魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
皆様の期待、および、付けていただいた評価に そえるような作品を書けるかどうかはわかりませんが、自分なりのものを出していきたいと思っていますので、これからも お暇な時に読んでいただけたら幸いです
日間ランキング等で上位に入れていたのも、これから先頑張っていけるのも、皆様と月島さんのおかげです!
…ということは、読んでくださっている皆様が月島さんの可能性が……!?
「失礼しました」
そう言って僕は『職員室』を出る。
いやぁ…どうしてこうなったんだろう?
まさか教職員推薦枠で風紀委員に任命されることになるなんて…。
先程、
なんでも、「
…あながち間違ってはいないんだけど、問題なのはその話が僕の通っていた中学の教員から直接『第一高校』の教員へと伝わった話だということだ。
えっ、何?中学の時、教員からはキツイ視線を受けたおぼえしかないんだけど……?
そんなイイヤツ扱いするなら、もっと優しくしてくれても良かったのに。
…と、一瞬思ったがよくよく考えてみると、大人しくさせているとはいえ実質不良共のトップだった人間に対し、教員たちもどう接するべきか悩み、距離をはかりかねていたのだろう。変に刺激して不良共を暴れさせられても困るのだから、ある意味当然だろう。
僕はそんなに短気じゃないから心配しなくても良かったのになぁ…。
っと、話を戻そう。そう、教職員推薦枠で風紀委員になるって話だ。
まず一言「済まぬ。森崎君、キミの数少ない登場機会を奪ってしまった…」
この森崎君とは、一応顔見知りではある。もちろん『ブック・オブ・ジ・エンド』を使って
何を隠そう、『魔法師』の家系出身ではない『魔法師』だった僕の母親が、色々とお世話になったのが森崎家だったのだ。ついでに、母は一時期『森崎家』が副業で行っているボディガード派遣の警備会社に
そんなこんなで、一度だけだが小学生の頃母と森崎家にお邪魔し、その時、森崎君にも会ったのだ。
あの時、母親以外の『魔法師』(母は「元」だが)に初めて会ったのだ。
そして、森崎君も『魔法師』のタマゴとはいえ、
…そう言えば昨日、森崎君は僕が中学で不良とつるんでたことを知っていたな。
親同士はいまだに繋がりがあって、情報はやり取りしていたってことか。僕は親から森崎君のことを聞いた憶えは無いが、きっとそういうことなのだろう。
そこまで考えた後、もう一度心の中で謝罪する。
…まあ『原作』を知っているのは僕だけなわけだから、そんなに気にすることでも無いかもしれないが。
ああ、昨日の一件で思い出した。
昨日、下校時の騒動の後、なりゆきで「お兄様と愉快な仲間たち」と一緒に下校したのだ。
会話もなかなか上手くいったし、友人…と言うにはまだ距離のある状態だが、ただの同級生よりもマシな関係になれただろう。
まあ、別に「お兄様たちと仲良くなりたい!」と叫びたくなるほど仲良くなりたいわけではない。だが、ある程度仲良くなっていれば、これから先何か騒動があった時に何かと利点があるかもしれない。
それに、
…あと、下校中に何度か僕の足元をチラッと見る人が三人ほどいた。
それは
おそらく、騒動の際に高速移動をした僕の足元が淡く光っていたのを目にし、それが気になって下校中に足元を確認したのだろう。
僕の能力…『ブック・オブ・ジ・エンド』と『
そして、彼女らが見たであろう光は、その『完現術』のチカラを発動した際に発生する特殊な光『
『完現術』については 僕の知識も十分ではなかったため、『ブック・オブ・ジ・エンド』と『盾舜六花』の修行している際に色々と気づき、今はそれらを研究しているところである。
…それにしても、柴田美月はともかく、他の二人にまで見えていたとは……みんな森崎君とレオのほうに目がむいていると思ったんだが…。
他にも目にした人がいると考えたほうがいいかもしれない。特に司波達也は
念のため
意識を現実に戻し、これからどうするかを考える。
「…さて、風紀委員としての正式な活動は明日かららしいけど、今日のうちに
特に大きな理由は無い。だが、
僕は記憶の中から風紀委員会の部屋の場所を思い出し、そちらへと歩を進めた。
「もし、いなかったら……一応生徒会室のほうにも行ってみるか」
―――――――――
「……おかしいな」
そう呟いた僕がいるのは生徒会室の扉の前だ。
風紀委員会のほうが無人だったのでコッチに来てみたのだが……先程から中の反応が無い。
この時間はまだ生徒会も活動していると思うのだが……。
少々目立つけど、栞を取り出して『ブック・オブ・ジ・エンド』を発動して生徒会室の扉に僕を挟み込み、「ここ数時間、僕は扉のすぐそばにいた」ようにしてしまおうかとも考えた。
『ブック・オブ・ジ・エンド』の影響を受け記憶が改変されるのは、挟み込まれた対象だけだ。しかし、実は挟み込む僕自身は「挟み込む前と挟み込んだ後を認識し、理解する」ことが出来るようなのだ。
つまり、今ここで扉に僕を上手く挟み込めば「扉に来たのはつい先ほど」という扉に自分を挟み込む前の事実を知りながら、「扉のすぐそばにいて 誰が何分前に扉を通過したか」という扉に自身を挟み込んだ場合の事象も認識。
