魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れがある部分が存在します。細かい点や話の流れも、諸々の事情により変更されている部分があります。ご了承ください。
不定期更新です。
今回は視点が途中から変わります。
労基が友達!……と言うのは冗談で、少し間が空きましたが、最後まで書ききります。
それはそれとして、遅れた理由の一つとして、別の話がはかどってしまっていたのもあったりしますが……そのうち日の目を見ると思います。
アニオリモリモリなのも月島さんのおかげ。
雫さんの家の別荘でのあの夜にあった、私も知らない出来事でした。
思い返してみれば、あの月島さんが『
間違ったことは言っていない。けれど、仮定に仮定を重ねるような不確かな土台の上での推測に対してあまり慎重さを感じられなかった気がしなくも無かった。ですが、あの
そして、お兄様が意図的に一部を隠されていることも理解しました。
理由はもちろん、この場に月島さんご本人がいることでしょう。
おそらくは語っているお兄様の中ではあるはずの物……感じたことや考えていたことが抜けているように感じました。何があって、どういう経緯でそうなって、どういう利点があるからこう決めた。ただ、それだけ。
聞いた感じからして、お兄様が月島さんからの提案を受けた時点で、もうほぼ四葉を含めた十師族の家には月島さんの手が入っていた様子。つまりは、お兄様が断ったところでソコからの大筋は変わらなかったと思われます。
変化が生まれるのは、月島さんがお兄様を排除しようとするか、逆にお兄様が月島さんを排除しようとする動きを見せた際でしょう。そうなれば平穏と言う均衡が崩れたでしょう。
ですが、どうにも、話を聞く限り、月島さんは異常なほど
提案をした際にも自分のすべてをさらけ出すようなノーガードな立ち振る舞いで危害を加える意思がなさそうなこと。そして、先ほどお兄様が腕を切り落とした際にも、回避したり逃げることは示唆しても反撃はする様子も意志もなさそうでした。お兄様の持つ
その月島さんはと言えば、説明についてはお兄様に任せて自分からは何か言う事も無く、お兄様の話す内容に耳を傾けているだけでした。なんともない様にソファに座っておられますが、見ようによっては話すお兄様の事を監視しているようにも思えます。
そしてお兄様が一通り話し終えたのを確認して、月島さんは小さく頷いてから立ち上がりました。
「さて、深雪さんにも色々と知ってもらえたことだから、今後の方針については達也と話し合いながら決めてくれたらいいよ。……それはそうと、今日は2人も夕食を食べて帰るといい」
「そんなことをお前が勝手に決めていいのか」
「今から帰って準備しても遅いし、負担があるだろう?あの子たちもそう考えて準備してくれていると思うけど……そうだね、いちおう聞いておこうか」
そう言って月島さんは「ちょっと聞いてくるよ」とゆったりと歩いて部屋を出て行きました。おそらくは、料理を用意してくれている使用人やあの3人に確認を取りにいったのでしょう。
これを良い機会だと考え、私はお兄様に身を寄せて問いかけます。
「お兄様、月島さんの目的や利点、現状についてはおおよそ理解できました。ですので、お兄様が何故彼の取引を拒否されなかったのか、お兄様は何を考えておられるのか……」
「教えてください」と私が視線を向けると、お兄様は月島さんが出て行った扉の方を一瞥した後に、私の目を見て口を開きました。
「まず、利点が大きいと思ったことは事実だ。四葉と俺たちとは切ろうにも切れない縁があり、利用するにしても大きすぎる
それは、確かに……と私は頷きます。
ただ、同じかそれ以上に月島さんの能力も危険性が高いとも……。
「そして、そもそも俺たちに月島をどうこうする選択肢は無いに等しい。もし本当に月島が死ぬと能力が解除されるのであれば、世間の混乱は避けられないだろう。過去を挟み込まれた人間が挟み込まれた状態で過ごしたその間の記憶が消えるのか、都合良く補完されるのかはわからないが……どちらにせよ、異常事態となる。さらに言えば、人間だけじゃなく物や建物などに挟み込んだ過去、加えて、もしもあの治癒能力……拒絶の力で治したモノも元に戻ってしまうとしたら、物は壊れて、人の傷は開き、下手をすると死ぬだろう。あの
