社畜に恋は難しい   作:小林 陽

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わーい、メリークリスマ〜ス(白目)
言いたいことは色々あると思いますがとりあえず読んでもらえれば幸いです。


◆ 例えばこんなメリークリスマス

  とある休憩室での一幕。

  風間隊のイケメン担当歌川くんがふとこんなことを言い出した。

 

「キリさんってどれくらいまでサンタさん信じてました?」

「バカヤロー!」

 

  それを聞くやいなや俺は歌川くんの頬をビンタした。

 

「なんてことを言うんだ! 三上ちゃんも風間さんもまだ信じてるんだからな! バカ言うんじゃない!」

「バカはお前だ」

 

  その言葉とともに頭に思いっきり拳骨を落とされた。

  首が勢いよくカクーンと下がり首を痛める。間違いなく筋いってますありがとうございます。

  しかし、風間さんはどうやって俺のこと殴ったんだ? 身長差20センチくらいあるはずなんだけどな。と思って足元を見たらソファーに乗ってた。しかも律儀に靴脱いでるんだが。

 

「三上はともかく俺が信じてる訳がないだろう」

「わ、わたしも信じてないですよ!」

「いやいやゴメンね三上ちゃん。歌川くんがうっかり口を滑らせたばかりに夢を壊しちゃって……」

「だから信じてないですって!」

「分かってる……分かってるよ」

 

  子どもを見守る子どものような目で優しい目をしていると三上ちゃんは必死に違います!と俺の体をグラングランと揺らして否定の意を示す。

  あははー、三上ちゃん。そんなに揺らすと風間さんにやられた首が余計痛んじゃうなー。これから割りとハードな死事が残ってるんだけどなー。

  そんなことを考えていると三上ちゃんが衝撃の一言を発した。

 

「わたし歌川くんより年上なんですよ!」

 

  瞬間世界が凍てついた。

  なん……だと……。三上ちゃんが歌川くんより年上?

  三上ちゃんが高2なのは覚えていた。しかし歌川くんってどうみても高1に見えんよ。なんなら俺より落ち着いてて全然大学生に見える。

  それにほら風間さんと並んでると……ね。

 

「いってぇ! なにするんですか!」

「お前がなにか言いたそうな顔をしていたからな。主に俺の身長のことを」

「ソンナコトナイデスヨアハハー」

 

  あらやだ風間さんエスパー?ばっちり心見透かされてるんですけど。

 

「そういえば三上ちゃんって兄弟いっぱいいたよね? 年は幾つだっけ?」

「上から10歳、5歳、3歳です」

「その子たちにはもちろんサンタさん来るでしょ? その時に三上ちゃんのところにだけプレゼントないと怪しまれちゃうんじゃないの?」

「大丈夫ですよ。両親が仕事で忙しいのでわたしがプレゼント買いに行くんですけどその時に自分の分は買って置いておくので」

「聞いてもいいかな? それっていつから?」

「えーっと、志歩が小学生になったときからだから……四年前ですね」

「そっか、大変だね」

「そんなことないですよ。それに……わたしが一番お姉ちゃんなので」

 

  そう言って三上ちゃんは笑って見せた。しかし俺にはその表情がどうにも寂しげに見えた。

 

「……もう買ったのか?」

「なにをですか?」

「今年のクリスマスプレゼントだ。もう買ったのか?」

「いえ、まだですけど……」

「そうか……じゃあ霧島。一緒に行ってこい」

 

  いきなり名指しされて思わず声が出た。

 

「えっ!? なんで俺なんですか?」

「なんだ、嫌なのか?」

「嫌とかそういうんじゃなくて普通に死事が……」

「そっ、そうですよ! そんなのキリさんに悪いですよ! ただでさえ忙しそうなのにそんな……」

 

  その言葉を聞いて俺は飛び出しかけた言葉を引っ込めた。

  ちくしょう。この人これが狙いかよ。ズルイ人だ。

 

「あー、三上ちゃん。それいつ行くんだ?」

「え!? いや悪いです! 大丈夫です!」

「出来れば明後日以降にしてもらいたいんだけど大丈夫?」

「大丈夫ですけど……って! ホントにいいんですか?」

「大丈夫大丈夫。先輩に任せておきなさいって」

 

