世界平和と己の幸せが俺の夢   作: 黒兎

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執筆中に一悶着あり、原稿吹っ飛んで大変だった『 黒兎』です。




語ることは無いから、本編レッツゴー!







炭鉱のカナリア Part2

「さて、と……作戦開始か」

 

 朱雀の鼓舞を聞き届けた黒乃は得物であるブレードライフルの調子を確かめる。

 今までに無く、順調。初っ端から飛ばして行けるだろう。

 

 今回、黒乃の立ち回りは少々歪。作戦前から、神奈川陣営と別行動の時点で証明出来ている。

 

 ………まぁ、今回の作戦を組むにあたって、開かれた会議の時点で決定していたのだから、もう割り切れている。寧ろ、黒乃としては、そっちの方が有難い。未だに底を見せるに至っていない《世界》を多少は使えるかも知れないから。………極力、使わないに越したことは無いが。黒乃の《世界》の本気は––––

 

 

 

 ––––リヴァイアサン級だろうとも関係無くに殺し切れる程に規格外。

 

 

 

 管理局が許可を下ろしてくれるのならば、正直、こんな七面倒な作戦を組む必要も無かったりするのだ。

 ただ、黒乃の《世界》の全容を公にすると、この“世界”の見方が根底から覆るのは理解出来ている。

 そして、その事柄を鑑みる以上、絶対に管理局は許可を下ろせない。

 故に黒乃は何時も、《世界》を抑えて戦っている。

 ………別に管理局だけが困るのならば、問題無い。問題無いのだが………それによって、黒乃の出生について、探られる可能性があるのが一番不味いのだ。

 三都市間で回っている黒乃の個人情報(パーソナルデータ)の殆どは管理局によって偽装された紛い物。そこまで回りくどい手を選んでも、管理局が隠したい黒乃の“何か”。

 それの歪さに一番よく気付いているのは、間違いなく黒乃(ホンニン)だ。

 

「俺は………この世界を––––………」

 

 まだ、先に繋げる言葉は見つからない。

 でも………

 

 

 

 

 ………たった、一人から託された願い。

 

 

 

 

「(俺は、それを………)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ––––絶対に叶える。

 

 

 

 

 

 そう、心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 今回のリヴァイアサン級《アンノウン》の撃退作戦は、今まで行ってきたどの作戦とも違う。

 普段は迎撃。文字通り、“迎”えて“撃”つ事が求められている。

 つまり、今まで執り行ってみたテンプレな作戦––––千葉が湾岸部で足止めし、神奈川が海上で遊撃、東京が上空から掃討という作戦がベスト。

 だが、今回はあくまで撃退が主な目的だ。迎撃と同じく、文字通りに起こすと、“撃”って“退”ける事になる。

 根底から変える必要がある。

 ならば、どうするべきか。

 対策会議本部がある東京校で黒乃は首席である朱雀と立案するべく連日会議を重ねた。

 結果、組み上がった作戦はこの様な物である。

 

『作戦通り、東京は先行して海ほたる周辺に展開している小型《アンノウン》を叩く。俺たちはあくまで陽動だ。本命のリヴァイアサン級(デカブツ)を引き剥がすのは神奈川と千葉に任せる』

 

 ––––と朱雀からの通信がこの作戦の大まかな流れだ。

 そして、その後に続いた注意を聞き、通信に割り込みが入る。千葉の首次席である千種兄妹だ。

 

『お兄ぃ、キモい。東京の人キモい。まともな事言ってる。引く』

『それな、ホントそれ』

 

 今の朱雀には巫山戯た二人の言葉に返答するのも億劫なのだろうか、無言だけが返っていて、黒乃は少し苦笑。

 ………まぁ、千種兄妹が言わんとする事は十二分に良く分かる。今までの朱雀とは似ても似つかないのだから。

 独断専行なんのその。下手をすれば、一人で全て片付ける質の朱雀が。

 人に頭を下げ、助けを請い、今は人を纏め、導かんとしている。

 それこそ、正義の味方(ヒーロー)の様に。

 

「………じゃあ、そろそろ俺も始めるか」

 

