「RPG接近!」
唐突に緩みかけていた雰囲気が変わった。皆が飛び起きて、戦闘隊形に入る。幸いにもRPGは付近に着弾して噴煙を上げた。
「そこの道を曲がれ!」
砂埃を被りながら、叫ぶ。凄まじい衝撃と共に道を曲がった。他の車両も後に続く。
「応戦するんだ!」
すると96式装輪装甲車の機銃が応戦する。RPGを持った民兵がその反撃に怯む。
「こちらも応戦しろ!ヤツラに攻撃をする暇を与えるな!」
「イエッサー!」
「ブラッドレー」の25mm機関砲が目の前にいる民兵を吹き飛ばす。周りに血飛沫が飛ぶ。
「気にするな!どんどん走れ!」
自分もハッチの近くに取り付けてあるM240 7,62mm機関銃を取っ手を取って、周りの民兵に照準を合わせて、撃ちまくる。小気味良いリズムを刻みながら弾が自分の撃ったほうに飛んでいく。
「チッ!数が多い!どっから現れてんだ。こいつらは!?」
道を曲がる為に民兵の数も銃弾も多くなるばかりだった。
「隊長!大きな建物があります!そこならこの車両の数でも入れます!」
「どこだ!?」
「ここから一km行ったところです!」
確かに建物に入れば、銃撃をかわせるが逆に敵に包囲される可能性もずっと高くなる。しかし、迷っている時間は既に無かった。
「そこに入れ!そこで作戦を再変更する」
「了解!」
幾多の銃弾をその身に受けながらも車両群は一台も脱落せずに目的の建物に着いた。
「突っ込め!」
「ブラッドレー」がその建物のガラスをぶち破りながら入った。
「降車!」
「ブラッドレー」や96式装輪装甲車、「ハンヴィー」に入っていた人員が一斉に自分の銃を手に持ち、散開した。
「負傷者は手当を!無事な者は各班分かれて、防衛網を築け!」
「了解!」
幾多の銃弾を受けて、その凶弾に倒れているものも少なからずいた。無事な者はM4やMINIMIを窓にぴたりと構える。残りの者は各階をクリアリングしていた。どの階もクリアリングを完了して残りは最上階だけだった。
「・・・・行くぞ」
全員が頷くとフラッシュバンのピンを抜く。部下がドアを開けた瞬間にそれを中に投げつけて、目を逸らした。爆発音がしたと同時に突入した。
「・・・・!」
「・・・・!!」
部屋に突入した瞬間に自分の銃口と自分に突き付けられた銃口が交わった。しかし彼が驚いたのはそれではなく、彼らの正体にだ。
「あんたらは誰だ?」
銃口を向けてくる男が言う。
「民空だ。お前たちを探しに来た」
彼らに銃口を向けてきたのは米軍だったのだ。しかもこの近辺にいるということは調査対象であることに間違いはなかった。
「助かった。救援か。俺はジョンだ。階級は伍長」
「伍長。残っているのは君とそこの兵士だけか?」
「いや、まだ戦車が生きているがどこに行ったかは分からない。残りは全滅だ」
戦車は生きているが彼ら以外は全滅か・・・・。
「どうしたんだ。事情を説明してくれ」
「ああ。俺達は地図のここの付近を捜索していた。だが、どこからともなく敵の襲撃を受けて、最初に二人やられた。俺達はこの付近をまだ民兵を倒しながら進んできた。ここまでで一人負傷者が出た。だが防衛線も敷くことが出来て安心したころにだ。”ヤツラ”が来て俺とこいつは建物から吹き飛ばされて、戦車はどこからに撤退していった。後は分かるだろう?」
伍長の説明で大方の想像は出来た。だが一つだけ分からないことがあった。なぜ彼は最後にヤツラと曖昧な表現をしたんだろうか。先程までは民兵と言っていたのに。そして聞いた。
「一つだけ分からないことがある。お前たちをバラバラにさせたヤツラとは一体、どこの連中なんだ?」
すると伍長は苦笑した。まるでそれはお前たちは知っているだろうといったような顔で。
「お前たちは見たはずだぞ。ええっと、なんだっけ」
少しすると名前を思いだしたのか。
「ああ、そうだよ。確か「ヤク」って名前だっけ!」
『次の目標に行きますよ!』
既にアンタレスらA-10部隊は目標としていた半数の地上目標を破壊した。自分達も一応、対地攻撃用のマトラ・ロケット弾ポッドを備えてはきてはいるが正直、機体重量が重くなるだけでいらなくなりそうだった。それだけ彼女達の活躍は凄まじかった。