  三上ちゃんの頭をポンポンと叩きながら俺は立ち上がる。そしてマッカンをゴミ箱に投げ入れ部屋を出る。

 

「あ、そうだ。予定が決まったらメールしておいてね」

 

  それだけ言い残して俺は休憩室を出た。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

「だいたいさぁ! なんだってこんなに仕事があんだよ!」

「しょうがないだろ急に休みの申請したんだから!」

 

  あの後俺は即行で本部長室に向かい、部屋にはいるやいなや土下座した。

  流石の忍田さんもドン引きだったが事情を話してもう三点倒立しそうな勢いで頼み込んだら「なんとかしよう」と言ってくれた。

  まぁもちろん大量の死事とともになんだけどね。

  こんなんは予想の範疇だったんだよ。でもね、これ明らかに二日分以上あるよね。

  どう考えたって終わるわけがないので風間さんとか迅とかカッキーとかに押し付けた。嵐山は忙しいので声をかけなかったのだがふらっとチームで来て手伝ってくれたりする。嵐山隊には今度焼き肉とかおごらなきゃいけない。たぶん俺いけないだろうからお金だけ渡すことになるんだろうけど。

  え? カッキー? カッキーはほら、アレだよ。暇そうでしょ? どうせ放っておいても男女仲良くバスケとかスポーツに興じるくらいしかないんだからここで死事させておいた方がよっぽど彼のためになると思うし有意義だと思うんだ。これは別にリア充への妬みでも嫉みでもないから、全然悔しくなんかないから。

  俺の横で書類を抱えたカッキーが恨めしげに呟いた。

 

「そもそもなんでお前がこんな必死になるんだよ。風間さんに言われたってだけじゃないだろ?」

「……別にいいだろ」

「よかねーよ。こんだけ人巻き込んで別にじゃすまねぇだろ」

 

  それは確かにもっともだ。俺は素直に納得して口を開いた。逃げ場がなかったってのもあるが大きな理由は友達にあまり嘘はつきたくなかったのだ。

 

「…………三上ちゃんが兄弟多いの知ってるだろ」

「あぁ、そりゃまぁな」

「あの子さ、根っからのお姉ちゃん気質だから皆に甘えられてるけどさ、たまにすげぇ寂しそうな顔するんだよ」

 

  本当はここでやめるはずだった。あまり言い過ぎても三上ちゃんに悪いしそれが礼儀だと思っていたから。

  でも話してしまったのはたぶんカッキーだったからだと思う。

 

「特に親の話になるとすげぇ寂しそうなんだよ。たぶんずっと我慢してきたんだよ。それにさ、なんつーかあの子結構損な性格してるじゃん。頼られたら断れないっていうかひとりで抱え込んじゃうっていうか」

「…………はぁ、バカか。お前は」

 

  バシッと割りと強めに後頭部を叩かれる。なんか俺最近叩かれてばっかじゃね?

 

「んだよ、いったいなぁ」

「損なのはお前こそじゃねぇか。それを素直に言えばいいんだよ」

 

  カッキーはそう言って立ち上がると俺が渡した以上の書類を持って立ち上がった。

  そして

 

「焼き肉だからな!」

 

  振り向きそう言い残して部屋を出ていった。

  はぁ、と深いため息を吐いて椅子に思いっきりもたれ掛かる。

 

「どっちが損な性格なんだか……」

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 三門市の隣、四塚市の一番大きなショッピングモールの中に入っているこのラーメン屋。ここがこの世で一番美味しいとんこつラーメンを出すお店だと三上歌歩は確信する。

 もちろんスープや麺を単体でみてもかなりクオリティが高いがコシのある太麺に絡み付くこってりスープが暴力的な旨味を生み出し、更に分厚く切られたチャーシューがそれに拍車をかけている。

 一口、二口と次々と麺を口に運んでいるとそろそろ野菜がスープでしなしなになったのが分かった。

 中盤戦に突入したのだ。

 と、また意気揚々と箸を伸ばし、口への運んでいる途中にふと気づいた。

 完全に柊のことを忘れていたのである。

 恐る恐る伺うように顔を上げて柊のことを見るとばっちり目が合ってしまった。

 思わず目を逸らす。

 目が合うということは向こうも自分のことも見ていたということであって……。

 急速に歌歩の顔が真っ赤に茹であがった。

 

 ――もしかして見られてた!? 食い意地の張った女だと思われてる!?