お兄様の言葉に、私は私自身の思慮の浅さを実感しました。能力の解除=解決ではない、と。
ただ『解除される』と言っても、実際そうなったのならどういうことになり得るのかまで考えていませんでした。……確かに、とりあえずで即決できる話ではないと理解しました。
「そして、俺が月島を
「同情…」
私が反復するようにオウム返しをすると、お兄様は頷いてから話を続けてきました。
「『ブランシュ事件』で壬生先輩と先輩を利用して襲ってきたテロリストたちを、校内の図書館で月島が撃退していたことは憶えているか?」
「はい、もちろん」
「これは本人から『挟んだ人物』を聞きだした際に知ったことだ。それと同時に、テロリストや図書館にも『精霊の眼』で情報にノイズが走っていた。おそらく
『ブランシュ事件』の後、忍術使いの住職 九重先生から得た情報で、「図書館に行ったテロリストはいなかった、生きていながら中身がからっぽになった状態の人たちがそうだろう」という話だったはずでした。……なるほど、と、先日の『吸血鬼事件』での出来事と繋がる点があり、それがあの月島さんの『ブック・オブ・ジ・エンド』であるとわかりました。
ただ過去を変えるだけでなく、幽体といった本来干渉できない次元にまで影響を与えられることに驚き、同時にどのような理屈なのか気にもなりました。
「そして、今回重要なのはソコじゃない。あの後の壬生先輩と月島との関係性だ」
「あの後、ですか?壬生先輩本人の勧誘や、お兄様からも入部を勧めるようにと先輩から頼まれたりもして……気付けば、いつの間にか入部されていました。なので……部活の先輩と後輩、でしょうか?」
「ああ、それで間違っていない。だが……
それは、まあ……壬生先輩からの熱烈な勧誘に月島さんが折れたから、でしょうか?
私はそう思いましたが、どうやらお兄様としては別の視点があるようです。
「能力の偽装もかねてだろうが、かっこいいからという理由で一体型CADを選び我流でやっていた月島が入部するにしても剣道部ではなく剣術部だろう。それに、入学当初のエリカからの試合の申し出や入部後の桐原先輩との試合に関しても消極的だった月島が、好き好んでそういった部活に入ったこと自体、俺としては驚きだった」
確かに、言われてみれば月島さんが入部することは、そこそこ不可思議なことです。でも、事実として入部していて、しっかりと部活動にも精を出しているのを私は知っています。
では、何故……?
「そもそも、月島と先輩の間で好感度というべきか距離感が縮まっていたことが根本にあるんだが……壬生先輩の方は解りやすい。図書館での出来事で『魔法と剣技で接戦の末に月島に負けた』過去が挟まれたんだからな。先輩本人も「あの時、あんな真っ直ぐな剣で向き合ってくれたから今の自分がある」と言うくらいには月島の姿が良い印象で焼き付いているくらいだ。対する月島の方も、それまではほとんど0と言っていいほどの関係性であったにもかかわらず、壬生先輩に対して好感と親身さを感じられた。親身になっていたのは、おそらくは『挟んだ』という認識があっての負い目から来るもので、好感は
「同じ……?」
「そう、
言っていることは分かります。
解るからこそ、見えてくる事実と、一つの疑問が湧いてきます。
「……ですが、お兄様。月島さんは、挟んだとも認識しているのですよね?それは、つまり……」
「そうだ。挟まれた側は挟まれた後の事しか認識できていないが、
「では、同情と言うのは……」
「アイツは、俺とは別の意味で生まれ持った
自業自得。他人の過去を好き勝手にしたことに対しての受けるべき罰。そう言ってしまえば、それまでかもしれません。
けれど、友人たちと笑う普段の姿を、九校戦で一高の仲間や中学の後輩からの声援を受けてはしゃぎ奮闘する姿を、友人だけでなく一般市民を守るために戦う姿を……それらを知っている身としては、どうしても月島さんに寄り添う考えをしてしまいます。
いくつもある、実際の自分とは異なる自分の過去。それらが混在していくということは、どういうことなのか?ただ過去を忘れるのとは違う、過去が分からなくなる感覚があるのでしょうか?そもそも、人間が覚えきれる以上の記憶の容量があるのでは……そうなると、思い出は薄れていくのでしょうか?
