魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

7 / 69
前回のおさらいと、これからの事…といった感じにしたかったお話。

悩みながらも楽しくかけているのは月島さんのおかげ。



入学編-6:討論会の前日に

 

「さて、どうしたものか…」

 

有志同盟と生徒会との討論会が明日に迫っているのだが、僕は一人校内をうろついていた。

 

 

考えているのは、昨日達也たちと話した僕のCADと魔法についてだ。

 

僕にも自覚はあるが、僕には武装一体型CADがあっているとは言い難いのが現実だ。

 

白兵戦を得意とする千葉家が自己加速・自己加重魔法を主流としていることからも、剣系統での接近戦で優位に立ちまわるには加速・加重系統の魔法が使えるに越したことがないのだろう。しかし、僕はといえば加速は苦手、加重は並だ。

 

そして、僕が得意なのは収束・発散系統の魔法。そして比較的得意な部類が振動……収束系に硬化魔法、振動系に高周波ブレードといった魔法があるように決して接近戦向きではないとは言えないが、僕の知っている範囲内では遠距離戦向きの系統だと思っている。

それに達也たちもそのようなことを思っていたようなので、ほぼ間違いないだろう。

 

 

 

「これから先、魔法を使わずに過ごす」という選択肢もあるにはあるが、もちろんこれを選んだりはしない。魔法科高校に入学している時点で…というのもあるが、いざという時に自身を守る手段が『完現術』以外にも『魔法』があるほうが能力を隠せる点で考えても、あらゆる状況で安心できるだろう。

 

それに『ブック・オブ・ジ・エンド』がからめ手、『盾舜六花』が回復・防御であることを考えると、魔法で何かしらの攻撃手段があった方がいいだろうというのも、正直な感想だ。

孤天斬盾(こてんざんしゅん)』?記憶にございません。双天と三天と四天の三種じゃなかったかな?

 

 

…と、そんな冗談はさておき、魔法に関してこれからどうしていくかだが……個人的には新しく一般的な拳銃型の特化型CADを一つ用意して、そちらをメインにし今現在の武装一体型をサブで使う…ということを考えている。

新たな魔法の習得についても新たな特化型にインストールする方を優先し、武装一体型の方は僕自身の腕を磨きながらの習得で良いだろうと思っている。

 

 

 

それとは別に、魔法に慣れてきたら『BLEACH』の技を魔法で再現してみるのもいいかもしれないとも考えていたりする。…が、そのチョイスに少し悩んでいる。

 

というのも、まず最初に考えた月島さんと関係のある『完現術』を使うキャラたちの能力はまず再現できそうになかった。

 

「時間の神(笑)との契約」、「汚れるほど強くなるブーツ」、「許可したものを可愛いものの中に入れる」、「空間やキャラを設定し創り出す」、「確率の変動(簡単に言うと凄い運)」…どれも再現はできそうになかった。

こう考えると強い弱いは置いといて、彼らは希少な能力の持ち主だったのかもしれない。

 

唯一できそうだったのが、霊圧が消えることに定評のあるチャドくんの『巨人の右腕(ブラソ・デレチャ・デ・ヒガンテ)』と『悪魔の左腕(ブラソ・イスキエルダ・デル・ディアブロ)』だったのだが……無駄にデカくなりそうなうえ、あまりカッコいいとも思えない。

 

 

次に考えたのが、死神たちの使う能力だった。『斬魄刀(ざんぱくとう)』はちょっと無理がありそうだが、『鬼道(きどう)』ならば何種類もあるうちのいくつかは再現できるかもしれないと思う。

 

 

ただ、前者も後者も「月島さん」という存在のイメージには合わないというのが問題だろう。…『盾舜六花』を持っている時点でもう手遅れなのだろうが……まあいいか。

 

 

 

まあ、それらはやるとしても、基本的な魔法を扱えるようになってからヒマがあれば…程度の考えで、あくまで遊びだ。

 

 

 

 