 

 そっと、静かに箸を置いておしぼりで口の周りを拭く。

 それを見て柊は勘違いしたのだろうがキョトンとした顔で聞いてきた。

 

「あれ、食べないの?」

「え……あの……いえ……」

「あんなにおいしそうな顔して食べてたんだから好きなんじゃないの?」

「そう……ですけど……」

 

 ちろりと柊を伺う。すると柊はなにかを察したような顔をして自分の丼から脂できらきらと眩いほどの光を放つ至宝(チャーシュー)を差し出してきた。

 

「いる?」

「そんなっ、悪いですよ……」

「そんな顔で言われてもなぁ。いいから遠慮せずにもらっちゃいなさい」

 

 そこまで言われたら断れない。こんなに言ってくれてるのに断ったら柊のメンツにも傷がつくだろうからしょうがない。あくまで柊のためにこれをもらってあげよう。

 自分への言い訳を完成させて三上は少し腰を浮かして、前のめりになり柊が差し出したチャーシューを口に入れた。

 一噛みごとに溢れ出る脂が体に染み渡り、幸福感に満たされる。

 ほぅ、と小さく吐息を漏らし、目の前を見ると薄い微笑みを浮かべている柊と目が合ってしまった。

 

「な……なんですか?」

「いや、おいしそうに食べるなぁと思ってさ」

 

 その言葉に思わず顔を伏せる。単純に恥ずかしかったのだ。

  れんげをそっと取り母親が食べていたように麺をれんげに取って気持ち上品に食べる。

  正面からクスッと笑い声が聞こえて歌歩はバッと顔を上げた。

 

「黙って食べてください!」

「はーい、すいませーん」

 

  柊はニヤニヤとした笑いを浮かべたまま間延びした声で謝って自分のラーメンをズルズルと啜りだした。

  歌歩の頬は更に赤みを増していく。

  この世で一番美味しいラーメンの味も今は分からなかった。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

  妹たちの分を購入し、残るは弟のリクエストを残すのみとなった。

  それを買うために本屋へと二人は本屋へと向かった。

 

「柊さんって本好きですか?」

「好きだよ。図書館のヘビーユーザーだったからね」

「じゃあ『僕たち』シリーズって分かりますか?」

「知ってるよ。懐かしいなぁ。すごい好きだったんだよなぁ……」

「……それを欲しいって言ってたんですけど、わたしはちょっと知らなくて……」

「……確かもう絶版になっちゃったんじゃなかったかな」

「え、それじゃあ……」

「あぁ、大丈夫だよ。俺が持ってるのあげるよ。たぶん家にあるんじゃないかな」

「そんな、悪いですよ!」

「もう俺も読まないからいいよ。むしろもらってくれた方がありがたいな」

 

  そこまで言われたら断ることもできない。歌歩は素直に頷いて「ありがとうございます」と言った。

  柊は微笑んで歌歩の頭をポンポンと叩いた。

  いつもは温いその手つきが今回はなんだか寂しげに感じた。表情を伺ってもその顔には笑顔がベッタリと張り付いていて分からなかった。

  でも、その表情はいやに歌歩の心をざわつかせた。

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「お、おじゃましまーす」

 

  一応ボーダーの施設ではあるのでおじゃましますというのには若干の違和感があったがリビングに入るとその感覚も霧散した。

 

「おかえり〜っておっ、三上ちゃんだ」

「久しぶりだね〜」

 

  二人並んでテレビを見ている光景はまるで本当の家みたいでここに流れている雰囲気あるいは空気といったものだろうか。それが独特の暖かさを感じさせた。

 

「どうしたの? ……まさか無理矢理? 分かった警察にって痛い!」

「捕まるっつーんだよ。三上ちゃんJKだぞ」

「うわぁ古っ。今時JKとか言う人いるんだ」

「え? まだ普通に使うよね? もしかして死語?」

「死語だって知らずにドヤ顔で使って若者ぶってた人がここにー!」

「……まぁ、とにかく三上ちゃんお客さんだからおもてなししてあげて宇佐美ちゃん」

 