想像しかできません、でも、それだけでも訳が分からなくなりそうで、とても苦しいことではないかと思えてきます。
お兄様が、魔法の才によって受けた制限や苦悩は山ほどあります。
『再生』での対象の情報の読み取りによる圧縮された苦痛の受信などが分かりやすいですが……それとは別種の苦悩と影響が月島さんにはあることは十分理解しました。確かに、お兄様が「同情だ」と言うほどはあります。
「お兄様……」
「利点があること。選択肢がほとんど限られていること。そして、同情。それが俺が今の月島からの申し出を受け入れている理由だ。もちろん、今後については深雪の意見も聞いて考えていきたいが……とりあえず、アイツが己を忘れて暴走でもするなら、真っ先に俺が消さなくてはならない」
その言葉は、逆に言えば、月島さんが月島昊九郎である限りは見守ると言っているようなものでした。
と、タイミングが絶妙に良いのか、扉が開き月島さんが戻ってきました。
「やぁ、達也、深雪。2人の夕食への参加はおおよそ快く受け入れてもらえたよ」
「……なんだ『おおよそ』っていうのは」
「真夜さんと文弥は2人が一緒に食べることをとても喜んでいたんだけど、亜夜子はちょっと複雑そうにしてたんだよ。嫌って言うほどじゃないけど、深雪に対して色々と思うところがあるんだろうね。もっとも、僕がいる以上変な真似はさせないと誓うよ」
「まぁ、当然だな」
亜夜子さんに以前から敵視のようなものをされていましたから、別段今更驚きはしませんが……月島さんは「心配しないで」と微笑みかけてきます。
……むしろ、そうやって私にかまった方が、彼女からの視線が強くなりそうな気がするのは、私の考えすぎでしょうか?
「それじゃあ、2人を案内しようか」
そう言って月島さんは、お兄様と私を部屋の外へと誘導をしだした。
お兄様は「わかった」と短く返事をしてから、私の手を握ってソファから立ち上がって……私もつられて立ち上がり、ついていくように歩き出します。
「ああ、そうだ。深雪に言っておくことがあるんだった」
不意にそう言って、お兄様の横を通り抜けて私のそばまで来た月島さんが、少し屈んで私の耳元に口を寄せてきて――
「達也の感情、治してあげられるけど……どうする?」
「え」
「もちろん、今の魔法演算領域はそのままでだよ。そこは心配しなくてもいい」
囁きのような突然の申し出に、私は硬直しました。
確かに、斬り落とされた腕を瞬時に治し、血に汚れた絨毯も綺麗さっぱりさせてしまうのだから、そんなことも治せるのかもしれない。そもそも、そういった処置を受けたお兄様の過去を変えてしまえば……!?
でも、もし、それが現実に出来てしまうなら、そしたら――――
「あれ?達也が兵器扱いされたりするのを嫌ってたし、もう少し喜んでくれると思ってたんだけど…………ああ、そっか。心配なんだね、達也の好意が自分以外にm――――」
私の中の、触れられたくない思考に、月島さんが踏み込むところで、跳び退いて離れていきました。
どうやら、お兄様が何かをし――それを月島さんが避けたようです。
「何をしている」
「何って、達也にもこの前言ったキミの感情のことだよ。だから、そんな怖い顔しないで欲しいな」
「その割には、随分と不安を煽るような言い方をするものだな」
「そんなつもりは無かったんだけどなぁ、いいや、降参、降参」
月島さんは肩をすくめた後、軽く両手をあげて降参の意思を示してから、改めて食堂の方へと歩き出しました。
「深雪。そのことについての判断は深雪に任せる。俺から言えるのは、どんな俺でも深雪のガーディアンで、唯一無二の家族だ。それは絶対に揺るがない」
「……はい、お兄様」
そう、答えました。
けれど、心の奥底には月島さんが言いそうになっていた「お兄様の好意が他の女性に向く可能性」に恐れている自分が、確かにいるのです。
結論は先延ばしにし、私はただ手を引かれるままついていくのでした……。
―――――――――
―――おう、やっぱり視えてるみてーだな
―――やあ、久しぶり。あっ、反応して声出しちゃダメだよ
―――精霊を扱う古式魔法の使い手と目の良いヤツがいるらしいからな、面倒だ
―――でも、こっそり伝えておきたいことがあってね
―――マスターが誘ったデートだが、視えるようになってるお前を守るために立場を作るための一手を打ったりするらしいぜ
―――まあ、デートなのも間違いじゃないんだけど、ちょっと会って顔を繋ぐ意味もあるんだって
久しぶりに見た、小人さん――ツバキさんとシュンオウさん――からの話を、なんとか反応を出さずに聞いていた、生徒会室でのひととき。
正直、不安もあった。視えるようになったから立場をだとか、誰に会うのかとか……
だいいち、ツバキさんやシュンオウさんを初めて見た『横浜事変』のあの後から意識して『精霊魔法』の精霊とかが見えないかと確かめてたけど、結局見えなくって2人を見たのも夢とは言わないけど何かの間違いだったんじゃないかとか、色々考えた。