 ………………今更だが、黒乃は戦場である東京湾の水上に立っている。黒乃の《世界》の副作用で水上を移動出来るからとはいえ、他人が見たら、二度見されるだろう。

 黒乃が今作戦でする事と言えば、前のリヴァイアサン級と大して変わらない。

 只管にタゲを取り、攻撃を逸らす。加えて、攻撃もして、ヘイト値を稼ぐ。………改めて、思えば、とんでもなく苦労の伴う役回りだ。作戦完遂の為とは言え、無茶にも程がある。

 しかし、これだけ苦労を重ねても、リヴァイアサン級の気を一人で引くのは不可能に等しい。精々、数瞬ばかりの判断を紛らわす位が関の山だ。

 やっぱり、非効率的。但し、完全に意味が無い訳でも無い。

 

「外れクジ、だったかなぁ………………」

 

 と、黄昏気味の黒乃はまだ解説していない神奈川の動向へと想いを馳せる。

 作戦通りなら、あいつらは––––

 

 

「………上手く行ってると良いけど」

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

「目的座標に到着」

「––––現状を維持だ」

 

 暗い暗い部屋––––空母の管制室に響く凛とした声。神奈川陣営次席のほたるはそう指示を出しながら、作戦への想いを馳せていた。

 

「(それにしても、中々無茶な要求を寄越したものだ………)」

 

 作戦立案をした朱雀と黒乃から提示された神奈川陣営への要求はある意味、一番思考回路がぶっ飛んだ内容だった。

 見えぬ所から、突如に空母を出現して見せよ。

 ………そんな奇想天外な事を頼まれ、ほたる自身は断るつもりだったのだが––––

 

 

『神奈川のみんなならできるって信じてるよ!』

 

 

 ––––と神奈川の皆が愛している舞姫からの頼みとなれば、断れなかった。

 

 そして、無理を承知でそれを成し得た。

 

 神奈川が誇る最大規模の空母にありとあらゆるバラストを積み込み、空母を潜水艦として代用する。こっちもこっちでエゲツない発想から来た戦法である。

 

「(ここまでは何とかなっている………あとは、タイミングだな)」

 

 そう思ったほたるは、ただジッと絶好の機が来るまで待つことにする。

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 ほぼ同時刻。

 海ほたるからアクアラインを超特急で爆走する列車が一陣あった。千葉陣営が誇る砲台列車である。

 向かうは勿の論で、敵の仮本丸である海ほたる。そして、倒すべくはリヴァイアサン級《アンノウン》。

 千葉陣営の主武装は銃などの飛び道具。ただ陸戦部隊の為、射程という絶対的な距離の外を狙える訳では無い。

 故にリヴァイアサン級と戦おうとすると、自ずと突貫して、派手にドンパチやるしかないのだが––––

 

「––––まぁ、そう上手くはいかんわな」

 

 列車の管制室に居る霞の言う通り、一方的に撃ちまくり、リヴァイアサン級にダメージを与えるという理想的な構図になるはずが無い。

 現在布陣では、前線で一人、タゲ取り&ヘイト値稼ぎに勤しみながら、ダメージも蓄積している黒乃もいるとはいえ、それだけでリヴァイアサン級の気を惹いたままでいれるかと言われれば、それこそ無理な話だ。

 少し反応が遅れるだけで––––まぁ、その若干の遅れから生じる僅かな余裕が作戦の成功確率向上に一役買っているのだから、今回は黒乃はよく働いていると言えるだろう。

 但し、それでもリヴァイアサン級は迫る砲台列車の存在には絶対に気付く。遅かれ早かれ気付く。

 そして、主砲と思しき真紅の光線を放ってくるが––––それに砲台列車は急停止を掛けた。

 まさしく自殺行為。自殺行為、なのだが––––

 

「あらら……そこからじゃ当たんないんだよなぁ。ブラインドスポットって概念ご存じ無い?」

 

 ––––アクアラインに展開された不可視の障壁が光線を拒んだ。

 

 そう、砲台列車が止まった位置。そこはアクアラインに備え付けてある障壁だけで、リヴァイアサン級の一撃を完全に耐えれる一番近い所である。

 これ以上、前進すれば、角度的な問題と距離的な問題で障壁貫通も大きく有り得る。

 ならば、ここは敵の攻撃を防ぎ切れて、その上攻撃し放題の超お得なスポット? いや、そんなわけ無い。

 

