魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
今回のお話は、一応第三者視点です。
一言、謝罪をさせていただきます。
大変申し訳ありませんが、前回更新からの感想欄、一つも返信できておりません。
正直、甘く見ていました。
最近は一話分で平均10~20くらいの感想、47話で「謝れよ!」を中心に50ほどの感想をいただきました。
…で、前回更新の48話の感想数……なんと120超え!!
いつも感想を書いてくださっている方、初めての方……中には、わざわざ会員登録までして感想を書いてくださった方も!?
連載当初に「感想の返信はしたい……でも、執筆時間もできるだけ削りたくない」、「そんなに感想来ないかな?そもそも続くか?」と思いながらも、感想受付設定を「ログインユーザーのみ」と設定して始めた今作。それでも全ての感想への返信は出来ていませんでしたが……。
今回は完全に作者の要領限界を超えました!(嬉しい意味で)
全部に返信するのは勿論「どれか数個だけ!」っと返信するのも難しいくらい、皆様の月島さんへの愛(ネタ的なものも含め)いっぱいでした!選ぶなんて出来ません!…でも、全部返信していると執筆時間が無くなってしまう!?
「(作者を含め)やっぱりみんな、ガチな月島さんが好きなんだなー」と思いつつ、「誰かガチな月島さんの小説書かないかなー(チラッチラッ」と、言い出しっぺの法則に悩みながら、感想を読ませていただきました!
この場を借りて、皆様にお礼を申し上げさせていただきます。
沢山の感想、本当にありがとうございます!
月島さん(モドキ)が月島さん(ガチ)を出来るのも、一護に「ハッピー☆サプライズ(?)」をした、月島さんのおかげ。
某日、国立魔法大学付属立川病院にある人物が花束を持って訪れていた。
周公瑾が国立魔法大学付属立川病院に足を運んだのには、ある理由があった。
それは、今現在、周が取引をしている相手…『大亜連合軍特殊工作部隊』の為に用意した現地協力者・平河千秋がこの病院に入院したという情報を得たからだ。
そして、平河千秋が入院した理由が
精神操作。
それが、千秋が病院に入れられた理由なのである。そして、その精神操作を施したのは他でもない、周本人である。
故に、こうして彼女のもとへと訪れようとしているのだ。
それも、千秋が何らかの形で第一高校内での工作を失敗して拘束されたということもあり、対応は早めにしておくべきだと周は判断していた。
そう簡単に漏らすことは無いであろうし、彼女自身が持っているこちらの情報は僅かだ。…とはいえ、顔を見られたりはしているため、手を打っておくに越したことはないのだ。
……で、周公瑾による国立魔法大学付属立川病院への訪問(正確には侵入に近い)は、実は二度目だったりする。
というのも、先日周が訪れた際、運が良くか悪くか『大亜連合軍特殊工作部隊』に所属する「人喰い虎」
鳴り響く警報の意味を正確に理解できていない呂剛虎は、千秋の病室に入ろうとドアを開けようと奮闘していたが、そこに「千葉の麒麟児」や「
そこにもうひとり加勢が来たことにより、呂剛虎は負傷…撤退を余儀なくされた。
そして周はというと、負傷した呂剛虎の撤退の手助けを行い、軽く恩を売ったわけだ。
警報を作動させたのが周だと知らない『大亜連合軍特殊工作部隊』からみれば、大事な戦力を失わずに済んでホッとしたことだろう。
―――――――――
そんな事もあったのだが、その時のリベンジということで周は病院を訪れているのだ。
呂剛虎による襲撃の一件で、病院の警備自体は厳重になっている。
しかし、周公瑾にとってはその程度は誤差の範囲内であり、何ら問題も無く千秋の病室の前にたどり着く。
周が病室のドアをノックすると、ほんの少しだけ間を開けて病室内から電子音に続いて「ガチャリ」とドアのロックが解除される音が聞こえた。
周公瑾がドアを開け病室へ入ると、そこにいたのは、上体を起こした状態でベッドの上で座っている平河千秋の姿だった。
病室ということもあって、必要最低限のものくらいしかない部屋の中で、患者用の衣服を纏った千秋。つい先程までベッドに取り付けられている机にむかっていたようで、座る彼女の目の前にはノートのようなものが2冊ほど広げられていた。
