魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「残酷な描写」「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
今回も前回、前々回に引き続き第三者視点でのお話です。
そろそろ月島さん(モドキ)視点が恋しくなってきました。
『九校戦編』ほど長くならずに、次話で『横浜騒乱編』が終わる予定になれたのも、月島さんのおかげ。
『
月島のその発言と共に、地面からそして空から『黒』が
時間にして10秒に届くか届かないかといったところ。その発動速度となった理由としては、月島が必要以上に『黒棺』の高さを高くしたことだろう。
その理由は至って単純、目的のため『黒棺』を「目立たせるため」である。
その通りの両脇にある建物を越えるくらいの高さにした…だけでなく、……ついでに言うなら、広範囲まで詠唱が聞こえる様に六花たちとのテレパシー手段である『霊子発声』を一方的に無差別で声を届ける様に短時間で改造したのも、『黒棺』を「目立たせるため」だ。
そんな月島の意図が、周囲にはどのようにとらえられるかは……月島本人にもわからないだろう。
―――――――――
『黒』によって立方体の形に仕切られてゆく、ほんの10秒にも満たない時間。
その中で大亜連合兵士たちは、ある者は唖然と立ち尽くし、ある者は逃れようと全力で走り、ある者は目を見開き涙を流し、ある者は目の前の未知に対し恐怖の叫び声を上げた、ある者は『黒』に向かって銃を撃っていた。
だが、一人だけ違う者がいた。
彼は一歩踏み出した。
逃れるためではなく、食らい付くために。
彼は目を見開いた。
泣くのではなく、己の
彼は叫び声を上げた。
恐怖のための絶叫ではなく、己を
霧散する淡い光と共に、何かが割れるような音が響き……雑音の中に消えた。
空間が陰からなる闇で染まろうとする中でも、彼はまだ閉じきっていない穴の向こうに見える
「ぅうぉおおおおぉぉぉお!!」
彼は……
『黒』は閉ざされた。
次の瞬間、爆発音とは違う、曇りガラスをひっかいたような甲高い音が響き渡る。
同時に、『黒棺』が発動された通りに面していた建物のガラスは、その種類を問わず、砕け散り崩れ去る。
それらとは別に、広範囲にわたって地響きのような…空気の震えのようなものが伝わり、横浜にいた多くの人間がそれを感じ取った。
それは比較的至近距離にある『横浜ベイヒルズタワー』はもちろん、各部隊と通信を行い戦場を見続けていた大亜連合の司令部がある、湾内に停泊している偽装揚陸艦内……いや、横浜から脱出していた第三高校生徒が乗ったバスにすら、大小あれど伝わってきた。
『黒』の立方体がその姿を完全なものとして存在できていたのは、それこそほんの3秒ほど……閉じるまでの時間よりも短かっただろう。
その数秒を終えた『黒』の立方体は、それはもうあっさりと即座に消えていった。
赤。
『黒棺』の範囲内の状況を表すのはそれだけで十分だろう。
この世界で『魔法』と『完現術』をもって再現された『
単純明快に言うのであれば「加重系統の魔法」、もう少し詳しく言えば「黒の立方体を形成するパーツごとが別々の重力場を持ち、対象物がそれぞれから干渉を受ける」といった説明で終るが、規模も威力も桁違いのものだ。
当然、内部に存在したものはまともな形を保てるはずは無いのだが……。
「ほう…?『
そう言って月島は、『黒棺』の範囲内ギリギリに倒れているそれに目を向ける。
「人の形を保てている」とは言っているものの、押しつぶされたのか、引き裂かれたのかわからない肉体のあらゆる部分から溢れ出た血で真っ赤に染まっており、人の形であれど、見た人がそれを人と認識するにはあらゆる意味で厳しい状態だろう。
その周辺には大小様々に砕けた『呪法具・
「「人喰い虎」か…。随分と誤った名だね」
もはや物言わぬ存在となった呂剛虎にむかって、月島は一人語りかけ続けた。
「呂剛虎、キミは
薄い笑みを浮かべ、月島は静かに言う。
「ようこそ、僕の世界へ。……そして、キミの上司もすぐに後を追うから、寂しがらないでくれ」
―――――――――
何故だ!?どうしてこんなことに!?
