神崎蘭子のマネージャーは通訳?   作:スレ主

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………修羅場?



21話

「はぁーーー、とりあえず終わった」

「お疲れ様です」

 

終わるタイミングを見越したように机にお茶が置かれる。

 

「それで、どれくらい埋まりました?」

「二ヶ月先ですね、とりあえず成功したことでいいんじゃないですか?」

「充分な成果じゃないですかっ!!これから忙しくなりますねっ!!」

 

神崎と飛鳥のユニット「ダークイルミネイト」のサプライズデビューは大きな話題になり、多くのスポンサーが付き、歌番組やバラエティ、他にも声優の仕事など様々な仕事が入った。

元々二人の人気は事務所の中でも高かったがこのユニットデビューで更に人気も高まった。

 

「とりあえず、これからのスケジュールを二人に報告してきますね………っと」

「えっと………大丈夫ですか?」

「椅子に座りぱなしだったので」

 

そのまま北原さんにチェックをしてもらい二人に報告をする。

 

 

「と、まぁこれから忙しくなるってことだけは伝えとくね」

「本当に二ヶ月埋まってるな」

「うむ、我もここまで深き闇を見るのは初めてだ」

「それだけあのサプライズデビューが有効だったってことだよ」

「それじゃあ当分デートはお預けだねマネージャー」

「でっ、デート!?」

 

突然の飛鳥の発言に神崎が動揺している。

が、あくまでこっちは動揺しちゃいけない、落ち着いて対応しなきゃ。

 

「そうだな、まぁ適当に時間が空いたらな」

「なぁなぁにはさせないよ」

「へいへい、うんじゃ今日はこれだけだから」

 

そういって解散させようとしたらガシッと手を掴まれた。

 

「我が盟友、話がある」

 

………おい飛鳥なにこっちをみてニヤニヤしてる。

ちらっと神崎を見るとムスッとした態度をしているがそんなに怖くないのはなんでだろうな………

 

 

 

「飛鳥ちゃんと、でっ、デートとはなんだ?」

「あー、ちょっと野暮用で」

「むぅぅう」

 

俺の返答に納得が行かないのか物凄くほっぺを膨らませてる。多分過去最高かも。

 

「ただ二人でちょっと遊ぶだけだから」

「それが問題なのだっ!!」

「いや、そしたら俺と神崎めっちゃ遊んでるじゃん」

「うぐっ」

「それに飛鳥はお前のダチだろ?神崎がよくて飛鳥が駄目な理由もないだろう?」

「むぅぅぅ………分かった」

 

心の中でこっちも溜息を吐く、なんでそんなに怒ってんだよ。

 

「あぁ、それと神崎」

「………なんだ」

 

ジトッとこっちを見られるが怯まない。先ほど渡したスケジュール帳を見つつ。

 

「この日修学旅行だろ?」

「あ………もしかして行けぬのか?」

 

そんなにションボリした顔すんなよ。まだ説明の途中だ。

 

「いんや、この日は午前中で仕事切り上げて途中から修学旅行の参加するからさ」

「まことかっ!!」

「うん………まぁその代わりクラスで一緒に行けないから俺と二人になるけどな」

「我が盟友と?」

「そういうこと、うんじゃそのつもりでよろしくな」

「う、うむっ!!」

 

そのままどうにか解散させたが後ろからちひろさんに肩を叩かれる。

 

「修羅場ですねぇ」

「誰とも付き合ってないんですけど………」

 

おもわず溜息を吐くがクスクスと笑われるだけだった。

 

 

 

修学旅行当日

 

「うんじゃ、飛鳥は今日はここまでだから」

「あぁ、二人とも気をつけていってくるがいい」

「うむっ、古都の土産に期待するのだな」

 

仕事も終わり東京駅に向かい新幹線に乗る。

大体東京から京都までは2時間弱だ。

 

「我が盟友は駆ける馬に乗ったことはあるのか?」

「新幹線は初めて乗るかな、神崎は熊本から来た時は飛行機だった?」

「うむっ、なので我もこの駆ける馬は初めてだ」

 

などといつも通りの会話をする。

お互い黙る時間もあったがそれほど苦でなかった。

………というか外側だから陽の光が入ってすごく眠い。

 

 

 

 

side蘭子

 

トイレから帰ってくると我が盟友………和也は目を瞑っていた。

 

「我が盟友?」

 

声をかけても反応は無いので、寝ちゃったのかな?

