魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

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※注意※
「残酷な描写」「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!


今回は基本あーちゃん視点で、後半に第三者視点が入ります。
……やっぱりあーちゃん視点を書くのは難しいです。前回に引き続き、小動物感が足りません。




月島さん(モドキ)が月島さんなのも、月島さんのおかげ。


横浜騒乱編-14:月島君と小人さんと私

 

私、中条あずさの頭の中では、20年にも満たない人生ですが過去最大の混乱に見舞われています。

 

よくわからないけど聞こえる声。飛び交う小人さん。

そして……

 

 

『この子、見えるようになっちゃったよー?……どうすんのさ?』

 

 

小人さんの一人の声を聞いた私が「え?見えるって、どういう?」と言った後の月島君の表情の変化。驚いているような、困っているような……何だか色々混ざっている表情。

 

……そして、その後からの会話もよくわからなかった。

 

 

『前に話した事あるの憶えてる?「その気になれば僕らの姿や声を認識させることができる」って』

 

「そういえば、そんな話もあったけど……それが関係が?」

 

髪を結んだ糸目の小人さんの言葉に、私のことを改めて『お姫様抱っこ』し、歩きだした月島君が今度はちゃんと口を動かして言葉を返していた。

それに対して、糸目の小人さんは頷いた。

 

『話してなかったのも悪かったんだけど……。ほら、服越しとはいえ、ほぼ0距離の状態で『盾舜六花(僕ら)』の能力を使用したじゃない?その時に、この子は「ヘアピン(僕らの本体)」とマスターがやり取りする霊子を直に感じ取ったわけ』

 

「それが影響を及ぼした、というわけかい?」

 

『元々魂に繋がりのある僕らとマスターほど強いものじゃないけどね。()()()()僕らへの簡易的なアクセス権を得ているような状態なんだ。もちろん、僕らに指令したりは出来ないよ。あと、僕ら以外を認識できるほどにもなっていないはずだ』

 

「あくまで僕繋がりで、ってことか。……「一時的」ということは、時間経過で薄れるのかい?」

 

『あー……それは断言できないんだ。生まれてこのかた、こんな状況になった事は無いからね』

 

そう言った糸目の小人さんに向かって、月島君は鋭い目を向けた。

糸目の小人さんは、それを怖がる様子も無く首を振った。

 

『仕方ないだろう?僕らはマスターと共に生まれ生きてきたんだ。自分たちの存在については生まれた時には知識としてあったけど、その僕らとマスターが周囲にどういう影響を与えるかまでは知らないんだ。……それに、今回はこの子自身が色々と特殊な状況だからね』

 

 

そう言うと、糸目の小人さんは私の方を見てきた。たぶんだけど、「この子」って言うのは、私のことだよね…?

 

目が合った?…と思うと、その小人さんは片手あげて「やあっ!」と笑いかけてきたから、私はなんとなくで「ど、どうもー…」と返してしまった。

 

 

「……ああ、なんとなくわかってきたよ」

 

『そうそう。たぶん察しがついているように、この子はマスターにそれなりに近しい間柄で、共にいた時間もそこそこある。それに加えて()()()()()がある。…マスターからの借り物の今の感覚が刺激になって、この子自身の魂がコッチ側の能力(チカラ)を開花してしまう可能性がある』

 

「確かに織姫あたりと似た状況……無いとは言い切れないから嫌だね」

 

そう納得したように言う月島君。

 

……もちろん、私は何が何だかわからない状況で、置いてけぼりのままなんですけど……

 

 

 

そんな『お姫様抱っこ』されたままの私の目の前のあたりに、一人(?)の小人さんが来た。戦車を壊した、口元をバンダナで隠した目つきの悪い小人さんだ。

 

『おい、小娘』

 

「こ、小娘って…!?わ、私、あなたよりは…」

 

