できればしたいこと」があるため、色々と考えながら行動せねばならないかもしれない。
気をつけないといけないのは、どういう行動を起こすにせよ、達也やその他の組織に目をつけられるようにすること。
…その限度の線引きが重要だろう。……我ながら大丈夫だろうか?