魔法科高校の月島さん(モドキ) 作:すしがわら
「独自解釈」「捏造設定」「ご都合主義」「原作改変」等が多々含まれています!
原作と大きく異なる流れがある部分が存在します。細かい点や話の流れも、諸々の事情により変更されている部分があります。ご了承ください。
不定期更新です。
今回は第三者視点。
ちょっと淡々とした感じになってしまってます。
BLEACHを最後までアニメ化してくださり、本当にありがとうございました!
ありがとうBLEACH
フォーエバーBLEACH
月島さんのおかげなのも月島さんのおかげ
「ここは……?」
第一高校の校舎の玄関。
気付けば、彼らはそこに倒れていた。
目を覚まし、互いに顔を合わせて状況を確認する。達也、深雪、ほのか、雫、レオ、エリカ、幹比古、美月……いつものメンバーだった。
見知ったはずの第一高校の校舎。
けれど、人も鳥などの動物の気配も無く、風も吹かず、雲も太陽も動かず、まるで止まっているかのような不思議な空間。
彼らは、周囲を警戒しながら何かないかと、まとまって行動して校舎内を散策していった。
と、先頭を行くエリカとレオが、廊下の突き当りの角を目前に接近する気配に気づき、警戒態勢に入った。
「静かに……!」
「誰か来るぜ」
特殊警棒を、己の拳を構え――気配が動いたのを察し動く2人。
「っ!?待て!」
達也の静止も一歩及ばず、2人は角から跳び出してきた2つの影とぶつかった!
「「「「えっ!?」」」」
重なる、2種類の声色。
「「おれ!?」」
「「私!?」」
エリカとレオにぶつかったのは、同じく警棒を振りかぶったエリカと、鎧のような何かを両腕に纏い拳を握ったレオだった。
「レオ、エリカ……あとそっちの2人も、一旦退け」
「ああ、ここで消耗すること自体が狙いの可能性もある」
おそらく、その『眼』で途中から信じられないものを視ていて、驚きで対応が遅れていたのだろう達也と達也の声が、廊下に染み渡った。冷静さをいくぶんか取り戻したエリカとレオたちだったが……廊下の曲がり角に全員が集まり、そこで全員が気付く。
「コイツらが私たちの偽物ってことは?」
エリカの言葉に、達也が首を振る。
「だとすれば、俺が違和感に気付くはずだ。だが、魔法での変装などの痕跡は全く見当たらない」
その様子を見て、もうひとりのほのかが、自分の方の達也に問いかける。
「あちらの達也さんは、そう言ってますけど……どうなんですか?」
「ああ、奇遇なことにコチラとしても『
視線と視線を合わせる、達也と達也。ひとつ頷き、そして――――
「「俺の知っている深雪ではないが、あちらにいるのも間違いなく深雪だと確信を持って言える」」
――――断言した。
『そ、そっか…』
その様子に、相変わらずだなと言った様子で皆が反応を示した。
当の深雪たちは、「まあっ」と少し恥ずかし気に頬に手を当てて顔を赤くしている。
彼らは「いったん情報をまとめよう」と、近場の教室に入り、それぞれのメンバーでまとまって座った。
そしてまずは、お互いに『第一高校の3年の秋ごろだ』という時間軸が共通していることが確認が取れた。そうしたうえで、今が
「でも、深雪が本物で、達也さんも他のみんなも本物ってことは、いったいどういう……?」
「夢……にしては凄くリアルだし、みんなが私の頭の中の印象からできた存在とは思えないよ」
自分の達也を見て、相手の達也を見てと忙しく視線を動かすほのかたち。
「
「ドリームキャスターのような物なら、この現象にも説明がつく」
半ば確信を持って言う達也に、達也が具体的な名前を上げ、それと同じ類のモノならありえると頷く。
「ただ、こうして同じ人物同士が陣営で二分されるようになっているのは、どうにも作為的なものを感じる」
「それも含めて
まるで一人で思考しているかのような、スムーズなやり取りを経て出された答えは――
「「
――2人、揃っていた。
その様子を見て、微妙な表情をするレオたち。
「いつも以上に勝手に話が進んでて、なんか変な感じだな」
「けど、言葉にせずに達也の頭の中だけで完結されるよりはマシだろ」