『んなこと聞いてねぇよっ!!お前が言っていいのは、俺たちのことを誰にも話さない、って約束に対して「はい」か「YES」かの返事だけだ!わかったかっ!!』

 

「ひゃい!?」

 

目つきの悪い小人さんは、私にそう怒鳴っていった後、月島君に「…じゃあ、俺は見回りに戻る」と言って何処かへと飛んでいってしまった。

 

 

「こ、こわかった……」

 

『すみません、中条会長。…ですけど、あれは彼なりの優しさなので許してあげてください』

 

口を動かさないでそう言う月島さんは、苦笑いをしていた。

そして、その右肩にいる糸目の小人さんは軽快に笑っている。

 

『優しいけど不器用だよねー、椿鬼(ツバキ)は。僕らが実力的な口封じをしようか考える前に、「秘密を守る」っていう言質を取ろうとするんだから』

 

『……というか、そういう方法を取ろうとすると思われてるのかな?僕は』

 

『そればっかりはわからないね。僕らは元は同じでも別個の存在だから…………ああ、ごめんごめん椿鬼。そんなに怒鳴らないでよ』

 

そう言って楽しそうに笑う糸目の小人さん。…でも、なんだか変な間があったような……?

そう思って、私は首をかしげてしまったんだけど……それを見た月島君が、また口を動かさずに言葉を発した。

 

『簡易的…って言うだけはあって、どうやら認識できる範囲は狭いみたいだね。……良かったじゃないか椿鬼。そんなに恥ずかしがらなくて良いみたいだよ』

 

月島君がそういうと、また少しの間があってから月島君と糸目の小人さんが笑った。

 

 

 

 

「ええっと…そのー……結局、どういうことなんですか?」

 

私がそう月島君に問いかけたんだけど……

 

『それに関しては、僕から説明するよ!』

 

月島君の右肩にいた糸目の小人さんが私の目の前まで飛んできた。

 

 

『僕は「舜桜(しゅんおう)」。そして、さっきまでいたのが「椿鬼(つばき)」。…で、マスターの首元にいるのが「あやめ」』

 

そう言われて、少し前に私が手で持っていた月島君の首へと目を向けてみると、着物のような頭巾(ずきん)をかぶった小人さんが顔をちょっとだけ見せて、すぐに隠れてしまった。

 

『他にも3人いるんだけど……今は少し離れた場所にいるから、紹介はまたの機会にね!…で、そんな僕ら6人を合わせて『盾舜六花(しゅんしゅんりっか)』って言うんだ。簡単に言うなら、キミら魔法師が使役したりする『精霊』にほど近い存在だね』

 

「精霊……ですか?」

 

『精霊』については、一応理論な知識としては知っていても、あまり詳しいわけじゃない。

…けど、今年の『九校戦』の新人戦『モノリス・コード』で一年生の吉田君が『精霊魔法』を使っていたから、なんとなくではわかっているつもりだった。

 

「…それじゃあ、あの『障壁魔法』や戦車を切った魔法は『精霊魔法』なんですか?」

 

『近い…とだけ、言っておこうかな?そもそも僕ら自体が『精霊』に近いとは言っても、かなり異質な存在だからね。……それ故に、他人(ひと)に知られたらいけないんだ……マスターが大変な目に遭っちゃうからね』

 

そう言って月島君の顔を見る糸目の小人さん…シュンオウさん。……でも、それって一体どういうことだろう?

 

その疑問を最初から予測していたのか、シュンオウさんは頷いて言葉を続けた。

 

『精霊を知覚したことが無いキミには僕らの異常性はわからないかもしれないけど……僕らは『精霊』とは違って、こうして完全な意思疎通ができたり、自分で考えてマスターのために行動したりするんだ。そして、僕らはマスター以外の人に使役されることが無いのも特徴だね』

 

「専属の精霊…ってことですか?」

 

『まぁ、そんな認識で問題無いよ!…で、それを他の人……特に精霊魔法を使う人たちに知られるのはマズいんだ。理由は簡単、人間は自分の地位を脅かす存在を放っておけないんだ……わかるかな?』

