――ギルド前
「はぁー、やっと着いた。この世界にはワープみたいな呪文とかないのかよ」
いつものように汗だくの俺、そして息一つ乱れぬレア、サリア、こいつらほんとに同じ人間か?
「よし、じゃあ報告してくるわ!」
扉を開け、ギルドの受付へ向かう。そしてクエスト用紙と黒ピョコンの牙を渡す。
「はい、たしかに…これは黒ピョコンの牙では!?」
「まぁ、なんていうか、そいつが親玉だったみたいで」
「なんてこと…とてもブロンズバッジに扱えるクエストではなかったようですね…クエストの難易度の確認をもっと徹底しないといけませんね」
「あれ?もしかして高難易度をクリアして一気にシルバーバッジに!とか?」
「それはないです」
冗談だったのに、受付のお姉さん結構厳しいな。
「こちら、今回の報酬になります。ご確認下さい。」
銅貨20枚に銀貨3枚か、価値が分からない。あとで攻略…レアに聞いてみるか。
俺は報酬を手にレアとサリアの待つテーブルに向かう。
「これが今回の報酬だってよ」
机の上に硬貨を広げる。
「…ピンハネしてないですよね?」
「お前と一緒にするな、さて配分はどうするか。先に決めておけばよかったな。まあさすがに三等分ってわけにはいかないよな、サリアが一番の功労者だからな」
レアが若干不満そうな顔をする。なんだこいつ、少しは遠慮ってものがないのか。
しかしサリアは首を横に振る。
「私一人ではきっとクエストをクリアすることはできなかっただろう。それに一人で居た私に声を掛け、パーティに誘ってくれたのは本当に嬉しかったんだ。だから報酬は三等分で構わない」
心の底から嬉しそうな笑顔を見せるサリア。その笑顔はプライスレスだよ、と言いたくなる。いや、やっぱり今のは無しで。
「じゃあ遠慮無く、ありがとな」
「ありがとうございます」
お前は何もしてないんだからホクホクしてんじゃねーぞ、この寄生女神が。
「それで…一つお願いがあるんだが…」
来たか…、絶対に来ると思っていたが返答は考えていなかった。恐らくこの後サリアは…
「私とこれからもパーティを組んでもらえないだろうか!」
そうだよな…、久しぶりにまともにパーティを組めたんだろう。このまま別れたくないという思いがありありと伝わってくる。だが、実際あの戦闘能力を見る限り、他の人を探したほうが利口なのかもしれない。でも、それでも…
こんな縋るような目をした女の子を突き放すなんて俺にはできないよな。
俺はサリアに笑顔を向けて言った。今度は作った笑顔じゃない。
「あぁ、こちらこそよろしく頼む!」
こうして俺達のパーティには尖ったステータスの戦士が一人、増えることになった。