IS/Extra・observer   作:Akabane

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5話

~白乃〈ハクのん〉【視点】~

 

 

「では、ここまでで質問のある人ー?」

 

 

ふむ、山田先生の授業は面白い。月見原で習ったところの復習となっているが、教える先生によって新しい解釈の仕方なども教えてくれるので、今まで気づけず流してしまっていた場所にも目が行き新しい発見もできる。小説を2、3回読み直す感覚に似ている。それに授業に抑揚をつけてくれたりしてくれるので、凡人の私にとっては大変ありがたい。

 

「織斑くんなにか質問ありますか?」

 

「あ゛ぁ゛、えっと・・・」

 

「あったらなんでも聞いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

 

山田先生が一夏に確認している。

物事に疑問を持つことはいいことだ。そして目の前には答えてくれる人がいる。参考書を配布されているとはいえ一夏はあの日、ISを起動するまでISのことよく理解しようとはしていなかっただろう。なら今はよくわからないことも多いはず。今の織斑一夏は雌伏の時、まだ時間はある。ならゆっくり英雄を育てるとしよう。・・・・・しかし、英霊になると宝具はISなわけか・・・強そうだ。そんなことを考えていると一夏が手を挙げた

 

「先生・・・」

 

「はい!織斑くん」

 

「ほとんど全部わかりません」

 

「っえ・・・・全部ですか?」

 

おや?

 

「今の段階で、わからないって人はどれくらいいますか?」

 

誰も手をあげることはなかった。みんな優秀だ。

 

「岸波君達は大丈夫ですか?」

 

「問題ありません。むしろわかりやすいです」

 

「そうですか、よかったぁ」

 

 

山田先生は白野が答えた言葉に安心したような表情を見せる。私たちだって、だてに月見原に通っていたわけではない。まぁ最初は私と白野も参考書片手に凛やラニによくお願いして勉強したものだが。昔を思い出していると山田先生の隣で授業の様子を見ていた織斑先生が口を開いた

 

 

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

「えーと、あの分厚いやつですか?」

 

「そうだ。必読と書いてあっただろう」

 

「いや、間違えて捨てま 

ッバシコォン!

痛ったぁぁ」

 

 

うん、出席簿で叩かれるのは痛そうだ。

 

 

「再発行してやるから1週間で覚えろ。いいな?」

 

 

「いや、一週間であの厚さはちょっと・・・」

 

確かにあの厚さは時間があるならともかく一週間では読み終えられるか終えられないかくらいはある。

 

「やれと言っている」

 

・・・・スパルタだ。いやアレも彼女なりの愛情なのだろう。一夏はうなだれている。彼が私たちを頼るならラニ直伝の効率重視の速攻暗記勉強法を伝授しよう。そして授業は再開した

 

 

 

⦅休み時間⦆

~白野〈キシナミ〉【視点】~

 

 

先程の授業が終わり、僕と白乃は早速一夏の勉強を見ることになった。一夏の参考書が再発行される間のつなぎとして、自分の参考書を貸し出すことにした。めちゃくちゃいい笑顔で「ありがとう」と言われた。隣の白乃が小声で「まさか・・・一夏もドンファン・・・いや、よそう、私の勝手な推測でみんなを混乱させたくない」・・・・・あえてここはノーコメント、スルーしておこう。

 

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 

いつの間にか綺麗な長い金髪をロール巻きしたいかにもお嬢様然とした少女がいた。どうやら一夏に用事があるらしい

 

「へ?」

 

「まぁ!なんですのそのお返事、わたくしに声を掛けられることだけでも光栄なのですからそれ相応の態度というものがあるのではないかしら?」

 

彼女は確か・・・イギリス代表候補生、セシリア・オルコット・・・・だったはず。白乃もうなづいてくれたので合っているだろう。

 

「悪いな、俺、君がだれなのか知らないし」

 

 

それはそうだろうな。HRの時、自己紹介は自分と白乃で終わってしまったのだ。加えISをあまり知らない一夏では自国の代表ならともかく、他国の代表候補生まで知ってるかどうかすらも怪しい。しかし、この少女はそれが気に食わなかったらしく、一夏の机を叩き大きな声を出した

 

「わたくしを知らない!?セシリア・オルコットを!?イギリスの代表候補生にして入試主席のこのわたくしを!?」

 

代表候補生のことはともかく、顔も名前も知らなかった人間の成績を気にすることの方が少ないだろう。実際、3年間通った学校でも一番の成績を取った者の名前を憶えている方が稀だと思う。いや、でもこのIS学園で入試主席はとても凄いことだ。知っての通りこのIS学園は世界各国の若者が集う場所。その中で一番は並大抵のことではなれない。

 

「あ、質問いいか?」

 

「ふん、下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくてよ」

 

「・・・代表候補生って何?」

 

ッガタガタガタン!

