魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
お話を……お話の中身を進めなければ……!
goodが沢山付く素敵な感想があるのは、読者の皆様と月島さんのおかげ。
『九校戦』七日目。
本日8月9日は、新人戦『モノリス・コード』予選と、新人戦『ミラージ・バット』が行われる。
……と、今日の競技に関することの前に、昨日の……決勝戦リーグの3試合目を終えた後の話をしよう。
まず新人戦・男子『アイス・ピラーズ・ブレイク』の結果だが、一条将輝と僕が
…おそらくだが、上の方で色々と議論があったのだろう。当然僕はその場にはいなかったから、どういう議論がされていたかはわからないが……。まあ、試合開始前に運営側が僕のCADが「審査に通ったもの」「ルール的に問題無い」等々、アナウンスでしっかりと言ってくれたので、そのあたりではどうこうイチャモンをつけられないだろう。
同率1位となった一条将輝と僕には1位と2位のポイントを足して2で割ったポイント…20ポイントがそれぞれに加算されることとなった。
試合を終えて第一高校の仮設本部に顔を出しに行ったのだが、そこでの皆の反応は凄いものだった。
最初に跳びついてきたのは、また本部に来ていた後輩5人組だった。「さすがっす!月島さん!!」と言って群がってくる彼らは、相変わらずの一言だった。
後輩5人組を引きはがした後には、壬生先輩を中心とした剣道部、そしてお兄様と愉快な仲間たち、生徒会メンバー(女子)や渡辺委員長や小早川先輩、十文字会頭も来た。
「おめでとう!」や「すごかったよ!」等のお褒めの言葉以外にも、「あの魔法って何だったの?」といった好奇心からの言葉や、「あの黒い格好って何だったの?」といった質問まであった。
そんな中で、特に印象に残っているのは中条先輩と達也の反応。
中条先輩は、涙目で僕を見上げながら「もうっ!ああいうことするなら、最初にちゃんと言ってください…!!私、心配で心配で……心臓が飛び出ちゃいそうだったんですよ!?」と、随分とご立腹だった。
僕が「楽しんで観戦できましたか?」と聞くと「あんな空気で楽しめるわけないじゃないですかぁ!バカ~!!」と、さらに怒ってしまいポコポコと僕をたたきだした。
達也は、周囲が少し落ち着いてきて人が減ってきたあたりで僕に近づいてきた。そして「
希望的観測ではあったが、『
あとは……、ホテルに戻った後では、同室の森崎君に色々と聞かれたり、長々と話をすることとなったりと大変だったが……まあこれは森崎君にちょっとした保険をかけるために必要な時間だったと割り切っている。
……ただし、冗談抜きですごく疲れた。
―――――――――
そんなことがあっての、本日8月9日。
早朝に、『モノリス・コード』の準備のため意気揚々と部屋から出ていく森崎君を見送った僕は、これまでよりも少しゆっくりとしたうえで準備をした。急ぐ必要が無いという理由もあったが、単純に昨日の疲れが僅かながら残っていたということでもある。
そして『モノリス・コード』の応援へ行こうとしたのだが……ホテルから出る少し手前で、僕と言う餌に食らいついてきた人物がいた。
……それも、ご丁寧に人払いをしたうえで待ち伏せて。
今僕は、その人物と人気の無くなっている休憩スペースでテーブルを挟んで向かい合っている。休憩スペースの壁にはそこまで大型ではないがモニターがあり、そこには『モノリス・コード』の予選の模様の中継が映し出されている。
僕は、ため息を吐いた後、相対する人物へと目を向け言う。
「それで、防衛省のお方が何のご用でしょうか?…できれば、手短にお願いしたいのですが」
「あら?お姉さんとお話するのは嫌だったかしら?」
そう言うのは、防衛省技術本部兵器開発部所属の技術士官という肩書を
正直なところ、釣り上げる気なんてなかった相手・所属なうえ、面倒なことこの上ない。理由は……ね?
