魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

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※注意※
「原作改変」等が多々含まれています!


今回のお話は、ほぼ完全に日常回です。ストーリー的にはほとんど進んでいません。

そして、次話からコンペの話に入ります。
やっとです。……これまでにところどころ、長引いたところがありましたので…。


そして『BLEACH』最終巻が発売されましたね!
月島さんの活躍の場面をジャンプで方にはぜひ……え?ほんの数コマしか出てない?何言ってるんだ!一護が復活したのも、一護と愛染さんが共闘したのも、ラスボスさんを倒せたのも、全部月島さんのおかげ(以下テンプレ通り)


『BLEACH』のオサレポエムを「考えるんじゃない、感じるんだ」とできるのも、月島さんのおかげ。



横浜騒乱編-2:新生徒会の日常

 

 

「……どういう状況だ。これは?」

 

そう言ったのは、生徒会室に入ってきた達也だった。

 

別に生徒会室の中が荒れているだとか、そういうわけでは無い。

ただ単に新生徒会メンバーがいるだけだ。

 

 

生徒会長は、中条あずさ。

副会長は、司波深雪。

書記はこの僕、月島昊九郎(こうくろう)

会計は、五十里(いそり)(けい)

 

 

…ん?会計の人が五十里先輩が誰かわからない、って?

刻印魔法の権威である『五十里家』の人間である二年の先輩だ。

一応、達也とは『九校戦』あたりで絡んでたりはするんだけど……まぁ、確かに僕とはほとんど関わっていないから、面と向かって話したのは新生徒会発足時の顔合わせが初めてだ。

でも、知るには知っていた。「アニメで見た」…というのもあるが、婚約者の千代田(ちよだ)花音(かのん)先輩とイチャついているのを『九校戦』の期間中に何度か見かけていたので、必然的に顔は覚えた。

 

…え?千代田先輩もわからない?

こちらも『九校戦』の本戦・女子『アイス・ピラーズ・ブレイク』で活躍していた二年の先輩だ。

とは言っても、僕としては渡辺委員長の後釜として新風紀委員長に就任してからのほうが付き合いがある。……まあ、それも僕が生徒会に入るまでの1カ月にも満たない短い期間だけなのだが…。

 

 

 

…と、新生徒会メンバーについてはもういいだろう。

 

 

僕は、入り口付近で立ち止まってる達也に手招きをしながら口を開く。

 

「まあまあ、いいじゃないか。…というより、新風紀委員会からの書類を持ってきてくれたんだろう?ほら、僕に任せてよ」

 

「あ、ああ…」

 

達也から書類を受け取って、僕はそれに目を通しだす。

これからこれを整理しまとめ、記録として打ちこんでデータで残すまでをしなければならないが……まあ、そうかからないだろう。

 

「にしても、予想外だよ。てっきりこの書類を口実にして千代田先輩が五十里先輩に会いに来ると思ったんだけど…?」

 

書類に目を通しながら達也にそう言うと、達也はいつも通りの調子で言葉を返してきた。

 

「千代田先輩はそうしようとしていたさ。…ただ、委員長としての仕事がまだまだ残っていたから、渡辺先輩が止めて俺に行かせたんだ」

 

「なるほど…。まあ、この時期は引継ぎとか新体制になった影響とかで忙しい時期。前委員長の渡辺先輩を引っ張ってくるくらいに大変なんだね」

 

でも、引っ張ってきた…というより、実際は渡辺先輩のほうから千代田先輩の様子を見に言った感じなんだろうけど。前から目にかけているようなふしもあったし…。

 

 

 

そんな事を考えていたんだけど、「それにしても…」と達也が口を開いた。

 

「風紀委員会に比べて、生徒会(こっち)は随分と余裕があるみたいだな」

 

「まあね」

 

僕らの会話を聞いていた、五十里先輩が「あははは…」と苦笑いに近い笑みをこぼした。

 

そして、僕と達也、五十里先輩が目を向けたのは、生徒会室でも窓際にほど近い一角。そこでは、中条先輩と深雪さんが()()()()()()()()()()()

ふたり…正確には深雪さんがふたりの眼前に広げているのは、一冊の本。それをふたりが熱心に読んでいる。

 

 

「…あの本、月島のものだろう?」

 

「そうだよ?よくわかったね」

 

「いや、月島君以外に本を学校に持ってくる人なんていないと思うよ?」

 

五十里先輩のツッコミに「おや?そうですか?」と返した後、達也に今の状況になった経緯を伝える。

 

「やらないといけないことが大方終わってしまって、「解散?いや、でも今日くらいには風紀委員会からの書類がくるよね?」ってことで、とりあえず待つことになったんだ。その時に、僕が本を取り出して…中条先…会長が「いつも読んでますけど、何の本なんですかー」って」

 

「それでああなったのか」

 

そこまでの説明でどう理解したのかはわからないけど、達也は納得したように頷き、そして……

 

 

「つまり、全部月島のせいだというわけだな」

 

「いや。「せい」って言われるとまるで悪い事をしたみたいじゃないか」

 

「おかげ」なら素直に受け止めるけど、「せい」って言われるとあんまりいい気はしないものだ。そもそも僕のせいというのは、おかしい気もする。

 

 

「本来、忙しいはずのこんな時期にヒマしているのは、生徒会の仕事をお前が一人で終らせていたからだろ」

 

聞く…というよりも、勝手に断言しかけている。

そしてその言葉に答えたのは、僕じゃなくて五十里先輩だった。

 

「よくわかったね。気づいたら「この役職の人がしないといけない事」ってもの以外は月島君が終わらせてて…」

 

