主(マスター)は絡繰仕掛けの魔術師 作:理想の人形師
のリメイクバージョンとなります。
大まかな所は変わっていませんが、一部の文が変わっていたりします。お気をつけください。
……君は、人形ってものを知ってる?
いや、知らないはずはないよね。
よく、子供のおもちゃに使われる、人の様なもの。
これはただのおもちゃ、だけれど世には精巧に作りたがる人もいる。たかが飾り物や、遊ぶための遊具だったとしても、それに拘り、完璧を求めて作り上げる者たちが。
それは、人形というおもちゃではなく、本当の人として作り上げたいがために、自らの心血を注いで作り上げる。
そういう人たちが作り上げた人形は、まるで生きているようで… いや、むしろ生きているのかもしれない。
その人形達は非常に美しくて、現実にいないような程で、見入ってしまう。でも、いくら生きているみたいといえど、人みたいに動く事は無い。そう、その筈なんだ……
もう一つだけ……
この時代で、魔術というものを信じるかい?
よくファンタジーである、火をつけ、水を生み出し、風を吹かせる様なものもあれば、実際に行われたであろう錬金術。
こんな、非現実的なものが魔術。
本来であれば、そんなまやかしはない筈だ。
昔であれば、あったかもしれないし、なかったかもしれない。
この世界では……本来であれば、ない筈の力だ。
でも、それは発現できるようになっている
きっと、何かが入り込んだんだ。本来のものでない、何かが。その正体はきっと現れる。何らかの形で。
それは誰か。
それとも何か。
人形劇の…幕は上がる。
ーー悲壮な人形劇に、創られた心は何を想うかーー
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「……!」
暖かいベッドの中で、目が開く。
窓から見ればもう時間は朝。
布と布の間から差し込む光が目に入り、少し痛い。
ぱちぱちと瞬きをすれば、重い半身を起き上がらせる。
その節は、軋む音を立てながら。
「………夢、なのか…?」
俺は頭の中で思った。
そう思う理由は、妙に夢の記憶が鮮明すぎるからだ。
まるで自分がその場にいて、見えない人物の話を聞いていて……話の内容も、何かが引っかかった。
急な人形の話……それは、まるで生きている人形の話だった。
気になるのは、もう一つ。
『魔術』……そう、俺には引っかかる理由としては十分だった。
「………ふざけやがって、夢の中ってのはどうしてこうも遊びたがるのか」
不服そうに舌打ちをして、そのベッドから降りる。
目を覚まそうと思い、洗面台へと向かおうとした。
その時だった。
受け取ったかもわからない謎の手紙が机にあった。
「……ん?手紙……?何だこいつは、受け取った覚えはないんだが」
不思議そうに思いながらも、その手紙を手に取り、中身を見てみる。きっと、おかしなものが入っているのだろうと俺は考えながら、その手紙の中身を見てみると……
「おめでとうございます、貴方は9767251人の中から厳選な抽選にて選ばれた幸運な人です。チェックをしたら返信用封筒に入れ、貴方の机の引き出しに保管してください、人工精霊レンピカが異次元より貴方の手紙を回収に参ります…」
ふとチェック項目に目をやった。
そこに書かれていたのは…
まきますか まきませんか
「まきますか まきませんか……怪しさが満点だ、こいつは……」
このまきます、はどういう意味なのだろうか。植物のように種を『撒く』なのかそれとも何かを『巻く』のか…
それを考えても答えは出ず、それに関しては放っておくにした。
それに、人工精霊やら、異次元やら。
しかも人形都まで書いている。
はぁ、とため息をつき、放っておこうと手紙を置こうとするが、何故か置けない。頭の中で、何かがまた引っかかる。
今朝の夢のせいなのか?