でも、こうして確かに見えて聞こえている。その事実に驚きながらも、そのせいでどうなるかなんて考えたこともなかったから。
じゃあ、その裏があるっぽいデートを断るってことも出来るけど……でも、やっと戻ってきた月島君のことをココで手放しちゃいけない気がして、繋ぎ留めるためにも接点は多い方が良いからデートとしても視えることにしても、申し出を受けることに私は決めた。
そして、約束の週末。
しっかりとおめかしをして、当初の予定通りデートとして月島君が懇意にしている古い書店でハードカバーの本を見みたりしました。私の知らない、月島君が好きな世界……その後の予定なんて忘れるくらい、楽しかったです。
「中条先輩。舜桜たちから聞いていたと思いますが、今日は会ってもらいたい人たちがいるんです。でも、もしも無理があるのであれば……」
「い、いえ!今日はその覚悟もして来ましたから、大丈夫です!」
覚悟を決めた私が、月島さんに連れられて辿り着いたのは、以前いなくなった月島君の情報を求めて小早川先輩と沙耶香ちゃんと一緒に訪れた、月島君が一人暮らしをしている賃貸マンションでした。
……まさか、合わせたい人ってご両親!?
そう一瞬考えましたけど、それなら実家の方に連れて行くはず、と否定します。
と、マンションの入り口あたりに、見るからに不良な人たちがたむろってて……って、あれ?
「「「「「お待ちしてました!月島さん!!」」」」」
こっちに気が付いた不良たちが勢いよく頭を下げて挨拶をしてきました。
って!見たことあると思ったら、九校戦の時、第一高校のテントに突撃してきた、月島さんの中学の後輩の人たちです!この不良集団
「いつも通り、サイコーにきまってますね!」
「あれ?一緒にいるのは……」
「って、イチコーのテントにいたエンジニアの方じゃないっすか!」
「言ってたじゃねーか!今日は大事な客人も来るって!」
「月島さんの大事な客人……わかりました!アネサンっすね!」
「「「「「コンニチハっす!アネサン!!」」」」」
『モヒカン』『アフロ』『ドレッド』『オールバック』『リーゼント』
見覚えのある髪形で、多少髪色や長さに変化はありますけど……間違いなく、あの時の後輩さんたちです。
「え、ええ?お願いします……?」
私の事を「アネサン」と呼んできたことに混乱し、タジタジになってしまいました……。
「コチラです、もう皆さん来てますよ」
そう言って月島君と私を案内した先は、月島君の借りている部屋のある階――ではなく、その一つ下の階でした。
案内された扉には番号だけでなく昔ながらの表札があり、それを見てみると書かれていたのはやっぱり階が違うから『月島』ではありませんでした。
『銀城』
「銀城……ぎん、ょうって」
それって、確か、あの時の電話に出てきた【
そんな私の考えが口から出てくる前に、扉が開かれて中へと入ることとなりました。
通されたマンションの一室は、一目見て改造されているとわかりました。
可能な限り壁などを取り払って広いスペースを確保された、大きな一室。いくつかのテーブルとソファが配置され、壁際の一方にはお酒だろう瓶やグラスが並べられたカウンターとカウンター席が備え付けられていた。それは生活空間と言うよりはまるで小さなバーか何かみたいでした。
そして部屋に居たのは、その多くが私の見知った人たちでした。
ただし、文字通り『見て知っているだけ』であり、加えて言うならほとんどの人は私の方から一方的に知っているだけです。
どういうことかと言えば――――
「あーちゃん!?」
「……」
揶揄われたり、良くも悪くもお世話になっている先輩であり先代の生徒会長である七草先輩。ソファから立ち上がって驚いています。
その隣には『七草家』の当主であり、先輩のお父さんである現当主の人がジロッと私を見て……な、何を考えてるのかわかんないです。
「何故中条が……いや、月島が連れてきたということは……」
「心当たりがあるのか、克人」
七草家と同じテーブルを囲む別のソファに座っていたのは、これまた学校の先輩の十文字先輩と、そのお父さんが座ってました。
また、別のテーブルのソファでは……
「このメンバーで重役出勤なんて、月島のヤツ何を考えてるんだ」
「言葉が過ぎるぞ将暉。むしろ、他が早すぎるだけで、彼も予定よりも早くには来ているんだ」
九校戦で、月島君や司波君と激戦を繰り広げた『クリムゾン・プリンス』一条将輝君と、そのお父さんの一条
「ほう。彼が誰を連れてくるかと思えば、あの『梓弓』の……なるほど。
「もちろん。それに、コウがわざわざ連れてくる方だから、個人的にも気になって……」
九校戦の開会式でも見た、日本の魔法界でも特に有名な部類だと思う『トリック・スター』九島烈さん。烈さんと一緒にいるのは……私や月島君と同じくらいの年頃に見えますしお孫さんでしょうか?