「あらあら、お兄様の推測のどこがご不満で?」
「ええ。何がどう変な感じだと評されるのですか?」
ニコニコとした笑顔を浮かべながらも、レオに圧を放つ深雪たち。
「いつもの2倍圧がすごい」
「寒くなってないだけマシ」
そんな深雪をいつものことだと軽く流す雫。
「でも、
「そうだね。ほぼ一緒だし、なんというか、鏡の中の自分が別の動きをし出したような感じだ」
大分落ち着いてきたようで、異なる自分を観察する幹比古たち。
「……眼鏡、かけてなくて大丈夫なんですか?」
「えっと、実は眼鏡以外の方法で押さえてて……」
メンバーの中で、唯一と言って良い見た目で明確に違いがある美月が、そのことについて話していたりもする。
「でも、使ってる魔法は違ってるみたいだったぜ?」
「だよな。だから、もしかして少し前のオレの可能性もあるのか、って思ってたんだが……3年の秋だからなぁ」
そう言っているレオたちは、今はそう違いがあるわけではないようだが、何かに気付いたらしい。
「あとは、実力差くらい?もうちょっとやりあってみる?」
「そうね。一回の打ち合いじゃあ底までは見えないものね」
少し楽しそうに、互いに好戦的な笑みを浮かべるエリカたち。
そんなみんなの様子を観察しながらも、達也は自分同士で考えをすり合わせていっていた。
「まず、この空間は俺たちの世界でもソッチの世界でも無い空間だ。どちらかの世界に原因があるわけでは無いだろうな」
「となると、この空間から開放される条件か。時間制限なのか、特定の条件が設定されているのか……特定の条件として考えつくのは、
「「俺たちが引き合わされた意味を考える、か」」
「意味というと……お兄様の仮定ではありますが、私たちが並行世界の存在同士なら――」
「――並行世界として枝分れした原因、その違いの解明などでしょうか?」
達也たちの出した答えに、揃って問いかける深雪たち。
その言葉に、達也は頷いて分かったことを皆に伝えていく。
「『視た』ところ、第一高校の敷地で区切られた空間で出口のようなものも無い。
「俺も同じ見解だ。となると、変に動き回って消耗したり分断されるリスクを考えると、まずは口頭でそれぞれの世界の差を探って解除条件を探りつつ、時間による変化が無いか確認するのがいいか?」
「そうだね。いちおう精霊にこの空間で異常が発生してないか探らせておくね」
「僕も……でも、違いって言っても、どこから確認していくのがいいのかな?」
この空間でも精霊魔法は無事使えたようで、何かしらの術で周囲を調べさせるようにした幹比古たち。
幹比古の疑問には雫が答えた。
「それは、このメンバーだから高校入学以降のことからだと思う」
「うん。世界の『違い』がそれ以前の事だったとしても、きっとこのメンバーなことには意味があるはず」
方針は決まった。
まずは……と話を切り出したのは、エリカだった。
「じゃあ、まず『ブランシュ事件』が目安にしやすい出来事かしら?壬生先輩たちがマインドコントロールを受けてテロリストに利用されたあの事件」
「聞いた感じ、コッチと変わりはなさそうね。学校の方を鎮圧した後はアジトの方を私達で叩きに行ったけど……ソッチも同じでしょ?」
どうやら違いはなさそうね、と頷き合うエリカたち。
続いては、ほのかたちが次の大きな出来事について語りだす。
「次の目立ったイベントと言えば九校戦だよね。もちろん優勝は私たち第一高校!新人戦でも総合でも1位!」
「こっちだって優勝したよ。エンジニアとして参加した達也さんの活躍もあって、担当していた女子を中心に常勝だったんだから」
「達也以外の二科メンバーはバイトで施設に入ったりしながら応援してたぜ。けど、予想外なことがあってさぁ……」
「ってことは、そっちも新人戦の『モノリス・コード』に参加したんだな。『
当時の予想外の出来事に、驚いたよなーと共感しあうレオたち。
「不可解な事故の裏には、運営側に潜んでいた監査員による工作があった。その裏には、大亜関係の手があったようだが……」
「そうだな。そっちは軍の方で対処はしたそうだが……そこも同じようだな」
