魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れがある部分が存在します。細かい点や話の流れも、諸々の事情により変更されている部分があります。ご了承ください。
不定期更新です。
今回はまた達也視点です。
※お願い※
今作は約9年前に作成されたプロットに肉付けしながら書いていますので、大筋を変える気も無いので問題無いのですが、他の方の作品では感想記入欄の下に書かれているように展開予想はしないようにお願いします。
本作では何度か微妙なラインを感じるものがありましたが、気にせず、他の感想と同様に極力BLEACH&月島さん風味を付けながら面白おかしくノリと勢いで返信をさせていただいております。
いや、だって、例えばですけど、銀城さんがラーメン持ってきそうなのなんて誰でもそう思うし、すしがわらだってそう考えたし、絶対その方が面白いでしょう(重要)
というか、この辺りは予想というかクロスオーバー元ネタの引用の「必然」まであるので個人的には全然OKだと思ってます。
ルールを守って、楽しく「さすおに」!「つきおか」!
月島さんに謝れよネタができるのも、月島さんのおかげ。
――――「パラサイト」は後一体。
――――明日の夜には誘き寄せて片が付く。
昨晩、あの公園で銀城が言っていた言葉。
そのため、俺は
正直なところ、勝手に終わるのであれば「吸血鬼事件」にわざわざ首を突っ込む気はない。
エリカは未だに戦いたい様子ではあったが、散々叱られたうえ千葉家で家族の眼があるため出てくることはないだろう。
なら、何故俺が「パラサイト」と銀城の衝突の現場を探そうとしているのか。
一つは単純な興味だ。これまでしっかりと
もう一つは、銀城の……ひいては、月島を含む【
最後に、リーナのことだ。昨晩は身を引いたが彼女の目的も「パラサイト」である以上、衝突は免れないだろうが、その時リーナは、銀城はどうするのか。
確信めいた目的地は無い。
だが、昨晩同様人払いや周囲への安全配慮のために人員を配置しているはずだ。それが何処の手の者かは置いておくとして。
不意に、感知範囲内の公道に不可解な人物が引っ掛かる。
街の主道からは外れた郊外へ向かっていく片道1車線のそう広くは無い道路。本来ならば車が行き交うが、時間帯が時間帯だけに車も人通りも無いその道路の中央に直立ーー綺麗な立ち姿は執事か従者を思わせる様な雰囲気もある。
加えて、その道路の脇にもう2人。いや、少し離れたところにいる者も含めれば、10人程度はいる。
つまりはビンゴというやつだ。
まだ感知範囲外ではあるが、十中八九あの先の郊外に「パラサイト」や銀城がいるだろう。
そんな思考の中、道を変えようと走らせるバイクを操る。
今走っている道を一つズラせば奴らのいる道に行ける、そのままであれば「10人ほど」のうちの一部が配置されている道だ。だから、それらを避ける道を選びバイクを走らせる。
……が、道の選択を急遽変え、中央に1人がいる所への道へと走らせる。
気付いたからだ。その1人ーーではなく、その道の両脇に控えている2人が
その2人はどちらも大亜細亜連合の人間。
軍で得た情報から「横浜事変」にて捕縛され収監されていたはずなのだが……。
もう1人は
人員の密入国や様々な物資の手配や情報収集といった仕事をやり遂げ「横浜事変」を実行に漕ぎ着けた立役者の一人と言っていい人物だ。
その様な人物2人がこうして日本を出歩いている。
収監自体は、日本と大亜細亜連合との和平を結ぶにあたっての交渉で釈放されることは有り得なくは無いだろう。しかし、自由に、それも何かの作戦に加わる様なことが許されるだろうか?
