魔法科高校の月島さん(モドキ)   作:すしがわら

74 / 83
※注意※
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れがある部分が存在します。細かい点や話の流れも、諸々の事情により変更されている部分があります。ご了承ください。
不定期更新です。

今回はリーナ視点です。
キリよく付きそうなところまでなので、少し短め。

やっぱり、なんだかんだ言って感想も含めて作品だなーと思ってしまったため、執筆に影響が出ない程度にではありますが感想の返信をしていこうと思います。
「感想ありがとうございます!」の一文は省略して書かせていただいています。
不定期、即時返信、全部に返信ではありませんがお付き合いいただければ幸いです。


民衆の願いが力になるのも、月島さんのおかげ。


月島代行消失編-12:月下の強襲

 

 

表向きは交換留学のため、真の理由としては自身に課された任務の遂行のため、確保されたマンションのひと区画。

その中の自室でベッドに腰かけていたワタシは、ひとり思いふける。

 

 

あの十月末に観測された大爆発(グレート・ボム)の実行者「戦略級魔法師」を探ることが、日本でのワタシたちに課された任務だった。

 

そこに参謀本部から()()()()()()()()()

 

――――東京に潜伏している脱走者の追跡を優先せよ。

 

何の事かは、もちろんすぐに分かった。

 

何故なら、日本に来る前の本国で同様の任務に()いていたから。

そして……その時の対象は、この手で処断――始末したという実績がある。そんなワタシにこの任務が回ってくるのは当然でしょう。

 

 

ひとつ息を吐いたワタシは、立ち上がり()()()()()()使()()()

 

すると、姿見に(うつ)る私の姿が変化する。

 

 

(くせ)の無いさらりと伸びたブロンドヘアは、燃える炎のような赤くウェーブのかかった髪に。

素顔は鼻から上を(おお)う形の仮面が現れ、瞳は青から金色に。

軍用服とその上につけたプロテクターは、一見軍服のような意匠でありながら目立ち過ぎずシンプルで動きを阻害しない暗緑色のコートと戦闘服に。

 

 

その雰囲気は、女子生徒ではなく1人の軍人に変わる。

 

 

九島(クドウ)家の扱う門外不出の()()、「仮装行列(パレード)」による偽装。

視覚や熱感知などといった様々な観点からの知覚情報だけでなく、情報の次元の座標も偽装し魔法による直接的な干渉の不発化すら起こしうる秘術。

 

それにより、アンジェリーナ=クドウ=シールズという私とは異なる、もう一つの自分の顔。国家公認戦略級魔法師である「十三使徒」の一人でありUSNA軍の魔法師部隊『スターズ』の総隊長、『シリウス』を(かん)する存在であるアンジー・シリウス。

 

その名で活動する際の姿に変わり、気持ちも切り変える。

 

 

「さぁ、任務開始だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

指令が出てから、一週間以上は経った。

その間、ワタシは時には学校を休みながら、巷で騒がれる「吸血鬼事件」を探りながら脱走兵の動向の把握と捕捉に努めた。

日本の警察や、十師族とその関係者と思われる一団の動きもあったため、そちらとの衝突はもちろんだけれどワタシたちの存在を悟られるのも避けたいため、思う様にいかない場面も多々あった。

 

 

 

 

得ていた情報を(もと)に他のエージェントと分担して捜索を始めた。

 

そうしてようやく、今夜。ターゲットの1人であろう不審人物を補足した。

 

 

アンジー・シリウスとしての姿で、街の闇に紛れながら駆ける。

 

 

他のエージェントに一定範囲内の人払いと警戒を任せ、ワタシは人気(ひとけ)の無い公園の一角でターゲットと接敵し交戦を開始する。

 

 

ガタイの良い、覆面を被った男。

顔は確認できないが、CADの操作も詠唱も無く脱走前よりも強力な魔法を行使するその姿は、USNAで処断した脱走兵たちにも見られた変化が見られたため、ほぼ間違いなく脱走者の1人だろう。

 

 

ほどなくして、大きな苦戦も無くターゲットを追い詰め、処断する。

 

