神崎蘭子のマネージャーは通訳?   作:スレ主

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遅くなりました、本編ですっ!!


23話

side赤羽根

 

「………赤羽根さん、凛さん送りましたよ」

「オッケー、うんじゃ次でラストだ」

 

ボックスカーの助手席に座って小さな声で報告される。

もちろん小さな声で報告する理由は後ろで寝ている蘭子を考慮してるからだ。

 

「あぁ、あと今日は蘭子送ったら、今日は上がりでいいぞ」

「マジすか?自分明日も休みなんすけど、いいんすか?」

「あぁ、誰かさんのお陰で年末の仕事やら雑用が綺麗に片付いてるからな」

「そいつは優秀な奴ですね」

「この減らず口が」

 

ゲシゲシと頭を撫でると年相応に笑う。

こういう顔はもっとアイドルの前でも出せばいいのにな。

 

「あっ、ここで大丈夫ですよ」

「おっ、そうか……それじゃあ後は頼むわ」

 

助手席から後ろの席に移動して蘭子を起こすが、「んー」と寝ぼけた声を出すだけ。

 

「ほら腕出して、運ぶから」

「んぅ」

 

思わず苦笑してしまう。

俺が送り迎えの時、蘭子を起こした時は自分で起きて自分で歩いて帰ったことあるんだけどな。

 

「それじゃ、赤羽根さん今日はここで」

「おう、送り狼になんなよ」

「んなことしませんって」

 

おぶられてる蘭子の顔がほんの少しだけ頰を膨らんだのを見て思わず笑いそうになったが、表情には出さずヒラヒラ手を振って別れる。

 

「いやー、ベタな恋愛小説でも読んでる気分だよ、おっさんは退散退散っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

おぶってみると見た目通りかなり軽い。

こんな軽い身体であの密度の高いライブをやり切ったのは素直に凄いと改めて思う。

 

「んぅー」

 

………あの、ポジションが悪いからって背中でもぞもぞ動くのやめていただきたい。

ただでさえ意識しないようにしてるのにさ。

思わずため息を吐くと。

 

「………重たい?」

 

俺のため息を疲れたものと勘違いしてる。

 

「普段担いでるベンチより軽いよ………だから今は正確な体重測れるぞ」

「………そうか」

 

さりげなく、おんぶを止めるような言い方をしたが全く止める気がない。

むしろさっきよりも俺に体重をかけてきて密着してくる。

 

「流石にマンションの中までは………」

「……疲れた」

「………そうか」

 

我儘というよりも本当に疲れてるぽいな

………思ったより疲労してるかも?

 

「家に親いる?」

「い…居ないが」

「マジか………飯食える?」

「多分あるけど」

「多分ね」

 

まぁ、おそらく神崎の母親なら何かしらあるだろう………問題はこいつがちゃんと食べるかどうかだけど。

 

「わ、我が盟友よ」

「ん?」

「もし、何もなければ一緒に魔力の補給を……」

「おう、いいぞ」

 

キュッと肩を強く掴まれ、コツンとコツン肩に顎をぶつけてくる。

どこはかとなく嬉しいという感情が背中から感じられる。

………そういう感情あんまり出さないで欲しいですけどねぇ、こっちも照れるから。

 

「ほれ着いたからから」

「ん」

 

ドアの前で降ろして家の鍵を開けてもらう。

 

「我が城へようこそ」

「はいはいお邪魔します」

 

そのまま食卓に着くと置き手紙がある。

 

「『冷蔵庫にハンバーグのタネがあるから、書いてある通りに焼いてね!!………あと和也くんが来たら……』……ってなんで手紙を取る」

「またロクなことが書いてないからだっ!!」

 

グシャグシャと紙を丸めるが、ハンバーグを焼く時間も書いてあるのでメッセージの部分は切り取られ、くしゃくしゃになった紙を見つつ焼く。

 

 

 

 

「……我が血肉となった」

「うん、疲れてる割には食欲はあって安心したわ」

 

夕飯というには少し遅いが本人も食べ終わったし………

 

「そろそろ帰るから、ゆっくりして寝ろよ」

「う、うむ、我が城の門まで見送ろう」

 

………こういうのはサラっと渡せたらいいんだけどな。

 

「そういえば神崎………はいメリークリスマス」

 

 

 

 

 

 

side神崎

 

 

バックからプレゼントを出されて思わず固まってしまう。

 

「で、でもさっき」

「事務所でやったクリスマスパーティーは皆にクッキープレゼントしたけど………まぁお前とは付き合い長いし、マネージャーじゃなくて俺個人的な贈り物というわけで………盟友からのささやかなプレゼントだよ」

 

ふいとそっぽ向いてしまう和也の頬は珍しく赤くなっている。

一瞬可愛いと思ってしまったが、すぐにサーッと顔を青ざめてしまう。

 

「あの神崎さん?」

「あの私、お返しなくて……」

 

クリスマスといえばプレゼント交換だけど、まさか私個人に送るなんて、うぅ、私のバカバカ!!!!