  迅の首を絞めつつ両手を合わせてそう言った柊に宇佐美は「それも古いよね」とぼやきながらキッチンへと消えた。

 

「そんじゃあ俺はちょっと行ってくるわ」

「え、あ……はい」

 

  柊はそう言ってリビングから出ていってしまった。

  残されたのは白目を向いてぐったりとソファーにもたれ掛かる迅とその隣に小さくなって座る歌歩である。

  別にここに来るのは初めてではないのだが前回来たときの違いはたぶん柊への気持ちの違いなのだろう。

  あの時はまだ自分の気持ちをはっきりと把握できていなかったのだ。

  でも、今は痛いくらいに分かっている。分かってしまったのだ。

  あの人はたぶん――

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

  俺がほとんど掃除が出来ていないためホコリを被った本棚の奥。

  そこに三上ちゃんが言っていた『僕たち』シリーズがある。

  『僕たち』シリーズは高校生の男女が日常の中に起きる小さな謎を解いたり解かなかったりする話である。どちらかといえば登場人物の心情に重きをおいた物語で俺たちはそれのリアルさに惹かれていた。

  強烈な懐かしさを感じながら背表紙を手でなぞる。

  ふとあることに気付いた。

  一巻だけ足りないのだ。この物語の集大成とでも言うべき最終巻だけがすっぽりと抜け落ちていた。

  顎に手を当て、記憶を探る。

  さほど時間もかからずに答えは見つかった。

 

「…………あぁ、そうだ…………」

 

  部屋を出て隣の部屋の扉を開ける。

  目に飛び込んでくるのはあの日とまったく変わらない状態でまるで美術館の展示品のように保存されたあいつの部屋。

  ただここはあいつの匂いもしなければ暖かさもない。

  これを見るたびにあいつはもういないという現実を突きつけられるのに、寂しさに押し潰されそうになるのに片付けることが出来ないのは何故だろう。

  まぁ、それは考えても仕方がない。今まで考え続けて出なかったのだから後でいい。いつかでいい。

  そう結論付けて部屋に入る。

  あいつが死んでから部屋の掃除は俺がやっている。

  だから、あれの場所は分かっている。あの日からずっと変わらない。

  机の上に乗ったひとつの物語。俺もあいつも大好きだった本の最終巻。

  これの発売日は大規模侵攻の前日だった。

  どうしてあの時先に読ませてやることが出来なかったのだろう。

  ページを開く。

  栞は物語のラストシーンの一歩手前の位置に挟まれている。

 

『人の死は辛いよ。でもねそれを認めてその子の分まで生きてやることが大切なんだと僕は思う』

 

  担任が主人公にかける言葉が目に入った。

  これを読んだ当時はそれが正しいことなのだろうと思っていた。

  でも、今は違う。

  俺は絶対に死んでいった人のためになんて生きてはやらない。俺に一言もなく勝手にいなくなった奴のことのために生きてなんてやるもんか。文句があるなら直接言いに来やがれ。

  はぁ、と息を吐く。

  俺はダメだな。あの子には笑って渡したいのにいざ渡そうとすればこんなにも後悔ばかりだ。

  本を持ってベッドに倒れこむ。

  それから俺は少しの間目を閉じた。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

  柊が戻ってきたのは30分近く経った後だった。

  柊は大きな袋を歌歩の隣に優しく置いた。

 

「はい、メリークリスマス」

「……ありがとうございます」

 

  言いながら歌歩は柊の笑顔を眺めた。

  なんだろう。この言い表せない感覚は。

  喉に刺さった小骨のような、梅雨の湿気のような、そんな気持ち悪さがそこにはあった。

 

「どうしたの? なんかついてる?」

「……いえ、なんでもないですけど……」

「けどどうしたの?」

 

  やっぱり何かが変だ。いつもの柊ならきっとここまで踏み込まない。人が言いたくないことを言わせるような人ではないのだ。

  やはり今の柊はなにかがおかしい。

 

