神崎蘭子のマネージャーは通訳?   作:スレ主

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蘭子さんスカウトされます


4話

 

 

「で、それで名刺を貰ったと」

「う、うむ」

「スカウトの人もジッと見つめるってなんなんですか?一瞬本気でヤバイ人かと思ったじゃないですか」

「す、すいません」

 

俺がトイレに行って帰ってきたら、神崎と知らない男性が見つめあっていたのでなにかいけない波動とか感じたのかと思ったわ。

 

「で、シンデレラプロジェクトね………」

「はい。彼女ならきっと活躍できると思いスカウトしたんでしたが、彼氏さんがいるなら無理にとは言いませんが」

「あ、彼氏じゃなくて通訳です」

「通訳?………と、すいませんまだあなた方の名前を知らなくて」

「我が名は……」

「神崎蘭子で、俺が高梨和也です」

 

長い口上を上げる前にさっさと自己紹介をさせる。

………はいはい、頬を膨らませても怖くないですから。

 

「神崎さんと高梨さんですか、そちらに既に名刺がありますが私は武内と申します」

「ご丁寧にどうも」

「それで高梨さんの通訳とは?」

「隣の女の子の言ってることが分かることだけですよ」

 

チラッと神崎の方をみると大袈裟に武内さんに話しかける。

 

「ふっ、この世界では我が言霊の力が強すぎて常人には理解されないことが多い」

「こういう口調だから、一般の人たちと話すのは苦手です」

 

「だが、我も言霊を曲げたくない、そこで我が盟友のチカラだ」

「でもこの口調は変えたくないから、私の友達の通訳があればこの口調でも相手に伝わる………まぁ、神崎も普通の口調はできるけどな、………やらないだけで」

 

「こちらの方がチカラを感じるだろう?」

「ついでに今のは「こっちの方がカッコいいでしょ?」という意味です」

「なるほど通訳という意味は分かりました………そうですね高梨くんにもこちらの名刺を渡しときましょう」

「自分見ての通り男なんですけど?」

「いえこのプロジェクトのお手伝い………いえもし神崎蘭子さんがアイドルを目指すというのならそのマネージャーを勤めてみませんか?」

「マネージャー?………と言っても神崎がアイドルになるって決めてないからなんとも言えないんですが」

「………私がアイドル?」

 

女の子なら誰しも一度は夢見る、アイドルという仕事。

 

「悩んでるんならやれば?」

「しかしだな」

「オーディション受けるだけなら別にタダだし、受かれば一応俺もいるし」

「オーディションを受けてもらいますが、人前であまりに緊張しなければ合格はさせようとは思ってますが」

 

合格させよう?………って名刺よく見たらこの人プロデューサーだな。

つーことは神崎はアイドルプロデューサーに見込みアリだと思われたのね。

 

「や、やってみたいです」

「では来週この名刺に書いてある場所にオーディション会場があるので是非ともよろしくお願いします」

「その会場って俺も行った方がいいですか?」

「そうですね、今後どのような仕事をするか説明したいのでオーディション後に来てもらっていいですか?」

「分かりました」

 

その後武内さんと別れた。

別れ際に「しつこ過ぎて警察のご厄介にならないでくださいね」と冗談で言ったら。

「………もう既にお世話になりました」という返答に笑ってしまったのは仕方ないだろう。

 

「さて、来週の予定も決まっちまったな」

「………アイドルかぁ」

「蘭子さんやい、ぼーっとしてぶつかっても知らんぞ」

「はっ!?………こほん、少し自分の世界に入ってしまった」

「久しぶりに訳をしなくてもいい会話をした気がする」

「むっ、じゃあ…」

「無理に考えなくていいから」

 

なんかこの子俺がいるから生き生きと発言してる節があるんだよね。

………実は俺がいない方が世間に溶けこめたかもしれない。

 

「まっ、アイドルになっちまえば世間に溶け込む必要もないか」

「何を一人で唸っている?」

「ん、対したことじゃないよ 、それよりいい時間だけどどっか行きたい所まだあるか?」

「………近くに我が気にいる書店があってな」

「そ、うんじゃそこに行きますか」

 

それなりに多い荷物を持って彼女の後ろに立つ。

 

「………荷物持ちにさせるつもりではなかったが」

「そう思うなら今度からしっかり計画した買い物をしてね、予算オーバーで昼飯抜きとか当分の笑いの種になりそう」

「だ、だって」

 

ど正論だっため何も言い返せない神崎はむぐぅとこっちを見るが可愛いだけである。

 

「で、なにか買いたい本とかあるのか?」

「………今回の魔力の衣に対価を使いすぎたから、拝見だけしようと思ってる」

 

と、本当に近くだったな。

中に入ると、本で埋まってる古本屋という感じだが、本を大切に使ってるのは分かるような店だとすぐに分かった。

 

「おおう、蘭子ちゃんと………彼氏さんかな?」

 

店に入ると優しそうなふくよかなおじさんが出てくる。

 

「か、彼氏っ!?」

「相変わらず可愛らしい反応をありがとう」

「あはは、今日も好きに見ていいからね」

 

そう言って彼は奥の方へ行ってしまった。

 

「神崎はどんな本を読んでる?」

「基本的にはジャンルは問わない………ちょっとだけホラー系は苦手」

「へー、凝った本しか見ないイメージはあったけど」

「我が盟友はどんな本を嗜んでいるか?」

「普段は生活の知恵系とかだけど、買わないで立ち読みで熱心に見るとしたら哲学とかかな?」

「………その年で精神が熟成されてる理由を垣間見た気がする」

「よく言われる」

 

そこからはお互い無言で本を探しては読んでを繰り返していた。

 

「と、そろそろ時間だな」

 

時計の針は4時45分を指している。

 

「我が城に帰る刻だな」

「うんじゃさっさと神崎の家に行くぞ」

「………ん?なぜ我が盟友が我の城に来るのだ?」

「だって神崎、この荷物持って家に帰れるか?」

 

ばっと大きな袋を3つ挙げる。

 

「………無理」

「知ってた、だから俺も行くDo you understand?」

「あいむ、あんだすたんど」

「ならさっさと行きますか」

 

15分近く電車に揺られ、駅を降りて10分近く歩いてあるマンションに入りドアの前に着く。

 

「うんじゃ荷物これだから、今日は中々楽しかったぞ、うんじゃまた明日」

 

そう言って帰ろうとしたら、

 

「ま、待たれよ我が盟友」

「ん?」

「我が城に来て我が盟友に何もしない訳にはいかない」

「と、言いますと?」

「その………お茶の一杯くらい飲んで行きませんか?」

 

家に帰るまでが今日の予定だとしたら、まだまだ俺は今日の予定を終わらせることは出来なさそうだ。




ここの蘭子さんは主人公のせいで厨二発言がちょっと多い気がする。

それと流石にアニメを見てないのはマズイと思ったので某笑顔になる動画で「5分で分かるデレマス」をみてきた俺に死角はない。


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