裏での動きを知る数少ない存在である達也は、周りに極力悟られないようにしながらも別の自分が同様に動いただろうことを察することが出来た。
「あとは、『バトル・ボード』で負傷した渡辺先輩に代わって私が出場した本戦の『ミラージ・バット』で『飛行魔法』が披露された事でしょうか?」
「その点も相違ありませんね。その出場前に、私のCADへの細工をしようとしたことを看破したお兄様が、先程話にも上がっていた工作員を拿捕しました」
深雪同士も問題無かったと認識したようで、『九校戦』に関しても大きな差異がなかったと判断された。
「その次は、達也君がメンバーとして、私たちは警備で参加したコンベンションと『横浜事変』ね。あそこで達也君が軍の関係者だってことをみんなが知ったわ。あと、『再生』のことも」
「……まぁ、大きな出来事と言ったら、そうね。私としては、雫が親のチカラを色んな意味で活用していたのが印象に残ってるかも。あとはやっぱり『黒棺』ね」
最初「ん?」と何か引っかかった様子のエリカだったが、そのエリカが最後まで言うと、今度はもう一人の方のエリカと、そっち側のメンバーがそろって首を傾げた。
「「「「「「「「クロヒツギ?」」」」」」」」
聞き覚えの無い言葉に疑問符を浮かべるメンバー。
それを見てもう片方の世界の方のメンバーも「どういうことだ?」と困惑した……が、その中の達也だけは、ある可能性に行き当たっていた。
「途中にすまない。先に聞きたいんだが……『吸血鬼事件』、巷ではそう呼ばれた事件があったが、その原因である『パラサイト』をそっちはどう対処したんだ?」
「紆余曲折あったが、最後は依り代を失い一つになった『パラサイト』を俺が深雪の精神干渉魔法『コキュートス』で倒した。……が、何体かは俺たちとは別の所で封印されたりもしていた。そっちの世界では違うのか……?」
今度は反対側のメンバー全員が首を傾げた。
そんなこと、なかったぞ?と。
だた、相手の答えを半ば想定していた達也だけは納得したようで、自分たちの方の『吸血鬼事件』がどうなったのかを語りだした。
「端的に言えば、
「ツキシマ……?」
もう一人の達也が聞き覚えの無い人物名をオウム返しした。
と、そこに『黒棺』の言葉を出したほうのエリカが「ちょっと待って」と口を挟んだ。
「というか、達也君は全てって言ったけど、『パラサイト』って月島君だけじゃなくて銀城も倒してたじゃない。私と幹比古の前で、ズバッとヤってたの見たから憶えてるんだけど……しかも、アレ、リーナの知った顔みたいだったりしてたし……」
はて?と達也が不思議そうな顔をした。
「エリカは知らないのか?銀城っていうのは、月島が身を隠したり裏で動きやすくするために作った月島のもう一つの顔だ。つまり、エリカが会っていた銀城は、全部月島が変装した姿で銀城という男はいないんだ」
「え……?」
達也の言葉に固まるエリカに、今度はレオが口を開いた。
「あ、そっか。あの時エリカは居なかったな」
「え!?レオ、知ってたの!?」
「おう。あれは2年位前……月島に誘われてあの能力開発のことの説明を聞きに行った時だったか、『吸血鬼事件』の時のお礼を改めて言おうと思って月島に「どこにいる?」って聞いたら、目の前で姿変えられてビックリしたぜ」
「あの能力開発……ってことは、ミキたちも知ってるってこと!?じゃあ、知らないのは私とほのか、それとそもそも銀城に会ったこと無い雫だけってこと!?」
「知ってる」
苦笑いを浮かべる幹比古と美月、そしてほのか。
それとは別にエリカの言葉を否定したのはーー
「会ってるし、知ってる。だって、【
ーー雫だった。いつものように表情で右手でピースをしてみせていた。
「何かよくは分からないけど……向こうのエリカが振り回されてることだけは分かったよ」
「私自身の事じゃないはずなのに、見ててすっごくモヤモヤするんだけど……」
幹比古とエリカが、銀城=月島を知らなかった方のエリカを見てなんとも言えない表情をしていた。
「それで、そのツキシマというヤツが……?」
