世界平和と己の幸せが俺の夢   作: 黒兎

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活動開始一周年を迎えられて、気分は絶頂の『 黒兎』です。加え、FGOでは水着モーさんの代わりにきよひーが引けて、複雑な気分でも有ります『 黒兎』です。



先に一つ謝っておきます。


配分間違えましたぁーーーーーーーッ‼︎

今話でアニメ二話を終わらせる気だったのに、終わりませんでした。主人公の裏を仄めかす事をズラズラと並べてたら、ね………次話には終わらせます………………










紺碧のカリカチュア Part2

 流れでレストランの屋上部で舞姫と一緒に飯を食う羽目になった黒乃。

 一生懸命に舞姫が話を振ってくる中、ただテキトーに返事したり相槌を打っていたりしていたが、それでも舞姫は嬉しそうに話していた。そういう姿を見るに、本当に和む。

 

 だが、何処と無く黒乃は気が抜けていて、まるで遠くを見つめている様だ。––––そう、眼前に広がる雄大な海のその先。水平線の彼方に指定されている––––進入不可領域を。

 

 それに舞姫は––––

 

「どしたの、クロノん? 具合でも悪い?」

 

 ––––と問う。それに答えるは勿論、心配を掛けない定型文。

 

「別に何でも無いさ。ちょっとボーッとしてただけだ」

「………ホント?」

 

 黒乃の顔を覗き込む舞姫の顔色は若干、心配していた。

 よくあるこの問答だが、その度に心配されるのはしっかりと認識されている事の証明に他ならないが、ちょっと申し訳無く感じる。………なら、ちゃんと話聞いて答えろという話なのだが。

 

「なぁ、舞姫」

「ん? なぁに?」

「––––別に明日葉は間違った事を言ってないからな。悪いのは全部俺だ。あいつを責めてやるな………それだけ言っておきたかった」

 

 これ以上、拗れてほしくないからこその気遣い。怨むなら––––

 

「(貧乏クジを引くのは黒乃(オレ)だけで良いんだ………他の奴は悪くない)」

 

 そんな事を再び思い直す黒乃だが––––

 

 

「ああ、明日葉ちゃんとは仲直りしたよー。冷静になったら、いつも通り話せてた!」

 

 

「何、だと………」

 

 これには驚かざるを得ない。

 もっとギスギスしているんだと思っていたが、思いの外に舞姫の人付き合いは上手いのか………それとも、単に気にしない質なのか。

 

「まぁ、それなら気にする必要は無いか………というか」

 

 話の流れ的に、今まで敢えて聞いてこなかった事を聞こう。

 そう思い至った黒乃は徐に口を開く。

 

 

「何で舞姫は俺の亡命理由については聞かずに自陣営に受け入れたんだ? ずっと気になってんだが」

 

 

 ––––思い返せば、ほんの半年前。

 千葉の事をしっかりと顧みた結果、亡命する事を選んだ黒乃が行く先は、最初っから神奈川しか無かった。

 何故ならば、もう一つの陣営––––東京で前線に出るには、個人の《世界》に加え、飛翔の《世界》を兼ね備えた『デュアル』で無ければならないからだ。まぁ、首席の朱雀は飛翔の《世界》が無いのだが、飛べるから戦闘に参加出来ている。例外中の例外だろう。

 戦場以外において、マトモに話す機会に恵まれなかった黒乃は、何のツテも無く、神奈川に訪れた訳だが––––門前払いされた。

 当然といえば当然だ。他陣営の奴がいきなり来て、いきなり、

 

『千葉から逃げてきたから、神奈川に入れてくれ』

 

 なんて言われても、スパイとか何かを企んでいると思われて当然なのだから。

 しかし、そんな中––––その騒動に偶々居合わせたのが、神奈川陣営首席の舞姫だったのだ。

 そして、舞姫が仲裁に入り、こう告げた。

 

『私が後は対応するから、この子を貸してくれる?』

 

 と。

 そのままの流れで連れて行かれ、用件を問われたので、素直に『亡命してきた』と告げると、

 

『そうなの? 貴方は戦場でもちょくちょく見かけたし、強そうだから歓迎するよッ‼︎』

 

 と、表裏の無い笑みと同時に歓迎された。そう……理由も何も聞かずに。

 そこから何故かトントン拍子に進んで、亡命してきた本人が思うのもなんだが––––凄まじく警戒した。首席ともあろう人が隙有り過ぎだろう、と。

 まぁ、だからと言って、突き返して不安を煽るのは悪手。聞かずに今まで来たのだが––––今は二人っきり。人の気配は下のレストラン内部に集まっている。盗み聞きされる可能性は無い。

