魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

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※注意※
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れ、大きく話が省かれている部分が存在します。

今回は基本達也視点で、最後のほうに少しだけ第三者に変わります。



昔は、どうしてあんなスピードで更新できていたのがが不思議でしょうがないすしがわらです。


先日、劇場版が公開されましたが……まだ見に行けていない人もいると思いますので、今作ではその内容等には触れずに行こうと思います!ネタバレ、ダメ絶対!
ですが、ネタバレにならない範囲で言わせていただきます!

「さすおに」であり「つきおか」であったと!

えっ?「つきおか」は関係無い?
何言ってるんだ!?達也たちがみんな無事だったのも、九亜を救えたのも、全部月島さんの(以下、テンプレのため省略)

……実際、どういった活躍だったか気になる方は、ぜひ劇場に足を運んでみてください。
その場合、原作を読んでおくことをオススメします。「Q,スターズって何?」、「A,月島さんの協力者です」みたいな勘違いをしてもいけませんので。……ジョークです。




帰りを待ってくれて人がいたのも、月島さんのおかげ。




月島代行消失編-5:交換留学の裏で動く影

魔法科高校の定期試験も終わった十二月二十四日。「()()()」から家へと帰り着いた俺は、ひとり黙ったまま思考をめぐらせていた。

 

 

こうして考察をしているのは、ひとえに今回の「送別会」をすることとなった理由である……年末にある試験の勉強会中に明かされた「北山雫の海外留学」が原因の一つであった。

海外留学といっても正確にはアメリカ(USNA)との交換留学で、それも一月からの三ヶ月間という短期間……とはいっても、その時点で不可解な点が多数でてきている。

 

「お兄様」

 

「深雪……ありがとう」

 

コーヒーが淹れられたコーヒーカップを深雪から受け取り、礼を言う。

その深雪はというと、自分の分のコーヒーカップを持ち、そのまま俺の座っているソファの俺のすぐ隣へと腰を降ろした。

 

 

「今回の雫の留学、私にはどうも奇妙な話に思えるのですが」

 

「奇妙、か。ああ、そうだな」

 

深雪の言葉に肯定をしつつ、コーヒーカップに口を付けた。そうして一口(ひとくち)コーヒーを喉に通した後、深雪に目をやるとそれを合図にしたかのように、奇妙に思った疑問点を言いはじめた。

 

「まず雫ほどの魔法資質を持ちながら海外留学が認められた、という点が不自然です」

 

そこから深雪が続けて述べていく内容も「その通りだ」と頷けるものばかりで、先程まで自分自身の中で考えていた事と大きく認識に違いは無かった。

 

 

深雪の言う通り、確かに今回の留学の件は奇妙な話だった。

 

そもそもこのご時世、魔法師の海外渡航自体が大きく制限されているのだ。それが実力のある魔法師ならばなおさらのこと。俺が偽名の大黒(おおぐろ)竜也(りゅうや)という名で所属している日本の独立魔装大隊を見てわかるように、魔法の軍事運用の有用性は各国が理解している。

そして、魔法師というものは人材であり……重要な機密の塊でもあるのだ。魔法師の遺伝子情報の流出が、その一族の秘術の解析に繋がるというのもあり得ない話ではない。

 

……となると、自国の貴重な軍事資源の流出を避けるために政府が「許可を出さない」などのアクションを取ると思うのだが……

 

「……考えてみれば、この時期にいきなり留学の話が持ち上がるというのも、裏があるような気がしてなりません」

 

深雪の言うように、許可がおりているのが現実だ。しかも、いきなりのことでそんな話が出てきた経緯や意図が不明なことも奇妙さに拍車をかけている。はたして、この交換留学はまっとうなものなのか……と。

 

「なんだか、まるで……」

 

その先を言うことを躊躇(ためら)うかのように言葉を詰まらせる深雪を見て、「まあ、そういう考えにたどり着くだろうな」と納得しつつ、深雪が考えているであろうことを代わりに言ってみせる。