「お加減はいかがですか、千秋さん」
そう言いながら周公瑾は千秋のいるベットのほうへと歩み寄る。
「えっ、どうやってここに?」
周の来訪に驚く千秋。ただ、その様子はどうやら驚き半分喜び半分といったところのようで、心なしか千秋の表情は明るく感じられる。
「とっておきを使いました」
「とっておき……魔法ですか?」
「魔法など無くても、人はいくらでも奇跡を起こせるものですよ」
そう言いながら、周公瑾は持って来た
「この人ですよ。私の相談に乗ってくれて、色々と力を貸してくれたのは」
周の目の前にいる千秋が、周がいる方向とは別の方向…ベッドを挟んで周とは反対側の方向へと顔を向けて、そう言った。
いきなりの不可解な出来事に疑問を持ちつつも、周の直感が何かを感じ、瞬時にそちらへと目を向けた。そこにいたのは……
「ほぅ、この人が……。であれば、お礼を言わなければならないね」
周が病室に入った際に何処にもいなかったはずの人物…第一高校の制服を着た
「はじめまして…そしてありがとうございます。千秋くんの相談に乗ってくれたそうで……」
「……ええ、まあ」
周公瑾は、警戒を強めながらもとっさの行動へ移せなかった。
理由はいくつかある。
誰もいないと思っていたのにそこにいたのは、周公瑾たちと同じ他人の思考の方向を操る古式魔法『
そして、何故、わざわざ千秋を挟む位置取りで待機しているのか…という疑問から、周は自身の思考により、動くことが出来なかった。
不可解過ぎる。
周は様々な点から見て、月島から「コチラを害するという意思」を感じられなかった。しかし、千秋に絡む一連の出来事の根底に周がいるということは、千秋本人との会話から、月島は少なからず理解できているはずである。
…であるのに、だ。不意打ちをしてくるわけでもなく、囲うわけでもなく、ターゲットであろう千秋を護るといった様子でもない。
そして、周にとって一番理解できないのが……
「僕らの間での問題。…本来であれば、僕らだけで解決できれば良かったのですが、あなたの手を借りてしまい……」
「待って、月島さん。その言い方じゃあ、もう解決してるみたいじゃない。私と姉さんを一流の魔工技師に負けず劣らずの実力にするっていうのが仲直りの条件でしょう?まだ解決したわけじゃないわ」
「手厳しいね、千秋くんは。…まぁその為にも、明後日に小春さんが来るまでに、千秋くんを小春さんレベルまで仕上げないといけないんだけど……まだ、頑張れるかい?」
「もちろんよ。バカにしないで」
月島と千秋との会話。
千秋は月島に対し時折トゲのある言葉を使うが、頬が赤く染まったりしていることなどから、それは照れ隠しの一種だという事が見て取れる。
つまり、二人の仲は至って良好のようなのだ。
しかし、それは
周公瑾が千秋に施した精神操作というのは、極端に言うと「思考を「司波達也」と「月島昊九郎」に向ける」というものだ。
そもそもの狙いは、取引相手である『大亜連合軍特殊工作部隊』が探りたい相手である司波達也だった。だが、千秋の精神操作を行う際に、彼女が司波達也と同等かそれ以上に意識を向けている相手がいることに、周は気がついた。それが月島昊九郎だった。
月島という人物については周自身も知っていた。『九校戦』で『化成体』に近いものを持つ謎の魔法『月牙天衝』を使用した、『十師族』に食らい付くほどの実力を持った魔法師だと。
周は迷った。全ての意識を司波達也に向けることは出来る。だが、平河千秋自体、本命ではなく「囮」としての役割も存在する。捕らえられないにこしたことはないが、狙いを悟られないためのダミーの工作も行わせることも、有益ではあるだろう、と。
故に周は「司波への意識」と「月島への意識」の両方を残す形での精神操作を行った。二方向に残すというのは、意識を縛りつける力自体は弱くなるがさほど問題無いだろう、と周は踏んだのだ。
…そういった精神操作を行った。
なのにだ。二方向に残したとはいえ、それでも通常とは比べ物にならないくらいの意識を…悪意を月島には向けられているはずであるにも関わらず、月島と千秋の中が良好なのは、どう考えても異常であった。
…というか、呼び捨てだったのがほんの数日で「月島さん」と、さん付けで呼ぶようになっているのは、一体どういうことだろうか。
精神操作がすでに完全に看破されたのか?