 条件としては最良。その事は舞姫も理解していた。だからこそ、黒乃の問いに嘘偽り無く答える事にする。

 

「んー………楽しそうだった、じゃダメ?」

「ダメに決まってるだろ………面倒くせぇから、早く答えてくれ」

「ええぇ……じゃあ––––単純に君が気に入ったから、かな」

「なんでだ? こんな面倒くさがり屋さんなんて、気にいる理由が見つからないんだが……」

「何言ってんの、クロノん」

 

 黒乃の言葉に明確の否定を含めて返した舞姫は、しっかりと黒乃の瞳を真正面から見詰める様に立ち位置を変えた。

 そして––––

 

 

「––––クロノんは面倒くさがり屋キャラみたいに装ってるけど、根は良い子だって分かったもん。色んな事知ってて、口では嫌がりながらも、望んでいる以上の結果を叩きだしてるんだもん。そんな人を嫌えないよ、私は」

 

 

 口元に満面の笑みを浮かべ、言い切る。

 その綺麗な表情に黒乃はバツが悪そうにしていた。

 

「(“違う”、んだよなぁ……)」

 

 そう……違うのだ。

 別に知りたくて、色んな事を知った訳では無い。

 別に結果を出したくて、叩き出した訳では無い。

 ただ、全ては自己的に動いた結果が、そう見える功績となっただけ。

 それ以上もそれ以下でも無い。

 そして––––そこまで綺麗事を成せる様な人間(・・)では無い。

 

「俺は……」

「ん? どした?」

「……いや、何でも無い。まだ仕事残ってんだろ? 早く行かなくて大丈夫か?」

 

 黒乃の気遣い混じりの話題転換は普通、怪訝とされて当然の物だったが、今は効果覿面だった。

 

「あ、そうだった‼︎ クロノんを連れてくる為に来てたんだった‼︎」

「え……俺?」

「うんうん。求得さんが『午後からの仕事は黒乃も加えるから、誰か呼んでこい』って言ってたからね」

「そ、そうか……」

 

 気不味いが理由で午前は他の任務を任せたのに、午後は合流しろと……本当にブラックだな。人間関係の修復はもっと長期的にやるべきです。

 

「じゃ、行こ、クロノんッ‼︎」

 

 舞姫は黒乃の手を握り、連れて行こうとする。

 そんな中、黒乃は––––聞いて良いのか、分からない質問をしてしまっていた。

 

「なぁ、舞姫。俺が––––千葉陣営から亡命したんじゃなくて、スパイとして神奈川陣営に送られたとしたら……お前はどうする?」

「……何言ってるのか、分かんないな」

 

 ただ振り向かず、先程の声音とは打って変わっての静かで淡々とした声で舞姫は続ける。

 

「仮にそうだとしても、今クロノんが告白する必要性が無いよ。私、馬鹿でもそれ位は分かる」

「何言ってんだ、お前は馬鹿じゃないだろ」

 

 黒乃は舞姫の嘘を一瞬で正す。

 

「ただの馬鹿が、そこまで強くはなれないよ。そんな崇高な理想を掲げられない」

 

 舞姫の理想。それは彼女の《世界》の元となった《夢見の季節》が起因するものだ。

《夢見の季節》。通称、そう呼ばれる物は、《アンノウン》との戦争中に冷凍睡眠(コールドスリープ)された子供達が見た所謂、“夢”である。

 その夢を欲し、焦がれた結果が、今の前線に立っている子供達を支える為の力、《世界》へと変質したとされている。

 そして、舞姫が見たとされる《夢見の季節》から変質した《世界》の内容は–––––

 

「『みんなが笑顔の世界』だろ。そして、お前はその世界一筋に今まで進んできた」

 

 今もまだ、その道半ばだろう。

 だが、舞姫は常人では歩み切れない段階まで歩み詰めている。たった一つ、見えた《世界》を求めて。

 例え、その道中で無数の人の支えがあったとしても。反対に無数の人の非難を浴びようとも。盲目的に歩み続けた。

 

「そんなお前は天然かもしれないが、馬鹿じゃない。見えてるんなら、後は手を根性の限り伸ばせば届くって」

 

 ………何時にも無く、心にも無い御託を並べる黒乃。

 

「………うん、そうだよね。なら–––––クロノんも私から笑顔を奪わないよね?」

 

 振り向きざまに掛けられた問いに黒乃は、ただ無言の笑みを返した。

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 ギャー、ギャー

 