「何かあったんですか?」

「……何にもないよ。あったとすれば今日のどら焼きはつぶあんだってことじゃない?」

 

  俺こしあん派なんだけどな。とぼやきながら柊はどら焼きをかじる。

  違和感は消えないままなのに柊の立ち振舞いはいつもと変わらぬままだ。

  だから踏み込めなかった。

  なんだかその姿は痛みを隠す野生の獣のようで酷く脆く、しかし美しかったから。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

  昼過ぎ、死事部屋のベッドで目を覚ませば枕元に筆箱大の箱が置いてあった。

  なんだこれドッキリ?

  この年になってまでサンタさんなんて信じられんぞ。

  ぼんやりとして締まりのない頭でそんなことを思いつつも箱の包装を丁寧に剥がすとそこには宇佐美ちゃんからもらったメガネケース。いやメガネ入ってないからただのケースだな。

  そのケースの中に僅かな重さを感じて開けてみる。

  そこにはあるはずのないものがあった。

  黒縁のシックなメガネがそこにあったのだ。

  確かこれこの前メガネ屋で見たブルーライトカットのやつだな。

  死事でパソコンに向き合うため目がボロボロになっている俺には普通にありがたい。

  そのメガネの下に小さな手紙のようなものを見つけた。

  そこには女の子らしいまるっこい字で

 

『メリークリスマス! 健康に気をつけてお仕事がんばってください!』

 

  と書いてあった。

  三上ちゃんの優しさがホントにありがたい。

  君だけだよボーダーの中で俺の体調を心配してくれるのは……。

  三上ちゃんの優しさをひしひしと感じながらも俺は小さく笑った。

 

  ――まさかこんなことがあるとはねぇ……。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

  クリスマスの目覚めは毎年早い。

  枕元にあるプレゼントをみた弟妹たちが騒ぎだしてそれどころではないのだ。

  襖一枚挟んだ向こうできゃっきゃと声を上げる弟妹たちの声を目覚ましに歌歩は目を開ける。

  時計を見ればまだ7時。休みなのだからもう少し寝ていたいと思うのは仕方のないことだと思う。

  歌歩はぼやけた目を擦りながら時計の横をじっと見る。ピントが合った目に飛び込んできたのは赤と緑のクリスマスカラー。

  やや不審に思いながら手に取り包装を丁寧に剥がす。

  そこにはどこか見覚えのあるメガネケース。

  首を傾げてそれを開けるとそこには歌歩が柊に上げたものとまったく同じメガネがそこにあった。

  忘れもしない。この前買い物に行った時柊が似合ってると言ってくれたものだ。

  そしてなにより自分が柊に贈ったものである。

 

「…………へ?」

 

  寝ぼけた頭では状況が整理しきれず変な声がついて出た。

  まだ混乱しているがとりあえず歌歩はメガネを手に取り、かけてみる。

  そして似合ってるかどうかを確認するためによたよたと洗面所へと向かった。

  歌歩開けた襖からひんやりと冷たい風が吹き込み、メガネの下に置いてあった。小さな紙がヒラヒラと舞った。

  そこには

 

『メリークリスマス! 健康に気をつけて防衛任務頑張ってね』

 

  とあった。

  ひょんなことからやたら文面が似通っていたことが判明したり、お互い同じメガネをかけてばったり遭遇してなんだか気まずくなったりするのだがそれはまた別の話である。

 

 

 

 

 ***

 

 

 

  一方その頃、ボーダーの企画でカメレオンを用いて三門市の子どもたちにプレゼントを配りまくった風間隊とオペレーターの霧島柊がくたばっていたのだがこれもまた別の話である。

 

 

 




本当はクリスマスにあげるはずだったんですが死ぬほど忙しかったのと長くなったのとでこんなに遅くなってしまいました。 申し訳ない。
さて、皆様は今年はどうもありがとうございました。皆様のおかげで書きつづけることができます。本当にありがとうございます。
そして新年もよろしくお願いいたします。
では、メリークリスマス。そして明けましておめでとうございます。
どうでもいいんですがわざわざ靴を脱いでソファーに上がる風間さんがかわいいと思いました。
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