「お兄ぃ、独り言うるさい話長いキモい。つーか、こっちも射程足んないんすけど」

 

 ––––と明日葉が愚痴る通り、生憎ここではまだ射程が足りないのだ。精々、狙撃銃(スナイパーライフル)くらいの射程ならば撃てるかもしれないが、少なくともハンドガンが撃てる間合いでは無い。

 

 しかし、妹が文句を言うならば、叶えるが兄の役目。

 

「工科さーん、準備してー」

 

 霞がそう告げるや否や、砲台列車から無数の千葉陣営の生徒。

 しかも、非戦闘員である工科生が大量に出てきた。

 集まるは砲台列車の先頭一車両。何やら、車輪に細工をし始めた。何やら杭らしき物を打ち付けたり……

 そして、霞の装着している通信機に連絡が入る。

 

『準備出来ました!』

「はいよー……それじゃあ、明日葉ちゃん。準備して」

「ほへ?」

 

 何それ聞いてないんですけど、的な事を孕ませた疑問の言葉に霞は応答しない。

 応答する暇も惜しいのだ。今は一分一秒を争う。

 

「ポチッとな」

 

 握っていた棒に備え付けられていた赤いボタンを押す霞。すると––––

 

 

 ドゴォォォォォォォンンンッッッ!

 

 

 耳が痛くなる程の音と共に列車の下部が爆発。その衝撃が伝わり、砲台列車は––––線路を外れ(・・・・・)横に滑った(・・・・・)

 勿論だが、アクアラインの横と言えば––––湾上だ。

 そして、この世界には万物が逆らえない重力という概念が存在する。

 投げ出された鉄の塊(シャリョウ)は抗う事も出来ずに東京湾に落下する––––はずだった。

 

「うっわー……高けぇ!」

 

 千葉陣営の戦闘科の方々が口々とする言葉から察するに車両は落ちていない。

 理由は先程、工科生が仕組んだ細工にある。

 杭を前方車両に打ち付けておく事で、そこを点として固定。爆発を受けても微動だにしない様に計算しておけば、脱線した後、さしずめコンパスの様な軌道を描き、即興の桟橋として使えるという算段だ。

 ただ––––

 

「今のは怖ぇよ!」

「うっ……気持ち悪」

「あんなの有りかよ……」

 

 ––––やられる方からはもっぱら不評だ。事前に聞かされていなかったから、心構えも無かった所が不評を更に加速させたのだろう。

 現に妹の明日葉からも………

 

「お兄ぃ………あとで絶対殺す」

 

 完全激おこ状態である。

 そして、千葉陣営の奴らは基本的に馬鹿である。

 原因である霞よりも、眼前に居座っているリヴァイアサン級に憎悪を表した。

 

「あいつが………」

「殺す! 殺すッ!」

 

 全員が桟橋もどきの列車から自動小銃やハンドガン、極めればRPGや列車に備え付けてある砲台から集中砲火。

 ある意味、桟橋化させる為の爆破よりも凄い爆発量。

 その影響か、リヴァイアサン級は大きく体躯を揺らす。

 だが–––

 

「お兄ぃッ! あいつ撃ってくる!」

 

 –––それはリヴァイアサン級が痺れを切らして反撃する予兆。勘付いた明日葉は悲鳴の様に叫んだ。

 しかし、霞にとってはそれも計算通り。つまり、

 

「計画通り、だよ。ポチッとな」

 

 再度、ボタンを押す。

 すると、もう一度爆破。横スライドし、元の線路へと綺麗に戻る。

 故に反撃の赤い閃光は列車に当たるでなく、海の彼方へと飛翔していった。

 無茶苦茶な回避。

 だが、ここで手を緩めるつもりは一切無い。

 

「はい、もう一度行くよー」

 

 ––––この無茶な行動をする度に千葉陣営の霞に対する好感度が下がっていくのは想像に難くなかった。

 

 結局、無茶に動き、無茶に撃ちまくった結果、リヴァイアサン級の方も本能で悟ったのだろう。

 

 

 ––––あれを真面目に相手しても崩せない、と。

 

 

 ならば、どうするか。

 

「………まぁ、そうなるよな」

 