周りのみんながズッコケた。セシリアさんの顔も引き攣っている。コラ、笑うな白乃、僕まで笑いそうになるだろ。まぁ、僕と白乃は一夏の言動もあるが、どちらかといえばクラスメイトの反応の良さが面白いのだ。

 

「あ、あ、あ」

 

「あ?」

 

「信じられませんわ。日本の男性というのは皆これほどまでに知識に乏しいモノなのかしら?常識ですわよ、常識」

 

 

サラッと(おそらく)日本人生まれの僕も入れられているような・・・、とゆうか、僕たちの存在は目に入っていないのだろうか・・・、入ってないんだろうなぁ、時々存在が希薄とか言われるくらいだし。まぁ彼女が言う通り、確かに常識ではある。代表候補生とは字を読んで如く国家代表IS操縦者の候補生なのだから

 

 

「で、代表候補生って?」

 

「国家代表IS操縦者のその候補生として選出されるエリートのことですわ。単語から想像したらわかるでしょう?」

 

「そういわれればそうだ」

 

一夏も納得したようだ、よかったよかった。

 

「そう、エリートなのですわ。本来ならわたくしのような人間とクラスを同じくするだけでも奇跡、光栄なのよ」

 

なんだろう・・・今、五停心観術式が起動しかけたんだが・・・どうやら白乃もらしい

 

「その現実をもう少し理解していただける?」

 

「そうか、それはラッキーだ」

 

馬鹿にしてるのだろうか?いや、まだ少ししか関わっていないが一夏の人柄上まずありえない。あれは素なのだろう

 

「馬鹿にしていますの?」

 

セシリアさんの声のトーンが下がった

 

「お前が幸運だって言ったんじゃないか」

 

「大体、何も知らない癖によくこの学園に入れましたわね。唯一男でISを操縦出来ると聞いていましたけど期待外れですわね」

 

「俺に何かを期待されても困るんだが・・・」

 

「ふん、まあでも、わたくしは優秀ですからあなたのような人間にも優しくしてあげますわよ。わからないことがあれば、まぁ・・泣いて頼まれれば教えて差し上げてもよくってよ?なにせわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートなのですから」

 

「教官なら俺も倒したぞ」

 

「はぁ!?」

 

「倒したっていうか・・・」

 

「会話に乱入するようで悪いが教官なら私も白野も倒したのだが・・・」

 

うん。僕も教官を倒してる

 

「っな!?」

 

「あ、キシナミとハクノも倒したのか、でも俺のっていきなり突っ込んできたところを躱したら壁にぶつかって動かなくなったんだけど」

 

どんな結果であれ一度対峙した相手が動けなくなり自分は動けるならそれは君の勝利でいいだろう

 

「そっか、ありがとうなキシナミ」

 

「・・・わたくしだけと聞きましたわ・・・」

 

「この学園の女子ではってオチじゃないか?キシナミ達は元々月見原の生徒だし」

 

 

一夏は次の授業の準備を始める。自分たちは既に席に用意してあるのでもう少しここで会話を聞いていていても大丈夫だろう

 

「あなたは!あなたも教官を倒したっていうの!?」

 

「えっと、落ち着けよ、な?」

 

「ッ、これが落ち着いていられ」

 

そこで予鈴がなった。席に戻ろう

 

「話の続きはまたあらためて、よろしいですわね」

 

 

 

 

⦅放課後⦆

~一夏【視点】~

 

今、俺は岸波達と一緒に寮に向かっている。あの後、今日の授業がすべて終わり、先程までこの二人に勉強を教えてもらっていた。1、2時間でしかないが二人の教え方がうまかったため大分はかどった。二人の声はなんだか心地よくスッと頭に入ってくるから内容が覚えやすいのだ。面白いほど頭に入るからもうちょっと進めたいと思ってしまったりした自分に驚いた。その後、教室に山田先生と織斑先生が現れ部屋の鍵を渡され今日から寮暮らしとなった。

 

 

「なぁ、2人の部屋は何号室なんだ?俺は1025室なんだけど」

 

「私たちは1028号室だ。いつでも気楽に来てくれればいい。ただノックはしてくれたまえ着替え中だとさすがに困る」

 

「勉強、雑談、娯楽。なんでも付き合うよ」

 

「ははは、サンキュな2人とも。でも何でここまで親切にしてくれるんだ?」

 

 

そう何気なく聞いてみるとキシナミの方がまず答えた

 

 

「親切になんてしてないよ。下心くらいある。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

 

そう聞くと次にハクノが引き継ぐように言う

 

 

「一夏、君はとても稀有な存在だ。だから私たちは君の行く末にとても興味がある」

 

そうして、2人は優しく微笑んだ。夕日が差し込む二人の笑顔は日常を象徴するように綺麗だった。

 

「ふふ」「はは」

 

「なんだよ」

 

キシナミが口を開く

 

「いや、何でもない。一夏、君がもし強くなりたいと思うなら、及ばずながら僕たちが君を鍛えよう」

 

そしてハクノが続ける

 

「君が強くなるためにすべきことはまず事を知ることだ」

 

「「情報を蒐集し、展望を熟考し、覚悟を胸に選択せよ。そうすれば、君は・・・強くなるだろう」」

 

 

演技めいたその言葉に俺は一瞬、呼吸を忘れていた

 

 

「さぁ、早く戻ろう。私はお腹が空いた」

 

「食堂の料理、おいしいといいね」

 

「私は不味くてもいい。ただ、テロくなければ何でもいいんだ」

 

「やめてくれ。思い出しちゃったじゃないか」

 

 

俺は今、自分の心の中にあるモヤモヤの様なもの感情の名前を知らない

 

 

to be continued




大分切りました編集ばかりでごめんなさい



それではまたお会いしましょうノシ

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