魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

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※注意※
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れがある部分が存在します。
不定期更新です。

今回は珍しく ほのか視点で書いています。

想像以上に読んでいただけたり、感想にコメントを残していただけたり……驚きと嬉しさととでぐちゃぐちゃになっております。いい意味で。
ランキングにも載れていたそうで、嬉しい限りです。
私のやれることは限られていますが
誰かの楽しみの一端になれれば幸いです。


沢山の人に待ち続けてもらえたのも、月島さんのおかげ。


月島代行消失編-9:月島さんを知る男

 

銀城(ぎんじょう) 空吾(くうご)

 

通話相手の男性が名乗ったその名前(おと)を、自分の頭の中で1度2度と復唱していた。

 

 

ぎんじょう

くうご

 

 

……うん、聞き覚えはない。

月島さんが以前(まえ)に言ってたりしたのを聞いたこともないって断言できる。

 

もちろん偽名ってことも考えられるけど、今それを意識してする必要って……盗聴? ううん、そんな……いや、でもこの電話を繋げるまでの流れは、ドラマとか創作物なんかで裏の組織が情報を隠すためにやる定番(べた)なことみたいだなーって思わなくもないような……?

 

 

周りのみんなの顔を見てみると、深雪さんも中条会長も私と同じで聞いた名前に覚えが無いから何と思うけど、ポカンとしてるっていうか釈然としてない様子にみえた。

ただ、達也さんだけは露骨に眉間にシワをよせている。いつも冷静で表情に出にくいから、なんだか珍しい気がする。

 

 

『で? 何のようだ?』

 

「実は――」

 

『まぁ、わかってはいる。どうせ、アイツのことだろ? そういった情報屋まがいなこともウチはしなくもないからな』

 

中条会長の言葉を遮るように、かぶせて言い放ってきた。

 

 

具体的な名前は出してこなかったけど、きっと月島さんのことだよね?

この電話をかけるきっかけはあの【XCUTION(エクスキューション)】のカードで入手経路は月島さんから。その月島さんがわざわざ達也さんに預けたうえで誰かに渡そうとしていたってことは()()()()()()()()からだとして……じゃあ、そのカードを使っての電話だってことを踏まえたなら月島さんのことってわかるはずだもんね。

 

 

『【XCUTION(ウチ)】は慈善事業団体でも、仲良しボランティアサークルでもねぇんだが……しかし、まぁアイツが世話になった相手であれば無下(むげ)にするわけにもいかねぇからな』

 

なんだか嫌々ってことが言葉の端々から感じられる……けど、同じくらいその声色は面倒そうにしていると感じられなかった。本心じゃない? どっちが?

通話相手の人柄を掴みきれず、どことなく不信感を覚えてしまう。

 

 

 

私がそんなことを考えているとも知りようがない銀城空吾(そのひと)は変わらない様子で話し始めた

 

 

『アイツは元気にやってる。心配することは何もないな』

 

 

なんというか、当たり障りのないような答え。納得できないというか、素直に受け取れない……。

それは中条会長も同じ感想を持ったみたいで、すぐに通話先のその人に言葉を返した。

 

「えっと、ならなんで学校に来ないんですか?」

 

『ちょっと忙しくしててな。……ここ最近、日本国内で連続殺人事件が起きているのは知っているか? 関係者なら「吸血鬼事件」って言やぁ通じるだろう事件(ヤツ)だ』

 

連続殺人って聞いて、ピンとは来なかった。私が情報に疎かったからか、一般的にも知られてないからなのか…

ただ、視界に入っていた達也さんだけは、一瞬ハッとしたような顔をしたような気がした。

 

 

それにしても……

 

「吸血鬼…?」

 

『ああ。文字通り、被害者から血液の一部が失われてたんだよ。外傷による出血だとは考えられない状況で、な』

 

携帯端末がスピーカーモードになっているからか、今度は私の言葉に銀城空吾(そのひと)は反応を返してきた。

そんな事件があっているなら、本当に私が逃していただけで話題になっているのかな?

