魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れがある部分が存在します。
不定期更新です。
今回は珍しく ほのか視点で書いています。
想像以上に読んでいただけたり、感想にコメントを残していただけたり……驚きと嬉しさととでぐちゃぐちゃになっております。いい意味で。
ランキングにも載れていたそうで、嬉しい限りです。
私のやれることは限られていますが
誰かの楽しみの一端になれれば幸いです。
沢山の人に待ち続けてもらえたのも、月島さんのおかげ。
通話相手の男性が名乗ったその
ぎんじょう
くうご
……うん、聞き覚えはない。
月島さんが
もちろん偽名ってことも考えられるけど、今それを意識してする必要って……盗聴? ううん、そんな……いや、でもこの電話を繋げるまでの流れは、ドラマとか創作物なんかで裏の組織が情報を隠すためにやる
周りのみんなの顔を見てみると、深雪さんも中条会長も私と同じで聞いた名前に覚えが無いから何と思うけど、ポカンとしてるっていうか釈然としてない様子にみえた。
ただ、達也さんだけは露骨に眉間にシワをよせている。いつも冷静で表情に出にくいから、なんだか珍しい気がする。
『で? 何のようだ?』
「実は――」
『まぁ、わかってはいる。どうせ、アイツのことだろ? そういった情報屋まがいなこともウチはしなくもないからな』
中条会長の言葉を遮るように、かぶせて言い放ってきた。
具体的な名前は出してこなかったけど、きっと月島さんのことだよね?
この電話をかけるきっかけはあの【
『【
なんだか嫌々ってことが言葉の端々から感じられる……けど、同じくらいその声色は面倒そうにしていると感じられなかった。本心じゃない? どっちが?
通話相手の人柄を掴みきれず、どことなく不信感を覚えてしまう。
私がそんなことを考えているとも知りようがない
『アイツは元気にやってる。心配することは何もないな』
なんというか、当たり障りのないような答え。納得できないというか、素直に受け取れない……。
それは中条会長も同じ感想を持ったみたいで、すぐに通話先のその人に言葉を返した。
「えっと、ならなんで学校に来ないんですか?」
『ちょっと忙しくしててな。……ここ最近、日本国内で連続殺人事件が起きているのは知っているか? 関係者なら「吸血鬼事件」って言やぁ通じるだろう
連続殺人って聞いて、ピンとは来なかった。私が情報に疎かったからか、一般的にも知られてないからなのか…
ただ、視界に入っていた達也さんだけは、一瞬ハッとしたような顔をしたような気がした。
それにしても……
「吸血鬼…?」
『ああ。文字通り、被害者から血液の一部が失われてたんだよ。外傷による出血だとは考えられない状況で、な』
携帯端末がスピーカーモードになっているからか、今度は私の言葉に
そんな事件があっているなら、本当に私が逃していただけで話題になっているのかな?
『で、その事件はUSNA…《北アメリカ大陸合衆国から始まっている》。そのあたりは軽く省くが、十氏族のもとにいたアイツは独自に調査に入り思った以上にヤバそうな事案だったからアイツを中心に【
続けて聞こえてきた内容に、クラッとしてしまう。
事件の始まりがあった国に交換留学に行っている雫のこと。そんな事件を調査してたっていう月島さんのこと。どちらも、何かなかったか心配だし、今どうなっているかも気になってきた。
『アイツがいつ戻れるかっていう話は、どうしても後手に回ってるからすぐに全部は片付けらんねぇから……そうだな、1月いっぱいはコッチの対応に追われるだろうから、その後くらいか』
さっきから引き続いて、まるでこっちが何を知りたがっているかわかっているかのように話してくる相手に驚いてしまう。
同時に、これまでどうあがいてもわからないことだらけだったのに、すんなりと全部知れてしまって拍子抜けというか、唖然としちゃうというか。
『おまけに教えておくが、この件の犯人は――「パラサイト」って呼ばれるやつらだ』
そのうえ、聞いていないのに事件について教えてくれ始めた。
正直に言うと、ドンドン出てくる知らない情報に少し目が回り始めた気が……でも、私以外普通に真面目に聞いていて……あ、中条会長も少しぽけっとしてる。
一番話をしっかり聞いてて事件についても知っていそうだった達也さんが、初めて通話に参加した。
「連続殺人の犯人がわかっているのか」
『部分的にはそうだな。正確にはパラサイトは情報体……あー、一般的向けには幽霊とか
わかっていることにも、それが怪奇現象のような存在だってことにまた驚く。
というか、精霊魔法を知ってるから精霊っていう存在がいるってことはなんとなく理解していたつもりだったけど……そんな幽霊なんてなんだか非現実的というか、信じきれない気持ちがある。
『んで、厄介な点が大きく分けて2つある。まず、
『目の前にいるそいつを魔法で傷つけられたとしても、それはあくまで
……?