「新しいCADを用意するにせよ、明日の討論会には間に合わないけどね…(ぼそり」

 

 

そう独り言を呟きながら、僕は校舎外にあるベンチのそばで歩いていたその足を止めてあたりを見渡した。

 

…別に風紀委員の仕事でもなければ、明日の討論会の最中に起こるであろうテロ行為への対策の下準備でも無い。

 

 

「何処に落してしまったんだろう…(しおり)……」

 

 

そう、『ブック・オブ・ジ・エンド』の核である栞を気づかないうちに何処かで落としてしまっていたのだ。

 

以前言ったように、「来い」と強く念じれば手元に一瞬で呼び寄せることもできるのだが……ここである問題が発生する。

もし、あの栞を誰かが見つけたり拾っていたりしているちょうどその時に僕が呼び寄せたとしよう。するとその人物の前から一瞬で消え、僕の手元に現れることとなってしまうのだ。その後、消えたはずの栞を僕が持っているところを見られた場合、おそらく面倒事になってしまうだろう。

 

 

だから、こうして歩き回って栞…もしくは栞を拾った人を探しているのだが、いっこうに見つからない。

 

「下校時間まで見つからなかったら……その時は仕方ない、呼び寄せるしかないか」

 

そう考え、他に探していない場所が無いか思い出しながら歩き出した。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

…さて、今から少し考えておかなければならないのは、明日の討論会の最中に起こるであろう『反魔法国際政治団体ブランシュ』によるテロ行為への対応だ。

 

昨日にも少しだけ考えてはみたけど、やはり事前に止めるのは無理だろう。

 

まず、情報のリークはできない。そもそも僕はブランシュが襲撃してくるとわかっているものの、その他の情報が圧倒的に足りていないため奴らの拠点の場所すらもわからない。

拠点がわからないとなると、当然先に潰しに行くこともできない。…まぁ、仮に僕一人で行ったところで「潰す」というのは無理な話だろうが…。

 

他にも『ブック・オブ・ジ・エンド』を使った方法も考えてみた。

例えば、有志同盟の人たち…彼らはブランシュの人間からマインドコントロールのようなものを受けていたという描写があったのを思い出し、彼らに僕を挟み込んでダブルスパイのような形にし、情報を得ることも考えた。だが、これは僕がブランシュのことを事前に知っていたということになってしまうので、後々のことを考えると不可能だった。

また他の活用法も、どれも上手くいきそうには無かったのだ。

 

 

次に僕が考えるべきことは、討論会当日に学校に「行く」か「休む」かだ。だが、これは「行く」しかあるまい。

 

風紀委員だからという理由もあるにはあるが、僕個人の意思でもある。

というのも、このブランシュ襲撃は僕にとって()()()()()()()なのだ。その機会を逃さずに有効活用するのは、僕にとって家で大人しくして身の危険から遠ざかることよりも、よっぽど重要なことなのだ。

 

 

 

 

故に、明日の為に精神的な準備も含め様々な準備が必要となるのだが……。

 

 

「栞、見つからないな…」

 

もう呼び寄せてしまいたくなってしまう。

 

少なくとも、今日僕が移動したルートはもう全て見てまわったはずだ。こうなってくると、誰かが拾ったと考えるべきだろう。

そうなると、今はその人が持ったままか……もしくは職員室あたりにでも届けられただろうか?もしそうだとすると、やっぱり呼び寄せるのはやめたほうがいいだろう。

 

「仕方ない。一度職員室のほうを見てみようか…」

 

 

そう思い、僕は職員室のある方向…ちょうど今僕が歩いていた方向とは真逆の方向だったので、その場で回れ右し歩き出した。

 

 

 

その道中、変わった女子生徒がいた。

「変わった」とは言っても、見た目が特別派手とかそういうわけでは無い。むしろ見た目はいったって普通、少し眉が太めかな?というくらいで地味な部類と言っていいだろう。

では何をもって変わっていると思ったのかというと、やけにあたりをキョロキョロしていたのだ。まるで何かを探しているかのようだった。……さっきまでの僕も、はたから見るとあんな感じだったのだろうか?

