魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

2 / 69
続いた
続いてしまった

※サブタイ変えました


入学編-1:『ブック・オブ・ジ・エンド』は使えない

やぁ、キミも『国立魔法大学付属第一高等学校(この学校)』に入学したんだね。

 

えっ、僕が誰かって?いやだなぁ、僕だよ。

 

昔、よく遊んでいたじゃないか。忘れたのかい?

 

僕だよ、月島(つきしま)昊九郎(こうくろう)だよ…。

 

 

―――――――――

 

 

…なぁーんてことしたことないし、できないよ。

 

 

あっ、正確に言うなら「できなくはないけど、しない」だ。

 

『ブック・オブ・ジ・エンド』で相手の過去に僕を挟み込めば、「月島とは古い友人だった」ってことにすること自体はそう難しくないだろう。でもしない。

何でって?メリットよりもデメリットのほうが大きいからだ。…というか、いままで大抵の場合はメリットがないことがほとんどだった。

 

相手の過去に自分を挟み込んで友人になったりしたところで「で?」って感じで、活かせそうな機会なんて全然思いつかなかったのだ。

 

……こうやって考えてみると、『BLEACH(げんさく)』の月島さんって、能力(ちから)の使い方上手かったんだなぁ…と実感できる。

 

 

 

一応、使い時が全く無いわけじゃない。

例えば、強い人を味方に引き込めたのならそれは心強いだろう。

 

まあ、やっぱりリスクが大き過ぎる。

繋がりを作るなら、『ブック・オブ・ジ・エンド』を使わないで普通に友好関係を(きず)くほうが正しい選択だろう。

 

 

 

具体的に、同学年で注意すべき相手から例にしてみようか。

 

…そう、例えば今、入学式のプログラムの一環で壇上で新入生総代として挨拶をしている『司波(しば)深雪(みゆき)』を味方にできたとしよう。

 

 

彼女は入試の成績が主席であることからもわかるように、かなりの実力者に部類される存在だ。原作でも様々な活躍をしている。

 

魔法は…そうだな、「冷気」とか「氷」といったイメージが強い。

正確には4系統8種で分類できる『系統魔法』のうち『振動』のあたりが得意なんだったか?…いかんせん、うろ覚えだ。

あと、『系統外魔法』のうち『精神干渉系魔法』に分類される『コキュートス』が強力だというのは憶えている。なんでも、相手の精神を凍結させてしまい停止させてしまうそうだ。

 

どこぞの氷雪系最強さんにも、そのくらいの次元のことをして欲しいものだ……って、彼、最終章で強化されたんだっけ?

まあ、そもそも 『BLEACH』の月島さんのお仲間は、氷雪系最強さん(かれ)に手も足も出なかったわけだし、僕はどうこう言える立場じゃないか。

 

 

話が少しそれたけど、司波深雪ほどの人物を味方につけることが出来れば、そりゃあ喜ばしいことだろう。

 

だが、そんなことをすれば僕の命は危なくなる。

司波深雪に手を出したとすれば駆けつけてくるお兄様がいるのだ。

 

 

司波(しば)達也(たつや)

 

おそらくは今現在、僕の後方の何処かに座っているはずだ。

 

特筆すべき彼の『魔法』は大きく分けて3つ、『分解』『再成』『精霊の眼(エレメンタル・サイト)』だろう。

『分解』は段階で分解できるが、おおよそ文字通りで何でも分解する。

『再成』は対象の最大24時間前の状態まで(さかのぼ)って、現状に上書きする…とかそんな感じ。

精霊の眼(エレメンタル・サイト)』は…なんかすっごく範囲を認識できてる描写があった…あれだ、某忍者漫画の白〇(びゃく〇ん)に近いイメージだ。…正確には色々違うのだとは思うが。

 

 

で、「深雪に何かしたヤツ」と特定され、これらの魔法で襲われたとしよう。

 

 

『分解』で原子レベルで分解されて終了だ。

 

 

「ばれなきゃ大丈夫!」

精霊の眼(エレメンタル・サイト)』もあるし、僕の『ブック・オブ・ジ・エンド』の性質的にもばれずにいるのは難しいだろう。

 

 

「『盾舜六花(しゅんしゅんりっか)』で防げないの?」

それは現在のところ不明だ。僕の能力(ちから)が『魔法』とは別次元のものであれば防げるかもしれない。だが、僕の認識範囲外から射撃の要領で『分解』を使われたら防ぎようがないだろう。

 

 

「じゃあ、司波達也に『ブック・オブ・ジ・エンド』使えば?」

それも色々無理があるだろう。というか望み薄だ。

BLEACH(げんさく)』の月島さんが負けたとき、『ブック・オブ・ジ・エンド』で相手に挟み込んで自分を相手にとって「長年一緒に修行してきた友」にしたうえに技も全て対策済みにしたけど、普通に攻撃してくるわ、自身の攻撃を素手で掴みこみ 隠して不意打ちをするとかいう狂気じみたことをされたのだ。

 

…で、月島さんを倒した人(そのひと)も司波達也と同じくシスコンだったりする。

(ゆえ)に、どんなに上手く僕を挟み込めたとしても「妹>その他」である限り、容赦なく攻撃してくるだろう。

 

 

……少し極端な例だったかもしれないが、「『魔法科高校の劣等生(このせかい)』の人は強い人が多いから、僅かなリスクが限りなく大きくなる」ってことが伝わればいい。

だから『ブック・オブ・ジ・エンド』を人に使う機会は無かったのだ。

 

 

 

 

「…まあ、あのふたりは要注意人物ではあるけど、コッチから刺激せずに普通にしてれば、むこうから噛みついては来ないだろう」

 