そのうちに見えてきた。一般的な肉眼で見える距離に、道路の中央に整然と佇む1人の男の姿が。
男の前、数メートルでバイクを止めて、
「お初にお目にかかります。
対して、男は至って落ち着いた様子でこちらに優雅に一礼をして微笑みかけてきた。
「こうして出会えたことを嬉しく思います、同志よ」
フルフェイスのヘルメットを着けているにも関わらず、俺のことを誰なのか確信した様子で声をかけてきたことを怪訝に思いながら、相手の出方を見定める。
「人違いじゃあないか?」
「お気になさらず。同志である月島さんと肩を並べる貴方は同志に等しい、そう思いこちらが勝手に呼んでいるだけですので」
納得は出来ない。しかし、理解は出来た。
脇に控えている例の2人は交渉か契約あるいは
「仮に俺がお前の思う人物だったとして、一体何の用だ?」
「私達は古巣の処理を終えて、今回の作戦の周辺警備を任されているのですが……貴方であればここを通っても問題ないかと」
止められるのかと思えば、そうでは無いらしい。だが、どうにも含みのある様な雰囲気も感じられる。
「けれども、この先には十師族の手の者も行き交っております。もし必要であれば、
字面だけで受け取れば、こちらを気遣っての申し出だと分かる。しかし、対するは初対面の不審人物と言わざるを得ない相手だ。最低限のラインを月島がかけたとしても信用するに値しない。
「悪いが断らせてもらう」
「わかりました。では、どうぞ」
すんなりと引き下がることを不可解に思いながらも、改めて発進すべくバイクを操縦する。
「あぁ、お節介ついでにひとつーーーー良いのですか?」
「今日は、月島さんの指示で情報をお渡しする予定の日なのですが…」
「なら今ここで――」
俺の申し出に、即座に首を振り「申し訳ございませんが」と言葉を続ける。
「私はこちらの警備が任務ですので。ですが、担当の者がじきに貴方の家で――貴方の妹様と接触してしまいますよ」
そこまで言われれば、コイツの意図も分かる。そもそも通す気は無かったのだろうという事も。
「……チッ!」
俺は急ぎバイクを反転させ走らせた。
「深雪!」
「眼」で見て、深雪や家の周りに人がいないことは確認できている。
だが、どうにも内心にある焦りや不安が抑えきれずにいたらしい。半ば駆け込む形で家の中へと突入してしまっていた。
「お兄様?」
『あ、ちょうど良かった』
リビングのソファに座り、モニターを観ていたのだろうその顔が俺の方を向き――聞き覚えのある声が、聞こえた気が…?
「……雫?」
『お久しぶり』
モニターに映し出された画面越しに「やぁ」といった様子で軽く手を挙げて見せる雫。
安心し、ひとつ息をつき……深雪の隣に座ってから、声をかける。
「どうしたんだ、こんな時間に」
『うん、ごめんなさい。時差が気になったけど、早めのほうがいいかと思って』
何の事だ?
俺の疑問を瞬時に読み取ったのか、先に話していたのだろう深雪が教えてくれた。
「それが、なんでも月島さんに頼まれたそうで……」
月島に頼まれた。
その一文で思い当たることがあった。
「雫」
『ん?』
何?と小首をかしげるその目を見ながら、俺は問いかける。
「【
『あ、それなら……ほら』
雫はどこからかソレを取り出し、こちらにも見えるように画面の範囲内に挙げてみせてきた。
ソレは、俺たちにも見覚えのある物。黒を基調とし白地で文字が書かれている
「ソレはどうやって……
『あれはー…留学してすぐの頃だったかな? 街中で月島さんの声がしたと思ったら、いつの間にかポケットに封筒に入った手紙とこのカードがあったの』
「手紙?」
『そう。USNAで連続変死事件があっているから危ないよーとか、留学楽しんでねーとかそんな内容だったよ』
雫が話した内容は、分かるには分かるものではあった。USNAに月島がいたことも、銀城の話を真とするならば気のせいでは無いだろうし、逆に銀城の話が嘘では無かったということとも取れる。
だが、それ以上に何というか……
「月島さんらしいといえばらしいですけど、渡し方はどうかと……」
『だよね。いるんならちゃんと会ってほしいし、皆も心配してたんだから
言葉にしきれなかった俺の感覚はそう間違ったものではないようで、深雪も雫も、同様に思うところがあったようだ。
『だからすぐ電話した』
「「すぐ?」」
『うん。受け取った後、滞在先に帰ってから、真っ先に』
……?
いや、まあ雫は大人しいようで率直で芯が強い人間ではあると思っていた。それこそ、九校戦の「アイス・ピラーズ・ブレイク」決勝戦で同率1位ではなく深雪との真っ向勝負を挑むくらいには。
だが、どう表現するべきか……こんな、アグレッシブな感じだったか?
『USNAにいる理由とか、姿を隠して連絡も中々取れない事も、説明してもらって忙しそうだったよ。それはそれとして、会ったけど』
「会えたのか…!?」
『うん。何度か頼んでみたらOKしてくれた』
何度か……本当にそれだけか?