 

精霊魔法にも、この小人さんたちのことも詳しく知らない私には「どちらが優秀か?」なんてことは判断できませんが……たしかに危険視はされるだろうとは感じた。

 

 

「なんとなく、ですけど。えっと…ツバキくんが言ってた意味がわかりました。……秘密にしたらいいんですね?」

 

そう私が言うと、シュンオウさんは嬉しそうに微笑んだ。

 

『そうしてくれるとありがたいよ!当然だけどキミ自身が見えてる事も黙ってたほうが良いよ?もし、開花しちゃったら本当に色々見えるようになったりするからさ』

 

「あのっ、月島君と話してた時も言ってたけど「開花」っていうのは…?」

 

『あー…それはまだ推測でね。どのくらいのものになるかはわからないけど、僕ら以外にさっき話した『精霊』とかが見えるようになったりするかもしれないんだ。一時的に見えるようになる期間は大体1日くらいでー…ええっと、もし、本当になるとしてもすぐさま開花するとは限らないから、遅くとも1週間くらいかな?』

 

 

私にそう言った後、シュンオウさんは月島君の肩に戻って、月島君へと問いかけた。

 

『どうするの?本当に開花しちゃったら色々教えなきゃ大変だと思うよ?』

 

シュンオウさんの言葉に、月島君は特に考えた様子も無く、私の目を見て言ってきた。

 

「そうですね……もしそんな状況になったら、僕に相談してください。もしくは……いえ、相談してくれればいいです」

 

「……?…えっと…わかりました」

 

月島君が何か別のことを言おうとしていたような気がして、少し不思議に思ったけど、改めて言い切られてしまったので、それを聞けませんでした。

 

 

 

『ん?リリィ?どうしたの……あららっ、それはまいったな』

 

「いや、恐らくは大丈夫だと思うよ。…でも、ギリギリか。運が良いのか悪いのか……」

 

知らない名前をシュンオウさんが呼んだかと思えば……何かあったみたいだ。月島君も「やれやれ」といった感じで、軽く首を振っている。

 

 

…と、その月島君の顔が『お姫様抱っこ』されている私の方を向き、月島君の足が止まった。

 

「中条会長。もう歩けますか?」

 

「ふぇ?歩けるって……それはまあ」

 

その返答に満足したのか「それはよかった」と呟いた月島君は、いつもの微笑みで頷いて、私をゆっくりと足のほうから降ろしていく。

そして、少ししゃがみ込んで私と目線を合わせてきました……身長差があるから仕方ありませんけど、ちょっとだけムッとしてしまいます。

 

そんな私の気持ちを知ってか知らずかはわかりませんが、いつも通りの月島君が()()()()()()()言葉を発してきました。

 

『僕らがシェルターに向かった際に会場に残っていた七草先輩を中心としたメンバーは、ヘリでこの横浜を脱出するようです。今から、ここから次の道に入った先にいる、ヘリの発着地点への道を護っている先輩方に合流します』

 

私の知らない情報を話しだす月島君。

 

…たぶん、ツバキくんや、さっき言っていたリリィっていう小人さんが色々飛び回って手に入れた情報なんだと思う。…あと、名前を聞いてない小人さんが2人いるらしいから、その人たちかもしれない。

 

『…合流する前にもう一度確認しておきますが、舜桜たち『盾舜六花』のことや、僕らがこうして会話することは誰にも秘密ですよ?あと、何か見えるようになっても、僕以外には言わないでください』

 

「は、はい!それが…月島君のためなんですよね?」

 

『それと同時に、会長のためでもあります』

 

「わかりましたっ!」

 

私の言葉に『ありがとうございます』とまた口を動かさないで言う月島君。……これってどうやって言ってるんだろう?

