魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

63 / 69
※注意※
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れ、大きく話が省かれている部分が存在します。
また、サブタイトルに「ハロウィンパーティ」とありますが、話しの都合上、ほとんど触れられません。ご了承ください。



基本、深雪視点ですが……書き終わったところで、「第三者視点でよかったんじゃ…」と思ったりしています。

過去最高に変な時間での更新となってしまい、申し訳ありません。
どこからどこまでを、どのくらいどういった表現で……と考えていると、上手くまとまりませんでした。
これでも半分くらい原作がある状態なのですから、まるごとオリジナルでとなるともっと大変だと考えると、もっと頑張らなければ!と思います。


年の瀬が来るのも、月島さんのおかげ。


月島代行消失編-1:月島さんのいないハロウィンパーティ

『ハロウィンパーティ』。

それは生徒会主催のレクリエーション…仮面仮装パーティ。

仮装をし仮面もつけることはただ単なるハロウィン由来の仮装としての理由だけでなく、一科生も二科生も関係無く楽しめる…という側面も持っています。

 

その『ハロウィンパーティ』の開催を聞いた第一高校の生徒たちの多くは、少し困惑しつつも湧き上がりました。というのも、これまで学校内ではそんなイベントが存在しなかったためで、正に新たな風といえるでしょう。

 

 

 

……が、もちろん開催には一筋縄ではいきませんでした。

主な要因は、第一高校生徒の一人が行方不明な事にあります。

 

いくらこの『ハロウィンパーティ』が、『横浜事変』で無茶苦茶になってしまったコンペティションにとって代わる・元の学園生活に戻すための目的があったとしても、生徒が一人いないままの状況で楽しくはしゃぐのはいかがなものか……ということでした。

 

 

―――――――――

 

 

その空気が最も強かったのは、当然、その行方知れずの生徒…月島(つきしま)昊九郎(こうくろう)が在籍する1-A教室…私のクラスです。

 

 

クラスの空気は良いものではありませんでした。

そして、このイベントの主催である生徒会……その役員である私にむけられる視線も少なからずありました。

 

 

 

今日の授業を終え、放課後となってすぐに、私は席を立ちました。

書記である月島さんが不在のため、出来てしまっている穴を埋めるために手伝いをしてくれているほのかと雫と一緒に教室を出て、生徒会室へと向かおうとしたのですが……

 

「みんな、ちょっと聞いて欲しいことがある!」

 

教室を出る直前、教室内からそんな大声が聞こえてきました。

 

その声に私は聞き覚えがありました。

森崎駿。1-Aの男子の中でも好成績な部類に当てはまる男子生徒。

私が彼に持つ印象は、入学してすぐの私とお兄様の仲を「一科、二科だ」と引き裂こうとしていた存在。それと、その後の『九校戦』の時にお兄様に頭を下げに来た時の変容ぶり。……それ以外は、月島さんとの少し変わった交友関係が記憶に残っています。

 

なので、今、彼が大々的に何か言うとすれば十中八九、月島さんがいない状況での『ハロウィンパーティ』開催に関する事への文句でしょう。

 

 

 

森崎は、教室内にいる他のクラスメイトにむかって語りだしました。

 

「今回の『ハロウィンパーティ』、()()()()()()()()()()!」

 

その言葉に大半の生徒が「なに言ってるんだ?」と怪訝そうにしていました。

しかし、それを知ってか知らずか、森崎の言葉は続いていきます。

 

「生徒がどうなっている状態で、こんなイベントをするはずがない……つまり!最悪の事態である「月島はすでに死んでいる」なんてことはないわけだ」

 

「どういうことだ?じゃあなんで、行方がわからないって扱いになってるんだよ?」

 

森崎(かれ)の友人であろう男子生徒の一人が、森崎に問いかけました。

それに対して、森崎はあいかわらずの勢いで答えます。

 

「おそらく、身を隠さないといけない事情があるんだろう。みんなも噂くらいは聞いていると思うが、月島はいろんな意味で目立ったからな。そのチカラを目当てに近寄ってくるヤツがいるのかもしれない」

 

「って、それで学校に来れないって、やっぱり危ない状況じゃないのか!?」

 

また別の男子生徒がそんな声をあげました。きっと月島さんのことを心配しているのでしょう。

けれど、その言葉に森崎は首を振ります。

 

 

 

 

 

「月島なら大丈夫だ。あいつは強い」

 

 

 

 

 

「へ?」

 

どこからかそんな呆けた声が聞こえました。

それが誰の声だったかはわかりませんが、恐らく、断言した森崎への驚き・呆れなどを含んだ、多くの人の感情を代弁して……

 

 

