重度のブラコンとシスコンという普通なら引かれかねない属性を持っているが引かれるどころか家族思いと解釈されイケメンポイントが更に上がる。人間やはり顔なのか。
迅悠一
ブラコンでもシスコンでもないが尻が好き。加古さんにチャレンジしようとした過去があるがチャレンジした後炒飯を食べ吐瀉物が喉に詰まり死亡という割りと冗談になってない未来を見たため現在までノーチャレンジ。
柿崎国治
ブラコンでもシスコンでもなく尻フェチではないものの脚フェチ。最近木虎の脚ブレードに可能性を見出だしたとかなんとか。
霧島柊
重度の弟子コン。しかし嵐山と違って普通に引かれる。なんなら弟子たちからも引かれることがある。人間やはり顔なのか。
「柊の玉……ガチガチじゃねぇか……」
俺の友人カッキーは小さく呟いた。
「……固すぎだろ……こんなん……」
頬をやや赤らめ、唇を小さく噛んで吐息とともにその言葉を吐き出した。
吐息すらも聞こえてしまうほどの静寂のなかでも俺は固くするのを止めることができなかった。
「んんッ……」
カッキーは先程より熱い吐息を漏らすと深いところをさらけ出してきた。
「……いいの?」
カッキーは神妙な顔つきで小さく頷いた。
俺は躊躇することなくカッキーが晒した深いところよりもさらに奥、急所を目掛けて手を伸ばす。
「あっ! まっ! それは……」
「ダメだ、もう待てない」
カッキーには悪いが俺はもう耐えられない。
「雑煮がない正月なんて耐えられるかー!」
俺は心の底からその言葉を吐き出し、王手飛車取りをかける。
残念ながらもうカッキーの玉が生きる道はない。
完全に詰みである。
カッキーはうぐぐと変な呻き声を漏らしながら「負けました……」と呟いた。
「よーっし、ほら行ってこいカッキー。この寒空の中人数分の雑煮を買ってくるがよい」
「そういや雑煮ってどこで売ってるんだよ……」
「確かに。お汁粉はよく見るけどな」
「あぁ……確かに……」
少なくともボーダーにある自販機にはなかったはずだ。通いすぎて商品がいつ変わるか分かっちゃってるくらいヘビーユーザーの俺が言うんだから間違いない。
大の男が四人でこたつを囲みながらうんうんと唸る。そんな時、俺の右隣に座っていた迅がこんな提案をした。
「じゃあどうする?材料買ってここで作るか?」
「うーん、それはいくらなんでも不味くないか?」
やんわりと取り成したのは嵐山。ボーダートップも知名度を誇りなおかつ実力も高いという隙がないスーパーなイケメンである。これで「コンクリートロードはやめといた方がいいぜ」とか言ってくるくらい嫌なやつだったならどうとでも嫌いになれたのだが困ったことに滅茶苦茶良い奴なのである。
「あぁ、でもそういえば母さんが雑煮作ってるって言ってたなこれ終わったらみんなで来るか?」
ほら、こういうことサラッと言っちゃうくらいいいやつなんだよ、こいつ。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど正月にガヤガヤ押し掛けるのも悪いからな」
「確かにそれもそうだよなー」
「ま、柊とおれはしばらく死事だけどねー」
「おいバカ。頑張って現実逃避してたのにいきなり現実を突きつけるんじゃねぇよ」
明日も明後日もこいつと一緒とかなんなの? てかなんなら大晦日からこいつと一緒なんですけど。更に言うなら去年もこの面子だった気がするんですがどういうことですか沢村さん。
あ、そうだ、沢村さんで思い出した。
俺はおもむろに立ち上がり机の後ろにあるやたら巨大な棚をごそごそとやってお菓子の箱を取り出した。
「せめて餅だけでも食べるか」
「おぉ、うまそー」
「五平も……え!? こんなとこいつ行く暇あったんだよ」
「違う違う、沢村さんのお土産」
「あぁ、……例のあれか……」
カッキーがやや遠い目をして言った。
説明しよう! 例のあれとは俺が一ヶ月程前に福引きで当たった旅行券(ペアチケット)を沢村さんにあげたもののまったく進展しなかったという事件である。ちなみに一泊二日の旅だったため二人の二日分の死事は俺がやったぞ☆ 早く幸せになってくれよ……。
「でもほら、今日もふたりで初詣に行かせたしちょっとは進展する……といいな」
「おい、諦めんなよ」
「嵐山の言うことにも一理あるよなぁ。男女が同じ宿で一泊してなにもないってさ……」
「なー、今時中学生でもいくところまでいくよなー」
カッキーの何気ない一言に空気が鉛弾を使われたが如くどんよりと重くなった。
「え……あっ、なんか……すまん」
「謝らないでよ、余計辛くなる……」
「チッ、この裏切り者が……」
