蒼空の歌   作:神奈翔太

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間章1 柊編

フランス空母「シャルルド・ゴール」にて

 

空井達が「エイブラハム・リンカーン」に到着したと同じ時間に柊も「シャルルド・ゴール」に到着していた。

 

「何で私だけこんなところに・・・」

 

なぜかくじ引きでハズレを引いてしまったので当の本人は不満いっぱいだった。しかし彼女には航空団の旗艦である「アメリカ」がついているので人数的にいえばこちらのほうが多かった。

 

「まぁ、不満をぶつけるのは後回しにしてブリーフィングルームに急ぐかな」

 

気持ちを切り替えて艦の内部にあるブリーフィングルームに彼女は急いだ。その廊下で複数人の男女とすれ違った。

 

(?あのマークは)

 

どこかで見覚えがあるような気がしていた。男女の服装を見るにパイロットだろう。

 

(パイロット?あっ!)

 

そう思い出した。彼らはフランスのスカイ飛行隊だ。一応説明しておく。フランス空軍や他のヨーロッパ空軍も他の空軍と同じく壊滅した。しかしスカイ開発が始まったのを皮切りにフランスを含めたヨーロッパはは苦境に立たされた。その理由はスカイ開発で大きく劣っていたからだ。アメリカ、ロシア、日本と言ったスカイ先進国に追いつくためにヨーロッパ各国が考え付いた苦肉の策がこれだった。

 

(しかし彼らを投入してくるとは。フランスも余程、イタリア奪還に興味があるらしいみたいね)

 

そんな事を考えていると後ろからクスクスと笑いを噛み殺した声で声が聞こえてきた。

 

「おいアイツ、もしかして」

 

「ええ、そうよ。確か日本の金喰い虫さんだったかしら?」

 

「ミーネ。それはさすがに失礼だよ」

 

「そうだぞ。ミーネ。日本からわざわざ金を食いにここまで来たんだ。敬意をもってお出迎えしないと」

 

「そうよね。アハハハ!!」

 

もはや隠す気も無いのか声は丸聞こえだった。柊は心の中でかなりの嫌悪感が出ていた。度合でいうなら今にでも機関銃で穴だらけにしてやりたいことだ。自分の事ではない。そんなものは幾らでも耐えてやるだが空井や岬ちゃんやスカイ達を侮辱しているのは許しがたい。だが彼らに一矢報いるの今では無い。

 

(今までこんなことは星の数だけあったじゃない。確かに軍関係者からお小言を貰ったのは初めてだけどそれほど彼らのようなタイプはめずらしくない。だから落ち着け私。実戦で戦果を挙げて彼らを驚かせればいい)

 

そう思うとふっと憎悪の炎は消えた。気がつくと男女は消えていた。柊は大きく深呼吸をして改めてブリーフィングルームに向かった。

 

 

 

 

 

 

「う~ん。終わったぁ」

 

説明長いよと思いながら大きく背伸びをする。下手をしたら欠伸が出て来てしまいそうだった。

 

「艦長さん。そろそろ出撃ですよ」

 

若い士官さんが教えてくれた。少しだけ休ましてほしいとも思ったがあいにく大規模作戦だ。こちらの都合に合わせてくれるはずがない。彼女は更衣室でパイロットスーツに着替えると格納庫に入った。既にシーも準備は万端のようだ。

 

「調子はどう?シー」

 

「大丈夫です。柊さんは大丈夫ですか?」

 

こちらが気にかけたのにシーに心配されてしまった。この子はいつもそうだった。自分よりも他人を優先してしまう傾向があった。

 

「大丈夫よ。さっ、行きましょう。フランスの連中に笑いものにされたら堪らないからね」

 

「一体、誰の話をしているのでしょう?」

 

「き、気にしないで。さっ、行きましょう」

 

「はぁ・・・?」

 

コックピットに入り、キャノピーを閉める。格納庫から甲板に繋がるエレベーターに通常機ラファールM型といっしょに乗り込む。

 

「さぁっ!行きましょう!」

 

太陽の光がいつもより眩しかった。それが太陽だけが原因ではないと私は分かっている。

 

 

 

 

 

 

 

「FOX2!」

 

ミサイルがまっすぐ敵機に突っ込み、敵が死に気付くよりも先に機体が四散した。

 

 

「これで良しと」

 

『助かった。これで先に進める』

 

その言葉の通り、敵の防衛線を押しつぶしながら見方が前進している。オペレーションのフェイズ1は既に80%が完了した。空井達が行ったアメリカの戦線も同じようだ。

 

「シー、残りの残弾は?」

 

今のうちに確認しとかなければする暇がないからだ。シーは画面に残弾を表示してくれた。

 

「ミサイルは残り二発。ロケット弾はゼロ。機銃の残弾も僅かか。さすがに空母に帰って補給をしないとだめね。これは」

 

「はい。私もそう判断します」

 

どうやら意見は一致したようだ。敵の地上戦力の攻撃は激しいが航空兵力はほぼ無力したに等しいので凄まじい数の増援が来ない限りは通常機に任せても大丈夫だろう。

 

「こちらガルーダ。残弾が残り少ない為、帰還する」

 

すると意外なヤツから応答が返ってきた。

 

『了解。ガルーダ。後は任せろ』

 

応答したのはさっき自分達を馬鹿にしたラファールM型を運用するスカイ隊だ。どうやら戦場では私情は挟まないらしい僅かに見直しながら空母への進路を設定した。

 

「うん?」

 

視界の端に何かが映った気がした。

 

「シー、敵の反応は?」

 

「いえ、レーダー機器には反応がありません。どうかしましたか?」

 

もう一度さっきの場所を見てみたがそこには何もいなかった。

 

(少し疲れているのかもしれないな。補給の間は休んでおくか)

 

そう言いながらその空域を去っていった。彼女の後ろで蒼空から浮き出た黒い物体がいるのにも気付かずに。




今回はリアルが忙しいので短めです。次回からは新しい敵が出てくるかもしれないです。
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