達也に達也が答える。
「ああ。アイツが相違点であるのは、ほぼ間違いないだろうな……というか、だな」
「お兄様……お気持ちお察しします」
「なんというか納得だな」
「……それは、そう」
「相違点というか、特異点というか……歴史の転換点?」
「こうして考えると、私たち、すごい人と友達なんだな…って」
「流石は月島さん!並行世界の原因かもしれないなんて……!」
「まぁ、文字通り世界を変えた月島さんだからね」
月島を知る側のメンバーが各々納得した様子を見せ、それを見た異なる世界側のメンバーがわけがわからない様子で唖然とする。
「世界を、変えた?」
「ああ、『
聞いたことの無い名前と異名、並行世界だからそんな存在が現れてもおかしくは無いだろうが……それにしても、「世界を変えた」とは突拍子の無い話だ。
そこから少しの間、達也による『完現術』についての説明が行われた。
知らない側のメンバーの反応はそれぞれ細かな差はあれど、皆とても驚いていて、特に達也と幹比古が普段からの変化が激しかった。
「
月島を知る達也は、信じられない相手側の雰囲気を感じてどうしたものかと少し考えていた。
「そうだ。……見せた方が早いな。レオ」
「おう!」
名前を呼ばれたレオはそれだけで達也の意図を察したようで、両腕を前で構えてみせた。
「フンっ!!」
淡い光と共に、レオの左腕が黒を基調とした何かに包まれ、特に前腕は半ば盾のような形に変わった。
「あっ!さっきオレの一撃を防いだ盾!」
「それだけじゃなくて、左手もなんか変化してるわよ」
エリカの言うように、右腕も白を基調とした盾のないスマートなものに変わっていた。
「眼で視ていたなら、色々わかるんじゃないか?」
「……確かに、魔法ではないな。それと、腕を覆っているのは補助具か」
達也に言われた達也に対して、腕を動かしてみせながらレオが説明をしていく。
「さっき、達也も言ってたけど『フルブリング』は物の魂を引き出して使役する『使い慣れた物が手に馴染む』って感覚の延長線みたいなもんなんだ。戦闘に活かすとなると、事前に『どう使うか』想定してそれ用に作った補助具を身につけておくことで、活用しやすくなるんだ。オレの場合は硬化魔法との併用での近接戦を意識した硬化と
「はぁ~……道理でオレと戦い方が違うわけだ。左右デザインが違うのはなんでだ?」
もう1人のレオが納得した様子だったが、それはそれとして気付いたことを問いかけてきた。
「両方硬いし殴れる……けど、形の他にも微妙に調整が違って、見た目通り右腕の『
「何語よ、それ」
わけのわからない言葉を聞いたエリカが目を細めた。
「えっと……音だけで憶えてるからなぁ?」
「スペイン語。月島さんが設計して命名した」
レオの代わりに答えたのは雫。
それを聞いて、向こう側のエリカは「ドイツ語ならまだわかるけど……なんでスペイン語?」とやっぱり色々と理解できないままの様子であった。
「あとは、『
「はいっ」
「大丈夫だとは思うけど、そっちの柴田さんは眼鏡越しで見てね」
この展開を予想していたように、美月と幹比古が達也の声に応えて動き出した。
まず美月から淡い光が出たかと思えば、彼女の掌に乗るくらいの大きさの光でできたクリオネのような存在が目の前に現れ浮遊しはじめた。
知らない側の幹比古が、目を真ん丸に見開いて、その存在を見た。
「柴田さんっそ、それは!?」
「私が月島さんに教えてもらって作った『人造
だから眼鏡をかけなくなったんです、と容姿が変わっていた理由を語った美月。
「いや、だが、人が術越しじゃなくてもこうも知覚できるのは……『パラサイト』が集合体になった時みたいだ」
「それは、柴田さんがみんなが見えるように現界させてるからね。僕がこの場で見せられるのはコレくらいかな」
そう言って幹比古が自分の胸元から引っ張り出すように出してみせたのは、指先程度の輝く光の球体。人造純精霊と比べてかなり小さいその球体だが、知らない側の幹比古にはそれの異常性をすぐに理解できてしまった。
「神霊の……チカラ!?」
「ひと欠片だけだけど、神霊から預かってるんだ。『