 

「俺たちに探りを入れるための裏工作のような気がする、か?四葉真夜(伯母上)によれば、俺たち()「容疑者」らしいからな。……『質量爆散(マテリアル・バースト)』。やはり、放っておけないのだろうな」

 

 

質量爆散(マテリアル・バースト)』。公表されていない戦略魔法師・大黒竜也()が使う『戦略級魔法』……「都市または一艦隊を壊滅させることができる魔法」であり……先日の『横浜事変』、そしてその後の『灼熱のハロウィン』と呼ばれることとなった出来事の際に使用された魔法だ。

『横浜事変』では撤退しようとする大亜連合の偽装揚陸艦を、『灼熱のハロウィン』では大亜連合の艦艇が集まった鎮海軍港を、文字通り「消滅」させた。

 

そんな事が起きれば、各国にその情報が行き渡ることだろう。……もちろん、完璧な状態の情報ではなく、現象の上辺(うわべ)だけの数値的データでだろうが、それでもその破壊が科学的にも魔法的にも規格外のエネルギーによるものだとわかるはずだ。

まあ、だからこそ外部からの探りが入ってくるわけだ。大亜連合の鎮海軍港を襲った灼熱が『化学兵器』なのか『魔法』によるものなのか、『魔法』であるのならば、どういったもので、それを使う魔法師は誰なのか……等々、知りたいことはいくらでもあるはずだ。そして、()()()()を欲する連中もいるだろう。

 

今回、雫の交換留学先であるアメリカ(USNA)も、間違い無く『灼熱のハロウィン』に関しては探りを入れてくるだろう。表面上は日本と同盟国であるものの競争国であることに変わりは無い。もっと言ってしまえば、両国(どちら)からしてもそうなれば大きな被害が出るだろうがこれから先、絶対に敵国になりえないとは言い切れないので、相手の技術・戦力は把握しておきたいだろう。

 

となれば、USNA(あちら)が表であれ裏であれ、何かしらのアプローチをしてくる可能性は非常に高い。さらに言うなら、完璧な裏付けとまではさすがに言えないが()()()も加えると……

 

 

「そうですか……お兄様も、そうお考えなのですね?」

 

思考をめぐらせる中聞こえてきた深雪の言葉に俺は頷く。

 

「ああ。留学生が来るというだけならともかく、伯母上(おばうえ)の忠告を合わせて考えれば何も無いほうが有り得ないだろうな」

 

『灼熱のハロウィン』の後の会談の際に受けた「忠告」というのは、先の深雪との会話でも出てきた「容疑者」云々(うんぬん)のことについてだ。伯母上は、誰が俺たちにどういった疑いを持っているか、そう言った事を教えてきた。

……が、伯母上の意図が全てわかっているわけではない。

俺たちに情報を与えたのだが、そこまで外敵(あいて)の情報を得ているにも関わらず、USNAが入りこんでくる機会である交換留学を止めようとすることも無く、ただただ黙認している。……じゃあ、『質量爆散(マテリアル・バースト)』や大黒竜也()のことが知られてもいいのかといえば、そうではないだろう。

 

……となると、伯母上は俺たちに、探りを入れてくる相手やその周りを取り巻く状況の情報を逆に探れ、とでも言いたかったのかもしれない。もちろん、こっちの情報を奪われずに、だ。

 

「厄介な……」と思うと同時に、疑われているのであればどちらにせよ対処はしなければならないだろう。

……となると、伯母上の許可を得ずに『戦略級魔法』を使用した処罰として、独立魔装大隊との接触を禁じられたことが今後に響いてくるかもしれない。場合によっては多少無理をしてでも接触をしなければならないが、それまでは基本後手に回ってしまうかもしれないことを意識しておかなければならないだろう。

 

 

 

そしてもう一つ、俺の頭を悩ませる原因があるのだが……

 