喉に、胸に、心臓に、手にした特注の拳銃から放たれる弾丸を的確に命中させ、ターゲットのその生命活動を停止させる。

 

 

動きの停止と多量の出血を確認。

その遺体の処理と痕跡の除去を行うため、周辺にいるエージェントに連絡を取ろうとし――

 

 

バチッ

 

 

――身を(ひるがえ)し、その場から飛び退く。

 

 

瞬間、雷光。

けたたましい音と閃光と共に、先ほどまでワタシが立っていた場所に魔法によるであろう雷撃が着弾していた。

 

瞬時に、さっきふいに小さな異音が聞こえてきた方向へ向き直り構え、視線を向ける。

 

 

黒いハットにロングコート、そんな黒の中に浮き上がるような白い覆面を身に着けた存在。

新たな脱走者と思われる存在を補足したワタシは、改めて気を引き締める。

 

 

近くに隠れて機会を(うかが)っていたのか、さきの脱走者が何らかの方法で助けを呼んでいたのか、はたまた偶然なのか。

 

なんにせよ、この白覆面もターゲットであることに変わりはない。

むしろ、よくもまぁそちらから来てくれたものだ。

 

拳銃とCADを改めて手の内で確かめながら、目の前の白覆面をどう仕留めるか考えながら動き出す。

 

 

 

「ミキはそっち! あたしは仮面の方を!」

 

「うん!」

 

 

そこに、2度目の乱入者が現れた。

ただし、今度は見知った顔。交換留学先の学校で生徒会等で深く関わりのあるミユキやタツヤの友人で、ワタシ自身も幾度となく交流のあるグループ。そのうちの2人。

 

見えたのは、見慣れた制服とは異なる私服を纏ったエリカとミキヒコ。

 

どちらも日本で歴史のある家の出で、所謂(いわゆる)「二科」という区分にありながらも実力には光るものがあり学生の中では飛び抜けている……というのが、情報を持っているワタシからの評価。

 

だから、カタナを手にワタシに急接近するエリカにはそれ相応の対応をしなくてはならず――白覆面に何かをしかけているミキヒコは、一旦よそにしておかなくてはならない。

 

 

カタナの一撃を避け、魔法で牽制しつつ、行動不能にすべく拳銃の引き金を引く。

しかし、エリカはそれらに反応し、避け、弾き、距離を詰めてくる。

だが、それをどうにかできないワタシではない。

 

間合いは、詰められればエリカに多少は()があるけれど、それ以外はワタシのほうが有利で余裕がまだある。()()()()()()()()()()()()()、今以上にやりようがあるほどに。

(ゆえ)に、繰り返されるやり取りの中、致命的な傷こそ与えられていないが削られているのはエリカの方だ。

 

 

剣技も悪くない――いや、剣技だけであれば『スターズ』の中の上位陣にも勝るとも劣らないと思う。

 

けれど、だ。

試合や実践さながらの剣戟も、横浜事変のような実戦での戦闘の経験してきただろうけど、()()()()()()()()()()()()。本当の過酷な現場(せんじょう)が、本気の冷徹なまでの命のやりとりが、その中での極限の感覚が……数も、濃度も。

逆に言えば、末恐ろしい。そこさえ補われれば、『スターズ』の上位陣の戦闘力となるわけなのだから。

 

 

もう見切れた。これ以上時間を使うわけにはいかない。

次のタイミング。動けなくなる程度には、痛めつけなくては……。

 

適した魔法を選択し、向ける銃口をブラフと誘導のために使い――――

 

 

 

 

「AGyaAaaGegYyaaa――――!!??」

 

――――人の声帯から出たとは思えない悲鳴を超えた奇声。

 

方向からして、脱走兵とミキヒコが戦っているところ聞こえてきたもの。けど、あんな声をミキヒコが出すとは思えないし、過去の処断でも脱走兵たちがあんな声を出した事は記憶にない。

 

目の前の相手(エリカ)への明確な(すき)になってしまう。

そうわかっていながらも、あまりの奇声に視線を動かしてしまい――ただし、同じく奇声のした方向へ目を向けてしまうエリカを視界の端に移しながら――その光景を目にする。

 