 

「なんだそんなことか、別に」

 

と途中まで言いかけてた和也だけど、何か思いついたような表情をする。

 

「じゃあお返しの代わりにさ、約束お願いしていい?」

「約束?」

「5月にあるシンデレラガール総選挙は覚えてるか?」

「うむ、初代シンデレラガールに愛梨ちゃんが……」

 

あの時は涙を堪えてた愛梨ちゃんがすごく印象的だった。

 

「そっ、あん時は神崎達の期はまだデビューしてなかったからシンデレラガール総選挙に出れなかったけど……」

「………今年は出れる」

「だから第2回の総選挙はお前が獲れ」

 

頭クシクシと撫でるの恥ずかしい………嬉しいけど。

 

「お前なら獲れると俺は思ってるよ」

「………もちろん我も獲るつもりでいる」

「嘘つけ、ちょっぴり不安なんだろ」

 

………むぅ、だって私より可愛い子、私より綺麗な人だっているし、私より歌が上手い人、私よりダンスが得意な人もいるし。

………思わず頰を膨らませてしまう。

 

「まぁ、だからこれはちょっとした御守りみたいなもんだ」

 

ポンとプレゼントを渡してくる。

 

「……今開けても良いか?」

「いいよ」

 

袋を開けるとケースが出て来る………もしかして

 

「ネックレス?」

「そ、ゴスロリは装飾が多いからな、首元はシンプルにした方がバランス良いかなと思ってな」

 

シンプルなデザインだから変装用の普通な服でも違和感なくつけられる。

 

「着けるか着けないかは神崎任せるよ……センスがなければ普通に飾るだけでも」

「そんなことないっ!!………すっごく嬉しい」

 

むー、和也のこういう自己評価が低い所はあんまり好きじゃない。

 

「そうか、そりゃ良かった」

 

………今日珍しく照れてる気がする…やっぱり可愛い。

 

「では我が盟友よ我にその願いを授けよ」

「………今付けんの?」

「もちろん、でなければ契約にならんだろう?」

「…………はいはい仰せのままに」

 

困ったように笑う和也にネックレスを渡して少し前に詰めて、首を差し出す。

 

「ど、どうである?」

「うん、イメージした通りだ」

「………むー、どうである」

「あー………うん似合ってるよ、我ながら最高の仕事をした」

 

そう言ってまたフイっと首を逸らす和也。

そうか、そうか似合ってるのか。

 

「うんじゃ、俺は明日も仕事あるから」

「そうか、それじゃあ和也、またね」

「おう、またな」

 

彼が見えなくなるまで手を振ると、そのまま手がネックレスに持っていかれる。

我慢してた思いがギューっと身体を震わせる。

 

「………そうだ、約束」

 

シンデレラガールズ、和也との約束。

 

「私になれるかな?」

 

大きな目標というのは普段の私にはなかった。

その日その日を一生懸命にやっていて、それはとても充実してたし、楽しかった。

だけどこれからは違う。

だって彼と約束したから、それに和也も獲れると言ってた、私に出来るって思ってる。

 

「………もっと頑張ろう」

 

歌もダンスもモデルもトークも全部。

今まで以上にっ!!

 

「………ん、通知?和也からだ」

 

『ライブ終わった後は風邪ひきやすいから今日はしっかり休めよ、うんじゃおやすみ』

 

そのあとに彼に全く似合わない可愛らしいスタンプを送られてきた。

こうやって心配されるのやっぱり嬉しいな。

 

私も今日のお礼も込めてカッコいい返信を考えながら家に戻った。

 




ということで、仕事帰りの約束ってやつです。

まぁ、今回は多くは語りません。読者の皆さんも若干察してる部分ありそうですしね。

それと言うのをすっかり忘れてましたけど、前回の限定蘭子はもちろん回収しましたからねっ!!
当時は「どうせ天井まで回すんだろうなー」とか思ってたらまさかの20連しか溜めてない無償ジュエルでまさかの出現。
なのでモチベーションが非常に良くて、ここ最近の投稿ペースが非常によろしいという奴です。
いま出てる復刻限定は前回天井まで回しましたけど、なんの後悔はないですけどねっ!!
課金はほどほどにした方がいいですよっ!!←経験者は語る。


あとは、今年はウサミンがシンデレラ獲りましたね。
前回の流れでチャン未央にとって欲しかったですけど、今年はウサミンの流れでしたね。

デレステでも投票出来るようになったので作者は推しのアイドルに公平に入れたタイプです。
一点集中とかはどうしても他の子に目移りしちゃうのと、心の良心がもちませんでした。

とまぁここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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