魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「残酷な描写」「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
今回も前回、前々回、前前前回に引き続き第三者視点でのお話です。
色々とフラグが建っていますが、それらを回収できるのか少々心配です。
月島さんの出番が無いけど結局は、月島さんのおかげ。
魔法協会支部のある『横浜ベイヒルズタワー』のそばに現れた巨大な『黒』の箱。
ソレはその大きさはもちろん異音と圧を周囲に響き渡らせ、その存在を多くの人間に知らしめた。
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第一高校生徒たちや一般市民が避難している、出入り口が瓦礫によって閉鎖されてしまっている『地下シェルター』。
その役割として、当然、様々なものの影響から内部を護る構造と機能を持ち合わせているはずのその空間にも、少なからず影響が出ていた。
地下であるために、何が起こっているか把握できない状況の中で、それに心当たりがある人物がいた。
「これって、今朝、月島から感じられたやつに似てる…!」
警備隊に所属している第一高校一年生の
彼は偶然にも、今日の朝、コンペ会場の警備の途中に月島が一条将輝に霊圧をぶつけた場面に居たため、今感じられる圧がそれと類似したものだと判断できたのだ。
話し合いのために集まっていて、十三束からそう遠くない位置にいた警備隊のメンバーには彼の言葉が聞こえていた。
その中の
「月島だと…?上で何かあったのか……!?」
しかしながら、この地下からでは地上で何があっているかというのを探るのは至難の業だ。故に服部は、もっと月島の事を知っている人物から話を聞こうと思い、辺りを見回したのだが……
「はぁ~ん……!」
「ちょ…泉美!?こんなところでいきなり倒れ込まないでよー!」
くらりっ…と後ろ向きに倒れそうになった妹を
そして……そのそばで、自分も支えるべきかどうか、少し躊躇するような感じでそばでわたわたしている森崎。「月島の代わりに、『七草の双子』の警護をする!」と意気込んでいたはずなのだが、見事に何も出来ていない。
「だ大丈夫ですか!?アナタのほうも少し顔が
「こ、このくらい慣れたから何ともないわよ!それより、ちょっと手を貸して!」
…その様子を見ていた服部は「森崎はこの圧を何とも思っていないのか、それとも気づかないほど鈍感なのか…?」と少し悩みだしてしまったのだが……ほどなくして空気が元通りに戻ったため、先程の影響でシェルターの各部に異常が出たりしていないか確認のために警備隊のメンバーに指示を飛ばすことを優先とした。
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七草真由美を中心とした第一高校メンバーが乗ったヘリ内部。
少し前に『
黒い箱から発せられた甲高い音の他に、「ピシリッ、パシリッ」といった音や地鳴りのような音が聞こえはしたが、ヘリそのものが何かしらの影響を受けたりはしていないようで問題無く飛行は続けられていた。
……しかし、当然だが、搭乗していた人たちが何も感じなかったわけでは無い。
「これだけ離れてるのに、
「ふぅ……何だ、今のは?」
真由美と摩利が正常に戻った空気の中で、ひとつ息をつく。
そして真由美が乗員の皆にむかって「みんな、大丈夫?」と声をかけた。すると、すぐにではないものの、「大丈夫、です」、「何とか……」といった返事がバラバラに聞こえてくる。
「何だったんだ?窓からチラッと黒い何かが見えたが……」
「黒…?もしかして、月島君が『九校戦』で使ってたやつ…?」
「いや……似てはいたが、アレみてぇにゆらめいたりはしていなかった」
桐原武明と壬生紗耶香がそんな会話を繰り広げていたが、そこに千代田花音と五十里啓も加わった。
「まるで黒いビルみたいで……。ベイヒルズタワーほどは大きくなかったけど、周りの建物よりも高かったから、かなりの大きさだと思う」
「あははは……この距離でこんなに凄いんだから、あのままアッチに行ってたらもっと大変だったかもしれないね」
その言葉に皆が固まる。
確かに、もし月島からの忠告がなかったり、真由美が即座に進路を戻していなかったとすればもっと何か影響があったかもしれない。……もちろん、月島が巻き込まないようにと、先程の術を使用しなかった可能性もあるにはあるが……。
「……それで、真由美は今のが何だったのか知っているのか?」