仮にも姿を消して十師族がてんやわんやするくらいには、行方不明になっていた男だぞ?それが、少し接触し存在を明かした友人相手とはいえ、簡単に会うことを約束するか?
実際はもっと、こう、頼み込んだというか、月島が断るに断れないよう仕向けたんじゃあ……そこまでするのか? 雫が?
俺と同様の思考結果を得たのだろう。深雪がふと、一言呟く。
「もしかして……ホームシック?」
『月島さんも人間だってこと』
腕を組み、ウンウン頷く雫。
深雪が言っているのは、雫に対してなのだろうが……隣に座る深雪は、やはりと言うべきか小さな声で「そうじゃないのだけど…」とこぼし、額に手を当てている。
というか、雫が留学してから半月と少し。一か月も経っていないのだが、ホームシックは早い気も? ただ単に友人と遊ぶくらいの感覚なのか?
『このあいだは、お互いにUSNAでの知り合いを集めて本場のバーベキューしたよ』
「「ちょっと
『写真見る?』
「そうじゃなくて……バーベキュー?」
『月島さん中心で作ったけど、シェフ顔負けの腕前だったよ。というか、実際にコックコートとコック帽被ってた。さすが月島さん』
コック帽……? 月島が?
高熱を出した日に見る夢でももう少し
余計な考えが浮かんできてしまう。
一度落ち着き、息を整えてから聞くべきことを問いかける。
「まず、月島とは何度も会っているのか?」
『うん、日本に帰らなきゃってことで4日前が最後。その前までは、だいたい2,3日に1回くらい?
思った以上に会ってるな。
しかも、ちゃんと勉強のためだったり、プライベートだったりと多種多様に。本当に「吸血鬼事件」の対処をしていたのか? 24時間ずっと対処するわけではないにしても、色々とユル過ぎないか?
「アイツ、行方不明扱いなんだよな?」
『少しだけだけど、変装してたよ』
それでどうにかなるものなのか?
いや、周公瑾が提案してきたように認識阻害系の魔法でもして……それにしたって大胆過ぎる。
「雫は、よくそんなことを頼めたわね」
『月島さんは人が良いから、なんだかんだで付き合ってくれる。それに、月島さんも楽しんでたからWin-Win』
ぐっとグッドサインを出す雫に、俺も頭を抱えてしまう。
本当に楽しんでいたのなら、さっきも考えに浮かんでいたがユルユルだろう。銀城の話から、USNAでも「吸血鬼事件」関連で忙しく動き回っていたとばかり思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。
本当に海外旅行を悠々と過ごしているようにしか聞こえない。
その上、本場のバーベキューを作り楽しむ月島というのも、どうにも俺の中にある月島のイメージからかけ離れていて……いや、ある意味では銀城の言っていた、俺を「お兄様」呼びしたりする月島も
『……写真見る?』
さっきも言っていたが、そんなに写真に
……待て。変化は薄いが、よくよく顔を見てみれば「信じてもらえてない?」と心配した表情というよりも、「ふふんっ」と自慢げにしているような? つまり、自慢のために写真を見せたがっているのか。
「それで、本題は何だ?」
これ以上は付き合ってられないと、話題を変える。
すると、雫は「あ、そうだった」と呟き、わざとらしい咳払いをしてから話し出す。
『「吸血鬼事件」の原因になってた「パラサイト」なんだけど、その出現経緯とか周辺情報が分かったから、月島さんに頼まれてた、伝えようと思って』
「頼まれていた?」
『日本に行ってからは忙しい。だから、まとめきれてない分は知り合いから届く予定、届いたら達也君に送ってあげてって』
なるほど。
そうすることで【
月島の意図もわかる。
俺と深雪に敵対意識や害意は無い。あくまでも関わって欲しくないというだけ。
でなければ、わざわざこんなに段階を踏んでUSNAにいる雫を使わない。それこそ、先の周公瑾でも使って訪問させればいいだけだ。不在の時に深雪のそばにあのような不審人物が来たのであれば、俺は何があっても優先的に対処するのだからな。
「「パラサイト」の発生に、そんな明確な原因なんて…?」
『古式魔法だと精霊に対して呼び出す儀式があるらしいんだけど、今回の「パラサイト」はそういった意図的な召喚じゃなくて、実験の事故で出現させてしまったみたい』