異次元、精霊、人形……このワードは、どことなく先程の夢に出てきている。あまりにも質の悪い夢だ。
いかにも怪しいと分かっているが、頭の中では
この選択が、自分の運命を変える
そんな気がしてならなかった。
俺は一度目を瞑り、深呼吸する。
その手紙に一瞥をくれ、近くにあったペンを持つ。
「………騙されたと思ってやってやる…」
俺はまきます、に丸をつけた。
ぶっきらぼうにペンを放り、手紙を封筒に入れ、適当に引き出しに入れてもう1度洗面台へ向かう。
取り敢えず、顔でも洗って目を覚まそう…そうすれば、夢から覚めるだろう。そう思って、顔を洗い始める。
今日1日が始まったばかりだというのに、あまりにも不可解なことが多すぎる。今日の夢、そしてついさっきの手紙…
またはぁ、とため息を付き、一言つぶやく。
「これも、夢なのか…なんて。」
つぶやいた瞬間、何処かで何かが落ちたような、鈍い音が聞こえた。何かが落ちてきたのかと少し不安だが、様子を見に行くことにする。たまたま1人暮らしだったので、ほかの人などいないはず、俺はそう思いながらもリビングへと向かった。
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リビングに着いたが、特に荒らされた形跡はなく、殆どがいつも通りだった。……ただ1点を除いて。
「……何だこれ…鞄、か?」
リビングにアンティーク品のような茶色の鞄が置かれていたのだ。こんなもの、頼んだ覚えもないので、誰かが置いていったのだろうか?
手紙を置いていたはずのテーブルを見るが、そこには手紙はなく、その代わりに鞄が置かれているようだった。
「………中身、見ていいのか?」
正体もわからない鞄、よくある展開だとこういうものにはよく罠が仕掛けられているものだが…どうしたものか、と思う。容易に開きそうなものでもなさそうで、警戒しながら開けようかと迷う。
「……まさか、本当に届いたりしてな」
冗談のように笑うが、ないとも言いきれない。
やはり、開けることを躊躇ってしまう。
「……迷っていちゃ何も始まらない……」
そうつぶやき、茶色の鞄を開ける。
それは容易に開き、俺は絶句した。
その中に入っていたのは……
「人……形……?アンティークドールか……?」
人形だった。
見た目は少年のようで、シルクハットに白いブラウス…青のケープと半ズボンを着ていて、髪は茶髪のショートカット。
……こんなよく作られたものを頼んではいないはずだ、と小さく呟けば、また頭を抱え始める。
その時、ついさっきの夢がもう一度浮かび上がる。
『世には精巧に作りたがる人もいる。たかが飾り物や、遊ぶための遊具だったとしても、それに拘り、完璧を求めて作り上げる者たちが。
それは、人形というおもちゃではなく、本当の人として作り上げたいがために、自らの心血を注いで作り上げる。
そういう人たちが作り上げた人形は、まるで生きているようで… いや、むしろ生きているのかもしれない。』
「………これが、生きているように……」
その目には眠っているようにしか映らない人形。
でも、動き出したらそれはそれで面白いのかもしれない。
そう思っていると、手は勝手に人形を触っていた。
ふにふに、ふにふに……
「これ、本当に人形なのか……?」
頬の部分を突っつくと、その感触は完全に人間のそれの様だった。なんだか、気持ちいい感触だ。このまま突っついていたい気がするが……その途端、また新しいものを見つけた。
金色の螺子……という事は、螺子を入れる穴があるのだろうか?人形の後ろを見てみると、螺子を入れる穴があった。
…あの『まきますか』と言うのは、螺子の事だったのだろうか……。そう思いながら螺子を差し込み、回し始める。
ある程度回すと、螺子は止まる。
人形から手を離すと…
「!?……勝手に……動いた……!」
それは絡繰人形なんかではなく、人と同じような動きをして、それは立ち上がった。紅と翠のオッドアイは、こちらを見つめている……
俺は何がなんだかわからない。
この状態も夢なのか?何が夢で、何が現実かの区別が少しつかなくなってきた。