そうすることで、本来僕という存在がいなかったはずの場所での出来事を知ることができる。
これは『
そして、これを利用したもののひとつが、先程少し触れた「画期的な勉強方法」だ。
勉強したい内容が記憶されている
また、この方法での『ブック・オブ・ジ・エンド』の使用なら他者に能力の事を知られる危険性は限りなく低い。
何故なら、『ブック・オブ・ジ・エンド』で僕という存在を挟み込まれた対象が人間なら他者と会話等をすることで
そんなことができるので、何故『生徒会室』に誰もいないのかその理由を知るべく、『ブック・オブ・ジ・エンド』を発動するために栞を取り出そうとしその時、僕はあることに気づいた。
「ああ、もしかして…」
僕はひとりポンと手を叩いた後、駆け足気味に
思い出したのだ。
確か…あれだ、今日のお昼に司波兄妹が『生徒会室』にお呼ばれして、そこで深雪のほうが『生徒会』に、達也のほうが生徒会推薦枠で『風紀委員会』に入る流れになるんだ。
けれど、放課後にそれを正式に採用するところで昼にいなかった生徒会副会長・
もし、僕が『生徒会室』を訪れたのが勝負をするために部屋を出た後だとすれば、『生徒会室』に誰もいなかったのも頷ける。
…それにしても、原作の下校騒動にあった「司波達也が 魔法の起動式を読み取れる」という見せ場を僕が潰してしまったというのに、原作通りに風紀委員の生徒会推薦枠に入れられるとは。
おそらく「さすがはお兄様です」の
「確か、演習室の何処かだったよな…」
足を
急ぐ理由は「達也の実力をこの目で実際に見ておきたいから」だ。一瞬で勝負がつくはずだが、その一瞬でも見たことが有ると無いとでは随分変わってくる。
…まあ最悪、演習室自体に『ブック・オブ・ジ・エンド』を使えば、勝負の様子を後から知ることもできるのだが…
いつの間にか、『魔法』や
―――――――――
三つ目の演習室の扉を開いたところで、探していた渡辺風紀委員長と『生徒会』の面々、そして司波兄妹のいる演習室を引き当てた。
ただし服部副会長が深雪に謝罪しているところからするに、勝負自体はもうとっくに終わり、達也が何をして勝ったのかも説明し終えてしまっているようだ。
僕が演習室に入ってきたのにいち早く気づき、声をかけてきたのは達也だった。
「月島?どうしてここに」
達也の発言で
今、この演習室にいる面の中には僕の事を知らない人もいるわけだから、自己紹介なり何なりすべきかもしれない…と一瞬だけ思ったが、まずは達也の問いに答えることにする。
「少し人を探していてね。それで偶然ここに通りかかったんだ」
「人を?ここで止まったということは…探していたのは俺か深雪なのか?」
「いや、そうではないんだけど……そちらの渡辺摩利風紀委員長に用事がありまして…少しよろしいでしょうか?」
僕は途中から口調を変え、渡辺風紀委員長に向きなおった。
当の渡辺風紀委員長は意外だったようで「えっ、私にか!?」と素で驚いていたが、すぐにひとつ咳ばらいをした後「いいだろう。で、なんのようだ」と続きを
「教職員推薦枠で風紀委員に任命されました、
「昨日の恩」という言葉に疑問符を浮かべるメンバーもいたが、渡辺風紀委員長には問題無く伝わったようで頷いてくれた。
「なるほど、そういうことか。ご苦労だった。それにしても、ある意味いいタイミングだ」
「…といいますと?」
半分予想はつくが、僕はあえて聞き返す。
「ちょうど今、生徒会推薦枠が司波に決まったところだ」
「ほぉ、そうだったんですか」
渡辺風紀委員長が示した達也に目を向けると、達也は「まあ、そういうことだ」と小声で呟きながら肩をすくめていた。
なお、その隣にいた深雪はとても嬉しそうに…誇らしそうに良い顔で微笑んでいる。
そんな僕らの様子を見ていた渡辺風紀委員長が軽く微笑みながら言う。
「お前たちなら一科・二科関係なく上手くやっていけるだろう?」
僕と達也が顔を見合わせる。
…そして、一呼吸おいてから先に達也が口を開いた。
「ええ。まあ月島の手腕からして、自分に仕事が残るのか不安がありますが」
「僕は僕で、達也の足を引っ張ってしまいそうで不安ですね」
僕がそう言うと「お前が言うか?」と言った目で達也が見てきた。
だが、コッチとしても先程の達也の言葉に思うところがあったから、その視線はスルーする。
「…なんだかんだ言いながら、問題は無さそうだな」
僕と達也の様子を見て渡辺風紀委員長はそう呟き、そのそばまで来ていた七草会長は頷いていた。
余談だけど、その後、唯一僕に目を向けていなかった人…CAD(術式補助演算機)を手に恍惚の表情を浮かべていたとある小さな女子生徒が「
「きゃあぁーーー!?」
叫ばれた。
しかも、ただ単に驚いただけではないようで、部屋の
「あーちゃん気弱なところがあるから、自分より凄く背が高い月島君が怖く見えるんじゃないかしら?…あとは月島君の噂がそれを助長してて」
七草会長の言葉を聞いて、大体わかってしまう。
僕の噂って言われて思い浮かぶのといったら「不良をまとめ上げてた」
そんな事を考えていると渡辺風紀委員長が僕に問いかけてきた。
「細いが…確かにデカいな、いくつだ」
「…192cmです」
なお、『