この状況で話が振られるのは、当然だが「詠唱」が聞こえてくる直前に月島について「どこから話したらいいのかしら…」と言っていた七草真由美だった。
しかし……
「ごめんなさい。今のについてはほとんど知らないわ……むしろ、こういうのは吉田君のほうが詳しいんじゃないかしら?」
そう話が回ってきたのは、一年生の吉田幹比古。古式魔法の精霊魔法の名門である吉田家。その家の人間である彼に話が回ってきた理由は、先程の何かが発動する前に古式魔法の一部に用いられる「詠唱」らしきものが聞こえてきたからである。
しかし、当の幹比古は頭を抱えていた。
「た、たぶん現代魔法で言う「起動式」に当たる部分である「詠唱」だとは思います……けど、わざわざ遠くまで聞こえるようにして発動することを知らせるようなこと……というかそもそも『月島家』自体、古式魔法に関わる家じゃないし………ここまで影響が出るってことは……なんなんだあの術は…!」
「吉田君!?大丈夫ですか?」
「ミキ、落ち着きなって!」
柴田美月と千葉エリカが、頭を抱えて悩み込みだした幹比古をなだめ初めた。
……ここで、もし「月島君には、小人さんみたいな喋る精霊がついているんですよー」などという情報も追加されたとすれば、幹比古がもっと大変なことになっていただろうが、そのことを知っている中条あずさは…………
「……って、会長?起きて……大丈夫ですか!?」
「…………(がっくり」
元々気弱だったためか唯一ひとりだけ気絶しており、隣に座っていた深雪に揺すられていた……。
なお、そう時間はかからずに目を覚まし、特に大きな問題は無かった模様。
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『横浜ベイヒルズタワー』の屋上。
そこにいたのは日本の国防軍の国防陸軍第101旅団、
そんな中での『
直接受けた大亜連合の兵士たちや、今頃月島に始末されているであろう陳祥山を除けば、最も近い距離で『黒棺』を認識した人たちとなるだろう。
「「近づいた際には安全の保障は出来ません」…なんて言われてたけど、まさかこれほどまでとはねぇ……」
「『戦略級魔法』には届かずとも、『戦術級魔法』としては十分だろうな」
「『九校戦』の時に彼については調べましたが……古式魔法を扱う家との繋がりは無かったはず……彼は一体…」
そう『黒棺』を…月島昊九郎という人間を評価する幾人かの独立魔装大隊の面々。
そんな彼らの言葉を耳にしながら、
「大黒特尉。状況はどうなっている」
「……先程の魔法の範囲内にいたものは兵士・兵器問わず原型を留めていません。ただし、一名……呂剛虎のみ意図的か偶然かはわかりませんが、即死ではないようです」
その言葉に続いて、周囲の状況も事細かに伝える達也。
そして、最後にこう付け加えた。
「術者である月島昊九郎は範囲外に逃れていた大亜連合兵士の殲滅を行っているようです」
「そうか」
風間少佐は先程黒い塊が出現した方向と、撤退を始める大亜連合の偽装揚陸艦を見比べた。大亜連合の偽装揚陸艦が撤退を始めたのは、黒い塊が発生した直後だった。偶然……というよりは、アレに恐れをなして慌てて撤退を始めたように感じられる。
……そうなると、月島昊九郎という人物が周囲への被害をある程度覚悟して先程の術を使用したのは、大亜連合への警告のため…とも取れなくはない。
もちろん、こちらとしては大亜連合を逃がす気は無いのだが、それでも先程の出来事は大亜連合の本国へは何かしら伝わっているだろう。……それがどういう結果を引き寄せるかは、置いておいて…。
「大黒特尉。彼の……月島昊九郎という人物の実力はいかほどだ?」
風間少佐の問いに、司波達也はすぐには答えなかった。
数秒……
「試合なのか、戦場なのか。その状況・条件によって色々と変わりますが、並の魔法師では相手にならないかと。……そして、あくまで個人的な見解による想定となりますが……もし自分が彼と戦闘を行う場合、勝利できる状況は「遠距離からの狙撃」のみ。それ以外は自分の持ちうる限りの技をもってしても、勝利を確信することはできません」
その言葉に対する独立魔装大隊メンバーの反応は様々であったが……達也の言葉には続きがあった。
「そして、彼の実力は底が知れません。事実、彼は先程の『
「ふむ……」
「風間少佐。まもなく敵艦が房総半島と大島の中間地点へと到達。撃沈しても問題ないと思われます」
その報告に、一旦、月島昊九郎という人物への思考を止める風間。
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そして、その数分後。
大亜連合の偽装揚陸艦は『戦略級魔法師』
次話、その後と次の『○○編』の序章となる予定。