目の前に立つ、少年とも少女とも取れる人形は、口を開く。
「…君が、僕の螺子を巻いてくれた人かい?」
「……ああ。俺が、お前を動かした。」
彼女の目には、不思議な銀髪の少年。
その髪で遮られた顔には、似たようなオッドアイ。
蒼と翠の目をしていて、その目は彼女を移すだけ。
その目には、不思議と自分と似たような……
彼女が思うには、そんな感覚があった。
透き通った目だけれど、それは作りもののような。
それ自体が、自分と同じじゃないかという感覚があった。
彼女は被っていたシルクハットを胸元に持ってきて、その状態でまた口を開く。
「ローゼンメイデン第4ドール、蒼星石。僕と契約してくれるかい?」
『契約』……そんな言葉が出ていた。
その言葉の意味が、俺にはわからなかった。
一体、何の契約だ?それを知らない俺は、何も言いようがなかった。
しばしの沈黙の後、俺は口をひらく。
「契約って何だ?それに、ローゼンメイデンとは何なんだ?」
「あっ……説明はまだだったね。じゃあ、説明するよ。」
俺の知らない言葉をたくさん出してくる。
その意味を知りたいがために俺は説明をしてくれと頼んだのだ。そうでも無ければ、俺はどうしていいのかわからない。これの味方になっていいのか…これと契約するとどうなるのか…何も知らずに契約するのは、得策ではないと考えた。
彼女は口を開き、説明し始める。
「まず、僕達ローゼンメイデンの説明を。僕達ローゼンメイデンは、幻の人形師……僕達のお父様、ローゼンに作られた人形達なんだ。僕達はこうして動くことが出来る人形で、僕達がここに来た理由は……アリスゲームをする為。」
「アリスゲーム……なんだ、それは?」
「僕達が生まれた意味は、一点の穢れもない至高の少女…アリスになるため。そのために、僕含めた7人の姉妹が生まれた。そして、この7人で、僕達のローザミスティカを奪い合う…そして、すべてのローザミスティカを手に入れた人が、アリスとなり得るんだ」
「………7つ、ね。1つの塊が、バラバラに砕けたような…その欠片のそれぞれを、1つづつ姉妹が持っているってことか?」
「うん、7つで1つの意味を成す…それがローザミスティカなんだ」
欠片を集め、完全な姿の物を手に入れたものが、至高の存在となり得る…だが、それは姉妹全員が目指すもの。
俺は思った。普通の人でもわかる。
目指すものが同じなら、それを渡すわけがない。
「……集める方法は?譲ってくれるわけじゃないだろ?」
「…だから、戦って奪うんだ。」
奪う、か…
大切なものを奪い合わなければいけないとは子供らしい。ましてやそれが姉妹だ。ただの喧嘩のように思える。
「……聞く限り、お前達の大切なものなんじゃないのか?」
「ローザミスティカは……僕達の原動力であり、人で言うところの心臓と同じだね。」
「……!!」
俺はまた絶句した。
原動力……心臓……?
それを奪い合う、つまりは……
「……殺し合いを……するってことか……?」
「…うん。残念だけど……」
二人共暗い表情になる。
こんなことを聞いて、悲しくならないわけがない。
姉妹として生まれてきたのに、姉妹と殺し合わなきゃいけない、そんなのは…有っていいのだろうか。
ただの喧嘩とは違う。命を賭けている。
でも、それでも拒否しないというのは…よほどの理由があるのだろう。俺は、心を痛めながらもそのことに関してはこれ以上触れないことにした。
「悪い…悲しいこと、聞いちまったな」
そう言うと、蒼星石は首を横に振って、いいんだ。と答えてくれた。どうして、心の中の罪悪感が消えない。彼女がいい、と言っているのに…俺はなんだかスッキリしなかった。
俺は、とんでもない争いに付き合ってしまうことになりそうだ。
「話を戻すね……そして、ついさっき言った契約とは……」
彼女がそう言い始め、少し目をそらした瞬間…
黒い翼ははためいた。
どうでしたでしょうか?
誤解力のない、非常に下手な文章ですがお楽しみいただけたらなぁ、なんて思います。
今回は主人公と蒼星石の出会いでした。
ちなみに蒼星石は私の嫁です←
次回は予想通りのあの方がお出ましに…
『悲壮な人形劇に 創られた心は何を想うか』