神崎蘭子のマネージャーは通訳?   作:スレ主

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注意 この話には神崎蘭子は出て来ませんっ!!



短編集
特別短編


一ノ瀬志希は少し気に入っている

 

「和也ぁぁぁぁあ、志希が失踪したっ!!」

「あー、りょーかいっす」

 

電話から赤羽根さん魂の叫びを聞いてからすぐに頭の中に地図を思い浮かべ、テレビ局とは逆方向に向かう。

 

「さてさて」

 

何もこれは捜索をサボっている訳ではなく、志希さんのクセみたいなものだ。

好奇心旺盛な志希さんは基本、知ってる物よりも知らないことの方が好きだ。

なら当然この考え方は失踪する時にも出てくる。

知ってる方向よりも知らない方向へ、当然事務所の方向にも行かない。

 

とは言っても大体の方向は予想つくけどあくまで予想だし、何より本人が気まぐれだからなぁ。

………猫の気持ちを理解しろとほぼ同義だし。

 

 

「案外、猫と戯れてたり」

「ゴロニャーン」

「とか言ったら本当に戯れてたよ」

 

猫じゃらしを使って猫と戯れている。

 

バレないように彼女の背後に立ち、首の襟を掴む。

 

「確保ー」

「あらら、もうちょっと粘れると思ったんだけどなぁ」

 

抵抗も特になく、そのまま立たせるとグッと顔を寄せてくる。

 

「クンクン………結構迷わずにここまで来たね」

「汗の匂いで歩行距離を調べないでください」

 

近いので離れてもらおうと手でジェスチャーするがそのまま腕を取られ組まれる。

 

「そんじゃあたしも道覚えてないからマネージャーよろしく」

「その前に確保した連絡をしていいですか?」

「いいよー」

 

 

 

 

 

「なんでそんな所に居るんだよっ!!!!」

 

赤羽根さんの魂の叫びを再びした後すぐに冷静になり、事後のスケジュールを教えてもらう。

 

「それじゃ行きますよ」

「そーいえばさ、マネージャーは怒らないよねー」

「怒って治るようなものだったら怒りますよ」

「まぁ、ワタシのコレも発作みたいなものだしねー」

「なるべく抑えてくださいね」

「はーい」

 

全く治す気こない返事で思わずため息が出そうになるがグッと抑えて帰り道を歩く。

 

「………それといい加減匂い嗅ぐのと引っ付くのやめません?」

「ええー、せっかくいい匂いなのにー」

「………清潔にはしてますけど、一応ここまで汗はかいてるんで」

「うん知ってるよ、ワタシの好きな頑張ってる匂いしてるし」

 

………なんというかこの人もナチュラル男子キラーたよな、今の普通の男子だったらワンパンKOからの満塁ホームランだ。

ついでにウチの事務所でナチュラル男子キラー、堂々一位は本田未央さんです。

 

「だからって人前でやるのは勘弁してください」

「なるほどつまり人前ではなければいいんだね」

 

………ナチュラル男子キラーと言うよりなんかイケない空気を醸し出すんだよなこの人。

美嘉さんみたいな軽い誘いじゃなくて、マジで誘ってるような感じなんだよ。

まぁ刹那主義ぽいからなぁ、志希さん。

 

「はぁ………この住宅街までですよ」

「良い妥協点だね〜」

 

とりあえずは納得してくれたのか、住宅街をゆっくりと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

この中で一番は

 

「マネージャーって事務所で一番喋ってるの誰?」

「神崎」

 

ニュージェネのミニライブの付き添いでふと未央さんが尋ねてきたが間髪入れずに返答すると「あー」と軽く納得する。

 

「それじゃ、らんらん以外は?」

「うーん………遺憾ながら事務所で一番喋るのは未央さんじゃないんですか」

「遺憾ながらってなにさっ!!………なんでしまむーは顔背けてるの?」

「イエ、ナンデモナイデスヨ」

「えー、ぜったい何か隠してるよっ!!」

「………あー、『事務所で』ね」

「えっ、しぶりん何か分かったの!?」

「ほら卯月って長電話するじゃない?」

「あー………まぁ、ちょっと長いよね」

「そ、そんなにですかっ!?」

「私、初めて4時間以上LIN●したよ?」

「あー、私は6時間だったなぁ………マネージャーは?」

「8時間でしたね」

 

「「うわっ」」

 

「それを一週間一回のペースですね」

 

「「うわぁぁ」」」

 

何故か物凄く可哀想な目で見られた。

 

「卯月、幾ら何でも長いよ」

「だ、だってぇ」

「しまむーは何?マネージャーのこと好きなの?」

「す、すきっ!!??」

「いや、だって8時間も何か喋るの?」

「そのぉ、最近のお仕事の感想とかダンスの練習の内容とか、オススメの化粧品とかダ……ダイエットの方法とか」

 

「女子との電話かっ!?」

 

本田さんにキレツッコミをされる。

 

