呉基地にて
「はぁ~~長かった」
「何とか着いたわね」
二人は横須賀から呉までの長い道のりを何とか終えた為、羽を伸ばしていた。
「ねぇ~待ってよ~」
その声に振り向く。
「まったくまた来たのか・・・ハチ」
「だっていいでしょ」
赤髪を風にたなびかせながら、彼女は言う。
「まぁ、いいじゃない。クライアントのプレゼント合流まではまだ2時間程度時間があるし」
「う・・・柊が言うんなら・・・」
さすがに女子二人にはかなわない。しぶしぶ従う。
「それじゃ行こうか」
三人は呉の街に入っていった。
呉上空にて
「ここだよね。合流地点」
気の弱そうな声が聞こえた。それに答える声も。
「ああ。そうだ」
「でもどこなのかな?」
「知らん。大体お前が知らないのに私が知るわけがないじゃないか」
「そんなこと言わないでよ。”ファントム”」
彼らはいるのは地上では無い。上空なのだ。旅客機でもなく、輸送機ではもない。立派な戦闘機だ。その名は。
F-4G「ファントムⅡ」
「他のみんなは?」
彼女は無線を開いて、知っているかを確認する。しかし・・・・
「私はしりませーん」
「私は用事があったので・・・・」
「私はさぼっ・・・休んでいて」
最後の言葉をしゃべった人は後でかならずお話をしなければならないと彼女は思った。だけどそんなことをしている暇はない。まだ合流時間には一時間の余裕があるため、捜索で困る時間では無い。
「あの人に強襲揚陸艦に転属と言われてきたのに・・・・・」
彼女達にとって陸上での勤務が多く、海でしかも艦の上で戦うのは憧れだった。その為、みんなテンションが上がりまくってしまい、肝心の艦の名前を聞きそびれてしまったのだ。
「はぁ、これからどうなるのか・・・・」
彼女達の将来の暗さに思わずため息が出たのであった。その時だった。
「うん?接近警報!?」
一気に機内が赤く点滅する。
「まずい!狙われているぞ!」
彼女達の不運はまだ続きそうだった。
その前 呉にて
一行は呉の一つの商店街に来ていた。「ヤク」の攻撃を受けようともまるでそんなものが無いと感じてしまうような賑やかさであった。
「いい街ね」
柊が商店街を見た感想を口にした。俺もそう思っていたところだよ。
「確かにね。こんなのこれより大きな東京にはなかったよね」
ハチも賑やかで楽しいと口にしていた。東京は確かに日本の首都だ。人口密度だって飛びぬけて高いのだ。だからといってこれよりも騒がしく楽しいと思える場所ではなかった。
「そうだな。とりあえず買い物をするか」
その言葉を俺が呟いた瞬間に女子二人の口が微かに吊り上ったのを俺は見た。その時に俺は思い出し、しまったと思った。
「「じゃあ、行きましょう」」
「は、はい・・・・」
いつもはバラバラな二人だがどうしてかこの場面だけは息ピッタリであった。それに空井はがっくりと肩を落としたのであった。
一時間後
「はい。そうだよ。分かったすぐに来てよ」
携帯で連絡をした。「アメリカ」に積まれているトラックをこっちに寄越してくれと言った。何せ歩いて帰れない程に荷物があったのだ。
「「♪♪」」
二人はそんなことはお構いなしである。食料品などは補給などでは貰えない物を中心として買った。しかし日用品リストも乗員からもらったのでそれも買った。それで大体7割くらいだが残りの3割は言わなくても彼女達の顔を見れば分かるだろう。
(何かお財布の重さも軽くなってしまったような・・・・いやいや、気にしない。気にしない)
あまりのことに現実逃避をする空井。再び、空で稼がなければならないと思うのであった。
それから20分くらい待つと部下がトラックを持ってきてくれた。
「これはここに。これはここに詰めて。あ、それは取扱いに気を付けて」
部下もあまりの荷物の多さに顔が引きつっていた。それにどうしたらこうなるのかと視線で訴えてきた。すかさず空井も俺だって知りたいと目で返した。この時間、僅か数秒。
「何とか乗ったわね♪」
持ってきた二台のトラックにぎゅうぎゅうに詰め込まれた荷物を満足そうに見つめる柊とハチ。