 

…と、その女子生徒の動きがピタリと止まった。それも僕を見て、だ。

そして、顔がパァッっと(ほころ)んだかと思うと、僕へと手を振りながら歩み寄ってきた。

 

しかし、彼女は誰だろうか?どうやらあの女子生徒が探していたのは僕のようだが、僕には彼女に見覚えは無い。クラスにも……自分の学年200人全員を把握しているわけではないが、同級生にいた気もしない。それに加えて、風紀委員や生徒会のメンバーにもあんな娘はいなかった気がする。

すると……本当に誰だろうか?まさか、ただのむこうの人違いだったり?

 

 

そんなことを考えているうちに、その女子生徒は僕の近くまでたどり着いていた。女子生徒が特別背が低いわけではないが、僕が高身長故に自然と女子生徒は上目遣いになっている。

 

 

「キミ、月島くんだね?」

 

彼女のこの最初の一言で、女子生徒が僕へ話しかけてきたのは人違いからではないことがわかった。だが、それでも疑問は疑問のままだ。

 

「ええ、そうですが」

 

「よかった。摩利のところに持って行こうか迷ったんだが…」

 

摩利…渡辺委員長のことだろう。そして渡辺委員長のことを呼び捨てで呼んでいることから、この人はおそらく渡辺委員長の同級生だろう。となると、それ相応の対応をしなければなるまい。

しかし、僕か渡辺委員長かという選択肢になることとは一体何の用だろうか?風紀委員に関することか?

 

 

そう考えていた僕に、女子生徒は何かを取り出し差し出してきた。

 

「はいこれ、キミの物だろう?落としていたよ」

 

「これは…」

 

少しの驚きの後、僕は色々と納得した。女子生徒が差し出してきたくれたのは、僕が探していた(しおり)だった。

 

「ありがとうございます、先輩。先程からどこにやってしまったのか探していたところでした。…しかし、どうして僕の物だとわかったんですか?」

 

「何度かキミが校内で本読んでるところを見たことがあったんだ。その時に見た栞が落ちてるのと一緒だったからそうではないかと思ったんだ。あっ、名前のほうは摩利から「今年の一年は中々面白いぞ。特に風紀委員に入った二人は~」って聞いていてね」

 

「なるほど、そうだったんですね。改めて、わざわざ届けていただいてありがとうございます。ええっと…」

 

僕は自然を装いながら、言葉に詰まってしまうフリをする。すると、女子生徒は何かを察したように「ああ、そうだった」と言ってくれた。

 

 

「私は小早川(こばやかわ)景子(けいこ)。よろしく、月島くん」

 

「僕は月島昊九郎といいます。改めて、このたびは本当にありがとうございました。何かお礼をしたいのですが…」

 

「いやいや、いいよそんなこと気にしなくても」

 

「ですが、それでは僕の気が済まないといいますか…」

 

「ええっと…あっ、なら連絡先交換しないか?何かあったら連絡するということでさ」

 

僕はそれを承諾し、女子生徒…小早川先輩と連絡先を交換した後「それじゃあ何か用ができたら連絡するから、その時はよろしくね」と言って、小早川先輩は手を振りながらこの場から立ち去っていったのだった。

 

 

 

それにしても、小早川景子、か。うーん…聞き覚えが無いな…。

しかし、それは別におかしいことではないだろうと自分の中で結論づけていた。何故なら僕はこの世界に生きているのだ、別に原作で登場したキャラ以外とも関わりを持つことになってもおかしくはないのだ。

そして、僕も他所へと歩き出した。

 

 

さて、明日は頑張るとするか。





月島さん(モドキ)に原作未登場キャラと認識された人の運命はいかに!?…まあ、まだ先の話なうえ、思い付きで出しちゃった感がありますが……どうなっていくでしょう?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。