『単純な話、パラサイトって存在の本体は
怪談話とかいわゆるオカルト話で聞いたことのある「霊感」っていうののことなのかな? それなら、幽霊みらいに攻撃しても効かなそうだなーって感覚でわかる。
え、でも、それじゃあさっき言ってた
そんな私の疑問は、言葉にして口にしていないはずなのに携帯端末の向こうから聞こえてくる声が、答えを返してくれた。
『んで、さっきの話の
その言葉にハッとさせられる。
パラサイト。それは英語であって日本語に翻訳することができて、「寄生虫」とかそういった意味だったはず。ということは……!?
『目撃されるパラサイトはすでに取り憑かれた誰か。ここで嬉しい情報だが、取り憑かれた時点で、「パラサイト」の能力に適したモノにするためか脳を中心に身体が変異しちまう。仮に「パラサイト」を引き剝がす方法があったとしても、元の人間には戻りようがないんだよ』
「――っ」
聞こえてきた息遣いは、私なのか、他の誰かだったのか
寄生という言葉に鳥肌が立ち――そのうえ、寄生された人のたどる末路に血の気が引いていた。
私たちの反応をよそに、
それも、いたって軽い調子で。
『御伽噺の吸血鬼とは違って咬まれたら同族になるってわけじゃなく、あくまで取り憑いたらだからな。外身を壊さなけりゃ度外視できるからまだマシだ』
軽いじゃない。どこか笑ってすらいるような気さえする調子だった。
けど、話す内容は刺激的で……怒りか驚きか、さすがに中条会長がつっこんだ。
「血を吸われた被害者は死んでるんですよ!? マシでもなんでもないじゃないですか!」
『ヤバさが分かりやすかっただろ?』
「ですけど! そんなことに月島君は関わっているんですか!? なんで――」
『アイツはパラサイトを殺せるからな』
声を荒げた中条会長に対して、この人はいたって落ち着いた様子で淡々と言葉を返していく。
『普通は殺せないパラサイトを殺せる。もちろん知覚もできるし、取り憑かれもしない。アイツがパラサイトを相手にしない手は無いわけだ。それができるチカラがある、これで判断に疑問があるか?』
まるで事実を述べて、そのうえで確認をするかのように有無を言わさせない問いかけ。
そのブレの無い態度に押されたのか、中条会長もものすごく何か言いたげだけれど黙ってしまった。
それに、私もどこか納得してしまった。心のどこかで「月島さんなら何でもできて心配いらないんじゃないか」って思ってしまってた。
もしかしたら、中条会長も同じだったのかもしれない。
『まぁあんたらは、関わらねぇようにしとけ。今んところ、街中とか人が複数いる場所での犯行は無い。わざと裏路地に入ったり深夜徘徊でもしなけりゃまず大丈夫だ』
それにしても……
『それでも心配なら、古式魔法の使い手にアドバイスをもらっとけ。特に精霊魔法使いなら、比較的その手の話題には明るいはずだ』
なんで
『――こんなところか。あんたらに渡しておく情報は』
一息ついて、どこか満足ささえ感じる口調で、その人は話を区切った。
『時間も時間だ。それに、これ以上は面倒な情報が絡んでくる。んなもん知らなくてもいいだろ、
ケラケラ笑うように付け足した言葉に、私は少し寒気を感じた。
だって、まるでこの電話の先――【
『まぁ、これ以上必要そうなヤツには
そして『じゃあな』と言い残して電話を切ろうとしたんだろうところに――
「あの!」
電話相手であった中条会長が、再び声を上げた。
『ん?』
「その、月島君とあなたは、一体どのようなご関係でなんですか…?」
私も、達也さんや深雪さんだって思っていただろう、当然の疑問。
この人の立場というか……その、大体は推測できるような気はする。
けど、この人と月島さんとの間柄は掴みきれない。たった1年に満たない付き合いだけど、月島さんからはこの人のことを直接はもちろん間接的にでも繋がりそうな話があった気がしない。あるとしても、月島さんを慕っていた中学の後輩の不良さんたちのような関係性くらい……?
だから気になる、
『そうだな……【
なんとなくではあるけど、「困った」という様子では無いながらも選ぶようにいくつかの言葉をあげる。やっぱり、悪い仲じゃないどころか深い間柄のようなきがしてくる。
そして
『まぁ、間違い無いのは
「? それってどういう……?」
『誰かと比べられるもんじゃねぇ。アイツ自身のこと、アイツが関わったこと、なんでも知ってるんだからよ――――
――――もちろん【
「「「っ!!」」」
思わず息を飲んだ。
【フルブリング】。
夏休みの思い出。雫の
その夜、見せて、教えてくれた、月島さんが持つ異能。
あの時の雰囲気からわかる。アレは私が思っていたよりも異常なことなんだって。
幹比古君が言っていたように、
そんなことを月島さんが理解できないわけがない。なら、そう簡単に他人に教えたりしないし、漏れないように注意するにきまっている。
もちろん、
でも、私たちが欲しかった情報だけじゃなくて、
「ふ…プリングル?」
そして、なんでか会長だけはお菓子みたいな名前を呟いて首をかしげてる。
……あ、そっか。海に行ったのは同学年の友達でだから中条会長はいるはずもなくて、当然だけど【フルブリング】について知ってるはずがない。月島さんが他のタイミングで話していないならだけど。
そんな会長の呟きが聞こえたんだろう。