………むぅ、もうちょっとお話したかったのに。

 

でも、授業中や仕事の休憩中ですら寝たところを見たことがないのに………

 

………意外と子供っぽい寝顔?

そもそも私達まだ子供だけど、なんか和也はそんな感じをさせないっていうか………

学校の時は男子のみんなと遊ぶ時は表情豊かって感じもするけど。

私の時は………むぅ、からかったり、真面目な顔したり、ジト目で見られたり、他には………あれ、結構いろんな表情してたかも。

 

………そもそもそんな表情してる時は恥ずかしいことばっかり言ってるからあんまり顔を見れてないのが原因かな?今度はしっかり見てみようかな。

 

それにしても本当に気が抜けてるなー………飛鳥ちゃんに写真送ろうかな。

とりあえず写真は撮っちゃおう。

 

………撮れた。

うん、よく撮れてるこれを飛鳥ちゃんに……そういえば和也と飛鳥ちゃんってデートするって………

むぅぅぅ………やっぱりダメ。送らないにしよ。

 

ジトッと和也を見ても当の本人は肩を上下に動かすだけ。

 

「前にも言ったが、貴殿は我が盟友なんだぞ」

 

指でチョンチョンと肩をつつくがユラユラと揺れるだけ。

 

「アイドルのマネージャーではなく、我が盟友なんだから………あっ」

 

つつきすぎて向こう側に倒れそうだったので服を掴むと今度はこっち側に倒れた。

和也の頭がいい感じに肩に乗って一瞬頭が真っ白になる。

 

えっ、えっ!!えっ!?

 

急激に顔に血が集まるのが分かる。

 

「か、かず」

 

大きな声を出しそうになったが彼の顔を見て口を紡ぐ。

 

 

穏やかな表情で彼は眠っている。

 

 

ただそれだけで私は冷静になれてしまった。

言葉では形容しがたい何かか胸の中からじんわりと広がる。

自然と口角が上がり私自身も穏やか気持ちになってしまう。

 

 

………普段支えて貰ってばっかりだし、支えてあげるのも悪くないかも。

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか意識がなくなってたらしく、京都についてから神崎に起こされてしまった。

途中で寝ちゃったから不機嫌かなと思ったが、むしろ機嫌は良い方………というか、穏やかそうな感じでこっちを見てくる。

………なんでそんな母親みたいな表情してるんだろうか。

 

まぁそれはさておき、荷物を宿に置いてからクラスの全体行動に合流する。

男子から手痛い挨拶を貰うんだろうなとか考えていたが、神崎が俺から離れないので男子も手が出せない。

女子もニコニコとこっちを見るだけで決して神崎を無理矢理誘ったりはしない。

 

「あー、神崎?」

「なんだ?」

 

いつもと変わらない笑顔………いや、いつもよりなんか雰囲気が柔らかいのか

 

「どうかしたのか?」

「いや、なんでもないわ」

 

今の神崎を見て武内さんが神崎をアイドルにスカウトした理由が分かった気がする。

 

「むぅー、気になるではないかっ!!」

「なんでもないって」

「語ってみせよっ!!」

「なんもないって」

「我が盟友ー」

 

あぁ、頼むからそんなに近づかないでくれ。

周りの目………特に男子から目がやばいし。

 

 

あと………個人的に困るから。





最近月一に投稿ペースの作者です。

前回の飛鳥回から修羅場になると思った読者?
残念っ!!作者に修羅場は書けませんっ!!

そんな胃が痛くなる話より、砂糖吐きたくなるような話の方が好きなんですっ!!


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