「実験?」
『「余剰次元理論に基づくマイクロブラックホール生成・蒸発実験」だって。とても難しい話だけど……月島さん
雫の言葉に俺たちはどうしても反応をしてしまう。
「灼熱のハロウィン」は俺たちに関わり深い。
「横浜事変」の後、日本への出港の準備を始める大亜細亜連合の艦艇が集まった鎮海軍港が、謎の攻撃により艦艇もろとも消滅した一連の出来事。その一撃こそ、軍属の大黒竜也特尉として司波達也が発動した戦略級魔法「
遠因とはいえ、「パラサイト」の出現に過去の一件が関わっていることに驚きが隠せない。
『で、これがその実験の資料と記録』
――不意にテレビ通話と並行して行われたデータの送信に、別の意味で驚きが隠せなくなった。
「オイ」
『こっちは映像も入ってあるから、ちょっとだけ重めかも』
「待て、待て!!」
『!? 珍しい、大きな声』
つい荒げてしまった声に、雫の動作がようやく止まる。
『どうしたの?』
「どうした、じゃない! なんだコレは」
表だって行われたか怪しい秘匿されているような実験。その基礎的な理論・研究資料だけでなく経過と結果、実際の実験時の映像までまとまったデータ。雫の送ってきた物とはいえ、ウイルスが混入されているのではないかと疑ったが、そんな疑心さえ馬鹿らしくなるほどの1から100まで入れ込まれた研究データだ。
こんな
「どう考えても、機密情報――」
そこまで自分で言って気付く。
「これ以上必要なヤツには別口でやってく……こういう事なのか?」
『研究方面に行く達也さんは失敗を含めてこういう事例はしっかりと知っておく必要があるから、だって』
あれはそういう話だったのか?
いや、違うか。月島としては俺を現場から離す口実ができればいいだけのこと。俺にとって本当に必要かどうかは二の次、三の次だ。まさかとは思うが、本当に良かれと思ってだったりはしないだろう。
全く無意味なデータではないし、個人的にも興味が有りはするが……。
「それにしても、よくもまぁここまでの情報を集められたものだな」
『うん、レイも驚いてた』
「レイ?」
不意に出てきた人名らしき単語に深雪が反応を示す。
『
「どういうことなんだ、二番目というのは?」
『送るためのデータが手に入ったのはついさっき。でも、前に会った時には月島さんから大体のことは口頭で聞いてた。だから、その後に教えてくれたレイは二番目』
「そのレイというのは、どういう人物なんだ」
『どうって、同年代の男の子。本名はレイモンド・
なるほど。日本から来た雫に近づくために、日本の魔法科学生のイベントと同じ第一高校の生徒辺りを話題にするのは分からなくもない。
『で、月島さんによると「七賢者」とか呼ばれたりしてるらしい人たちのうちの一人で、なんか凄い通信傍受システムを活用した物を利用して、世界中から情報を集められるんだって』
「……?」
思考が止まりかける。
ハッとし、覚醒。
まずは深雪の安全の確認を――――
友人ができたのかと思ったら、月島と同様にUSNAの機密であろう情報を雫に公開してくるような人物。
かと思えば、その人物について何かないか――ここまでの傾向からおそらくはほぼ
いきなり過ぎて、意味が分からない。
というか、待てよ?
「そのシステム。さっきのデータのやりとりやこういった通信も筒抜けなんじゃないか?」
覗こうとされなければ、俺たちについて調べようとされなければバレないかもしれない。だが、希望的観測だけで考えるのも現実的ではない。対策、あるいは最低限の情報だけでのやりとり等も今後は検討しなければリスクが
『大丈夫。
「何?」
『最後のバーベキューで月島さんとレイ、直接会って仲良くなった。それで「なんとかなった」って』
俺の疑念に、確信を持って言葉を返した雫。
そして「ほら、見て」と一枚の
そこには、おそらくは
その少し奥側には、いつものように少し胡散臭さが抜けきれない微笑を浮かべた月島が、コック帽とコックコート、エプロンを身に着けて大型のアウトドア用蓋付グリルの横で取り出した肉塊を切り皿に取り分けている姿が――――
――――この愉快な月島は、今、
お兄様(現実逃避)