「お疲れ様です」
それを見ながら部下が言葉をかけてきた。
「お前たちもな。それじゃあ行くか」
全員トラックに乗ったを確認すると発進した。さすがに狭かった。
「く、苦しい」
誰かがそんなことを言ったときに携帯が鳴った。
「はい。もしもし。・・・・・分かった」
空井の雰囲気の変わりように皆が気ずいた。運転手は制限速度ギリギリまでスピードを上げた。皆が分かっている。空井の雰囲気が変わるのが「ヤク」がかかわった時だけだと。あっという間に港まで着いた。
「準備は?」
「出来ています。あとはあなたと彼女だけです」
「私の出番ね!」
すばやく彼はフライトスーツに着替えた。甲板に出るとすでに「ハリアーⅡ」は甲板でエンジンを稼働した状態で待機していた。すぐに飛び出せるようだ。
「行くぞ。補佐は任せた」
「任せなさい!」
空井は後でハチは先に「ハリアーⅡ」に乗った。そういえば話していなかったが彼女に席は必要が無い。戦闘機自体が彼女の体となるのだから。
「セイバー発信する!」
「アメリカ」の甲板から一気に発信する。体にGがかかるがこの程度は朝飯前だ。
「セイバー状況を説明するわ」
柊が無線で情報を送る。
「現在、呉市街地上空で一機の戦闘機と五機の「ヤク」が交戦中よ。先日に自衛隊が五機の「ヤク」を撃ち漏らしたって情報が来たからおそらくそれだと思うわ」
「交戦中の一機は?どこの所属だ?」
「それは・・・・うちに配属される子だと思う」
「は?」
確かにリストに載っていた新人のパイロットとF-4Gを送ると。もしかしてあいつらか!?
「彼女らもつくづく運が無いわね」
「仕方がない。ハチ飛ばせ」
「了解!」
アフターバーナーを吹かして一気に加速した。
呉市街地上空
警報が鳴りまくっている。一機は落としたがそれまでだ。あとはずっと逃げ続けている。ミサイルはこうなることを想定してはいないために数発しか積まれていない。更に囲まれている。
「くっ!」
「来るぞ!」
ファントムが咄嗟に警告をしてくれた。急いで回避するとそこに銃痕が走った。しかし・・・
「この警報は!?しまった」
敵の罠に入り込んでしまった。このままではやられると思った時にこちらにミサイルを放とうとしていた「ヤク」が吹き飛んだ。
「え・・・!?何!?」
一瞬困惑したがすぐに増援が来てくれたのだと判断した。ここだと呉の航空自衛隊か。
『そちらのファントムのパイロット聞こえているなら返事をしろ』
「え・・・は、はい!聞こえています」
どこからだと思うと今度は別の「ヤク」が下から銃撃を喰らって落ちて行った。
「ハリアーⅡ!?」
どうやらハリアーが助けてくれたらしい。しかし空自はハリアーなんて機種は採用していなかったはずだが。
「あ、あなたは・・・?」
巧みに「ヤク」の攻撃をかわした後に聞いてみた。三機目の「ヤク」を彼が落とすと返事が来た。
『俺の所属は「第25試験航空団」所属の空井 勇人だ』
「第25試験航空団!?」
私が行こうとしていた航空団の名前だった。これにはさすがに驚いた。
『とりあえず事情は後で話してもらおう・・・・そこの奴を仕留めてくれ』
「え・・・はい・・・!!」
すれ違いざまに機銃を叩き込んだ。「ヤク」はハリアーに気を取られていた為にこちらに気ずかずに落ちて行った。
『終わったな。ではかえろ___「ピッィ!ピッィ!」!?』
こちらにも無線があるがこちらからも聞こえてきた。その通信内容は・・・・
「救援を要請する!こちら「おうみ」、現在、「第25試験航空団」との合流を目指していたところ「ヤク」の奇襲を受けた!自衛火器と護衛艦艇だけではどうしようもない、救援を!繰り返す、救援を!」
それは我が部隊に合流をしようとしていた「ましゅう」型補給艦「おうみ」からの救難要請だった。
次回は「おうみ」救難戦です。次回、仲間になる艦艇と機体、そしてパイロットを紹介したいと思います。
(中々、登場させる兵器が決まらない・・・・)
次回も気長にお待ちください。