 燦々煌めく日光に、ポケーッとしながら海岸付近の道路に座り込む黒乃。

 服装は何時もの白基調の神奈川陣営の制服では無く、身体のラインがくっきりと映える様な服装––––俗にスウェットスーツの様な物を身に纏っていた。

 

「何で、こうなったんだろうな………」

 

 黄昏ながらの言葉は、ほんの少し前の会話を追走させた。

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

「午後からお前らには、別の任務を与える」

 

 

 各陣営の首席、次席組に黒乃という異色の組み合わせで招集した朝凪は一番にそう言った。

 その言葉に疑問符を浮かべながら、尋ねるは舞姫。

 

「でも、まだ工事済んでないよ。手伝わなくて良い?」

「午前中に手伝って貰った分だけで、想像以上の成果だからなぁ。これ以上、手伝う意味はあんまりねぇよ」

「ふーん……じゃ、具体的に何すれば良いわけ?」

 

 いつも通りケータイ弄りながら、気怠そうに明日葉は問う。

 すると、朝凪の横に立っていた夕浪が答える。

 

「最近、この東京湾に《アンノウン》が発生するのよ」

 

 と、招集場所から覗く青い海––––東京湾を指差しながら言うが、突っ掛かるのは霞。

 

「それは前々からだろ……まず《アンノウン》が発生するから戦ってるんだから」

「それが少し違うのよ。今回の《アンノウン》は––––ゲート無しに出てくるの」

 

 夕浪の一言に黒乃を除く全員は驚きを隠せなかった。

 普通、《アンノウン》が発生するにはゲートを通る必要がある。それが今、人類が分かっている事柄の一つである。

 ただそれは、今までの《アンノウン》の襲撃から学んだ事で、別に真の正解と照らし合わせた結果では無い。つまり、予測の域を脱していないものである。

 だからこそ、別にゲート開通の過程を経なくても、出現しても可笑しくは無い。

 しかし、今までには無かった事例なだけに動揺が隠せないのだろう。………まぁ、黒乃にとっては別に問題無かった(・・・・・・・・)が。

 

「どういう事だ? 今まではゲートが開門してから、《アンノウン》が出現していた筈だ。しかも、管理局の索敵を掻い潜るとは………」

「管理局の索敵って言っても、基本はゲートを探知しての予測だからなぁ。当てにならない時もあるだろ」

 

 朱雀の言葉に黒乃は管理局の悪態を吐き、返答。それに朝凪と夕浪は気難しい顔をする。

 と言っても、そう言った技術関連は内地の博学お偉いさん方か、三陣営の防衛都市の職分だ。朝凪、夕浪などの現地指揮官に責任は無かったりする。

 

「まぁ、そういう訳で今回は索敵出来ない《アンノウン》を討伐してほしいのよ。少しでも被害を抑えておきたいし」

「実際に被害が出たのですか?」

「いえ、まだ大丈夫ね」

 

 ほたるの問いに夕浪は良い答えを寄越す。「だけど––––」と続けて、の言葉だったが。

 

「この状況を黙認する訳にもいかないの」

「そこでなぁ………お前らにはこれを着てもらう」

 

 朝凪が手渡してきたのは、色取り取りの布が入った紙袋。………って、水着じゃないか。

 そして、有無を言わさずに––––着替えに行かされたのだ。

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

「……にしても、遅いな。全員着替えるの遅すぎるだろ」

 

 呆れるように言う黒乃。それにも訳がある。

 

 黒乃の身に着けているスウェットスーツは普段から黒乃が下着代わりに装備している物だからだ。つまり、上着加えた制服を脱ぐだけでいいという……。

 ……まぁ、何でそんなものを身に着けているかと言われれば、理由を答える訳にはいかないのだが。

 

「ふぁぁあ………眠いし、面倒くせぇ………………。早く、帰って寝たい」

 

 そんないつも通りの言葉を吐き、黒乃は海の彼方を見つめる。

 水平線の彼方––––そこを見詰める黒乃の瞳はいつにも増して真剣だった。まるで、仇敵を見ているような。そんな、おっかない感じで。

 ある種の殺気を内包した視線を向けていた黒乃だが、背後から迫る気配に何時もの気怠い雰囲気にシフト。特に不思議も無いように言葉を掛ける。

 

「何の用だ、明日葉?」

 

