魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れがある部分が存在します。細かい点や話の流れも、諸々の事情により変更されている部分があります。ご了承ください。
不定期更新です。
今回は達也視点です。
あともう少しで消失編の終盤に突入できるかなーと、思いながら書いているのが、ここ1、2話続いていたりします。
つまりは、当初のプロットに+αがされていて間延び気味ってことです。どうしようか。
日番谷隊長のお兄様を観ることができたのも、月島さんのおかげ。
「「纏衣の逃げ水」……ですか?」
早朝、
「そう。人の像や熱を本来の場所からズラしてしまう
縁側にて、深雪に手渡された手ぬぐいを受け取り汗を拭く俺と、その隣に腰かけた深雪。2人そろって先日とある男の口から出た「妖魔」という言葉に、少し反応を示してしまう。
それに気付いたのだろう師匠は、どう思ったのかはわからないが一つ
「妖怪や悪霊、昔話に出てくるような印象を一般人が持っているモノは、歴史上では実際に忍術や陰陽術といった今で言うところの古式魔法には結構関わっているものなのさ」
「妖魔と言うと「パラサイト」のような?」
俺の返答に、師匠は感嘆した様子で「ほー」と声を漏らした。
「こっちでも事件についてちょっとは調べてたから、おそらくはと思ってたけど……どうやら色々と知っているみたいだね」
「ええ。実は――」
そうして俺はおおまかに経緯を話した。
巷で噂の「吸血鬼事件」の始まりがUSNAであったこと。
クラスメイトのレオが襲われて入院することになったこと。
その容体からも分かったが、精気を吸い取る「パラサイト」が犯人であるということ。
エリカと幹比古が夜中に「パラサイト」を探して回っていたこと。
つい昨夜、その2人が「パラサイト」と交戦する仮面の女と遭遇したこと。
「パラサイト」の外身がUSNAの人間であり、仮面の女も同じくUSNAの軍関係者であろうこと。
そして、その仮面の女が
そこまで話したら、師匠は納得したように頷いた。
「なるほど。そこで「そこにいるはずなのにわからない人物」が居たから、僕にそういった
「まぁ、そうなります」
本当の理由としては
「真っ先に候補に挙がるのは、「
「パレード…?」
その聞き覚えはあれはすれど馴染みの無い言葉に、深雪が聞き返す。
「そ。文字通り仮装するかのように見た目を
「その、ある一族というのは…」
「十師族の「九島」だよ」
「
「君の口からUSNAの言葉が出た時に僕も確信したけど、十中八九、君たちの学校に留学している彼女だろう」
俺の予測を肯定するように、師匠が頷いた。彼女とはもちろんリーナの事だと分かる。
「彼女のお爺様の方が、
加えて、師匠が話す内容は裏付けとなるものだ。
そうなると、俺として気になるのは
「他に、「
「他にかい?」
暗に「どうして?」と疑問を浮かべた師匠に、昨夜…いや、あの病院での出来事から俺が気付いていたことを口にする。
「USNAの人間に敵対していた人物が同様に身を隠していました」
そう、銀城空吾にも「
USNAとは別の派閥にも使い手がいたことを知った師匠は、その何を思ってか剃り上げられた自身の頭部をペチペチと数度叩いた後、アゴを撫で首を
「「
頭の中の情報と考察を整理し組み立てる過程をコチラにも聞かせているようで……けれども、珍しくまとまりきらない思考に頭を悩ませている様子でもある。
「……いや、だからこそUSNAの軍に所属する彼女に秘匿の圧を掛ける意味で敵対するなら、
可能性はある程度まで絞れたようではあるが、どうにもしっくりこない様子だ。
「そのもう1人というのは、十師族とか何処の派閥だとか分かったりするかい?」
「七草家と十文字家に話を通せていたので、十師族には関わりがあるのは間違い無いかと……ついでに警察にも。あとは、本人の言う分ではありますが、あの月島の一派というか同じ組織に身を置く仲間ではあるようです」
「あの行方知れずの彼と…?」
「どうやら、以前から月島と交流がある銀城空吾としてその名前と姿で活動しているようですが……そういった人物や家系が九島の関係者に居るのならば、そこが第一候補だとは思うんですが」
これまでの調査結果から「魔法とは関わりが無い」とされる銀城空吾だが、実は九島の関係者で昔から秘密裏に九島家と月島とを繋げていたのか。
いや、違うな。九島と月島が直接繋がっていることを隠すために、月島の近くにいた銀城の姿を「
「ぎんじょう、くうご?」
…………何?