「それに……やはり気をつけるべきだと思います。月島さんの一件もありますし……」

 

今、そのことを深雪が話題にあげた。深雪が俺の思考を読み取ったのか否かはわからないが、一度、今までの情報を整理するには良い機会だろう。

なので、俺は深雪の言葉に小さく頷いてから口を開く。

 

「そっちに関しては留学生が工作員かどうかと同じで「確信」とまではいかないが、月島の失踪がUSNAと関係がある可能性は十分にあり得る。……なにせ、()()()()()()()()()らしいからな」

 

そう。『灼熱のハロウィン』の後に四葉真夜(伯母上)から受けた「忠告」。その中の容疑者の話の際に俺と深雪(俺たち)だけでなく、伯母上は月島の名前も出した。USNAから、『灼熱のハロウィン』と呼ばれることとなった原因である現象を引き起こした魔法師として、月島昊九郎も疑われているのだ。

 

その月島はというと、その時点で学校には来ておらず『横浜事変』以降俺たちの前に姿を現していない。

だが、別に『横浜事変』で死亡したなどといったわけでもない。七草先輩によれば『横浜事変』後から第一高校で行われた『ハロウィンパーティ』の少し前までは、月島は『十師族』の庇護下(ひごか)に置かれていたらしい。その「庇護」という言葉が正しい関係・状況であったかは定かではないが、そうやって『十師族』の(もと)にいたのだろう。……このあたりは、独立魔装大隊との接触を禁じられていなければ、裏付けを取ったり、もっと詳しくわかったかもしれないな。

 

ともかく、『ハロウィンパーティ』以降の月島の動きは誰も把握できていないことになっている。……疑問も残ってはいるが。

 

 

コーヒーにもう一度口をつけてから、俺は改めて口を開いた。

 

「今、俺たちが持っている月島に関する情報は、あまりにも少ない。今いる場所はもちろんだが、無事かどうかすらわかりようがない」

 

最も、常識的に考えれば、『魔法協会』、政府関係者などの誰かしらが月島の安否を知っているはずなのだが。

そうでなければ……最初の話に戻るが、交換留学などといったものは何処かから制止がかかるはずだ。貴重な人材である魔法師が外部組織によって拉致された可能性が()()()()()のであれば、そうするはず……そうなっていないのは、可能性が無いからだろう。

もちろん、月島の行方が知れないことを重く受け取っていない場合は気にせず留学の話を進める可能性があるが、月島は『九校戦』で結果を残すほどの魔法師として知られているため、可能性は低いと言える。

 

 

……となれば、そう判断した理由があるはずだが……理由(それ)を知りようが無い俺たちはどういった判断も下せない。

 

 

「……が、条件によっては以降、判断材料が出てくる可能性はある」

 

「判断材料、ですか?」

 

「ああ。とはいえ、状況的なものから推測する程度が限界だろうがな。しかも、その条件は限られている」

 

深雪の問いかけに頷きつつ補足を入れ、俺はその条件について話す。

 

「USNAからの留学生が工作員であること。正直面倒なんだが、そうなればUSNA限定とはいえ月島の安否の判断ができる」

 

「……と、いいますと?」

 

「簡単だ。その留学生が俺たちに探りを入れるだけでなく、いない月島についても執拗に探りを入れてきた場合、月島の失踪にUSNAが直接関わっていないことになる。USNAの人間によって何かしら行われたのであれば、わざわざ探る必要は無いからな」

 

「逆に月島さんのことを調べようとしない場合は、USNAが月島さん本人もしくは何らかの情報を掴んでいる……ということでしょうか?ですが、私たちにも月島さんにも探りを入れない、という可能性もあるのでは?」

 

「残念ながら、まず有り得ないだろうな。()()()()()()質量爆散(マテリアル・バースト)』の使用者は月島じゃあない。仮に捕らえていたところで、明確な答えにたどり着くまで調査を打ち切ったりはしないだろう」

 