「扱い酷くね!? お前らなんて俺より全然モテてたじゃねぇか!」
「そうだそうだ! そこんとこどうなってんだよ」
「柊の立場はどこなんだよ……」
「強いて言えばリア充の敵と言っておこう」
ホントにリア充とか許せない。俺がこんなに死事して死にそうになってるのに女子とイチャイチャしてるとか絶対許さない。
「そういやカッキー。君んとこの大学のバスケサークルと熊谷ちゃんがバスケしたって言ってたんだけどもちろん安全なんだろうなそいつら」
「待て、目を血走らせるな。大丈夫そいつら全員彼女持ちだから……あっ」
「その思い出したような表情はなんだよ。言ってみろよ」
「落ち着け柊! 瞳孔開いてるから!」
「とりあえずその手を離そうか。ゆーっくりでいいから。そうゆーっくり」
迅と嵐山の制止によりやや平静を取り戻しカッキーの襟元から手を離す。
「それで? どうしたんだ?」
「……その内のひとりが熊谷のこと気になってるって言ってました」
「そいつはどこにいるんだ! ぶち殺してやる!」
「だから落ち着け! まだ手は出されてないから!な、柿崎!」
「…………うん」
「出されてるんじゃねぇかぁぁ! どこまでだ! どこまでだぁぁ!」
「でもあの連絡先教えたくらいでその先はよく知らないっていうか……」
「ふざけおって!バスケサークルに入ってるやつなんて皆ロクでもない奴ばっかりなんだろ!」
「……すいませんそいつテニスサークルっす……」
「余計危険じゃねぇかぁぁぁ!」
テニスサークルなんかに入ってる奴なんて皆ヤリ目のヤリ〇ンばっかなんだろ!
カッキーの胸ぐらを掴んでグラングランと揺らす。
「テニスサークルの輩と付き合うなんてお父さんの目が黒い内は許しません!」
「だからまだ連絡先しか……ぐはっ……」
変な声をあげて動かなくなってしまったカッキーをポーイと投げ捨て今度は嵐山の方を見る。
「……どうなんだ?」
「ちょっと俺には分からないかな……」
困ったように笑う嵐山を尻目に迅はこそこそとこの場から逃げようとしていた。
その首をガッと掴み引き戻す。
「お前なんか見えてんのか?」
「いや、とりあえず大丈夫だった気がします」
「ホントだな?」
「ホントのホントです。本当と書いてマジと読みます」
迅がここまで言うのなら当面心配いらないのだろう。だがしかし、釘は刺しておかねばなるまい。
「なんか変な未来が見えたらソッコー俺に報告。いいな」
「了解であります!」
「カッキーは……とりあえずそいつを血祭りに上げておいてくれるかな」
「出来るか!」
「じゃあそいつにちゃんと釘指しておいてくれるかな。熊谷ちゃんのこと悲しませたら痛覚100%で戦場に放り込んでやるってさ」
「目がガチなのが怖すぎるんだけど……」
「柊、それは言いすぎじゃないかな、流石に」
やんわりと取り成してくる嵐山に勢いよく指を突きつけた。
「想像してみろ! 佐補ちゃんが大学に行ってテニスサークルの男子と仲良さげに喋っている姿を!」
「はっ………………!」
嵐山は雷にでも打たれたかのごとく動かなくなってしまった。
「お、おーい嵐山? 大丈夫かー?」
「その通りだ柊! テニスサークルなんてダメだ。絶対ダメだ! お兄ちゃんは許さないぞ!佐補ぉぉぉぉ!!!」
「うるさいのが増えた……」
「この暴走機関車どうやったら止まるんだよ……」
迅とカッキーはなにやら冷えきった目でこちらを見てくるがもはやそんなのは関係ない。
俺はもう見つけたのである。
嵐山というベストパートナーをな。
「よーっし、テニスサークルの魔の手から熊谷ちゃんと佐補ちゃんを守るぞ!」
「応!」
この後滅茶苦茶作戦立てた。
***
「おーい、お汁粉買ってきたぞー」
俺と嵐山で三門大学テニスサークル殲滅作戦も後は詰めに取りかかるだけというだけというところでカッキーが自販機で売ってる缶のお汁粉を4本持って部屋に入ってきた。
てかいつの間に買いに行ってたんだろう。作戦立てるのに必死で全く気がつかなかったなぁ。
ストレスをぶつけたため幾らか冷静になった頭でそんなことを考えた。
カッキーはこたつの天板にお汁粉を並べて自分もこたつに脚を入れた。
「ほら、二人とも、それ一旦終わらせてこっち来なよ」
「はいはい」
生返事をしながらパソコンを畳んで俺たちもこたつに入る。
あぁ、やはりこたつはいいね。流石世界三大人をダメにするものの一角だけある。
ちなみに残りの二つは人をダメにするソファーと実家な。
「カッキー脚伸ばしすぎだろ。超狭いんだけど」
「こういうのは早いもん勝ちだろ」
「だよねー」
「…………」
退かぬというなら押し通る!