 答えは単純。

 勝ち目が無いならば、逃げれば良いだけの事。

 巨躯な図体を動かし、海ほたるから離れていくのだが––––

 

「悪いな、そこは………詰みだぜ」

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

「今だ、 バラスト廃棄!」

 

 通信で海上の状況を把握したほたるは大声で指示を通す。

 指示通り、空母に積んであるありとあらゆるバラストは捨てられ––––一気に軽くなった空母は勿論、浮上する。

 海上目掛けてグングン進む空母の甲板。水中なのだが、そこに大剣型の出力兵装を構えて、ジッとしていた舞姫は、声を上げる。ただ、水中が故、マトモに聞こえはしないが。

 

「がぱわがむぜむ––––がぱ、ゔべしーん!」

 

 ………正直、誰も理解出来ないのだが、舞姫の性格とか普段の言動を考慮して、推測すると「神奈川前し––––いや、上しーん!」って言おうとしたのかも知れない。

 

 ザッバアアアアアァァァァァァンッッッ!

 

 海水跳ね除け、突如海上に現れた空母は思いっ切りリヴァイアサン級に打つかる。

 そして、空母の中から現れた無数の神奈川陣営の生徒たちは各々の近接出力兵装を構え、堅牢なリヴァイアサン級の体皮に刃を突き立てる。

 だが、マトモに刃は通らないのは分かっていたから、弾かれる事を前提に無理矢理攻撃を叩き込んでいた。

 そんな中、命気(オーラ)強化を使用し、大きく跳んだ舞姫は大剣に命気を流し込み、紫の刃を展開。この戦場における最大火力を叩き込むが、

 

「あ! 逃げる気だ!」

 

 ––––それでは決め手としては欠けていた。

 リヴァイアサン級は全力を尽くして、本気で逃亡を図る。

 だが、追えれるのは限りある人間のみだ。

 

 陸戦部隊である千葉陣営は海上逃亡を図るリヴァイアサン級を追い掛けられる訳がない。霞の狙撃銃なら、当たりはするが、舞姫の全力よりは随分火力が落ちるので、決め切れない。

 

 海上部隊である神奈川陣営は普段ならば空母全速力で追えたかも知れないが、今は無茶をしでかした直後だ。これ以上は無理を重ねれないのだ。

 

 ならば、東京陣営。

 確かに空を翔ける事に長けているのだから、追うには追える。ただ、千葉陣営と同じで決め切れない。

 

 その事実に勘付いたのは上空にいる朱雀。

 

「くそっ! アホ娘の全力でも無理なのか………」

 

 最早、討伐する手立てを失い、絶望が戦場を染め上げる中––––突如、歌が響いた。

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 戦場に響いた歌に黒乃は………凄く焦っていた。

 

「これは………はぁ、不っ味い」

 

 ––––きっと、カナリアが無理強いして、一緒に入院していた東京陣営生徒と一緒に乱入に来たのだろう。しかも、響く歌の感覚から、青生も一緒にいると見受けられる。

 

「杞憂、だったら良いんだが………最悪の場合は面倒になりそうだ」

 

 面倒嫌いの黒乃にとって、想像している最悪のパターンは本当に嫌いだったりする。

 

 ––––と思っていた中、紫の光が空を翔けていく。

 多分アレは––––朱雀。手で首根っこを掴まれているのは舞姫。

 それに黒乃はあぁ、と納得。やりたい事は何と無く分かった。

 ただ、それだけじゃ––––足りない。

 

「流石に遠い、か………。色々とバレそうな気もするが………助力を乞おうかね」

 

 判断した黒乃は即座に水上を駆け始める。

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

「明日葉!」

 

 アクアライン沿いの線路に鎮座している砲台列車に向かって走っている黒乃は通信で明日葉を呼び出す。

 

『クロォッ⁉︎ いきなり何⁉︎』

「今、砲台列車に向かってる。お前の力を貸して欲しい。こんな………お前にとっては裏切り者かも知れないが、頼む。確実に王手(チェックメイト)を付けに行く!」

『なんかよく分かんないけど………分かった!』

 

 ようやく、命気強化で届く距離に砲台列車が見えた黒乃は命気開放し、一気に跳躍。砲台列車の天井へと移った。

 と、同時に明日葉も軽やかに天井へと跳んでくる。

 