 

『で、その事件はUSNA…()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そのあたりは軽く省くが、十師族のもとにいたアイツは独自に調査に入り思った以上にヤバそうな事案だったからアイツを中心に【XCUTION(俺たち)】で対処を始めたんだ。それが戻れなくなった理由だ』

 

続けて聞こえてきた内容に、クラッとしてしまう。

事件の始まりがあった国に交換留学に行っている雫のこと。そんな事件を調査してたっていう月島さんのこと。どちらも、何かなかったか心配だし、今どうなっているかも気になってきた。

 

 

『アイツがいつ戻れるかっていう話は、どうしても後手に回ってるからすぐに全部は片付けらんねぇから……そうだな、1月いっぱいはコッチの対応に追われるだろうから、その後くらいか』

 

さっきから引き続いて、まるでこっちが何を知りたがっているかわかっているかのように話してくる相手に驚いてしまう。

同時に、これまでどうあがいてもわからないことだらけだったのに、すんなりと全部知れてしまって拍子抜けというか、唖然としちゃうというか。

 

 

 

『おまけに教えておくが、この件の犯人は――「パラサイト」って呼ばれるやつらだ』

 

 

そのうえ、聞いていないのに事件について教えてくれ始めた。

正直に言うと、ドンドン出てくる知らない情報に少し目が回り始めた気が……でも、私以外普通に真面目に聞いていて……あ、中条会長も少しぽけっとしてる。

 

一番話をしっかり聞いてて事件についても知っていそうだった達也さんが、初めて通話に参加した。

 

「連続殺人の犯人がわかっているのか」

 

『部分的にはそうだな。正確にはパラサイトは情報体……あー、一般的向けには幽霊とか(あやかし)、魔法師向けには精霊の亜種とかそんなもんなんだ。犯人だが人だけど人じゃねえ』

 

わかっていることにも、それが怪奇現象のような存在だってことにまた驚く。

というか、精霊魔法を知ってるから精霊っていう存在がいるってことはなんとなく理解していたつもりだったけど……そんな幽霊なんてなんだか非現実的というか、信じきれない気持ちがある。

 

 

『んで、厄介な点が大きく分けて2つある。まず、()()()()()()()()()()

 

 

 

『目の前にいるそいつを魔法で傷つけられたとしても、それはあくまで()()だけ。器子(きし)の肉体とは異なる霊子(れいし)の本体――じゃなかった』

 

……?

銀城空吾(そのひと)の言葉が一瞬詰まったけど……なんだろう? よくわからない?

 

 

『単純な話、パラサイトって存在の本体は()()()()()()()()()。見えないし触れられねぇ。つまり、精霊を知覚できないヤツはパラサイト本体もわからねぇから話にならねぇってこった』

 

怪談話とかいわゆるオカルト話で聞いたことのある「霊感」っていうののことなのかな? それなら、幽霊みらいに攻撃しても効かなそうだなーって感覚でわかる。

え、でも、それじゃあさっき言ってた外身(そとみ)って、いったい……?

 

 

そんな私の疑問は、言葉にして口にしていないはずなのに携帯端末の向こうから聞こえてくる声が、答えを返してくれた。

 

『んで、さっきの話の()()ってのに繋がる2つ目がその名前通りに人に取り憑くってことだ』

 

その言葉にハッとさせられる。

パラサイト。それは英語であって日本語に翻訳することができて、「寄生虫」とかそういった意味だったはず。ということは……!?

 

『目撃されるパラサイトはすでに取り憑かれた誰か。ここで嬉しい情報だが、取り憑かれた時点で、「パラサイト」の能力に適したモノにするためか脳を中心に身体が変異しちまう。仮に「パラサイト」を引き剝がす方法があったとしても、元の人間には戻りようがないんだよ』

 

「――っ」

 

聞こえてきた息遣いは、私なのか、他の誰かだったのか

寄生という言葉に鳥肌が立ち――そのうえ、寄生された人のたどる末路に血の気が引いていた。

 

私たちの反応をよそに、銀城空吾(そのひと)は変わらず言葉を続ける。

それも、いたって軽い調子で。

 

『御伽噺の吸血鬼とは違って咬まれたら同族になるってわけじゃなく、あくまで取り憑いたらだからな。外身を壊さなけりゃ度外視できるからまだマシだ』

 

軽いじゃない。どこか笑ってすらいるような気さえする調子だった。

けど、話す内容は刺激的で……怒りか驚きか、さすがに中条会長がつっこんだ。

 

「血を吸われた被害者は死んでるんですよ!? マシでもなんでもないじゃないですか!」

 

『ヤバさが分かりやすかっただろ?』

 

「ですけど! そんなことに月島君は関わっているんですか!? なんで――」

 

 

『アイツはパラサイトを殺せるからな』

 

 

声を荒げた中条会長に対して、この人はいたって落ち着いた様子で淡々と言葉を返していく。

 

『普通は殺せないパラサイトを殺せる。もちろん知覚もできるし、取り憑かれもしない。アイツがパラサイトを相手にしない手は無いわけだ。それができるチカラがある、これで判断に疑問があるか?』

 

まるで事実を述べて、そのうえで確認をするかのように有無を言わさせない問いかけ。

そのブレの無い態度に押されたのか、中条会長もものすごく何か言いたげだけれど黙ってしまった。

 

それに、私もどこか納得してしまった。心のどこかで「月島さんなら何でもできて心配いらないんじゃないか」って思ってしまってた。

もしかしたら、中条会長も同じだったのかもしれない。

 

 

 

『まぁあんたらは、関わらねぇようにしとけ。今んところ、街中とか人が複数いる場所での犯行は無い。わざと裏路地に入ったり深夜徘徊でもしなけりゃまず大丈夫だ』

 

それにしても……

 

『それでも心配なら、古式魔法の使い手にアドバイスをもらっとけ。特に精霊魔法使いなら、比較的その手の話題には明るいはずだ』

 

なんで銀城空吾(このひと)は……?