「…まあ、確かに」

「あの月島が誰かに負けるなんて、考えつかないもんな」

「それに、コンペの時も色々凄かったんでしょ?敵の大半を無傷で倒したなんて聞いたわよ」

「ワタシも聞いた、一人だけでいくつもの敵部隊を倒したって!」

 

「俺も聞いたぞ。一流魔法師でも見たことの無いような魔法をいくつも駆使して戦ったって」

「青い狼だろ?敵の幻影を消したり、目くらましをしたり出来るらしいな。…でもって、それが百匹くらい町中で走り回ってたらしいぜ!」

「第三高校にいる友達から聞いたんだけど、わけわかんない魔法で地面から沢山の刀が生えて来て、それが分裂して桜の花弁になったかと思ったら敵を包み込んで無力化したって。それもほんの一分足らずで!」

「俺、地下シェルターにいたんだけどよ、なんかすげえ気配みたいなの感じた時あってさ。それって月島がすっげー魔法使ったらしいぜ?それも敵の一つの部隊を一発で倒してしまうくらいすごかったらしい」

 

「月島君が使った魔法って、いろんな場所で同時刻に確認されてるらしいよ。しかもその魔法がどこの戦場でも戦況が有利になるきっかけになったみたい!すごいよね!」

「そうそう、その月島くんの魔法のおかげで命拾いした人が結構多かったとか聞いた」

「私も聞いたよ!あれだけの侵攻であったにもかかわらず人的被害が少なかったのは月島さんのおかげって!」

 

 

……何処からかあがった呆けた声とは違って、どうやらクラスメイトの大半は森崎の言葉に大分納得しているようでした。

 

…その理由は、どうやらこれまでの月島さんの実績による信頼。そして、横浜での…実際には見ていない月島さんの活躍の話からくるもののようでした。特に、半ば大袈裟に話が伝わっていたりしているであろう横浜でのことは「月島は強い」というイメージが大きくなっているように思えました。

 

 

そんな中で、また別の疑問が上がってきたようでした。

 

「じゃあなんで月島は学校に来ないんだ?強いんなら手出してくるヤツも気にせずに来れるんじゃないか?」

 

そう言う男子生徒に、またもや森崎が首を振ってこたえました。

 

「月島は学校や俺たち生徒に迷惑をかけたくないんだと思う。あいつは前から変に気がまわるやつだからな…」

 

森崎の言葉を聞いて、各々考え込む生徒たち。その様子を見て、森崎はその声を再び張り上げました。

 

 

「だからこそ、だ。あいつの気遣いは無駄にしたくない!俺たちは学業もイベントもちゃんとした学校生活をするべきだと思う。「月島が心配で成績も落ちて、楽しくありませんでしたー」なんて言ったら、あいつは責任を感じるはずだ…………俺たちがすべきは、あいつが…月島が帰ってくるのを、()()()()()()()待ってやることなんだと思う」

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「深雪、良かったの?話、まだ続いてるみたいだったけど」

 

廊下を歩く私に、ほのかが問いかけてきました。

 

「『ハロウィンパーティ』を開催するためにも、今は時間が惜しいですから」

 

「そうだね。ただでさえ、急に決まったことで時間が足りないから」

 

私の言葉に、雫が軽く頷きながら肯定してくれました。

 

 

 

「それに、大筋は違えど……「心配しなくていい」という意味では、彼が言っていたことは全くの間違いというわけではありませんから」

 

 

 

―――――――――

 

 

 

遡ること数日前。

それは、生徒会室に来た七草先輩の来訪、その時のことです。

 

 

そもそも、『ハロウィンパーティ』開催の発案のきっかけとなったのは、七草先輩の発言からなのですが……その前に、七草先輩には別の用事があったようで……。

 

 

―――――――――

 

 

「……で、その不安感なんかを払拭させるためにも、そういったイベントをしてみたらどうかなーって」

 

まだ構想段階ではあるものの、『ハロウィンパーティ』の全容とその目的を語った七草先輩。それは唐突で色々と大変そうなものではありましたが、少なからず魅力もあるものでした。

ですが、一人欠けているクラスの気の落ち込みようを見ている私には、すぐには頷けないものでした。

 

 

そして、私以上に思い悩んでいたのは……

会長という全校生徒を考えるべき立場であり、同時に、学校に一向に姿を現さない月島さんのことを人一倍心配している中条あずさ会長。

 

そんな中条会長を見た七草先輩は、何故かため息をついた後、数秒間考え込むような仕草をして……またため息をついたうえで中条会長に話しかけました。

 

 

 