他にも、『
そして――――
「お待ちしておりましたわ、月島さん」
――――消去法で『
その後ろには、いわゆるゴシック風な服装をした双子らしき2人が……といいますか、この『四葉家』の当主様、どこかで見たような……?このひと本人じゃなくて、どこか似た様な人……学校で?それこそつい最近、そう、生徒会室で、m――
「先輩」
私が答えにたどり着く前に、月島君が私の肩に手を置いてきてソレで思考が中止されました。
月島君の顔を見上げると、小さく微笑みを浮かべながら右手人差し指を立てて、私に小さく「しーっ」と言ってきました。……とにかく、詮索はしない方が良いんだと思います。
私の隣に立ち、後ろにはあとから着いて来ていた不良後輩5人が整列した状態。
月島君は私に向けていた顔を上げて、『十師族』の皆さんの方を見ました。
「忙しいなか集まってくれてありがとう。今日は『
フルブリング、
それが、何か……この前、生徒会室で聞いたような言葉や、言葉こそ知ってはいるけれどよくわからない霊子のこと――――ん?んんん?
「ダイ、イチ、ニンシャ?」
「ええ。僕の手も、誰の手も借りることなく才能を開花させた先輩以上に適任な方はいませんので。もちろん、私が主導しますが先輩の知見や経験も頼らせてください」
「え、そんなこと言われても……そもそも才能って、なんです――もしかして、シュンオウさんやツバキさんが見えたりする……?」
「「「「「「「「「ほう?視える…」」」」」」」」」
『十師族』当主の皆さんの視線が、一気に私のほうへと向きました。
「すげー!?」
「シュンオウとツバキって、月島さんのアイボーのことっすよね!」
「精霊が視えるなんて、やっぱり月島さんに見初められただけはありますね」
「オレたちも視てみたいっス!なんかコツってあるんすか!?」
「流石は姐さんっです!パネェ!マジパネェ!!」
周りで不良後輩さんたちがワイワイガヤガヤと騒ぎ立ててます……!
と、『四葉家』の当主様がニッコリと笑いながら、月島さんに問いかけて来ました。
「時に月島さん?」
「どうされました?」
「その第一人者様についてですが、噂に聞くところによると随分と月島さんと懇意にされているそうですが……いったいどのようなご関係で?」
月島さんと、私の関係?
それはまあ、学校の先輩と後輩。生徒会長と書記。友……人……?
知り合いと言うには、仲良くはしているとは思いますけど……何が一番適した表現になるか――――
「特別な人ですよ」
――――え?
「そ、それってどういう――」
「「「「「へぇ…」」」」」
「――ひぃ!?」
『四葉家』の当主様と、その他数人からの視線が一気に冷たく鋭いものになった気がしますぅ!!??
