りっく☆じあ~す 中央混成連隊、前進す!   作:土居内司令官(陸自ヲタ)

11 / 77
11話 新潟火力偵察

富山県・新潟県の県境を通る峠を、けたたましい音を出しながら車列が通る。

 

 先頭は陸上自衛隊の74式戦車、その後ろから2台の軽装甲機動車が続く。74式戦車の砲塔上部には2丁のブローニング M2重機関銃が、2台の軽装甲機動車には25mm機関砲が搭載されている。

 

「全く妨害が無いなんて」

 

「きっと俺達は何処からか見られているよ」

 

 74式戦車の砲塔上部に、ナナヨンと土居内がいた。

 

 彼らは今、新潟県火力偵察に来ていた。

 

 

 

「ではチーム分けをする。まずAH-1Sにはコブラと木更津3尉」

 

 土居内が今日の編成を発表する。コブラが小さくガッツポーズをし、葵が不満げな顔をする。

 

(すまんな、木更津准尉。コブラに脅されて……)

 

 土居内は心の中で葵に謝る。

 

「次、2号車。操縦士は久居、あと富山と豊川。3号車は鯖江、習志野、木更津准尉が搭乗。俺とナナヨンは74式で先頭を走る。当然敵の妨害も予想される、完全武装で出撃だ!」

 

 土居内が叫ぶ。全員が返事をし、武器を手に弾薬庫へ向かう。

 

「で、私はお留守番?」

 

 霧本が不満そうに言う。土居内は89式小銃とスコープ付M14を手に言い返す。

 

「砲弾や銃弾飛び交う場所に行きたいか?」

 

「やっぱ止めとく。まだ独身だから死にたくないし」

 

「じゃあな。生きて帰ってくるつもりだから、そのつもりで」

 

 

 

 そして、今に至る。

 

「指揮車より全車、これより停車する」

 

 土居内の指示に全員が異論を唱える。

 

〔どうしてですか? 何も異変はありませんよ〕

 

〔意味あんのかよ?〕

 

〔ここで立ち止まるのは……〕

 

 土居内は停車した74式戦車の砲手用キューポラから身を乗り出しつつ、無線機に向かって反論する。

 

「この先、アンブッシュ(待ち伏せ)臭いんだよ。俺が確認してくる」

 

 土居内は74式戦車から降り、89式小銃を手に歩く。軽装甲機動車から降りた豊川が追いかける。

 

 土居内は道端を注視しながら歩く。丁度左カーブの所の右側の側溝に、ある物を見つける。

 

「やっぱりあったか」

 

「司令官、それは?」

 

 土居内は身をかがめ、側溝に埋まったそれを観察しながら言う。

 

「IED、路肩即席爆弾だ」

 

「ば、爆弾!?」

 

「イラクの時には、こいつで高機動車が1台吹っ飛んでな。幸い死者・怪我人は出なかったが。いや軽症はいたか」

 

 土居内は爆弾をそっと持ち上げる。何故かは分からないが、米軍のC4プラスチック爆弾だった。

 

「発破母線に、デトコード……これじゃもっとあるな」

 

 そんな土居内に、豊川は話しかける。

 

「持ち上げて大丈夫なんですか?」

 

「C4は信管を使わない限り爆発しない。ベトナムじゃ、兵士達はこれを燃やして灯りにしてたそうだ。心配すんな、これでも空挺団で訓練を受けたからな」

 

 土居内は89式小銃を側に置き、89式多用途銃剣と鞘を組み合わせて即席のワイヤーカッターを作る。

 

 そしてためらいなく発破母線を切った。

 

 その瞬間、豊川は死を覚悟する。目を閉じ、耳を塞ぎ、来るであろう衝撃を待つ。

 

 が、いつまで経っても衝撃は来ない。ゆっくり目を開くと、土居内が立っていた。

 

「あ、あれ? ここ天国ですか?」

 

「寝ぼけてんのか? 爆弾処理は終わったよ」

 

 やがて、仲間達がやってくる。土居内は74式戦車に乗り、指示を出す。

 

「全車、ゆっくり前進。右の茂みに注意しろ。コブラ、サーマルセンサーで見つけられないか?」

 

〔茜お姉様以外に指図されたくありませんが、茂みに何かいますよ〕

 

 上空を旋回するAH-1Sのコブラが、赤外線索敵装置で、道路右側の茂みに何かを見つける。

 