「あまりほどほどにしろよ」
『分かってますーよ!』
だめだ。絶対に分かっていない。このままのペースだとA-10の弾薬が全て地上に向けて撃ち尽くされるまでにこの町が火の海になっていそうな光景が脳裏で簡単に想像することが出来てしまった。
『彼女達はほっておきましょう。それよりもセイバー、ベアードから救難要請よ』
柊が呆れながら、ベアードから通信が入ったと報告を伝えた。(ベアードとは陸戦隊の名前(どうやら支援が必要らしかった。
「通信を変わってくれ、俺が話す」
そう伝えるとすぐに通信が切り替わった。向こうの通信からは銃撃の音が絶え間なく響いている。
「こちらセイバーだ。ベアードどうした?」
『こちらベアードです。セイバー、こちらは対象の生存者を確保しましたが包囲されています。それと、戦車一台が行方不明です。この包囲網の突破と捜索には支援が入ります。航空支援をお願いします』
「了解した。待っていろ」
通信を終えた後にキャノピー越しからアンタレスの部隊を見る。うん、だめそうだ。
「ガルーダ、聞こえるか。ベアードから航空支援の要請を受けた。アンタレス達を見といてくれ。あれじゃ敵機が来ても気ずかないかもしれない」
『一理あるわね。分かったわ。但し、油断してスティンガーなんかに落とされないでよね』
誰がそんなヘマをするか。そしてあ、と伝え忘れていた相手がいたことに気がついた。
「あ、俺だ。悪いが手を貸してくれ。確かにお前らはここに来て、間もないがこういう時こそ本領発揮だろ?え、制空権取れてますかって?そんなもん俺が奪い返してやるよ。はい?それじゃあ、取れてないんじゃないですかだって?分かった。こなくてもいい。但し、お前らの補給は一切カットな」
それを言うと相手も「落とされら責任とってくださいよ!!」と言い、渋々、了承した。
「じゃあ、待ってるな。よろしく」
脅迫になってしまったが・・・・・まぁ、いいだろう。
「もうすぐ支援が来るがセイバーが妙な事を言ってきた」
「「妙な事?」」
その言葉をセイバーに言われた通りの言葉を部下に言った。
「A班、B班はそのまま支援が来るまでここで対象を守れ、C班は俺といっしょに行方不明の戦車を探す」
その言葉に異を唱える者が大勢だった。
「そんな!俺達に的になれと!?」
「C班の連中は全滅しますよ!?」
そんな声が大半だった。
「落ち着け!我々の目的は米軍兵士の捜索であって、民兵の殲滅ではない。それにC班にはセイバーが就いてくれる」
その言葉にC班の面々は安堵する。そもそも我々は民空であって傭兵では無い。そもそもこんな作戦に付き合う事は民空の条約で禁止されている。(主に民空は対「ヤク」戦の為に結成された組織の為)下手したら、この航空団は解体されてしまう。なのにどうして柊艦長がこの作戦に参加したのかが最初から分からなかった。
「そういう訳だ。C班は二分後に出発する。それまでに支度を整えておけ!」
「ハチ、これから対地支援に移るけど破壊対象は建物だ。もしもの時には破壊した瓦礫を敵にぶつければいい」
「OK!」
民空の条約の一部では敵対した勢力に人間がいる場合は可能な限り、殺傷しないように義務付けられている。アンタレスの部隊が直接敵を攻撃しなかったのはこの条約があるからである。
「但し、本当に危険がある場合は発砲を許可する」
「ハリアーⅡ」の弾薬は残っている。そこまで広くは無い範囲だから十分足りるだろう。
「増援ももうそろそろ到着するよ!」
ハチが教えてくれた。どうやら間に合ったようだ。
「目標が見えた。これより支援に移る」
「合図で行くぞ・・・」
激しい銃撃の中で裏門でC班は待機していた。現在はA班とB班が反撃して隙を作っていた。
「隊長!敵の陣形が乱れました!」
部下の報告を聞いた瞬間に扉を開けていた。
「全員!走れ!」
激しい銃撃の中で決死の捜索が始まった。
次回は新しく来た兵器達が火を噴きます。中東編はおそらくあと少ししたら終わりになります。