下の畳を滑るようにして足を潜りこませる。低空飛行した足は油断しきった奴等の足を掬い上げそのまま退かした。
フッ、こたつ争奪戦では屈指の強さを誇る俺にはまだまだ勝てんよ。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
グッグッ、グイー、ゲシゲシ。
無言でこたつの中でどれだけ自分の面積を確保出来るか。つまり侵略戦争が始まった。
しかしどこまでいっても決着がつかず、埒が明かないということで全員あぐらをかいてコンパクトになることにした。
てか、一般サイズのこたつに俺たちが四人で入るとか無理だよな。普通。
ある程度落ち着いたところでカッキーが口火を切った。
「さ、年も明けたということでお汁粉で乾杯とするか」
「それ確か去年も言ってたよね」
「なんなら一昨年もな」
「うるせぇな! こういうのは形式が大事なの!」
それも去年言ってたな。そんなことを考えながらプルトップを上げた。
そして缶を軽く上に上げた。
「それでは、新年もお互い健康に頑張りましょう。乾杯!」
『かんぱーい!』
コツンコツンと缶をぶつけ合い一口煽る。
お汁粉の暖かさと甘さが腹の底からじんわりと体全体に広がる。
思わずおっさん臭い言葉が漏れた。
「あー、染みるなぁ」
そして更にもう一口煽る。
目の前を見れば楽しげに笑う友達。なんだかんだ文句を言いながらもこういうのも悪くないと思う自分もいる。ここでこうしていると高校時代を思い出す。
あの時はいつでもなんでも楽しくて見るものすべてがキラキラ輝いていた。
でもその青春と呼ばれる時間が過ぎ去ってもそれに負けない時間を過ごすことだって出来る。例えば、今こうして笑っているように。
だから俺たちの青春はいつまでも終わらず、どこまでも続くのだ。
了
「あれ? なんか忘れてね?」
「お前の気のせいじゃなくて?」
「いや、そんなはずないんだよ。なんかっていうか……誰かっていうか……」
喉に小骨が引っ掛かったかのような感覚。
あと少しの刺激で思い出す気がするんだが……なんだっけ。
俺が一休さんよろしく唸っていると唐突に部屋の扉が開いた。
その人の姿を見たとき全て察した。
「皆、ハッピーニューイヤー」
「加古……さん……」
そういえば今日はオペレーターが休みだったり他の隊のオペレートしていたりで人数不足だったところに加古さんが颯爽と現れ、「私がやるわ」と言ってくれたのである。その時はホントに感謝してた。その時は。
今は? そうだな。遺言とか考えてるかな。
加古さんが手に持った寸胴鍋を眺めながら。
俺は震える声を振り絞り、それを指差した。
「ちなみにそれはなんですか?」
「炒飯をお雑煮でリゾットにしてみたの。お正月だし皆も食べるでしょ?」
食べるわけねぇだろ!
そんなことストレートに言える奴がどこにいるんだよ。言えるわけねぇだろ。目が全然笑ってねぇんだぞ。マジで怖い。
だから俺たちにはもう首を縦に振ることしか許されていなかった。
前言撤回。青春どころか俺たちの人生が終わるかもしれません。
とりあえず言いたいことは全国のテニスサークルの皆さんすいません。しかしこれはあくまで霧島くん個人の意見でありまして私の意見など欠片も入っていないことをここに明記しておきます。