幸福と不幸は女神様次第!?   作:ほるほるん

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予想外の④ 【挿絵】

 アルスター城で迎える三度目の朝、良かった。今日は寝起きにレアに殴られるようなことはないみたいだ。当たり前に感謝しながら俺はレアを揺り起こす。

 

 「おい、起きろよー。起きろってばー」

 

 全く起きる気配がない。仕方ない、先に出かける準備をするか。

 そう考え、俺は先に着替えを済ませる。そうしてしばらくすると朝食を持ってきてくれた。

 

 俺が「先に食べるか」、と思っていると

 

 ――グゥ~ 

 「お腹空きました」

 

 ご飯の匂いで目が覚めたらしい。寝起きに腹を鳴らしながら飯を催促するこいつは本当に女神か? 

 

 城を出る時、エレナが見送りをしてくれた。

 

 「お気をつけて…ワタル」

 

 呼び捨てで俺の名前を呼び、笑顔で手を振りながら見送る姿はまるで新婚の妻のようだ。そんなことを考えながらニヤニヤしていると、隣で歩いていたレアに心底気持ち悪い物を見る目で見られた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

――ギルド

 

 もうここに来るのも慣れたものだ。さて、サリアは来ているか…すぐに見つかった。

 六人がけの机に一人で陣取るサリア、目立つな…わかりやすくていいが、見ていて悲しくなる。

 俺達が合流して三人だ、これでもうぼっちじゃない。

 

 「待っていたぞ、なんだかそわそわしてしまって約束の一時間前から来てしまったぞ」

 

 あっ、こいつ。普段友達と遊ばないから、たまに遊びに誘われた時に張り切っちゃうタイプのやつだ。自然と目頭が熱くなる。

 

 「待たせて悪かったな、次からは時間ピッタリでいいぞ?一人で座ってると目立つだろ?」

 

 「なんてことはないさ、私は今までほとんど一人でギルドに来ていたからな!」

 

――ブワッ

 涙が溢れる。誰かこいつと友達になってやってくれよっ…!

 これには流石のレアも同情の目でサリアを見つめていた。

 

 「それで、今日はどうする?私はどんなことでも手伝うぞ!」

 

 「うーん、そうだなぁ、あっ、そういや気になってたんだが、クエストに書いてある④とかの数字ってなんなんだ?」

 

 よく見てみるとクエストには④と書かれたものが多い。

 

 「あぁ、それはクエストを受注するために必要なパーティの最低人数だ」

 

 「へー、なるほどなぁ…って!えっ!?じゃあアレもコレもソレも!三人パーティじゃ受けられないってのかよ!」

 

 「まあ、そうなるな」

 

 なんてこった…パーティを一人増やすだけでも割りと大変だったってのにもう一人だと…!?そんな都合よくソロプレイヤーの奴が余ってるか…?

 

 ――バッ

 

 俺はギルド内を見回して見る。まぁそんなうまい具合にぼっちプレイヤーが居たりは…ん?

 

 居た、というかなんであんな隅っこで座ってるんだ…というか席が空いてるんだから地べたにしゃがむんじゃなくて椅子に座ればいいのに。あれじゃ入り口からは見えないだろ。

 

 「レア、あの子…どうだ?」

 

 「どうって何がです?ナンパなら勝手にしてくればいいじゃないですか」

 

 コイツゥ…!今までの話ちゃんと聞いてればステータス見ろってことだってわかるよなぁ?

 

 「アホなこと言ってないであの子のステータスを見ろよ!」

 

 「もう…女神使いが荒いですね…」

 

 レアが目に意識を集中させる。

 

 「どうやら魔法使い…のようですね。ATK・DEFは低いですがINTがとても高いです。というかほぼ上限ですね。魔法使いの中でも上位に入るくらいのステータスだと思われます。」

 

 「…DEXは?」

 

 俺は一番重要なことを聞いてみる。これだけは最重要だ。

 

 「平均値です」

 

 最高じゃないか、なんでパーティを組んでいないのか不思議なくらいだ。

 

 「よし、あの子をパーティに誘ってみようと思う、二人はどうだ?」

 

 「私は構わない」

 

 「私はどちらでもいいですよ」

 

 他人事のように言うレアはもうこの際置いといて、サリアが納得しているなら良しとしよう。

 

 「なあ、なんでそんなところに座ってんだ?良かったら少し俺と話さないか?」

 

 気さくに話しかけながら座っている少女を眺める。座っているから分かりにくいが年は俺より下に見えるな、背が低いからか?そして青い髪…

 

 「気安く話かけないで下さいよ、逝ね」

 

 「…」

 「…」

 

 あれれ~?おかしいなぁ?初対面の人に言うセリフじゃないぞぉ~?

 

 「な、なぁ?君、今は誰ともパーティ組んでないんだよな?よかったら俺達のパーティに…」

 

 ――ピクッ

 

 顔を上げてこちらを見る。そして、しまった、という顔をしてもう一度伏せる。しかし、一瞬だったがどうみても嬉しそうな顔をしていた。

 

 俺は少女の隣に腰を降ろし、隣に並ぶように座ってみた。

 

 「床に座ると汚いですよ」

 

 本日のお前が言うなスレはここですか?

 

 「いいんだよ、話ってのは対等な目線でするもんだ」

 

 いかにもなことを言って話を続ける。

 

 「俺達のパーティには魔法を使える奴がいないんだよなぁ、もし魔法使いが入ってくれたらみんなすげー喜ぶんだけどなぁ」

 

 「ほんとに?」

 

 あれ?これいけるぞ

 

 「ほんとほんと!魔法って扱うの難しそうだしなぁ…、俺なんかじゃ到底無理だと思うわ~」

 

 「~っ!」

 

 あー、すごく嬉しそうな顔してる。最初の無愛想な感じはなんだったんだ。

 

 「とりあえずはさ、名前を教え合わないか?俺はワタルだ。君は?」

 

 「ワタル…、私は…メイル」

 

 「メイル…ね、メイルはどんな魔法が使えるんだ?」

 

 「私は攻撃魔法が得意、その他はあんまり得意じゃないですよ」

 

 「へぇ、攻撃魔法って…」

 

 「ワタルは!」

 

 思いっきり俺の言葉は遮られた、それほど聞きたいことがあったらしい

 

 「あ、あのですよ!平均的な火力が安定してるのと、高い時と低い時があるけど高い時は凄く高いのと、どっちが好き…?」

 

 ん?なんだこの質問は…?しかも若干しどろもどろになってるし。それほど彼女にとって重要なことなんだろう。しばらく考え、俺は…

 

 「俺は安定している方が良いと思う」

 

メイルが瞳を閉じる。

 

 「…ってここに来る前はそう思ってた。けど最近は、一か八かの超火力もいいなって思い始めたよ、なんてったって俺の大切な人を守ってくれたのは攻撃成功率10%の運ゲー戦士だったからな!」

 

 俺は嘘をつくのが嫌いだ。正直に、自分の思った通りの答えを口にする。

 

メイルが閉じていた瞳を再び開き、立ち上がり、こちらに顔を向ける。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 「いいですよ!、あなたのパーティに参加してあげますよ!」

 

 「??」

 

 よくわからないがメイルなりの判断基準があったようだ。

 

 先ほどまでと違い、メイルは笑顔を浮かべていた。それを見て俺も思わず笑う。

 

 「よろしくな、メイル」

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