「やつれ気味になった頃から思ってたけど……やっぱり、これ以上は黙って見てられないわ。……あーちゃん。あんまり大きな声じゃあ言えないけど、()()()()()()()()()()()()()

 

 

その言葉への中条会長の反応は顕著でした。座っていたイスからすぐに身を乗り出すようにして目を見開いていました。

 

「知ってるんですか!?月島君のこと!!今どこにいるんですか!?」

 

「しーっ!!しーっ!!静かにして!落ち着いて!これって本当は誰にも話しちゃいけないことなの……だから、あーちゃん以外のみんなも、誰にも話さないでね、お願い」

 

七草先輩が生徒会室にいたわたし達を見渡しながらそう言いました。

…なんとか落ち着いた感じの中条会長が、今にも泣き出しそうな顔をして問いかけます。

 

「あの……その、月島君は……?」

 

「『十師族』の庇護下にいるわ。その辺りも含め、いろいろと複雑な状況で話せることは無いんだけど……彼の身の安全は保証出来るわ。……というか、横浜での一件があったからか、丁重に扱われ過ぎてるくらいよ」

 

「そう、ですか」

 

そう安心したようにように呟く中条会長。

その様子を見て、七草先輩も安心したように微笑みました。そして言葉を続けます。

 

「それでね、月島君はあと一、二個用事があるらしくて……それが終わったら、また学校に来るようになるって。一週間後くらいの予定らしいわ」

 

一週間後と言えば……企画段階ではありますが、ちょうど先程七草先輩が話した『ハロウィンパーティ』の開催の少し手前くらいでしょう。

 

「本当…ですか…?」

 

「ええ。あの狸親父が月島君に対して嘘を言う度胸があるのなら、驚きものよ」

 

七草先輩はそうよくわからない理由で断言されていました。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

その後、色々と話し合って開催が決まった『ハロウィンパーティ』。

一番の心配だった1-Aの生徒たちも、森崎(かれ)のおかげ(?)で前向きになれたので、全校で開催への熱が高まり、生徒会を中心とした準備も進んできました。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

急な提案から始まったため、慌ただしく始まった準備を何とか終え、『ハロウィンパーティ』がなんとか開催することが出来ました。

 

皆さんが仮装を纏い、一科生・二科生関係無く皆が楽しみ、イベントの目的は達成した…………かのように思われましたが、()()()問題がありました。

 

 

 

一つは、『ハロウィンパーティ』当日になっても月島さんが戻ってこなかった事。

これには七草先輩は中条会長にめいいっぱい謝っていました。その様子からすると、七草先輩からしても本当に予想外の事だったようです。

 

それを察してかはわかりませんが、少し涙を流しながらも中条会長はそう深くは追及せず……そして、『ハロウィンパーティ』中、会長は生徒会長としての挨拶等の仕事以外では姿を見せませんでした。

 

 

 

 

そしてもう一つの問題は……

 

「トリック・オア・トリート」

 

ハロウィンの決まり文句を言って、『ハロウィンパーティ』会場の一角で()()()()を配るメイド服を着た少女の見た目のロボット。

それは普段は第一高校の『ロボ研』にいるはずの人を模したロボット。型番号の「P94」から取って「ピクシー」と呼ばれるヒューマノイド・ホーム・ヘルパーです。

 

 

問題点は、本来いるべき場所ではないところにいることと……何故か、メイド服の上から「クマの着ぐるみ」を顔部分だけ外に出るように着ていること。そして配っている()()にありました。

 

ピクシーが謎のクーラーボックスから取り出し、「トリック・オア・トリート」と生徒に配ろうとしているものは……「パフェ」。

透明の容器から見える「白」「茶色」「緑」の層。その上に乗っている生クリームとバニラアイス。バニラアイスの上に蛇行するようにかけられている緑色の何か。……そして、これ見よがしに容器のわきに刺さった「わさび」…すりおろしたりする前のわさび、その根のままが2本これでもかと突き刺さっていました。……おそらく、パフェの緑の部分は全てわさびなのでしょう。

 

 

「……これじゃあ、「トリック・オア・トリート」じゃなくて、「トリック・アンド・トリート」だな」

 

 

そうお兄様は呟いていましたが、確かにその通りでした。

 

……なお、風紀委員が『ロボ研』に聞き取り調査をしたところ、全員が「あんなゲテモノ知らないし、そんな事をピクシーにさせる様にはしていない」と否定したそうです。




「わさびチョコパフェ」で検索検索ぅ……(しなくていいです)

実際のところ、「わさびソフト」なんてものもあるのだから結構いけるんじゃないかと思いましたが、恐らくわさびとチョコの組み合わせはダメなのでは……。そもそも生のわさびがダメでしょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。