「風紀委員会に所属しているころからそうだった…というだけですよ。見回りなど以外の事務系統の仕事のほとんどは、月島が引き受けてこなしていましたね。……まあ、その月島がいなくなったため、風紀委員会が今、忙しくなっているんですが」

 

そう言って達也は僕を見てくる。

けど、別に僕が悪いわけじゃない。元をたどれば、僕を誘った中条先輩が原因だ。…まぁ僕が断らなかったというのもあるんだけど。

それに、あの程度のものなら達也でもそう問題無くこなせるだろう。

 

 

 

「……なあ、月島」

 

未だに本に熱中している中条先輩と深雪さんを見ていた達也が口を開く。

……というか、凄いな。中条先輩はともかく、深雪さんがまだ達也がいることに気づいていないんだけど…。

 

「深雪たちは何を読んでいるんだ?」

 

「兄妹と幼馴染の三角関係…っていう内容の恋愛小説」

 

そう言うと、達也は固まり……それ以上に五十里先輩が顔を真っ赤にしてうつむいた。

 

 

「月島、何処からツッコむべきだ?」

 

「事前に言っておくけど、ちゃんと年齢指定とかが無い本だから安心していいよ」

 

「その割には二人の顔が赤くなっているんだが。特に会長のほうが」

 

ああ……確かに中条会長は時折「あわわっ…!?」なんて呟いてる。

だが、誰が何と言おうとR指定なんて付いていない、健全な本である。

 

「…まあ、一世紀以上前に書かれた小説だから、今の規制に比べると緩いかもしれないけどね」

 

「……色々と心配なんだが」

 

「ハァ…」と大きくため息をつく達也。五十里先輩は顔を赤くしたまま「あはは…」と何かごまかすように笑っていた。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

本に熱中していた二人が現実に戻ってきたのは、達也が出ていってから数十分後……ちょうど僕が報告書等全てを終わらせたあたりだった

 

「まさか……、まさかあんなことを…!」

 

顔を真っ赤にし、自分の頬に手を当てる中条会長。頭からは湯気がでそうで、視ているだけで面白い。

 

「月島さん!これに続きがある様ですが、次の巻は……あの兄妹はどうなってしまうのですか!?」

 

こちらはこちらで顔は真っ赤だが、中条会長のほうとは別の意味で面白い。同じクラスで過ごしているので、おしとやかなイメージがより強く残っているため、なおのことだ。

 

 

「あっ、言っておきますけど、それの下巻はありませんよ?」

 

「「ええっ!?」」

 

「正確には「僕の手元には無い」ですね。一世紀以上前に発行された本ですから、今の今まで残っているものはとても希少です。保管状態の事も考えると本当に希少ですから、これから先、巡り合えるかもわかりません」

 

…まぁ、手に入りさえすれば本の状態についてはどうとでもなったりはする。

『盾舜六花』の『双天帰盾』で劣化や破れを拒絶すればいいし、『ブック・オブ・ジ・エンド』で「発行されてすぐに僕が完全な状態で保管した過去」を挟めば、一瞬で新品も同然にすることが出来る

 

せっかく持っている能力(チカラ)なんだから……こんな使い方をしてもいいだろう?

 

 

 

「それにしても意外でした。月島さんが恋愛小説をお読みになられるとは……。いつもこういったものを?」

 

深雪さんの問いかけに、僕は首を振って肩をすくめてみせる。

 

「今日がたまたまコレだったってだけだよ。他にも色々なジャンルの本を読んでるし……文学作品以外にも、大昔に西洋で流行った黒魔術の魔法書の写しの写しなんてものもあったり。集めた本の中には料理本なんてものもあるよ」

 

「ふふっ、本当に本が好きなんですね。いつも淡々と読んでいるイメージがありましたから、あまりそうは思えなかったのですが……今日改めて実感しました」

 

深雪さんに言われた「本が好き」という言葉を、自分の中で考えた。

確かに、好きかもしれないな。

元々は『ブック・オブ・ジ・エンド』の(しおり)を、違和感なく持ち歩けるようにするために入手しだした本だけど、それがきっかけに本当に好きになってしまっていたようだ。…まあ、別に悪いことでも無いし、いいか。

 

 

 

「月島君の書庫かぁ…。なんだか面白そうなものがありそうだね」

 

五十里先輩はそう呟いていた。

黒魔術の書物もそうだけど、時偶に古本の中には魔法に関連しそうなものもあったりする。……けど、大抵は本当にオカルトな空論のものなんだけどね。

 

それらの中に、五十里先輩の興味をひきそうなものがあるとは思えないけど……そもそも、どういったものが好きかとか、僕が五十里先輩自身を知らないのも一因か。

五十里先輩が好き……千代田先輩?いや、そういう話じゃない。

 

 

 

 

それにしても、今更ではあるけどこの新生徒会、大丈夫だろうか?

 

なんというか、その……ゆるい気がする。

僕は、学校での表面(おもてづら)はどちらかと言えば温和。風紀委員として活動していた際も、ピッシリ・カッチリとはしていても取り締まった件数は少ないし、基本的には話し合いとかだけで極力済ませていた。

 

五十里先輩もあまり恐いイメージなんて無いし、顔だってどちらかと言えば女顔っぽい。

 

あえて言うならば、本当にピッシリ・カッチリしているのは深雪さんくらいなのではないだろうか?

…まあ、あくまで僕の主観での話なので、生徒たちにどう見られているかは不明だけどね。

 

 

 

ただ一つ確実なのは……

 

「き、きき…キス……!うぅう…!」

 

未だに顔を真っ赤にしたまま一人もだえる小動物を見て思う。

会長(トップ)はゆるキャラである」というのは共通認識であろう…と。

 

 

「…ハッ!?月島君、今何か失礼なこと考えてませんでしたか!?」

 

「いえ、別に?」


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