 

 

『では行きましょう。……おや、先輩方を回収するヘリももう来ているようで。…急がないと置いていかれてしまいますよ』

 

しゃがんだ体勢から立ち上がり、そう言って大通りとの交差点のほうへと軽い駆け足で移動し始める月島君。それを追うようにして私も走り出します。

 

『ここを出て左ですね。そうすればすぐにヘリに搭乗しだしている先輩方がいます』

 

並走している月島君に背中をポンと押されるままに走って、その通りに行くと……少し先のほうですけど、確かに見えました!

ちょうど上空から垂れてきているロープ手をかけて、のぼろうとしているところだった。

 

『…本当にギリギリのようですね』

 

「はぁはぁ、みなさーん!待ってくださーい!」

 

私がそう声をあげると、そこにいた人たちは少し驚いた顔をしたけれど、その中の渡辺摩利先輩が「掴まれ!」と言って手を伸ばしてくれたので、その手に必死に掴まって、そのまま引き上げられた……。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

無事ヘリに乗り込んで座席に座ったところで、私は走ってきたことであがっている息を落ちつけるようにと、息を整えることに努めた。

 

そんな私に、会長……いえ、前会長の七草真由美先輩がニッコリと笑顔で言ってきました。

 

「あーちゃんが無事で良かったわ。心配したのよ?地下シェルターにはいないって聞いたから……」

 

「す、すみません……ふぅ…、ちょっと、色々あって……」

 

だいたい息も整ってきたところで、今度は渡辺摩利先輩が……

 

 

 

 

 

 

「吉田が言うには、月島もシェルターにいなかったらしいんだが……何か知らないか?」

 

 

「…?何言ってるんですか?月島君も私と一緒に……」

 

あたりを…ヘリの中を見渡し……

 

見渡し……

 

……

 

 

 

「……あれ?…………ええっーーー!?」

 

「「一緒に」と言ってたが、私が見た時には月島は何処にもいなかったぞ…?」

 

「そ、そんなはずは……!?」

 

だって、大通りに出て私が声をあげる直前にも月島君は……。

 

……ふと、思い出した。あの前、月島君は()()()()()()()喋り方をしてた。

遠くにいるらしいツバキくんには、月島君は口を動かさない喋り方で、何かを会話してた。それに、月島君は「どうやら認識できる範囲は狭いみたいだね」って私のことを言ってて……それって逆に言えば「ある程度は離れていても聞こえる」ってこと…?

 

もしかして、大通りに出た時にはもう月島君はそばにいなくて、声だけを飛ばしてきてた…?

 

 

つまり……

 

 

「ま…また逃げられちゃったー!?」

 

「あーちゃん!?どうしたの!?」

 

頭を抱えてしまった私に、そんな声がかけられました……けど、本当にどうしたら……

 

 

「…はっ!そうだ!こんな時こそケイタイで……!」

 

そう思い、座っている状態でケイタイが何処にあるのかを探ります……むむっ、ブレザー右ポケットに何か硬いものが……!

 

 

「……あれ?これ、私の機種じゃない……なんであるんでしょう?……じゃなくて!?」

 

よくわからないケイタイを膝の上に置き、もう一度どこにあるのか……あっ、左にも何か入って……

これです!私のケイタイは!

 

「…あっ、新着が一通……月島君からです!」

 

 

 

『中条会長へ。

 

 敵を倒しに行ってきます。

 会長はみんなとはぐれたりしないように

 今度は大人しくしていてくださいね。

 

 月島』

 

 

 

「それは私のセリフですよー!もうー!」

 

つい叫んでしまった。

 

……耳には「一体何が……」という疑問の声。そして、私の隣に座っている司波深雪さんが「ええっと……」と私のケイタイ画面を覗きこんで、その後、皆さんに内容を説明してくれました。

 

その間、私の頭の中には「月島君は何を考えてるのか」、「月島君やシュンオウさんの声は聞こえないか」、「こっちから声を飛ばす……どうやって?」と、いろんな考えが飛び交っていた。

 

 

「…そうだ!も、もうこうなったら、今から電話で……!」

 

思いついたままに指を動かして、月島君への連絡先を引っ張り出して……発信!