「えっ、何?マネージャーはオネェなの?」

「んな訳ありませんよっ!!どれも他のアイドル達の受け売りですって」

「あー、なるほどねー………いやでも内容途中から女子の会話ぽいよね」

「まぁ、基本聞き手ですから、話し手の方がそういう話をするならそれはそれで合わせますよ」

「以後気をつけますぅ」

 

しょぼんと顔を下げる島村さん。

 

「えー、じゃあこの中で一番喋ってないのはしぶりん?」

「んー、そんな訳でもないんですよね」

「うん、普通に仕事の話とかするし、ライブ前とかは結構喋ったりするよ」

「えっ!?じゃあ今日のライブも?」

 

 

「うん、今日の私は良いのか、悪いのか、いつも通りなのかとか」

「ステージの上の心構えの再確認ですとか」

「このユニットで私は何をするべきなのか」

「そういう話が終わったら最近のハナコの様子とか喋ってますよ」

 

「なんか大人の付き合いですね」

 

島村さんに尊敬な目で見られた。

 

「じゃあこの中で一番タイプなのは?」

 

本田さんの発言に思わず肩を揺らす。

 

「一応マネージャーって立場なんすけど?」

「ほらほら女子のトークといえば好きな人とか、好きなタイプの話とかあるじゃん」

「それをマネージャーに振ります?」

 

大きくため息吐いて、とりあえず適当に濁そうと考えようとしたら。

 

「で、この中で誰がタイプなの?」

「わ、私も気になるかなーって」

 

思わず二回身体がビクつく。

 

「ほらほら二人も気になってるし、答えちゃいなよーマネージャー」

 

「「「この中で一番は」」」

 

 

果たして正しい答えというのはあるのなら今すぐ教えて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

アイドルと護身術

 

ジリジリとお互いの間合いを確認する。

早苗さんが間合いを詰めようとすると、中野さんは一歩引く。

 

柔道と空手の間合いは似てるようで、少し違う。

柔道は技を決めるには、組まなければならないが、空手の技は打撃が多く組む必要もない。

 

故に、柔道の有利の間合いに入らず、自分の間合いである場所を確保するために中野さんはある程度の間合いを取っている。

 

早苗さんは様子見の間合いの詰めはやめて、自然体だが、どっしりと立つ。

中野さんは一瞬だけ顔を強張らせ、相手の意図を理解する。

 

自分の間合いから離れるなら、相手が入ってくるのを待つ作戦。

 

打撃の間合いは遠いとは言え、接触すれば間合いも何もない、その一瞬を刈る。

 

中野さんはゆっくりと息を整え、ピタリと動きを止める。

ボクシングなどは足でステップを踏みリズムを大事にするが、武道では基本的にはステップはしない。

 

リズムを作るということは、タイミングを計りやすいのだ。

足が沈んだ時、拳が下がった時、腰が落ちた時、こういった動作が次の攻撃を読む要因になりやすい。

 

その点武道は静から動の動きが基本。

0から100。

振りかぶりやタメは邪魔な要素。

最短距離でなおかつ最大威力に。

 

「ヤッ!!!!」

 

気合いが入った踏み込みで一瞬で早苗さんとの間合いを詰め、前蹴りをする。

その速度はとても女性が蹴るよう速さではなかったが、早苗さんは最小の動きで躱す。

そして伸びきった足を捕まえようとするが、中野さんは足をすぐに引き、また間合いから外れる。

 

格闘経験者なら分かるが、空動作と実際に打ち込みは別物だ。

空動作は型に沿った正しい動きをするが、実際に人に打つと体重を乗せたがる。

 

しかしそれは上級者になればなるほど大きな隙になり、技をかけた後に手痛い反撃をもらいやすい。

 

果たして中野さんはそこまでのレベルに達しているのか見極める為の待ちだったが、予想以上の実力なのか早苗さんはほんの少し笑みを浮かべる。

 

その後お互いの様子見のような攻防は続いたがお互い有効な一撃は入らなかった。

 

「(うん、若さのまま突っ込むかと思ったけど案外冷静ね………取りあえず)」

「(あのどっしりとした構えに、空手とは違う間合いの取り方でやりにくかったですが大体掴めました………)」

 

「「(次は仕掛ける)」」

 

 

「いや、時間押してるんで護身術に入ります」

「「えっ!?」」

 

うん………確かに高度な試合だったけど、やるのは合気道だし、締めも打撃もしないしね。

 

 

 

「ということでさっきの試合のように、ザ・格闘をするのではなく、あくまで護身術として必要な知識と技術を学び、実際にやってみるのが今回の護身術です」

「「はーい」」

 

「「何の為の試合だったのっ!?」」

 

若干2名ほど納得いかないようだが、アイドルの時間は有限なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

奏さんとゲームと本質とこれからと………

 

「ねぇ、マネージャー?」

「なんすか?」

「個人的に私あなたのこと気に入ってるのよ?」

「そうですか、俺も奏さんの性格を含めて好きですよ」

「そう、嬉しいわ………レイズ」

「良かったです………コール」

 

「「オープン」」

 

お互いブタのカードが出てくる。

 

「あらあら?堂々とコールしてきた割には大した手札じゃないわね?」トランプ集める

 