 背後の気配––––明日葉に気付き、首だけ振り向かせながらに尋ねる黒乃。

 午前中の雰囲気を鑑みれば、わざわざ近付く理由も無い––––と論理的な思考が渦巻く中、視界に入った光景に思わず息を呑む。

 そこに居たのは––––女神だった。控え目に表現しても、神域クラスは下らないであろう絶世の美少女がいた。

 オレンジ基調の上下分かれた水着を纏う明日葉は正直、綺麗過ぎる。

 元々の純白の柔肌に映える暖色系の水着で、燦々と日光を照らすこの状況では輝いて見える。

 時々、海から吹き抜ける風が水着に付いているフリルを揺らし––––

 

「––––えっと、なんというか………ホント、何しにきた?」

 

 もうこれ以上、脳内で明日葉の水着姿を刻んでいると色んな意味で危ない気がしたので、黒乃は頬を若干赤らめながら、水平線の方に向き直す。単純に恥ずかしい。

 

「昼間の件。ちょっと話がある」

 

 妙に途切れ途切れの明日葉の言葉に黒乃は自身の心を戒める。

 ここは返答を真面目に考え、必要な事だけを答えねばならない。不必要な事を僅かにでも洩らせば––––多方に不利益をばら撒くから。

 そう誓った黒乃に明日葉は期待してない声音で問う。

 

「もう何回も聞いてるけど、一応聞いとく。––––なんで、千葉から亡命したの。しかも、首席であるあたしに何も言わずに」

「………言ったら、ただの転校と一緒だろ。言わないからこそ、亡命なんだ」

「答えになってない。聞きたいのは理由」

 

 もう分かる。––––今の明日葉は本気で尋ねてる。嘘、虚言でも吐こうものなら、綺麗な曲線美を持つ脚に巻いてあるホルスターから、得物である二丁拳銃を抜き撃つに違いない。

 そして、何よりも厄介なのが、他のメンバーが一向に着替えから帰ってくる気配が無い事だ。これでは、他人の乱入を利用しての話題転換も出来たものじゃない。

 はぁ、面倒だ。言外に言い含む黒乃は問い直す。

 

「じゃ、何で俺が亡命したと思う?」

「それを聞いてるんだけど………」

「まぁまぁ、予測だよ。案外、当たったりするんだぜ、そういうのって」

 

 砕けた声音の黒乃に明日葉は答えを挙げ始める。

 

「千葉で何かの問題起こして、居られなくなった」

「それだったら、首席であるお前に話通るんだよなぁ」

「千葉の居心地が悪くなった」

「別にそういう訳じゃないだがなぁ。本当に居心地悪かったら、俺の兵装がブレードライフルのままな訳無いし。これって、千葉用に神奈川が作った最新鋭の兵装だもんな。千葉の象徴としては良過ぎる」

「………じゃあ、何?」

 

 不機嫌そうな明日葉に黒乃は、

 

「ははっ、んな怖気な顔すんなって。折角、綺麗な姿に加え、可愛いんだから、表情も笑っとけよ」

 

 と返すと––––

 

「………………可愛いとか、マジで有り得ないし………………………」

 

 波音に掻き消される音量で明日葉は呟いた。が、勿論、黒乃に聞こえるはずもなく–––––

 

「んあ? なんか言ったか?」

「言ってない。早く答えてよって言ったの」

「言ってるじゃん………まぁ、最低限。教えれる範囲で教えてやる」

 

 そう一回区切り、黒乃は文字通り、最低限の事を話す。

 

「俺が亡命した理由は–––––明日葉。お前の為だ」

「–––––––––は?」

「何でお前の為かを伝えてやりたいが………悪い。この先はまだ教えられないな。教えると––––お前は今のお前で居られなくなる」

「………それって、どういう事?」

「だから、教えられないって言ってるだろ。今はそれだけしか伝えられない」

 

 立ち上がり、キッパリと告げる黒乃は、ある意味で冷たかった。そして、明日葉の方へと歩み––––横を抜けて、歩いていく。

 見られていない。

 そう直感めいた何かが警笛を鳴らすと同時に明日葉は振り向き、黒乃をつかもうとするが、すんでの所で空を切る。まるで、そこには超えられない何かがある様に。

 明日葉は悔し気に歯を食い縛る。すると、それに気付いた訳では無さそうだが、黒乃は脚を止めた。

 

「あー………あと、さり気なくでしか言ってなかったから、もう一回言っとくぞ。––––お前、凄く可愛いよ。やっぱり………いや、何でもない」

「––––––ッ⁉︎ ………あと、その間は何だし」

「へへっ、気にすんなよ。どうせ、後に分かるって」

 

 ニコッと微笑む黒乃に明日葉も………仕方無さそうな笑みを浮かべるだけだった。

 

 

 

 

 

 

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