「で、何するの?」

「もう直ぐ、朱雀と舞姫が最後の一撃を打ち込もうとする。でも、それだけじゃ、若干足りないから、火力を補正してやるんだよ」

「具体的には?」

 

 覗き込む明日葉に黒乃は少し考えた後、言葉を発する。

 ただ………これは黒乃の一端を明かす。それに類似する事だ。

 正直、引け目を感じている。明日葉に余計な危険を晒させるかも知れないから。

 だが、ここでリヴァイアサン級を葬る方が………安全なのかも知れない。

 でも––––

 

「(信用、するしかない………よな)」

 

 ––––信じろ、九重 黒乃。

 

 そう思った黒乃は意を決して言葉を紡ぐ。

 

「明日葉はリヴァイアサン級の天辺に標準を合わせて、運動制御の《世界》を併用しながら、引き金を引いてくれれば良い。あと………背中触らせて?」

「なっ––––なななななな何言ってるし⁉︎」

「別に疚しい意味じゃねぇよ。しかも、制服越しだし。俺の………《世界》を流し込む」

 

 真剣な声音の黒乃に明日葉も恥ずかしさが霧散し、思った疑問を打つける。

 

「………クロの《世界》は斥力発生でしょ、東京の人に似た」

「あー………それ、ちょっと違う(・・)んだ」

 

 気不味そうにボヤく黒乃は、言葉を追随しておく。

 

「体内を駆け巡ったら自ずと正体は分かると思う。でも………」

 

 明日葉の肩を掴み、黒乃は本気で言う。

 

「絶対に、俺の《世界》に関しての言動は止めてくれ。俺の《世界》は………知らなくて良いものだから」

 

 その気迫に押されてか、明日葉も肯定しか道は残されていなかった。

 

「う、うん。分かった………」

「………よし、準備してくれ」

 

 納得した黒乃を尻目に明日葉はハンドガンにロングバレルを装着。普段より幾分か射程を広げ、いつも通りのスタンスで構えを取る。

 それを見た黒乃は明日葉の背中に手をソッと添え、頭の中でイメージし、《世界》を構築する。

 そして、体内に回し、手を伝って、明日葉へと流す。

 と、その時。

 

 

 

 ––––ド ク ン

 

 

 

 明日葉は聞いた。

 何かが胎動し、何かを響かせた音を。

 そして––––震え始め………止まらなくなった。

 

「え、クロォ………何、これ………………」

「––––良いから黙って前を見てろ。これが………俺の《世界》の本当の姿なんだから」

 

 寒い。

 燦々と日が照らしているのに寒い。

 そんな中、明日葉は黒乃の《世界》の本当の姿が––––見えた気がした。

 それは––––

 

「明日葉、今だ!」

 

 ––––だが、思考は声で断ち切られ、紅蓮の炎を纏った銃弾は青空を割いていった。

 すると、リヴァイアサン級上空に黒く畝った大刃に銃弾はヒット。赤い竜が纏わりつくように紅蓮が煌めいた。

 朱雀の重力に明日葉の運動制御、舞姫の全力に––––黒乃の《世界》。

 それらを重ね掛けした最大火力は––––一瞬でリヴァイアサン級《アンノウン》を断ち切った。

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 三都市のみんなが勝利に歓喜で沸く中、二人。そう、たった二人だけは暗い表情でいた。

 黒乃と明日葉だ。

 

「………約束は守る。絶対、他の人には言わない」

「ああ………ありがとな」

「でも、クロ。ちょっち聞かせて」

 

 明日葉は黒乃の眼の前に立ち––––覚悟を決めた表情で言った。

 

 

 

 

 

「なんで………なんで今まで、本気の半分以上を抑えてたの⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






最新話でOP変更は盛大に驚きました。というか、全員生存ルート出来ちゃったよ………これで遠慮無くデート回入れれるわけだが………みんなが再集結してからでも良いかなぁ………いや嘘です。次回にデート回書きますから許して(フラグ)

と言うわけで、大して出番の無かったくせに不穏なオーラを置いてった主人公こと黒乃ですが、次回はデート回のつもりです。ちょっと本編ズレるけど我慢してね♪

非リア充の限界に挑戦や………
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