「はい。……師匠は
「……悪いけど、聞き覚えがないね」
「【
「そっちも、その音は知っていても組織の名前と言われるとピンとこないね」
どういうことだ…?
【
入学直後の「ブランシュ事件」のあった頃に師匠に調べてもらった際には、月島の周囲には魔法師との関りは森崎の家以外には無かったという話だった。もちろん魔法と関わりがなかった銀城空吾の名前はソコで出てくるはずがないのはわかる。けれど、同じマンションに住み、月島が訪問していて、ついでに中学のOBであるはずの銀城空吾を知らない――師匠が調べ損ねるなんてことがありえるか?
つまり、それはーーーー
「お兄様、これはいったいどういう…?」
「……確証は無いが、思っていた以上に複雑らしい」
「うーん?変な感覚はあるけれど、大体の話は掴めたよ」
俺や深雪の感じた違和感やそこから考えられる推測もあるが、どうやら師匠も分からない点はありながらも見えてきたものがあるようだ。
「もう1人の使い手は、銀城空吾っていうあの月島君の旧知の仲を名乗っていて、同じ組織に所属している。さらには、十師族のいくつかと警察にも顔が通るみたい、と?」
「そうです。月島から俺たちや他の同級生のことも聞いている様子でした」
「なら単純な話、そこは疑う必要は無くて昔からかはともかく月島君とは繋がってるんだろうね。詳しい内容までは知りようが無いけど、彼、十師族の全ての家と対談して顔合わせているわけだし」
確かに、その点はそう考えれば無理は無い。ただし、十師族の家々に対して月島個人がどれほどの発言力や協力体制にあるかまではわからないが。
「重要なのは、やっぱり九島だね。交渉材料があったか恩を売ることができたか……はたまた、九校戦の時に老師に目をつけられていたそうだから、単純に月島君の可能性を買ってか。そのどれかの理由で彼が手に入れたーーあるいは、九島からの楔として出向いてきたのが、その銀城空吾の正体じゃあないかな」
聞いたところ、大きな破綻は無いように思える。
あえて挙げるとすれば、十師族…それもあの九島烈が食いつくような交渉材料などというモノがあるのか、という点だろうが……個人的にはその答えをこの目で見ていると考えている。
『
月島が見せた、霊子を扱う未知の異能。好奇心や警戒心、興味を引かせるには十分過ぎるだろう。
そして、それを銀城空吾は使ってみせていた。誰にでも扱えるのか、奴に素質があったのか、どちらかは分からないが月島が関わらずに開花させたとは考え難い。
そのことを、ひいては『
「正直、候補は絞り切れないけど……例えば、近い年代だと
俺が悩む、そのわずかな間にも師匠の思考は次の段階へと進んでいたようだ。
人差し指をピンと立てて見せながら「君たちの1つ下だったかな?」と呟いてから、師匠は
「才に溢れていて魔法力も強大だと聞く……けど、
――だから、候補からは外されるかな。
言わずとも聞こえた気がしたそんな言葉に、やはり絞れないかと諦め半分の感想を抱く。
「とにかく、対等か上下関係かはわからないけど、何かしらの契約の
「本当に月島が関わっているなら、そうなると思いますが……」
――――俺の協力者だから手出し無用だ。
協力者。
ふいに出たその言葉で思い出したのは、昨夜銀城が俺に向けた言葉。
言われたのが俺じゃなく中条会長ならば【
あるいは、組織とではなく銀城本人のみとの…?
いや、月島とならともかく、銀城空吾とはあの病院での出来事が初対面でそのようなやり取りも無い。しかし、「俺
……っ!
「お兄様、そろそろ約束の時間が」
思考が巡るなか、深雪の声が耳に入り引き戻される。
いつの間にか、そんな時間になっていたようだ。
「ああ、そうだな。行こうか、深雪」
そう返事を返し、師匠にも一言と礼をしてから立ち去る。
軽く手を振り見送る師匠を背に、深雪と俺は学校へ登校するのだった。
約束。
それは、昨晩帰宅した俺が深雪に諸々の事情や経緯の説明を終えたちょうどその頃に幹比古から連絡がきて取り決められたものだ。
簡潔に言ってしまえば「明日早くから登校し、合流する」ただそれだけのことだ。
そうする理由はもちろんある。
「ミユキ、タツヤ……!」
こうして、リーナとの間に入ることができるようにするためだ。
ーーまさか、アナタたちまで気付いて……! いや、エリカが話して!!