 

 

 

 

ブーブーブー。

ブーブーブー。

 

 

 

バイブ音が聞こえました。

 

 

皆さんの視線が集まりす。

 

 

音の出どころは、()()()()()……知らないうちにポケットに入っていたケイタイでした……。

 

 

「もー!もーーーーっ!」

 

「落ち着いて!?あーちゃん!気持ちは凄くわかるけど!!」

 

 

 

「月島君のばかーーー!」

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

中条あずさから罵倒されている月島はといえば……。

 

 

 

『これから、どうする』

 

顎から鼻のあたりまで囲うカタチの鉄のマスクを着けた巨漢の姿をした梅厳(ばいごん)が、月島に問いかけた。

彼以外の六花たちも、月島のそばに控えていた。

 

 

「予定を変更だ。今から()()()()潰しにかかるよ」

 

そう淡々と…しかし、いつもより心なしか強めに言った月島。

その月島に対して、椿鬼(つばき)が吐き捨てるように言った。

 

『ふん、最初からそうしてりゃ楽だったろうな』

 

「その通りだろうね、本当にさ…」

 

(うつむ)く月島の顔を覗きこんだ舜桜が、月島に言う。

 

『ねぇ、もしかして、結構怒ってる』

 

月島は舜桜の問いに、大きなため息をついた後に答えた。

 

 

 

「僕自身の無能さに過去最大の怒りを感じているよ。()()()()()()()()()()()なら、「仲間」と思った相手をもっと気遣うはずだ。……会長たち地下シェルター組に、六花(キミら)の誰かをつけたりするとか、もっと手を打てただろうに」

 

 

『マスターが度々おっしゃる「月島さん」については、あまり詳しくないのですが……その方はそんなに仲間想いの方で?』

 

禍々しさがを感じさせる眼帯(?)をつけたボウズ頭の男性の姿をした火無菊(ひなぎく)の言葉に、月島は「ああ」と頷く。

 

「月島さんは、絶対的に大事な人を失って、その後周りとの繋がりに気付いて……()()()()。その後の月島さんは、出来た繋がりを大事にする人になっただろうさ。……きっとね」

 

『なるほどー、だからあの子には挟み込みたくなかったのねー。……敵とか、初対面は斬るの躊躇しないのにさー』

 

バイザーのようなゴーグルと扇情的ともとれる露出の多い服装が特徴的な少女のような見た目のリリィが、納得したように頷いた後、ニヤニヤと笑って月島の頬をつついた。

 

 

羽と繋がった衣服が頭をすっぽりと隠すデザインとなっている前髪パッツンの少女の見た目のあやめは、首をかしげて月島に問いかけた。

 

『……マスター、まだ月島さんになれてないの?』

 

「「まだ」というか、一生なれないだろうね。……キミたちがいなかったら、誰も助けられない僕だもの」

 

 

そう言った月島は、大きく手を広げ、言葉を続けた。

 

「僕は欠けているんだ。絶対的な存在も、有能さも。…その代わりに別のものを持っている……そんなまがいものさ。だからこそ僕は楽しいんだ、心が満ちているんだ。月島さんの、僕が到達しえないその凄さを…素晴らしさを実感できてるんだ!」

 

 

月島は手に『ブック・オブ・ジ・エンド』を持ち、それを一度振るう。

 

 

「さぁ、月島さんならすでに終わっているだろうこの騒乱を、僕らなりに終わらせに行こう。そして、一欠片(ひとかけら)だけでも月島さんという存在の凄さを、この世界の人たちに感じ取ってもらおう。……敵を蹴散らすんだ」

 

そう言った月島は、一歩、踏み出した。

(ほお)に、涙のような幾筋(いくすじ)もの血を(したた)らせながら……。

 


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