段々と尻すぼみに勢いが無くなり疲れたように溜息まで吐きだした幹比古。そんな幹比古をカラカラと笑うエリカ。
「ミキは、自分の家と古式魔法の家系、それと神霊の間に挟まれて色々と苦労してるもんねー」
「ミキって言うな……」
力無い抵抗に意味は無く、エリカはやれやれといったジェスチャーをしてみせた。
そんな様子に、「ねぇ」と声をかけたのは、もう一人のエリカだった。
「そういう私は何も無いの?」
「無いわよ。兄貴たちは大分取り入れる方針でやってるけど……どうも私は肌に合わないっていうかねぇ、基礎は教えてもらったんだけどさ」
「そちらのエリカさん。
深雪に続き、ほのかも『フルブリング』の難しさについて軽く触れる。
「私も、出来なくはないけどあんまり得意じゃないから……」
「出来ると色々便利なんだけどね」
雫は出来る、出来ないではない視点からの意見を言ったのだった。
話を聞いて、そして実物の一端を視て少しは整理がついた様子の、もう1人の達也が口を開いた。
「『フルブリング』……霊子の活用術が実在したのは分かった。だが、そんなモノを普及させようとすれば、国や世界、魔法師社会も黙っていなかったんじゃないか?悪用や混乱だって想像に易いが……」
「黙らせた……というか、その国や魔法師社会が推し進めたといった方が正しい。その辺りは、俺よりも雫のほうが詳しいだろうな」
達也から話を振られたと分かった雫は、うっすらとドヤ顔をしながら今度はダブルピースを決めてみせた。
「私たちがガンバリました」
そんな自慢気な自分じゃない自分に、もう1人の雫が問いかける。
「「私
「月島さんと、レイと、
出てきた名前とその国籍、そして一部の名前に、もう1人のほうのメンバーが驚きの表情を見せた。
特に、雫はひとりの名前がひっかかった。
「レイって、レイモンド・S・クラーク?」
「うん、私が交換留学でUSNAに行った時に会った、月島さんと共通の友達。今は、日本とUSNAを中心とした世界共同の宇宙開発プロジェクトに携わってて、卒業したら本格的に参加するって言ってる」
自分が知っているレイと同じようで、違うレイ。
雫が衝撃を受けているのと同じくらい、達也も並行世界とわかっていながらも信じられなかった。
「ディオーネー計画……いや、何か違う気もするが、そんな計画以上に、USNAや大亜連の人間と十師族が協力してるという方が色々と信じられない」
「あの、もしかして、ちょっと前に雫がエクソ…?とか言っていたのが関係してたりするの?」
世界は違うとはいえ、親友ゆえか、言っていたことを良く憶えていたほのかがうろ覚えな単語をなんとか言って見せようとしていた。もちろん、雫にはそれで伝わったようで、正式名称を言ってみせるのだった。
「【
秘密結社、しかもその支部のトップ。
色々と予想外な情報が増えてきて、知らない側のメンバーは頭を抱え始めた。
「なんというか、わからないことが増えましたね……」
「……いや、ツキシマが関わったというのもあるだろうが、『パラサイト』の完全消滅も考えれば、もっとズレがあって当然ではある、か。そして、世界中にいる秘密結社の働きかけで社会が変わる風潮を作って……というわけか」
深雪に視線を向けられた達也は、なんとか自分の中で整理し納得しようとしていたが……並行世界とはいえ随分と変わっているものだと、遠い目をし始めていた。
それとは別に、知らない側のエリカがある点に気付き、それに繋がるであろう話を聞いてみることにした。
「ねぇ、その月島の『フルブリング』の件で世間を騒がせた以外に、2年や3年の時に大きな事件とかあった?」
「九校戦とかイベントは色々あったけど、『横浜事変』や『吸血鬼事件』みたいな事件は無かったわね……月島君に色々振り回された覚えはあるけど」
「そっか……」
もう1人の自分の答えに、安心したように…どこか満足げな笑みを浮かべたエリカ。
「兄貴たちは取り入れようとして~」そんな話を聞き、何も事件が無かったとも聞いて「もしかして……」と思っていたこと。自分の世界では、事件に巻き込まれた兄の1人が命を落としていた。けど、違う世界ではあるけど、生きて元気に過ごせている世界があると知れて、少し嬉しく思えたのだ。
