主(マスター)は絡繰仕掛けの魔術師   作:理想の人形師

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Act:12.5 無色の夢

「……マスター、もう寝たかな…」

 

辺りに光は無く、有るとしたら遠くの燐光程度の光が指す。あたりは静まり返り、聞こえてくるのは彼のすーすーという寝息程度。全員が眠りにつき、深い夢の世界に行く時間帯に僕は起きた。

 

僕は心の庭師。

人なら誰もが持っている心の木を育ててあげるのが僕達の仕事。僕は雑草を取り払って、心の木の成長を促してあげる。そのためにこの鋏があるのだから。

 

幸い、彼の心の木へ行くための扉は開いている。

 

「お邪魔するね、マスター」

 

同じく寝ている翠星石も起こさないように、その扉へと入った。

 

人の夢に入るのは、これが初めてじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ここが、マスターの心の木がある場所…」

 

そこには背景と言える背景はない。

あの時、nのフィールドに来た時のような…

ただ白だけが支配するその世界。…

立つ所にただ波紋が広がるだけ。

 

正面に目をやれば、そこには普通の大きさの木が立っていた。

でも、それはあまりにも不自然で、角張った葉、細すぎる枝、何かが集まったかのような幹…

それはもう木ではなく、正確に言えば

 

『木の形をしたスクラップの塊』

 

とでも言えばいいのか…

本来であれば、本物の木がここにある筈だ。

でも、ここにあるのはタダのオブジェのようなもの。

……これは、何を示唆しているのか…

 

スクラップ……金属……

連想していくと僕の頭の中には、一つのことが浮かんだ。

 

「……マスター、君は……」

 

マスターに同じ感じがしたのは、この事なのか。

君と僕は、こんな形で同じだったのか。

……いいや、こんな考え方はあまり良いとは言えない。

でも、示唆しているものは確かにそうだとしか考えようがない。

マスター……

 

「……僕は…………」

 

それでも僕は、彼に事実を伝えなければならないのかもしれない。

マスターが、『■■■■モノ』である事を……

 

僕は、マスターの夢に入っている夢を見ているだけなのだろうか?

これが、もし本当だとしたら……

いや、それでも僕は……

彼に付いていく。

 

人の理想を持つ、素晴らしきその思考の元に。

僕は付いていくと決めたんだ。

 

あまり長居しても疲れてしまいそうだ。

スクラップに絡みついた蔦を見て、少し、何かを考えた。

この雑草は、彼自身の心の成長を妨げるもの。

本当に考えた通りなら、こんなものは出てこないはずだ。

少し安堵した。

 

「……レンピカ。」

 

人工精霊の名を呼ぶと、大きな金の鋏になる。

鋏で蔦を断ち、せめてもの手入れをした。

 

「……無言で入ってごめんね、マスター。」

 

そう一言言い、彼の夢から出ていった。




非常に遅れた挙句、ここまで拙く短い文ですみません。
今回はリントの何かを示唆する回でした。
そろそろシリアスの合間になにか入れていきたいなと思います。
次回もまた見てください。



『人の理想を持つ、素晴らしきその思考の元に』


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