そんな言葉が続きそうな驚きと困惑、敵意の混ざった視線。
おそらくは、朝一番、真っ先に会おうとしたエリカと幹比古のところに、深雪と俺が居たことを深読みしての反応なのだろう。
こちらもそのつもりで、こうして待ち構えていた。さらに、朝早くに登校したのも、極力生徒数が少ない時間帯に会い、万が一強行策に出てきた場合にコチラも動きやすくするためだった。リーナ側も早くに来てくれたため、狙い通りになったと言える。
それはそれとして、だ。
「わたし達は話してないわよ」
「何の話だ?」
エリカの言葉に、俺は至っていつも通りに淡々と疑問を投げかけ、隣にいる深雪は「さぁ?どうしたのでしょう」と俺の調子に同調してくれた。
エリカの言っていることは嘘じゃあない。
仮面の女=リーナということをエリカの口から聞いたことは無い。故にエリカが情報を漏らし拡散したという事実は無いわけだ。
「そう……分かったわ。気にしないでね」
一言息を吐いてから一応は納得した様子でエリカを見てから、深雪と俺の方へ「なんでもないから」といった様子で笑顔を浮かべた顔を見せた。
昨晩、あの場に俺が来ていたことをリーナが知っていたら、そもそもの警戒度もまた違っていただろうが…。
まぁ、リーナがUSNAの軍の魔法師部隊「スターズ」の一員…それも総隊長の「シリウス」の名を冠する「アンジー・シリウス」本人であることは前々から知っていた。彼女の疑念は間違っていない――というよりも、より深刻な状況だということは気づきそうもないな。
「ねぇ、エリカ、ミキヒコ――」
「達也くーん!」
リーナが2人に何かを言おうとーーきっと2人と俺たちを引き離すための言い訳を言おうとーーしたところ、大きな声で呼びながら片手を大きく振り駆け寄ってくる女子生徒が1人。
今朝、合流したエリカと幹比古から聞いていた、万が一の際の戦力と話を切り上げるための伏せ札の一つ。それがこの駆け寄ってきた人物――七草元会長。
もし仮に、俺たちがエリカたちと合流するよりも早くリーナが接触した際にも対応できるようにしていたのはもちろん、そのまま深い事を話そうとする――あるいはエリカたちだけ引き離そうとした際に、全体を巻き込んでしまうようにすることで、なあなあにしてしまう算段だそうだ。
もちろん、他にも対策はあるそうで、エリカと幹比古の行き帰りは十文字家の人間が遠巻きに警護しているそうだ。校内では十文字先輩も加わり付かず離れず警戒をしているそうだ。……受験直前にも関わらず、多忙だが状況が状況だけに動いてくれているらしい。
……というか、エリカはやはりというか隠し事ができなかったらしい。少なくとも七草家と十文字家はリーナのことを知っているわけだからな。
いやまぁ、エリカと幹比古の安全を考えると、俺としても色々とありがたいが……日本政府とUSNA政府、十師族、そして当然リーナの今後のことを考えると最後まで隠されていたほうがよかったんじゃあないかと思ってしまう。
そもそも、「吸血鬼事件」と同様のものがUSNAであっていた情報と日本でパラサイトを追っている不審者がいる情報を得てしまった時点で同時期に急に決行された交換留学生のリーナに疑いの目は向くだろう。エリカ達が話す前から何かしら掴んでいた可能性は高いので、何にせよリーナ側は逃れようがなかったのかもしれない。
……俺には関係の無いことではあるが。
「…それじゃあ、また教室でね」
七草元会長がすぐそばまで来る少し前に、少し悩んだ様子があったがリーナは一言そう言うと離れていった。
あからさまな点はどうかと思うが、まぁ仕方なくもある。
昨日、銀城によって討ち取られたパラサイト。その大元の人間はリーナが見知った顔で、どうやらリーナ自身はそのことを知らずに戦っていたそうだ。そして、あの確実に仕留めるためのあの最期。一般的な感性を欠片でも持っていれば、精神的なショックを受けて当然だろう。
そうして追い詰められていくなかで、十師族がポンと絡んできて、巻き込みかねないとなったら、早々に退却するのも仕方のないことだ。
ああ、やはりと言うべきか
「たーつーやーくーん♪」
…それはそれとして、七草元会長は俺だけを呼ぶのだろう?
リーナが離れたからもういいが、目的を考えればエリカと幹比古が俺たちから離されないようにすべきなのに、むしろ離す理由を作ってしまっている。
それと、隣の深雪から放たれる圧がジワジワと強くなってきているのも……。
エリカと幹比古も色々と感じ取ってか苦笑いを浮かべている。
そんな様子に、俺はつい溜息をもらしてしまうのだった。