どういうつもりなのかと、月島君の顔を見ると――――恥ずかしげもなさそうに、いつもの微笑みを浮かべて楽しそうにしてて――――絶対に、いつもの
「ど、どうして、いつもそうなんですかー!!」
私の月島君を責める叫びは、部屋の中にむなしく響き渡りました……。
まだ、少し続きます。
※おまけ※
月島さんと『十師族』
「一条家」
・一条将輝:何も知らない人。新たな能力技術体系を確立させるなどして『十師族』に認められるほどの存在になったことに驚きつつも、認めてはいる。それはそれとして、次の九校戦で正面から正々堂々と戦い勝ちたいと熱意が燃えている。
・一条剛毅:ほどほどに知っている人。やばい回復能力と霊子を用いた異能力の開発など良くも悪くも世界を変えるだろう若者だと認識。九校戦の時から将暉の良いライバルになってくれそうだと好感を持って見ていたが、ちょっと予想以上で引き気味。
「二木家」
「三矢家」
・挟まれ済み
「四葉家」
・黒羽姉弟:挟まれ済み。達也は恩人で大好きだけど、それはそれとして月島さんはとっても好き。褒められたいし、甘えたい。一緒に仕事をして活躍を間近で見たい&活躍して褒められたい。最近の目標は次の九校戦で好成績を出して達也と月島さんにアピールすること。
・四葉真夜:本来色々あった過去があり、それが『アンタッチャブル』に繋がっていたのだが、過去改変により月島さんに救われたことになって身体面も健全な状態となっている。だが、月島さんの発案と誘導で色々あったことにして四葉が暴れ、本来の歴史と同じく『アンタッチャブル』となった……という辻褄合わせが行われた。おかげで四葉がチカラと地位を得られたとは思っているが、それはそれとして行き遅れた原因でもあるので責任は取ってほしいと思っている。
「五輪家」
挟まれてないが、治された。
当主の娘であり戦略級魔法師である五輪
「六塚家」
挟まれ済み
「七草家」
・七草真由美:なにしてるの!この人は!?薄々感じていたが、達也とは比べ物にならない問題児であることを今更ながら認識した元会長。というか、あーちゃんを巻き込まないで――何?能力が開花したから?身の安全のためにも?……ハァ。
・七草弘一:挟まれていない、がわからされた。色んな意味で手に余る存在ではあるが、放置はできないし、自身の勢力に入れられたなら万々歳。娘のひとり泉美が月島さんに気があるようなので利用できないか画策中。それはそれとして、なに四葉の当主に気に入れられてんの?ああん?
「八代家」
挟まれていない。
え?重力理論に興味あるの?へぇ、同級生の司波って子が重力制御型熱核融合炉の研究を……→この前のコンペ見たよ!『横浜事変』で有耶無耶になったけど、興味がそそられたよ。よかったら今度、前に言ってた司波って子と、コンペの代表だった市原って子と話してみたいんだけど……
「九島家」
・九島光宣:治された人。生まれ持った体質によって病弱であったが、月島さんによって改善されたため、普通に元気なお孫さん。伸び伸びと育っており、今後の活躍が期待されている。月島さんの信者予備軍であるが、月島さんから友達認定をされたため自分からも友達であろうとしているのでまだ健全な関係。
・九島烈:挟まれてないし、全て知ってしまった人。光宣の治療と真夜の過去の件で月島さんから『盾舜六花』と『ブック・オブ・ジ・エンド』について聞かされてしまった。人の領域超えてるなーと思いながらも、老い先短い人生なのでそこまで気にせずに月島さんの善性を信じている。たぶん一番いい空気を吸ってる。それはそれとして、ウチの縁者の誰かを嫁に貰わないかい?
※おまけのおまけ※
・中条あずさ:精神干渉系魔法『梓弓』を扱えることなどもあってか後に、本人の意思はともかくとして才能を開花させていき色々とできるようになる子。月島さんに目をつけられたのが運の尽きであるが、なんだかんだ言って月島さんに付き合ってあげている。それはそれとして、「特別な人」って結局どういうことですか!?
・『モヒカン』『アフロ』『ドレッド』『オールバック』『リーゼント』
挟まれてない。
魔法は使えないけど!やってみたいです!!と言って何かと月島さんに協力してくれる人。『霊子』を用いた異能力の開発についても自ら率先して実践を申し出て……実際に出来るようになる未来が待ち受けている期待の5人組。そのまた将来、月島さんによって作製された「777」と刻印されたメリケンサックを誰が受け取るかで大乱闘をすることになる。
・月島さん:軸になっている精神の「彼」の好みは、おそらくは中条あずさのような小動物系で、叩けば鳴るようなコミュニケーションができる内面的にも好印象。だが、現実として「好みの女性は?」と聞かれたら『月島さんってどんな女性が好みだったんだろう?』という月島さんムーブのことばかり考えているクソボケ。きっと死因は女性関係になる。