横浜市街地の裏路地を走る、大亜連合軍特殊工作部隊の隊長である
陳祥山は、呂剛虎と同じくトレーラーに乗っていた。
だが、月島によってトレーラーが分断された際に、月島へとびかかる呂剛虎とは別に、早急にその場から離れ、今回の作戦である魔法協会支部への潜入を試みようとしていた。敵が誰であれ、呂剛虎とその部隊そして直立戦車や装甲車がいるのだから、ここは早々に突破し、支部の前まですぐに進み、潜入のスキができるだろうとおもっていたからだ。
…しかし、その時が来ることは無かった。
『
そして、極め付けが「
『現代魔法』の起動式にあたる部分は、『古式魔法』では魔法陣や詠唱などに相当する。故に古式魔法の中には詠唱で発動する魔法は存在するため別段おかしいわけでは無い。……だが、あそこまでの破壊力を持つ魔法が日本の古式魔法に存在するなとどいうことは陳祥山には聞いた覚えも無いことだ。
それに……。
陳祥山の思考が混乱に満ちている理由は他でもない、月島昊九郎だった。
月島昊九郎が強いということは陳祥山も
そして何より……。
「何処に行くんだい?陳祥山」
「なっ……!?」
湾内に停泊している偽装揚陸艦へと逃げ込もうとひた走り続けていた陳祥山が、裏路地の交差部分を曲がった先にいたのは月島昊九郎だ。
陳祥山は『
「な、何故……」
陳祥山は、声を震わせながらも目の前にいる月島にむかって言葉を絞り出す。
「何故なのですか…!?何故アナタが我々の作戦の邪魔をするのですか!?月島さん!!」
「おかしなことを言うね、キミは」
声を震わせる陳祥山に対して、月島はクツクツと笑いながら顔に張り付いて笑みを消さずに言い放つ。
「僕は最初から、僕が生まれ育ったこの国の味方さ。……そして、キミたちがこの日本に牙をむいた。だから、僕はキミらを殲滅するんだ。…当然のことだろう?」
「な!?こんな事態になってまでそんなデタラメを!?馬鹿にするのも大概にしてくれ!」
陳祥山は困惑した。それも、当然だった。
何故なら、陳祥山はこれまで共に月島と過ごしてきた……いわば幼馴染の関係であるのだから、それを真向に否定されたのだから。
「少しだけ聞こう、陳祥山。……キミの知っている「月島昊九郎」という人物はどういった存在だい?」
「はぁ?何を言って……」
「キミと「月島昊九郎」が会った時、彼はどういった背格好だったかい?……そしてそれは何年前だい?」
「背格好…?そ、それは今と大して……いや……年……?」
……ガリッ……ガリッ……
「キミの産まれたところでは「月島昊九郎」という名前は普通だったのかい?……その名付け親は?キミを含め、周りは不思議に思ったりは?」
「それは……祖先が日本……しかし…親?つ、月島さんに名付けも親も……」
…ガリッ……ガリッ…ガリッ……ガリッ…ガリッ…ガリッ…
「そして、ひとつ言っておくよ?僕はこの夏、間違いなく日本にいた。それは公共の記録なんかにも残っている」
…ガリッ……ガリッ…ガリッ…ガリッ…
ガリッガリッ…ガリッ………ガリッ……ガリッ…ガリッ………
「……さて、陳祥山?今回の作戦の為にいろいろしてきたけどさぁ…………そこに本当に
………ガリッ……ガリッ…………ガリッ…ガリッ……
…ガリッ……ガリッ…ガリッ……ガリッ…ガリッ…ガリッ…
…ガリッ……ガリッ…ガリッ…ガリッ…
「……いた。いたんだ…。隣に、支えて……日本に?敵…?」
………ガリッ……ガリッ…………ガリッ…ガリッ……
ガリッガリッ…ガリッ………ガリッ……ガリッ…ガリッ………
ガリッ…ガリッガリッガリッ…ガリッ…ガリッガリッ…ガリッ……
「あの時も、月島さんのおかげで……我々はせ、成果を……いやだが、ワタシが生きているのは……」
…ガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッ
ガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッ
ガリッガリッガリッガリッガリッガリッガリッ…………
「だから、まぁまりがいたがか……つ…あがい……かぽぁ…」
「僕に牙をむいたんだ……当然の報いだろう?」
自身を
「お休み、陳祥山。よい夢を……」