「やはりな。待ち伏せだ、ロケットランチャーの発射炎とスナイパーに注意」

 

 そう指示した途端、茂みから銃撃される。土居内は89式小銃を砲塔から取り出し、叫ぶ。

 

「応射しろ! 敵は殲滅だ!」

 

 ナナヨンは戦車長用キューポラに取り付けられたブローニング M2重機関銃の銃架を回してトリガーを押す。さらに2台の軽装甲機動車の25mm機関砲やAH-1Sの20mmガトリング砲が唸る。

 

 そして攻撃は止んだ。土居内は立ち止まらないように命令し、先へと進む。

 

 

 

 やがて土居内達は田園地帯にやってきた。目の前には巨大な川、対岸にはマグマ軍の機甲部隊が待機している。

 

「T-54(中戦車54號)にZSU-23(対空戦車23號)、BMP-2(歩兵戦闘車2號)か。正面きって戦うには分が悪い」

 

 土居内達は堤防で隠れ、様子をうかがっていた。

 

〔司令官、いつまで待機していればいいの!?〕

 

 無線から、不機嫌そうな茜の声がする。敵対空戦車の攻撃を防ぐため、近くの森に着陸するように土居内は命令したのだ。

 

「死にたいんだったら止めないぞ」

 

〔う~〕

 

 不満そうに唸る茜。

 

 土居内は双眼鏡を覗き、敵の様子をうかがう。そして作戦を思いついた。

 

「よし、いい考えがある」

 

 

 

 その頃、マグマ軍歩兵や歩兵戦闘車2號は談笑していた。

 

「ギューギュギュギュイ」

 

「ギュギュ、ギュイギュイ」

 

 すると、突然ヘリコプターのローター音が聞こえた。対空戦車23號は四連装対空機関砲を作動させ、歩兵達は車両に隠れる。そしてT-54の砲塔から頭を出す中戦車54號の額に弾丸が当たる。

 

「ギュ!?」

 

 

 

 しかし、弾丸は弾かれた。

 

「マジか! 兵器の妖精に銃弾は通じないのか!」

 

 土居内はM14に取り付けたスコープを覗きながら叫ぶ。そしてすぐ堤防に隠れる。

 

 直後、大量の銃弾が飛んできて堤防を抉る。

 

 土居内から少し離れた所で、鯖江が64式小銃で歩兵を狙撃し、富山が110mm対戦車弾を、久居が84mm無反動砲(B)を発射する。

 

「ナナヨン、撃てっ!」

 

 土居内は指示を出し、双眼鏡を手に堤防から頭を出す。

 

 

 

 堤防から離れた所で、74式戦車が105mm戦車砲を撃つ。

 

 尾栓が開き、熱々の薬莢が砲塔内を転がる。

 

〔初弾弾着。修正、右4度、上2度!〕

 

「分かったわ」

 

 土居内からの報告に、ナナヨンは照準を動かし、油圧式車高調整機構(アクティブサスペンション)を使って105mm戦車砲の砲身を上に向ける。人力で砲弾を装填し、尾栓を閉める。

 

 戦車砲で長距離砲撃を行っているのだ。

 

「徹甲弾、装填」

 

〔よし、って!〕

 

 射撃、反動で38tはある車体が揺れ、再び薬莢が砲塔内を転がる。

 

 

 

 発射された砲弾は堤防を超え、対空戦車23に命中する。

 

「第2射、命中確認! 車両班とヘリは前進しろ!」

 

 ただちに74式戦車や軽装甲機動車が前進し、堤防を登って射撃を開始する。

 

 そしてAH-1Sが70mmロケット弾や20mmガトリング砲を撃って敗走するマグマ軍を追撃する。

 

「撃ち方止め、撃ち方止め!」

 

 土居内が指示を出し、銃声が止む。AH-1Sが堤防の上に着陸し、隊員達が集合する。

 

「司令官、第4師団が後を引き継ぐと言ってきています」

 

 軽装甲機動車・3号車に搭載された連隊用大型無線機からの連絡を、葵が報告する。

 

 土居内は指示を出した

 

「中央混成連隊、これより富山駐屯地に帰還する!」




毎度ドーモ。新潟編です。

作中の74式による長距離砲撃シーンは、「突撃! ファミコンウォーズ」というゲームで私が得意だった「軽戦車での長距離射撃」が元ネタです。あのゲーム、頑張れば重戦車や自走砲相手に、軽戦車でも充分戦えるんですよ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。