 

 

 

 

 

『――こんなところか。あんたらに渡しておく情報は』

 

一息ついて、どこか満足ささえ感じる口調で、その人は話を区切った。

 

『時間も時間だ。それに、これ以上は面倒な情報が絡んでくる。んなもん知らなくてもいいだろ、他所(よそ)の機密情報とかな』

 

ケラケラ笑うように付け足した言葉に、私は少し寒気を感じた。

だって、まるでこの電話の先――【XCUTION(エクスキューション)】では、そんなことがあたりまえのように取り扱われているようで……もっと、深い奥底もあるように思えてしまったから。

 

 

 

『まぁ、これ以上必要そうなヤツには()()()()()()()()()()

 

そして『じゃあな』と言い残して電話を切ろうとしたんだろうところに――

 

 

「あの!」

 

電話相手であった中条会長が、再び声を上げた。

 

『ん?』

 

「その、月島君とあなたは、一体どのようなご関係でなんですか…?」

 

私も、達也さんや深雪さんだって思っていただろう、当然の疑問。

 

この人の立場というか……その、大体は推測できるような気はする。

けど、この人と月島さんとの間柄は掴みきれない。たった1年に満たない付き合いだけど、月島さんからはこの人のことを直接はもちろん間接的にでも繋がりそうな話があった気がしない。あるとしても、月島さんを慕っていた中学の後輩の不良さんたちのような関係性くらい……?

 

 

だから気になる、銀城空吾(このひと)の答えが。

 

 

『そうだな……【XCUTION(エクスキューション)】のメンバー、友達(ダチ)、仲間、家族――何がいいのやら』

 

 

なんとなくではあるけど、「困った」という様子では無いながらも選ぶようにいくつかの言葉をあげる。やっぱり、悪い仲じゃないどころか深い間柄のようなきがしてくる。

 

そして銀城空吾(そのひと)は、数秒間あけてから「ハッ」と小さく吐き出すように笑ってから言葉を続けた。

 

 

『まぁ、間違い無いのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってとこか』

 

「? それってどういう……?」

 

『誰かと比べられるもんじゃねぇ。アイツ自身のこと、アイツが関わったこと、なんでも知ってるんだからよ――――

 

 

 

 

 

 

 

――――もちろん【完現術(フルブリング)】についても』

 

 

「「「っ!!」」」

 

 

思わず息を飲んだ。

 

【フルブリング】。

夏休みの思い出。雫の(ウチ)の別荘付きプライベートビーチでのひととき。

その夜、見せて、教えてくれた、月島さんが持つ異能。霊子(プシオン)を使って物を操る能力(チカラ)

 

あの時の雰囲気からわかる。アレは私が思っていたよりも異常なことなんだって。

幹比古君が言っていたように、霊子(プシオン)を意図的に扱えていろんなことができるのは本来はありえないことだって。それこそ()()()()()()大きな力。

 

そんなことを月島さんが理解できないわけがない。なら、そう簡単に他人に教えたりしないし、漏れないように注意するにきまっている。

あの夏休みの時(あのとき)いた私たちの誰かから話が漏れたかもしれないけど……だとしても、それは月島さん本人の口からだろうことは、同じグループに居たり仲間だっていうことから想像できる。

 

もちろん、銀城空吾(このひと)が嘘をいってなかったらっていうのが前提だけど…。

でも、私たちが欲しかった情報だけじゃなくて、()()()()()()()()()()()()()()()()()事件のことについても教えてくれる銀城空吾(このひと)が嘘を言うとは思えないっていうのもあるから…。

 

 

「ふ…プリングル?」

 

そして、なんでか会長だけはお菓子みたいな名前を呟いて首をかしげてる。

……あ、そっか。海に行ったのは同学年の友達でだから中条会長はいるはずもなくて、当然だけど【フルブリング】について知ってるはずがない。月島さんが他のタイミングで話していないならだけど。

 

 

そんな会長の呟きが聞こえたんだろう。

銀城空吾(そのひと)の笑い声を最後に、通話は切れた……

 

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