僕がそう独り言をこぼしたのは、ちょうど入学式が終わった頃だった。ある程度周囲がガヤガヤしていたため、僕の呟きに気づいた人物はいそうになかった。

 

 

…要注意人物といえば、二科生の『柴田(しばた)美月(みづき)』もその中に入る…かもしれない。

 

理由としては、彼女が『霊子放射光過敏症(りょうしほうしゃこうかびんしょう)』という症状を持っていることがあげられる。『プシオン』と呼ばれる非物質粒子を過剰に感じ取ってしまうもの……らしい。それで、普段は特殊な眼鏡で抑えているという描写が記憶にある。

 

『プシオン』については実はまだ解明されていない。だがしかし、その仮説の中には「心霊存在の本体はプシオンで構成されている」等のソッチ系の話が結構ある。

となると、『霊子放射光過敏症(りょうしほうしゃこうかびんしょう)』の人が、僕の『(しおり)』や『ヘアピン』を見た際どうなるかが未知数過ぎるのだ。特に能力(ちから)を発動させた状態だとなおさらのことだろう。

 

 

……でも、『栞』や『ヘアピン』(僕のちから)がどういうものなのかを知りたいのであれば、そういった人に見てもらったほうがいいのかもしれない。当然能力(ちから)のことを知られるというリスクがキッチリついてくるのだが。

 

 

 

色々と考えながらも歩き式場を出た僕は、これからの事を考える。

 

確かこの後はIDカードを受け取り、自分のクラスを確認して、それからHRだったかな…?

 

 

―――――――――

 

 

「1-Aか…」

 

「誰がいたかな?」と思ったが、すぐに思い出した。

先程の司波深雪を筆頭に、メインで話に絡んでくる一年生一科生の大体がA組だった覚えがある。

 

司波(しば)深雪(みゆき)』『光井(みつい)ほのか』『北山(きたやま)(しずく)』…

 

…後、誰だったかな?と、思い浮かばなくなる。

あの赤紫っぽい髪の子とか、青の短髪の子とかも一科生だった気がするが……そもそも名前が出てこない。…A組以外だったっけ?

 

 

 

そんなことを考えている間に「1-A」にたどり着いていた。

 

で、その時思い出した。

「あっ、そういえば司波深雪はお兄様と待ち合わせしてるんだっけ?」と。

 

 

でも、まあ別にいいだろう。

あくまで僕がココに通うのは『魔法』を学ぶため。別に、自分から原作キャラに関わっていかなくてもいいのだ。

 

そして、わざわざ敵を作ったりするのはもっての(ほか)だ。…自身を守るために『魔法』の原理と脅威、そして対抗手段を理解するためなのに、自分から脅威を作っては泣くに泣けない。

 

「これまで通り、普通にやっていけばいいか」

 

そう呟いて僕は教室へと入った……。

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

いつの間にか、入学式ももう昨日のことだ。

…クラスに顔の知っている人を見かけたりもしたが、結局あれから特筆することは無かった。

 

 

で、今日は基本オリエンテーションだけだったこともあって、特別疲れることも無く流れのままに過ごしていた。

 

あと、今日あったことといえば……ああ、司波深雪は人気者で大変そうだった。そのくらいだ。

 

 

なお、小休憩の時間に教室でクラスメイトに(むら)がられている司波深雪をよそに、僕は読書をしていた。それも、超デジタル化している世界で本をだ。

ハードカバーの本は入手するのが色々手間だったけど、そうでもしないと『(しおり)』を持っているのが不自然になっちゃうからね。ついでと言ってはなんだが『ヘアピン』は制服のタイピン代わりに使っている。

 

一応、手元に無くても「来い」と強く念じると手元に瞬間移動させることは出来ることは実験済みだ。とっさの状況でも使用できるだろう。

しかし、やはりそこに無かった物がいきなり(あらわ)れたら、見た人がいれば不審がるだろう。だからこうして普段から持ち歩くようにしている。

……まあ、能力(ちから)を使っているのを見られたら、どっちにしろ不審がるだろうが…。

 

 

 

 

本を閉じて、鞄にしまう。

 

「さて、帰るとしようか」

 

そう呟いていつの間にか僕以外誰もいなくなった教室を出る。

 

 

…この時、僕はあることをすっかり忘れていた。

 

 

―――――――――

 

 

門のほうで、なにやら軽い騒ぎがおきていた。どうやらその人だかりは一科生と二科生のようだった。

 

 

「ああ、そういえばそんなイベントもあったな」と思い出し、教室に人気が無かった理由もわかった。

 

確かあれだ。司波深雪のクラスメイト…つまりウチのクラスの生徒たちの何人かが集まって、司波達也(あに)たちと帰ろうとする司波深雪に「司波さんは二科生(ウィード)たちと帰るべきじゃない。一科生(ブルーム)と一緒にいるべきだー」みたいなこと一方的に言って、乱闘勃発…って流れだったはずだ。

 

制服に八枚花弁のエンブレムが刺繍されている花冠(ブルーム)

二科生ゆえに刺繍が無い雑草(ウィード)

正直、そう大差はないと思うのだが…まあ、そこは個人の価値観の違いだろう。

 

 

 

「さて、どうしようか…」

 

幸い、と言っていいかはわからないが、まだ言い争いのはじめのほうだった。

 

もちろんスルーしてもいいのだが、()()()()()()()()()()()わけだし…。

それに、個人的に自分のクラスの人間がバカをするのを見逃すと良い気がしそうになかった。

 

 

「まずは……一応あっちのほうに釘を刺しておこうか」

 

僕は門のほうへと一歩足を踏み出した。




あんまりネタっぽくできなかった…
月島さん(モドキ)の活躍はこれからだ!(おそらく

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。