この答えは深雪もすでに予想していたのだろう。「そうですよね……」と残念そうに呟きをこぼしていた。

 

 

 

……さあ、困ったのはここから。

仮に「USNAは関係が無い」とわかったところで、結局「月島の失踪」に関してはわからないままだ。一つの可能性が消えたところで他にいくつもの可能性が残っていて、それらを絞り込むには圧倒的に情報が足りていない。

今の自分の情報収集能力の低さを嘆くべきか、はたまた、月島に関する情報を上手く隠している月島自身、もしくは月島を確保している組織の腕を褒めるべきか……。

 

 

それにしても、月島については『十師族』も探しているらしいが、その中でもあの伯母上が、あの『四葉』が全く情報を掴めていないとは思えないのだが……掴んだ上であえて放置している?他の『十師族』の目が月島を向いていた方が都合がいい、とか理由は考えられなくはない。

だが、やはり決定力不足だな……。

 

 

 

コーヒーカップをソファの前にあるテーブルに置き、ほぼ完全に思考の海へと飛び込んでしまっていたのだが、ふと隣に座っている深雪が俺の顔を()()()()()()見つめてきていることに気がついた。

月島への考えを一旦止め、顔を深雪へと向けて問いかける。

 

「……?どうかしたか、深雪」

 

「いえ、お兄様は月島さんを心配されているのだな、と思いまして」

 

「そういうわけじゃ……」と否定しようとしたが、それよりも先に「俺が月島を心配したとして、何故深雪が笑うのか」という疑問が湧き、気づけば自然と口が止まってしまっていた。

 

「真剣に考え込むほど、連絡の無いご友人の心配をなさる……優しい、とても素晴らしい感情だと思います。お兄様は人間らしい感情を失ってなどいません!」

 

「……別にそういうことではないと思うんだがな……?」

 

俺は、そう言いつつも、相手が相手(深雪)なだけにそう強くは否定せずにおいた。

 

 

そのほうが良いだろうからな。勘違いして過ごしておいた方が、深雪も変に心配したり精神的に疲れたりすることも無いだろう。

 

俺が月島にしていたのは、「無事かどうか」などといった心配や気遣いなどでは無く、「この程度でどうかなってしまう奴だったのか、お前は」という、期待交じりとはいえ比較的冷めた感情だったのだが、深雪が知る必要も無いだろう。

 

 

 

 

 

「……そういえば、月島さんはこのあいだの試験を受けられていませんが、大丈夫なのでしょうか?」

 

「さあな。……だが、留年でもされて、来年アイツに「先輩」なんて呼ばれるのは勘弁してほしいな」

 

……そう、切実に思った。何故かはわからないが、考えただけで鳥肌が立ってしまっていたのだ。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

その八日後。

 

新年早々深雪たちと行った初詣にて、人混みに紛れながらもこちらへチラチラと視線を向けてくる、一世紀近く流行の遅れたファッションを身に纏った金髪碧眼の若い女性がおり……その女性アンジェリーナ=クドウ=シールズが、雫と入れ替わりで深雪のクラスに入る留学生だったということは、後日、深雪を通して知り合うまで予想も出来なかった事だった。

 

 

―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

 

 

新たな学期となり始まった学校生活の中で、達也がアンジェリーナ=クドウ=シールズこと「リーナ」と自己紹介をし合っているのと同時期。

 

USNA(アメリカ)、カリフォルニア州のバークレー。

その某所。北山雫は留学先の、日本とは異なる空気をその目その耳で感じていた。

絶対安全とは言い切れないかもしれないが、それでも正式な留学ということもあって特別危険なわけでもなく、周囲にも問題無く受け入れられている。

 

 

 

その雫は、下宿先の近くの繁華街を散策していたのだが……ふと、その耳に()()()()()が聞こえてきた。

 

 

「どうか、充実した留学生活を」

 

 