「あはは、奏さんは手札が悪いと強気になりますからね、………ステージと同じ様に」集めたトランプシャッフル

 

「私がいつステージで強気な感じを出してるのかしら」配られたトランプを取る。

 

「ビビってるくせにポーカーフェイスと雰囲気で誤魔化せる所ですね」2枚捨てる。

 

「あら、そういうマネージャーだってステージ裏でアイドルにハグされるとポーカーフェイスと雰囲気で誤魔化してるじゃない?」3枚捨てる。

 

「それとマネージャー?女の子にハグされる時、表情を隠せてるけど手が震えてるのは私知ってるわよ?………レイズ」

 

「あー、バレてます?でも奏さんも気をつけた方がいいですよ?………コール」

 

「何かしら?」

 

「恥ずかしい発言をした後、表情は誤魔化せてるけど耳赤くなりますよ?今もそうですし」

 

バッと耳抑える奏さん。が、今回は俺の勝ちの様だ。

 

「オープン、4カード………まぁ、俺の勝ちっすね」

「………赤くなってないじゃない」

「えぇ、ハッタリですし」

 

奏さんは大きくため息を吐くとそのまま椅子の背もたれにグッタリする。

 

「ねえ、マネージャー?」

「なんすか?」

「貴方ちゃんと見てるのね」

「うーん、正しく言えばプロデューサー達もみんな知ってますよ。

朝の時は少し機嫌が悪くて、差し入れに甘い物がくるとうれしくて、仕事が終わると気が抜けて、恥ずかしい発言をすれば照れちゃう、案外普通な女子高生の速水奏さん」

「もぉぉぉ、…………なんかヤダ」

「そんな悔しがらないでくださいよ、年下にいい様に心情把握されて、なおかつミステリアス小悪魔系キャラが、キャラって見抜かれたくらいで」

「ねぇ煽ってる?煽ってるでしょ?」

「まぁ、だからそんな周りの期待が重みになったら俺達に相談してください」

「…………ほんとヤダ」

「年下が嫌だったら歳上の赤羽根プロデューサーに、異性が嫌だったら同性の麗華さんに相談してくださいね」

「そういうことじゃなくて………本当にみんな知ってるの?」

 

顔を赤くしながらこっちを見る奏さん。

 

「クローネのリーダー、LiPPSのリーダー、単独としても人気の奏さんが大きな期待に押し潰されそうになってることは把握済です」

 

ジトっとこっちを見るが話は勝手に続ける。

 

「まぁ、ファンの前でそういう所は見せないでほしいですけど、プレッシャーに押し潰されそうな所とか、駄目な所とか、我儘な所を受け止めるのも、こっちの仕事ですよ」

 

「だから、俺達の前で肩肘張らなくていいですよ奏さん」

 

「………分かったわよ、馬鹿」

 

そう言ってそのまま机の上に突っ伏す奏さんだがその耳は本人には似合わない赤だった。

 

 

 

後日 ライブ終了後

 

「みんなアンコールありがとう」

 

アンコールも終え、優雅に去る姿は最後までファンを魅了してステージを降りる。

 

 

大概のアイドルはステージ裏で力尽きるか、感情を爆発させることが多いが、余裕の笑みを絶えさず待機室まで戻る。

 

奏さんが待機室に入ってすぐにスマホのバイブが鳴る。

確認しなくとも分かっているし、内容もどうせ待機室に来いということだ。

着信を切り、待機室をノックすると奏さんは顔を少し出して俺の手を思いっきり引っ張り、そのまま全力でハグをしてくる。

 

 

 

普段ならこういう事はさせないのだが、ライブ後のアイドルは色々と昂ぶっているので、そのまま好きにさせる。

麗華さん曰く「ハグはまだいい方よ、私なんて胸を揉まれて、首に甘噛みされて、そのまま壁に押し付けられたのよ?しかもステージ裏で………多分同性だから遠慮なしで行っちゃったと思うけど、あの時の周りのスタッフの顔は思いだしたくないわ」と。

 

ぎゅうっと音が鳴るくらい強く抱きしめると片手だけ手を握ってくる。

 

「やっぱり震えてる」

「動揺なしで奏さんとハグできる人がいるなら見て見たいですよ」

 

大きなため息を吐くとクスッと耳元で笑う。

 

「………言葉じゃ勝てないから、身体を使って攻めた方がいいわね」

「冷静になってるなら離れてください」

「あら、私の胸の鼓動聞こえない?」

「………落ち着いたら離れてくださいね」

「落ち着いたらね」

 

 

果たしてこの胸の鼓動は奏さんなのか、俺の鼓動なのかは途中からよく分からなってしまった。

 

 





書きたいことが纏まらないので、纏めずにだした!!
もはやタイトル詐欺すぎてちょっぴり後悔はしているっ!!

いや、本編は全く書いてない訳じゃないですけどなんか上手く表現できずにいます。

このまま投稿しないのは待ってる人に申し訳無いので、思いついた限りの話を出しました。

蘭子待ちの皆様、どうかお待ちしてくださいっ!!

あ、あと本編全く関係ないですが限定蘭子を得る為に天井まで回しました。

ここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!

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