 

白覆面の脱走兵。それと相対するミキヒコ、手にはCADと何か掌大(てのひらだい)の紙のようなもの。

 

()()()()()()()()

 

数少ない街灯と月明りの薄暗さのある中でも分かるほど、青くなっているミキヒコの顔色。

 

 

その顔色と正反対の赤黒い飛び散る血と、赤が(したた)る肉と白い骨や他のナニカまで露出する新鮮で巨大な傷。

 

 

そう、白覆面が、だ。

 

黒いコートとズボン、黒のSlick backの髪が闇夜に紛れるような長身の男。

その男が握り振り下ろしただろう、身の丈ほどある――一見(いっけん)すると身幅が広い直剣だが、(つば)から剣身の半ばまでは刀身の中がくり貫かれたうえで(もちて)が付けられた変わった形の――巨剣。

 

 

男が、ミキヒコと相対していた白覆面を背後から巨剣で後頭部から背中そして股下まで、半ば断ち切るのではないかと言うほど深々と切り裂いた、そう読み取れる光景がソコにあった。

 

 

頭に任務の事、他の魔法師に処理された際の対応、手下人への対処など様々な内容が駆け巡る。

 

 

()()()()()()()

 

 

バッサリといかれたため、白覆面が身に着けていたロングコートも帽子も裂けて、開き、舞い、血に濡れていく。

 

当然、その代名詞的なモノであった()()()()()

叩き斬られ半ば裂けた後頭部と同様に、覆面も裂けて覆う形を保てずにその勢いのまま(はず)れ舞い落ちる。

 

 

斬られた衝撃と激痛によって歪んだ顔だったが、見間違いようが無かった。

 

 

 

 

「ミア……?」

 

ミア――――ミカエラ・ホンゴウ、その人の顔だった。

 

 

ワタシと同じ日系アメリカ人で、ワタシの留学よりも一足先に日本に入っていた諜報員。

 

これまで、探っていた大爆発(グレート・ボム)の実行者である「戦略級魔法師」やツキシマ コウクロウについての情報交換や今後についてなどの様々なことを幾度となく会議をして顔を合わせてきた。そう、つい数日前も――。

単純な仕事相手というだけでない、例えワタシと同じ『スターズ』所属でない研究職としての諜報員だとしても、間違いなく同士であり――時には立場の違いはあれど、同じテーブルを囲んで笑いあった間柄だ。

 

 

そんな彼女が()()()だった。

 

いつから?

あの会議の時も?

最初から?

他の脱走者が日本に手引きをした人物が、まさか?

何かの間違い――いや、白覆面のような魔法の扱いが()()()()()()()()()()()()()

脱走者の捕捉が上手くいかなかったのは、彼女が内部から妨害を?

 

 

共に任務に当たっていたはずの彼女を、処断するのか?

いや、もう彼女は死ぬ。

脱走者の処断がワタシの任務であり絶対的目標。

ワタシが殺さなくて……

けど、これまで処断してきた相手も同胞、『スターズ』だった。

今更誰を殺しても……

肩を並べたり、お世話になったり、アルフレッドとだって……。

だからこそ、誰を殺してでも終わらせないといけない。

 

けど

誰を? どこまでを……?

 

 

 

「gGUgAAAッ!!」

 

 

奇声に、目の前の光景に引き戻される。

 

瞬時にミアの頭上に跳んだ男が、その勢いのままのけぞったミアを目がけて剣と共に降り立った。

 

途切れた奇声。

肉を貫く音。

飛び散る何かと湿(しめ)った音。

地面に響く鈍い音と衝撃。

 

そうして巨剣がミアの胸部を貫き、地面に突き刺さる状態になっていた。

 

 

(とど)めを刺されたその姿は、悪魔が銀の十字架に貫かれた姿が月明かりに照らされるという、宗教画じみた神聖ささえ感じさせる光景であった……。

だが、それはあまりにも生々しく、信じられないほどの現実で……!!

 

 

 

そして――――

 

 

 

「その声……! まさか本当にアンタは……!!」

 

 

考えがまとまる前に、戦局は、また一転する。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。