すれ違うようにして聞こえた声に雫はすぐさま振り返ったが、その目に見えたのは道を行き交う人々だった。

その中に「()()()()()」の持ち主……月島(つきしま)昊九郎(こうくろう)の姿は見当たらなかった。

 

振り返ったまま首を傾げ「さっきのは、気のせい?」と自分の中で結論を出す……その直前に、雫はある違和感に気付く。

 

「ポケットに何か入ってる……?」

 

探り、取り出してみると、それは何かが入った封筒だった。

道の端に避け、雫は特に躊躇(ためら)ったりすることも無くその封筒の封を開け、中に入っていた便せんを取り出し広げた。

 

そこに書いてあったのは日本語……それも、間違い無く、何度か見たことのある月島昊九郎の手書きの字だった。

そしてその内容は、ここ最近アメリカで何件もあった「変死事件」および魔法師によるものだと思われる「謎の戦闘」の情報。いつ、何処で、どういった時間帯に、といった情報を中心に、雫がテレビなどでも聞いたことが無いような情報まで記されていた。

そして、その後には『場所は離れているけど、いちおう気をつけておくといい』といった文で締められていた。

 

 

書かれていた内容もさることながら、今、雫の置かれている状況もかなり異様なものだろう。

ここにいないはずの人間が書いたものが、いつの間にか自分の手元にあり……さらに言えば、さきほどの接触のことも考えると、雫の状況や動向も把握している雰囲気さえある。……そんな一歩間違えれば「ストーカー」呼ばわりしてもよさそうな人間が、ついさっきまですぐそばにいたのだ。()()()()、鳥肌をたてて気味悪がったり、悲鳴をあげ震えたりしてもおかしくないだろう。

 

 

……が、()()()()()()()()()()

別に、雫が普通じゃなくて異常だったとか、そういうわけじゃない。ただ、()()()()()()()。月島という人間を、普通よりも少しだけ仲の良いクラスメイトとして知っていたからこそ、今の状況を受け入れることが出来ていたのだ。

 

おそらくコレは、留学という特殊な状況に置かれた()を心配して、「こういう所は危ないよ」、「こういうことがあったから気をつけて」と危険に関する情報を集めてくれたのだろう。……風紀委員に生徒会役員、そしてペアの実習の際のペアへの配慮、『九校戦』練習時期の練習の手伝い等々(などなど)……それらを見てきた雫は、「月島さんは、他人への気遣いを異様にするお人好し」という認識があった。

 

そして、『ブランシュ事件』での単身での図書館防衛、『九校戦』での『十師族』をも越えかねない実力を示した勝利、『横浜事変』での誰も知らない魔法で数多の友軍を救い敵軍を一掃した活躍……それらを知っていた雫は……正確には、夏休みに『完現術(フルブリング)』のことを見て聞いたころくらいには、月島が何をしようとそう驚かず「まぁ月島さんなら、そういうこともできるんだろうね」と深く考えずに受け入れる程度にはなっていたのだ。

故に、アメリカに月島がいるかもしれないということに関しても、「アメリカに身を隠してたんだ」程度にしか雫は感じていなかった。

 

「……けど、顔くらい見せてくれてもいいと思うんだけど」

 

周りから見れば、特に怒った様子も無くただただ淡々とした調子でそう呟いたように見える雫。

だが、彼女のことを知る人……例えば、光井ほのかや司波深雪あたりがその様子を見ていたとすれば気がついていただろう。雫が呆れていることに……そして、ほんの少しだけ不満そうに拗ねていることも。

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

 

便せんをたたもうとしたところで、雫は一番下のはじっこのほうに『何かあったら……』と書かれていることに気がついた。だが、その先に何か書いているわけでもなく……裏に続いているということも無く、雫は不思議に思った。

 

月島さんがこんな中途半端なことをするとは思えない、そう思った雫は、「もしかして……」と封筒の中へと目を向けた。するとそこには、雫が予想した通り、確かにまだ何かが入っていたのだ。

 

 

「何、これ……?」

 

 


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