ただ、この話を聞いていた別の人……月島を知らない側のほのかが、別の点で驚き、聞き返した。
「え、何も無かった?」
「そのはずだけど……?」
「じゃあ、深雪の婚約発表も無かったの?」
答えたもう1人のほのかだったが、知らない側の雫の言葉にほのかは――否、月島を知っている側のメンバーが固まった。
「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」
「私が……婚約……」
「深雪が、誰と!?何故お前は止めなかった!?」
別世界の自身の婚約と言う爆弾に硬直する深雪。そして、すごい形相で別世界の達也に詰め寄る達也。
その豹変に若干引きながらも、そうなるよねといった雰囲気で見守る知らない側の幹比古と美月が顔を合わせて苦笑いを浮かべる。
「どうやら本当に無かったみたいだね」
「ですね。この反応はどう見ても……」
そして詰め寄られた方の達也は「どう説明したものか」と少し迷いながらも簡潔に事実を伝えた。
「婚約発表は、深雪と俺だ」
あまりの情報に、月島を知っている側のメンバーが全員一昔前のネットミーム『宇宙猫』のようになった。
対して、月島を知らない側も当時の事を思い出してか、各々好き勝手に言い始める。
「あん時は大変だったし、学校の空気もヤバかったな。異性からの人気があった2人だったし、兄妹だと思ってた2人が
「それに……私はそんな気はしてたけど、『四葉』の家の人間で、しかも当主になる立場だっていうのも色々とショックが大きかったものね」
レオとエリカの少し愚痴っぽい会話に、なんとか復帰しかけていた知ってる側のメンバーの達也と深雪以外の面々が、耳に入った驚きの情報を聞き返してしまう。
「「「「「「四葉……!?」」」」」」
え?なんで……達也と深雪が?うそ!?
――といった雰囲気で目を白黒しているメンバー。
対して、当の司波兄妹は、「婚約」、「従兄妹」、「当主」という情報からあちらの世界の自分たちがどういう経緯でそのような状況になったのか、ここまでの数秒で察することができていた。
「……!?…………!!」
「やめてくれ、深雪。「その手があったか」みたいな表情は」
目から鱗、とでも言いたげな深雪に、静かに首を振る達也。
そんなふたりに、情報を咀嚼し終えた幹比古と美月が問いかけた。
「ほ、本当なのかい?達也?」
「四葉って、あの四葉家の……?」
大きな隠し事でもある達也たちの事情についての問いかけに、特に躊躇うことも無く達也は頷いてみせた。
「本当だが……正確には「
「どういうことだ?」
達也が達也に問い、それに深雪が答える。
「縁を切ったんです。四葉の次期当主の座を退くと共に、今後家の相続や派閥争いに決して関わらないという誓いを立てて、お兄様と家を出たんです。『四葉家』も『司波家』とも……どちらも、あまり良い記憶はありませんでしたから」
「後見人には……色々と迷ったが師匠に頼んだ。だから、周りにわかりやすいように『司波』のままだが『司波家』とは関係無く、『四葉』の人間でも無くなっているんだ。尤も、縁を切るために手回しをしてくれていたのは月島だったが」
達也の捕捉に、月島を知らない側の達也が溜息を吐いた。
「そこでも、月島か」
「本当に、アイツとは色々とあってな」
知っている側の達也が困ったように笑みを浮かべ……でも、それも悪くないとでも言いたげに、一層笑みを深めた。
「困った奴だが、第一高校での生活も、四葉や司波と縁が切れたのも、『フルブリング』の浸透で魔法師への偏見や差別が薄れていっているのも――――」
達也の言葉に、深雪も、他の知っている側の世界のメンバーも頷いて同意していた。
そう――――
――――今の
全部
達也たち、月島を知るメンバーの言葉が重なった。
その時、空間が溶けるように消え始め、そして――――――――
―――――――「やあ、一護。久しぶりだね」
……まだ、ちょっと続きます。