「人払いをしている上に見張りに軍人さんを配置している中で、好きも嫌いも有るはずないでしょう?」
僕の言葉を聞いた藤林さんは、少し驚いた様子を見せた。隠していたつもりだった見張りさんを指摘したからだろうか?……にしては、お粗末な隠れ方だと思うが…。
「……いつから気づいていたのかしら?」
「逆に聞きますが、いつから気づいていないとか思い違いをしていたんですか?…そもそも、
正確に言うならば、『九校戦』の二日目。
相対する藤林さんも、その時のことを思い出したようで「あー」といった感じに頷く。
「そういえばあったわね、そんなことも。…でも、残念ながらあの時とは……」
「別件、ですよね?わかってますよ。あの時は「好奇心の目」、今は「疑念の目」で僕を見てきてますからね」
藤林さんの言葉に被せるように言うと、言葉を止めた藤林さんは嫌そうな顔をして細めた目を僕に向けてきた。……目は口程に物を言うとはよく言ったものだ。
その反応に満足した僕は……
「それで、僕に何か疑うべき点があったんですよね?なら、その疑いを晴らしてみせましょう。聞きたいことがあるのであれば、なんでも言ってみてください。答えますよ?」
「……どういうこと?」
「言葉通りですよ?僕には僕の予定がありますし時間がもったいないので、単刀直入に話して終わらせてしまおう…と」
数秒間、僕の顔をジィーっと見ていた藤林さんだったが、聞き取れるかどうかといった小声で「情報通りといえば、情報通りなのかしら……」と呟きながらため息をついた後、改めて僕の顔を見て口を開いた。
「それじゃあ聞くけど、『無頭竜』との関係は?」
「敵ですね」
「…ここで『無頭竜』の名前が出てくることは疑問に思わないのかしら」
「もちろんですよ。僕が得られるだけの情報の中で、ウチの先輩の試合に手を出した存在である可能性が一番高いのが『無頭竜』だったんですから。…そして、今ここで貴女の口からその名前を聞けたので、確信に変わりました。故に「敵」です」
その予想通り、藤林さんは眉間にシワを寄せて何かを考え出した。「ありえない。でも、もしかしたら…」そんなところだったらいいのだが……。
…ただ、このまま考え込まれでもして時間が無駄に過ぎてしまうのも、個人的に予定が狂うのは嫌である。なので、今度はこちらから切りだすことにする。
「疑問なのですが、何故私と『無頭竜』に何か関係があると思ったんですか?」
その問いに答えたのは、藤林さんではなく……
「それはキミの使用した魔法が『
……真っ先に食らい付いてくるだろうと思っていた人物だった。
「これは九島烈様。こんなところで会うことになるとは……見張りの軍人さんはどうなさいましたか?」
「うむ、
僕の問いの答えに対し「何したんだ…」と言ってしまいそうになったが、それを抑えて立ち上がり一礼し、近くのイスを座りやすいように動かし老師に勧める。
「すまんな」
「いえ。誰もお付けにならずにこんなところまで来られるのは大変だったでしょうから、これくらいは…と思いまして。……それで、
そう言いながら藤林さんのほうへと目を向けた。当の藤林さんは、何とも言えない表情になっていたが……まあ、九島烈の登場が予想外だったんだろう。
九島烈はゆっくりと首を振る。
「いやなに、キミが何か話していたのが少し気になっただけだ。…それでキミは『化成体』は知っているかね?」
「いえ。名前を聞いたことがある程度です」
「そうか」と小さく頷く九島烈。
「『化成体』というのは、古式魔法の一種の技術・現象の名称だ。
なるほど、確かに
「しかし、何故その『化成体』が『無頭竜』と繋がるのですか?」
「『化成体』を使う古式魔法が今の日本には残っておらんからだろう。…そうだろう?」
そう言って九島烈は藤林さんのほうを見る。藤林さんはほんの一瞬の間をおいて、静かに頷いた。
つまりは、日本に無く、大亜細亜連合のような外国にある『化成体』に似た傾向のある魔法(?)を使用したから、そちら側に繋がりがある『無頭竜』との関係が疑われた……というわけか。
それにしたって、そんな要素ひとつで疑われたとなると、僕としては微妙に「どうしてそうなった」という気持ちだ。実際のところ『化成体』なるものを意識していたわけでもなかったし……。
そんな事を考えていると、遠くから「九島先生ー!」と九島烈を呼ぶ声が聞こえてきた。九島烈が来てしまった時点で、人払いの効力が薄れていたのだろうか。
「やれやれ、もう五月蠅いのが来てしまったか……。本題に入れなかったが…仕方あるまい」
僕の考えが顔に出てしまっていて、それが先程見えたのだろうか?歩いて行っていた九島烈が背を向けたまま言った。
「月島昊九郎君、その子をそう睨んでやるな。あの発動速度であの破壊力の魔法が技術として確立され、アチラ側にあるとすれば軍としては一大事なわけだ。敏感になってしまってもしかたなかろう」
「『十師族』としてはどうなんですか?」
間髪を
「フッフッフッ…!やはりキミは面白いな……魔法だけでなく、キミ自身も。今度
「そうですか、それは嬉しい限りです。そうでなければ目立った甲斐がありませんので」
その言葉にもう一度小さく笑った九島烈は、今度こそ他所へと行った…。
残されたのは、最初にいた僕と藤林さんの二人。
その藤林さんは大きく息を吐いた後、こちらに軽く頭を下げてきた。
「ごめんね。色々と」
「お気になさらないでください。……僕から言うことがあるとすれば、「お仕事、頑張ってください」くらいですよ」
微笑み「ありがとう」と返してきた藤林さん。しかし、そのすぐ後に真剣な顔で口を開いた。
「少し聞きたいんだけど……「目立った甲斐がありません」…て、どういうことなのかしら?」
先程の九島烈との会話の最後の部分のことだろう。
これは言っても問題無いか。どうせ……だし。
「これまで過ごした中で見えてきた「
さて…そろそろ本気で敵さんを釣ってみようか……?