ならば何故私を拘束するようなそぶりを見せないのか?
他の人間に情報が漏れていないか?
今、この予想外の状況から、目の前のふたりの記憶から自分を消せるか?
それとも、ここで殺す方が手っ取り早いか……いや、それだと先日呂剛虎をわざわざ止めた意味が無い。
ここは放置してでも、逃亡を最優先すべきか?
短期間で精神操作を看破し、存在を気付かせないほどの技量を持った相手を前に、逃げることが可能なのか?
周公瑾の思考は、巡りに巡る。
その思考を止めたのは、他でもない月島だった。
「すみません。せっかくお見舞いに来てくれたようですが……ここ最近、理由は不明ですが千秋くんの周りを大亜連の人間がうろついているようで、つい先日も病院に来ていた人が負傷する事件が起きています。…心苦しくはありますが、あまり千秋くんに……そして大亜に近づかないようにしてくれませんか?」
「私に手助けしてくれたせいで、もしかしたら貴方が狙われかけているかもしれないんです。……その、ごめんなさい」
月島の後に、千秋が本当に申し訳なさそうに言いながら頭を下げた。
その千秋の謝辞については、周はそこまで気に留めずに聞き流していた。
問題はその前の月島の言葉だ。
理由は不明だ…などと「嘘だ」と言いたくなることを言っていたが、その含めて月島の言葉にはあらゆる意味が込められていると、周は察した。
それによってわかったのは、月島という人間が思った以上に周公瑾の立場を理解しているというとこだ。
というのも、月島の言葉の中で一番重要な部分は「大亜にも近づかないように」というところ。狙われているかもしれない人間に対して言うならば、普通はそんな言い回しはしないだろう。…おそらく、千秋の精神操作を行った
つまり、さっきの言葉は
「これ以上千秋に関わらず、『大亜連合軍特殊工作部隊』にも手を貸すな」
…それが、周公瑾を見逃す条件。
周公瑾は目を細めた。
この口約束から考えると、随分と月島という人物は自身の力に自信があるのだと、周は感じた。…第一、こんなやり方をするということは、もし仮にここで戦闘になったとしてもどうにかできるということなのだろう…と。
そして、「ここで見逃して何のメリットがあるのか?」という疑問もあったが……それ以上にひっかかるのが、月島が嘘を口にするのに対し、千秋のほうは本気で言っている…つまり周の裏を知らないということ。月島が千秋に隠しているということだった。
何か……月島という人物には、何か裏があるのでは?そう考えずにはいられなかった。
そんな事を考えながらも、万全の状態では無い周は「ここは大人しく引き下がる
千秋と
病院から出た周公瑾は『
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「大丈夫かな……?」
「大丈夫だと思うよ。あの人、カッコイイし……たぶんそれなりに強いだろうから」
「……?月島さん、もしかしてあの人のこと、前から知ってたりしましたか?」
「少しだけさ。……あのボタンの押し方は中々カッコいいんじゃないかな?オサレには至らないだろうけどさ」
「ボタン……?オサレ……?」
周公瑾がいなくなった病室で、そんなゆるい会話が行われていたそうな……。